【電磁人の韻律詩44~何気なくて優しい日々の~】
「ったく、恋路の奴なんで勝手に遊びに行っちゃうのかなあ?
ていうか……、俺ただ飯食いに来ただけだしさ。
それなのに……、それなのに……。」
ていうか……、俺ただ飯食いに来ただけだしさ。
それなのに……、それなのに……。」
明日真は現在、自らの契約する都市伝説である猫レンジの恋路と同居している。
料理が苦手でレトルトとサプリメントだけで済ませがちな彼の代わりに、料理は恋路が作っていた。
だから恋路が居なくなると明日真はその日の晩飯にも困る。
そんな時にめざとく笹木が来て明日真ににくじゃがを食わせようとしてきたのだが、
へたにそんなことになれば恋路と大変なことになるので明日真は全力でお断りしてハッピーピエロに来ていた。
料理が苦手でレトルトとサプリメントだけで済ませがちな彼の代わりに、料理は恋路が作っていた。
だから恋路が居なくなると明日真はその日の晩飯にも困る。
そんな時にめざとく笹木が来て明日真ににくじゃがを食わせようとしてきたのだが、
へたにそんなことになれば恋路と大変なことになるので明日真は全力でお断りしてハッピーピエロに来ていた。
「なんでこんなことになってんだよおおおおおおおおおお!」
ハッピーピエロの駐車場のどまんなか。
辺りに散らばっているのは彼の姉の血とその婚約者の肉片。
そしてもう一つ、自分が作り出したクレーター。
これは彼の姉の婚約者と戦い、彼自身とも戦っていた男との戦いで出来たものである。
彼が渾身の力を込めて放った一撃の後、男――上田明也――は跡形もなく消え去っていたのだ。
辺りに散らばっているのは彼の姉の血とその婚約者の肉片。
そしてもう一つ、自分が作り出したクレーター。
これは彼の姉の婚約者と戦い、彼自身とも戦っていた男との戦いで出来たものである。
彼が渾身の力を込めて放った一撃の後、男――上田明也――は跡形もなく消え去っていたのだ。
「おっ、まこっちゃんったら大変そうじゃん。」
「あっ笹木さん……!」
「愛する君を追いかけて来ちゃったぜ。
しかし君の彼女もずいぶん冷たいねえ、彼氏の苦境に助けに来ないなんて。
それにしても悪名高きハーメルンの笛吹きがこんな簡単に陥落するとはねえ……。
俺だったら多分楽勝だったなこりゃあ。」
「……まさか死んでないですよね?」
「まあ死んでは居ないでしょ。咄嗟に退避したと考えるべきだろう。」
「あっ笹木さん……!」
「愛する君を追いかけて来ちゃったぜ。
しかし君の彼女もずいぶん冷たいねえ、彼氏の苦境に助けに来ないなんて。
それにしても悪名高きハーメルンの笛吹きがこんな簡単に陥落するとはねえ……。
俺だったら多分楽勝だったなこりゃあ。」
「……まさか死んでないですよね?」
「まあ死んでは居ないでしょ。咄嗟に退避したと考えるべきだろう。」
明日真は安心したらしく『良かった。』と呟いた。
「良かった、ね。君の友人の仇じゃないのか?」
「これからはもう二度と悪いことをしないそうです。」
「悪いことをしない、ねえ。信じるの?」
「いいえ。それはこれからのあいつの行動を見ないと何も解りません。」
「なんにしても死ななくて良かった、と。」
「はい。」
「お前、良い奴だな、お人好しだ。でもその甘さが好きなんだけどさ。
そういえばお前の姉ちゃんだけどな、俺の馬鹿上司が何とかしてるから安心してくれ。」
「笹木さんF-№なんですか?」
「ああ、そういえばあの馬鹿上司がお前の恩師を殺したらしいじゃないか。
