【電磁人の韻律詩48~大掃除を始めると概ね懐かしの品を楽しんでしまうから無駄~】
「明日家の皆様は大掃除をしないのですか。」
「え?」
「あ゛。」
「え?」
「あ゛。」
暮れも押し迫ったある日のこと。
明日家になんだかんだで居候を続けていた雪絵(享年10~12才、フランケンシュタイン)が何気なく発した疑問。
だがそれは明日家の二人を震撼させるに足る恐怖の一頃であったことを彼女は知らなかったのだ。
明日家になんだかんだで居候を続けていた雪絵(享年10~12才、フランケンシュタイン)が何気なく発した疑問。
だがそれは明日家の二人を震撼させるに足る恐怖の一頃であったことを彼女は知らなかったのだ。
「そそそそそそ、掃除かい?」
「なあやめようぜ雪絵ちゃん。掃除なんてやったところでまた汚れるんだ。」
「なんでお二人とも目が泳いでいるのですか。
ルックアットミー。」
「なあやめようぜ雪絵ちゃん。掃除なんてやったところでまた汚れるんだ。」
「なんでお二人とも目が泳いでいるのですか。
ルックアットミー。」
実は明日真も恋路も掃除が滅茶苦茶嫌いなのである。
それ故に部屋の汚さが限界を迎えると二人は様々な方法で勝負して敗者が掃除をするという掃除デスマッチを行っていたのだ。
それ故に部屋の汚さが限界を迎えると二人は様々な方法で勝負して敗者が掃除をするという掃除デスマッチを行っていたのだ。
「I can’t speak English.」
「無駄に発音良い!?」
「恋路さんって英語得意なんですか?」
「ああ、実は英検一級を持っている。」
「何時手に入れた!」
「学校に入る前に通信講座→一般受験→無事合格。」
「すっげえええええええ!合格証見せろ!すぐ見せろ!」
「ふっふっふ、良いだろう……」
「無駄に発音良い!?」
「恋路さんって英語得意なんですか?」
「ああ、実は英検一級を持っている。」
「何時手に入れた!」
「学校に入る前に通信講座→一般受験→無事合格。」
「すっげえええええええ!合格証見せろ!すぐ見せろ!」
「ふっふっふ、良いだろう……」
そう言って恋路が合格証を取りに部屋へ戻ろうとする。
だが、その肩を雪絵ががっしりと捕まえた。
だが、その肩を雪絵ががっしりと捕まえた。
「お二人とも、片付けから話をそらそうとなさってませんか?」
「…………やだな。」
「…………そんな訳無いじゃないか。」
「くっ、そこまで二人がやる気無いのでしたら私がやります!
まずは明日さんの部屋から!」
「…………やだな。」
「…………そんな訳無いじゃないか。」
「くっ、そこまで二人がやる気無いのでしたら私がやります!
まずは明日さんの部屋から!」
と、言うやいなや雪絵は明日真の部屋に直行する。
「ま、待てええええええええ!」
明日真は彼女を追いかけようとしたのだが時既に遅し。
「待つのは君だよ、アケビマコト君。」
「あらあら恋路さん何故にそんな笑顔で……。」
「こいつを使えフランちゃん!」
「合点承知だ恋路さん!」
「あらあら恋路さん何故にそんな笑顔で……。」
「こいつを使えフランちゃん!」
「合点承知だ恋路さん!」
恋路はチョークスリーパーで明日の動きを止めつつ雪絵にゴミ袋を投げ渡した。
「待ってええええええええ!?」
明日の声ばかりが虚しく響く。
「さて、ここが明日さんの部屋ですね……。
おおう、なんという散らかり具合。」
おおう、なんという散らかり具合。」
本邦初公開、明日真の部屋。
まずは窓辺にベッドが一つ。
そして枕元にはデスクトップのパソコンがある。
そしてそれに接続された沢山のボタンが付いたコントローラー。
これはまだ彼がDJとして活動していた頃の品である。
パソコンにこれを接続してソフトを起動すると簡単に楽曲をいじれるのだ。
その他にも
ターンテーブル
CDターンテーブル
DJミキサー
ヘッドフォン
カートリッジ
スリップマット
エフェクター
サンプラー
DJテーブル
レコードケース/バッグ
CDコレクションの数々
とまあ彼のDJとしての活動を支える沢山のアイテムが彼の部屋の一角を占領していた。
まずは窓辺にベッドが一つ。
そして枕元にはデスクトップのパソコンがある。
そしてそれに接続された沢山のボタンが付いたコントローラー。
これはまだ彼がDJとして活動していた頃の品である。
パソコンにこれを接続してソフトを起動すると簡単に楽曲をいじれるのだ。
その他にも
ターンテーブル
CDターンテーブル
DJミキサー
ヘッドフォン
カートリッジ
スリップマット
エフェクター
サンプラー
DJテーブル
レコードケース/バッグ
CDコレクションの数々
とまあ彼のDJとしての活動を支える沢山のアイテムが彼の部屋の一角を占領していた。
「まあ百歩譲ってこれは良しとしましょう。」