俺なら暴力であの馬鹿に土下座させられるけど……良いのか?」
「だってあれは戦いの末のことなんでしょう?」
「死人に口なしだからな、あいつが嘘ついてる可能性だって有る。」
「貴方はどう思いますか?」
「俺は龍之介とも知り合いだったから言うんだけど……。
龍之介は理想主義者だ。
自分の理想以外の結末を絶対に認めない、あいつは自分が悪だと判断した物にはいつも真っ直ぐ向かっていったよ。
友も恋人も味方も悪と判断すればすぐにあいつは噛みついた。
あいつがどうして今の歳まで生きていたのか不思議だ。
まあ、あれだ。あの馬鹿上司は嘘は吐いてないとおもう。」
「なら良いんです。俺は貴方を信じます。」
「くっ、ううっぅうぅ…………。」
「これからはもう二度と悪いことをしないそうです。」
「悪いことをしない、ねえ。信じるの?」
「いいえ。それはこれからのあいつの行動を見ないと何も解りません。」
「なんにしても死ななくて良かった、と。」
「はい。」
「お前、良い奴だな、お人好しだ。でもその甘さが好きなんだけどさ。
そういえばお前の姉ちゃんだけどな、俺の馬鹿上司が何とかしてるから安心してくれ。」
「笹木さんF-№なんですか?」
「ああ、そういえばあの馬鹿上司がお前の恩師を殺したらしいじゃないか。
俺なら暴力であの馬鹿に土下座させられるけど……良いのか?」
「だってあれは戦いの末のことなんでしょう?」
「死人に口なしだからな、あいつが嘘ついてる可能性だって有る。」
「貴方はどう思いますか?」
「俺は龍之介とも知り合いだったから言うんだけど……。
龍之介は理想主義者だ。
自分の理想以外の結末を絶対に認めない、あいつは自分が悪だと判断した物にはいつも真っ直ぐ向かっていったよ。
友も恋人も味方も悪と判断すればすぐにあいつは噛みついた。
あいつがどうして今の歳まで生きていたのか不思議だ。
まあ、あれだ。あの馬鹿上司は嘘は吐いてないとおもう。」
「なら良いんです。俺は貴方を信じます。」
「くっ、ううっぅうぅ…………。」
笹木は顔を赤くしたりうつむいてみたり手で顔を隠したり頭をかいたりし始める。
まるで好きな人に話しかけられない女子高生みたいだ。
外見年齢は別として実年齢はもう60過ぎなのに。
まるで好きな人に話しかけられない女子高生みたいだ。
外見年齢は別として実年齢はもう60過ぎなのに。
「なんでお前は俺を信じるんだよ。綺麗な目しやがってさあ。
こっちが恥ずかしくなるわ!」
「嘘吐いてるんですか?」
「吐いてねえよ!」
「じゃあ良いじゃないですか。」
「そう言う問題じゃねえんだよ!もっと警戒しろよ!
人間なんて概ね嘘吐きなんだぞバーカバーカ!」
「でも貴方は本当のこと話してくれるんでしょ?
俺のことに恨みは無いし、むしろこまめに遊びに来るし。
いや、迷惑ですけどね。でも気持ちは伝わるし。」
「やめろおおおお!
やめろ、お前は彼女と仲良くしてりゃあいいんだ!
どうせ俺は!俺は横から現れてミステリアスな年上の御姉様してたいだけなんだ!
まぶしすぎるからそんな綺麗な目で俺を見るなあああああああああ!
迷惑だけど気持ちは伝わるとかあああああああ!
ちょっと期待させるんじゃねえよおおおおお!
優しい笑顔をこっちに向けるなあああああああ!」
こっちが恥ずかしくなるわ!」
「嘘吐いてるんですか?」
「吐いてねえよ!」
「じゃあ良いじゃないですか。」
「そう言う問題じゃねえんだよ!もっと警戒しろよ!
人間なんて概ね嘘吐きなんだぞバーカバーカ!」
「でも貴方は本当のこと話してくれるんでしょ?
俺のことに恨みは無いし、むしろこまめに遊びに来るし。
いや、迷惑ですけどね。でも気持ちは伝わるし。」
「やめろおおおお!
やめろ、お前は彼女と仲良くしてりゃあいいんだ!
どうせ俺は!俺は横から現れてミステリアスな年上の御姉様してたいだけなんだ!
まぶしすぎるからそんな綺麗な目で俺を見るなあああああああああ!
迷惑だけど気持ちは伝わるとかあああああああ!
ちょっと期待させるんじゃねえよおおおおお!
優しい笑顔をこっちに向けるなあああああああ!」
この人面白いなあ、と思って明日は微笑んでいただけなのだが笹木はそのことに気付かない。
彼女は基本的に人の優しさに弱いのだ。
彼女は基本的に人の優しさに弱いのだ。
「くそっ、覚えてろよお前!
何時か……、何時か…………。
――――もう良い!帰る!
人集まる前にお前も帰っておけよ!」
何時か……、何時か…………。
――――もう良い!帰る!
人集まる前にお前も帰っておけよ!」
そう言うと笹木はそそくさと逃げ出してしまった。
この人は何したかったんだろうかと明日は首をひねるばかりであった。
この人は何したかったんだろうかと明日は首をひねるばかりであった。
思えば妙な日常を過ごすようになってしまった。
友達を殺されて、すごい能力を手に入れて、彼女が出来て、そして。
偶々通りかかった飲食店の駐車場で友人の仇と戦って、何故か倒してしまって。
でも結局そんなのも自分が目指す正義の味方としての日常であって。
明日はらしくもなく沈む夕日を見て感慨にふけっていた。
友達を殺されて、すごい能力を手に入れて、彼女が出来て、そして。
偶々通りかかった飲食店の駐車場で友人の仇と戦って、何故か倒してしまって。
でも結局そんなのも自分が目指す正義の味方としての日常であって。
明日はらしくもなく沈む夕日を見て感慨にふけっていた。
「あー、疲れた。」
「お姉さんがいやしてあ・げ・る。」
「笹木さん何やってるんですか。さっき空飛んで帰ってたじゃないですか。」
「いや、よく考えたらお前ボロボロじゃん。
家までは送っていってやるよ。」
「……ありがとうございます。」
「あのお嬢ちゃんに飽きたら私に何時でも乗り換えると良い。
なんせ俺は純愛派だ。待つわ、何時までも待つわ。たとえ貴方が振り向いてくれなくても。」
「歳がバレますよ。」
「うるせえ、黒服になった時点で歳も何もあるか!」
「むきゅ~ん。」
「胡散臭い物を見る眼で見ないでよ!」
「お姉さんがいやしてあ・げ・る。」
「笹木さん何やってるんですか。さっき空飛んで帰ってたじゃないですか。」
「いや、よく考えたらお前ボロボロじゃん。
家までは送っていってやるよ。」
「……ありがとうございます。」
「あのお嬢ちゃんに飽きたら私に何時でも乗り換えると良い。
なんせ俺は純愛派だ。待つわ、何時までも待つわ。たとえ貴方が振り向いてくれなくても。」
「歳がバレますよ。」
「うるせえ、黒服になった時点で歳も何もあるか!」
「むきゅ~ん。」
「胡散臭い物を見る眼で見ないでよ!」
確かに、疲れ切っている明日としては送って貰えればありがたい。
だが自分より背の高い笹木と並ぶのは明日としては少々抵抗感がある。
そう思って明日は悩んだのだが、結局笹木に背負われて空を飛ぶことになってしまった。
彼女の背中で明日は何時の間にか眠っていた。
【電磁人の韻律詩44~何気なくて優しい日々の~fin】
だが自分より背の高い笹木と並ぶのは明日としては少々抵抗感がある。
そう思って明日は悩んだのだが、結局笹木に背負われて空を飛ぶことになってしまった。
彼女の背中で明日は何時の間にか眠っていた。
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