明日真の家はそこそこお金持ちである。
その為か彼の部屋もそれなりに広い。
だから実のところ今まで紹介した物はそこら辺に放置していてもそれほど問題にはならないのだ。
その為か彼の部屋もそれなりに広い。
だから実のところ今まで紹介した物はそこら辺に放置していてもそれほど問題にはならないのだ。
「問題は……。」
そう、問題は所狭しと部屋の中に林立するガラスの棚達。
地震でも起きたらほぼ一発で壊滅しそうなその棚の中に輝いているのは……
地震でも起きたらほぼ一発で壊滅しそうなその棚の中に輝いているのは……
「この人形達ですね。」
明日真の大好きな某特撮番組のフィギュアである。
ちなみにテレビべージョンのヒーロー達と違って少々生々しいデザインだ。
ちなみにテレビべージョンのヒーロー達と違って少々生々しいデザインだ。
「恋路さん、これ片付ければ良いんですか?」
「うん!やっちゃって!」
「ふがあああああ!ふんがあああああああ!」
「うん!やっちゃって!」
「ふがあああああ!ふんがあああああああ!」
一瞬だけドアの隙間から全身をロープで縛られて猿ぐつわを噛まされた明日真が見える。
だがそれを気にする雪絵ではない。
彼女はフランケンシュタインの怪力を発揮してガラス棚を次々部屋から運び出す。
中のフィギュアは当然揺すぶられて次々転倒・破損しているがそれも気にする彼女ではない。
だがそれを気にする雪絵ではない。
彼女はフランケンシュタインの怪力を発揮してガラス棚を次々部屋から運び出す。
中のフィギュアは当然揺すぶられて次々転倒・破損しているがそれも気にする彼女ではない。
「ほろへ……、いっほほろへ……。」
「うふふふふふ、これで部屋が片付いたねー?」
「うふふふふふ、これで部屋が片付いたねー?」
そして恋路の弾ける笑顔である。
「悪魔共め……、俺の日常を返せ。」
猿ぐつわを外された明日が虚ろな目で天井を眺めている。
彼の目からは一筋の涙が零れていた。
彼の目からは一筋の涙が零れていた。
突如、ガラスが割れる音が廊下に響き渡る。
「どうせ俺たちはワゴンの身……。」
「Change Kick Hopper」
「Change Punch Hopper」
「暖めてやる、財布なんて!」
「キャー!?」
「雪絵!?」
「フランちゃん!?」
「Change Kick Hopper」
「Change Punch Hopper」
「暖めてやる、財布なんて!」
「キャー!?」
「雪絵!?」
「フランちゃん!?」
雪絵が廊下の曲がり角の壁に思い切り叩き付けられる。
「兄貴……、こいつらにも地獄(ワゴン)を見せてやろうよ。
俺たちやっと光(ショーケース)を手に入れたと思ったのに……。」
「だから言っただろう弟よ、光(ショーケース)を求めるなってさ。」
俺たちやっと光(ショーケース)を手に入れたと思ったのに……。」
「だから言っただろう弟よ、光(ショーケース)を求めるなってさ。」
明日はそれを見た瞬間目を輝かせた。
恋路は口を開けたまま閉じられなかった。
恋路は口を開けたまま閉じられなかった。
そう、明日真が買ってきたフィギュアに憑喪神が憑いて本物そっくりに変身しているのだ。
そのフィギュア達は彼等をしまい込もうとした雪絵を蹴り飛ばすか殴り飛ばすかして壁に叩き付けたらしい。
そのフィギュア達は彼等をしまい込もうとした雪絵を蹴り飛ばすか殴り飛ばすかして壁に叩き付けたらしい。
「うおおおおおおおおおおお!
すげええええええ!本物だ!本物だぞあれ!」
「いやいやアスマ君何とんでもない物買っちゃってたんですかねアレ!?」
「いや、ワゴンで売れ残ってたから……。
もしかしたらその時の怨念やらトラウマやらで憑喪神が憑いたのかも。」
「なんてこったい……。」
すげええええええ!本物だ!本物だぞあれ!」
「いやいやアスマ君何とんでもない物買っちゃってたんですかねアレ!?」
「いや、ワゴンで売れ残ってたから……。
もしかしたらその時の怨念やらトラウマやらで憑喪神が憑いたのかも。」
「なんてこったい……。」
恋路は迷うことなく戦闘態勢に入る。
「たたたた大変です!フィギュアが次々と本物に!」
「デュワッ!」
「ヘアッ!」
「デュワッ!」
「ヘアッ!」
雪絵の悲鳴が響く。
「えっ、うそ……。よりによってウルトラマンまで……ちょっとカメラ持ってくる!」
明日真はカメラ片手に撮影会を始める。
年末の明日家の状況は混沌を極めていた。
そしてこの話、なんと続くんじゃよ。
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そしてこの話、なんと続くんじゃよ。
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