「ここが・・・学校町・・・」
学校町の駅の前で、驚きや緊張、色んな想いが混ざったように呟くのは、大荷物を抱えた少女
まだ咲き始めたばかりの桜の花びらを乗せた風が、その長い黒髪とロングスカートを靡かせる
まだ咲き始めたばかりの桜の花びらを乗せた風が、その長い黒髪とロングスカートを靡かせる
「ひ、人がいっぱい・・・こんなところに、住めるのかなぁ・・・?」
今度は、不安の思いを篭めて呟く
心なしか、少し体が震えている
どうやらこの少女、相当弱気な様である
心なしか、少し体が震えている
どうやらこの少女、相当弱気な様である
―――いや、正確には、
「にぃにぃ~!! 先に行かないでよぉ~!!」
「あ、ごめんごめん; つい・・・」
「あ、ごめんごめん; つい・・・」
――――少女ではなく、“少年”なのだが
【 神ノ 力ヲ 秘メシ 詞 】
一之巻 ~彼ノ 名ハ 漢 也~
一之巻 ~彼ノ 名ハ 漢 也~
「わあ、結構広いんだね」
「私の寝室はこっちー!」
「私の寝室はこっちー!」
とあるアパートの一室で、きゃあきゃあとはしゃいでいるのは、
先程の少女のような少年と、セミショートヘアとミニスカが似合う『本物の』少女
少年の名は神崎 漢(カンザキ アヤ)、14歳
彼はこの春、妹の麻夜(マヤ)と共に学校町に越してきたのだ
そして、彼がこの物語の主人公である
先程の少女のような少年と、セミショートヘアとミニスカが似合う『本物の』少女
少年の名は神崎 漢(カンザキ アヤ)、14歳
彼はこの春、妹の麻夜(マヤ)と共に学校町に越してきたのだ
そして、彼がこの物語の主人公である
(漢>えっと、それじゃあ荷物の整理、しよっか」
(麻夜>あ、荷物は私が全部するから、にぃにぃは夕食の材料でも買ってきて♪
(漢>え、で、でも、それじゃ麻夜に悪いよ・・・
(麻夜>だいじょーぶだいじょーぶ! この町の地理とか覚えておいた方がいいでしょ?
それに、いつも2人で助け合ってきたじゃん! 掃除は私、料理はにぃにぃ! ね?
(漢>・・・ありがとう、麻夜
(麻夜>あ、荷物は私が全部するから、にぃにぃは夕食の材料でも買ってきて♪
(漢>え、で、でも、それじゃ麻夜に悪いよ・・・
(麻夜>だいじょーぶだいじょーぶ! この町の地理とか覚えておいた方がいいでしょ?
それに、いつも2人で助け合ってきたじゃん! 掃除は私、料理はにぃにぃ! ね?
(漢>・・・ありがとう、麻夜
父親は彼の幼い頃に帰らぬ人となり、母親は仕事の為に滅多に帰らない
2人は子供ながらも、互いに支えあって生活してきたのだ
2人は子供ながらも、互いに支えあって生活してきたのだ
(漢>それじゃあ、行ってくるから・・・僕も出来るだけ早く帰るけど、疲れたらちゃんと休憩してね?
(麻夜>うん、行ってらっしゃーい! 悪い人に気をつけてねー!
(麻夜>うん、行ってらっしゃーい! 悪い人に気をつけてねー!
バタン、とドアが閉められ、「よし、」と気合を入れた麻夜
これから荷物の整理を――――――
これから荷物の整理を――――――
(麻夜>えへへへへへ・・・にぃにぃに『ありがとう』って言われちゃったぁv
きゅんきゅんする・・・胸がきゅんきゅんするよぉ・・・v
にぃにぃ可愛いよにぃにぃ・・・あぁ、私の『にぃにぃコレクション』を新しい隠し場所に・・・
きゅんきゅんする・・・胸がきゅんきゅんするよぉ・・・v
にぃにぃ可愛いよにぃにぃ・・・あぁ、私の『にぃにぃコレクション』を新しい隠し場所に・・・
―――――整理を始めるのだった
一方その頃
(漢>あれ・・・スーパーって、何処にあるんだろう・・・
人の賑わう方向に来てはみたが、肝心の目的地が見当たらないらしい漢
キョロキョロと知らない町並みを何度も何度も見回しながら歩く
ふと歩いていると、
キョロキョロと知らない町並みを何度も何度も見回しながら歩く
ふと歩いていると、
(漢>あっ・・・!
何かを見つけて、路地裏の方に駆けていった
優しく、何かを抱き上げる
それはぐったりとしている猫だった
優しく、何かを抱き上げる
それはぐったりとしている猫だった
(漢>可哀想に・・・何処か、怪我してるの?
猫に問い掛けるが、勿論何も喋らない
すると、彼は人差し指をピンとのばしたかと思うと、空中に字を“書いた”
紙も筆も持たずに、空中に白い文字が書かれる
それは『診』という字となり、彼の手の中にすぅ、と入り込むように消えた
すると、彼は人差し指をピンとのばしたかと思うと、空中に字を“書いた”
紙も筆も持たずに、空中に白い文字が書かれる
それは『診』という字となり、彼の手の中にすぅ、と入り込むように消えた
(漢>・・・怪我、じゃない・・・病気?
呟き、再び宙に指を立てる
今度は『癒』という字が浮かび上がり、それは彼ではなく、猫の身体の中に溶け込んだ
代わりに、邪悪な色をした煙のようなものが中から出てきたが、パッと一瞬で無くなってしまった
瞬間、先程までぐったりしていた筈の猫が起き上がり、
彼を見て、にゃあ、と一声あげると、何事も無かったかのように路地裏の奥へ歩いていった
今度は『癒』という字が浮かび上がり、それは彼ではなく、猫の身体の中に溶け込んだ
代わりに、邪悪な色をした煙のようなものが中から出てきたが、パッと一瞬で無くなってしまった
瞬間、先程までぐったりしていた筈の猫が起き上がり、
彼を見て、にゃあ、と一声あげると、何事も無かったかのように路地裏の奥へ歩いていった
(漢>よかったぁ、喜んでくれたみたい・・・あ、買い物買い物・・・
立ち上がり、再び目的地を目指して歩を進める
通行人に声をかければ早いのだが、生憎、彼はそのような度胸を持ち合わせていない
逆に、向こうから話し掛けてくれればいいのだが、
通行人に声をかければ早いのだが、生憎、彼はそのような度胸を持ち合わせていない
逆に、向こうから話し掛けてくれればいいのだが、
「そこのお嬢ちゃぁん?」
それが必ずしも“良い人”だとは限らない
口笛を吹きながら漢に近づくのは、3人の20代くらいの男性
口笛を吹きながら漢に近づくのは、3人の20代くらいの男性
(男性A>お嬢ちゃん可愛いね、この町の子?
(男性B>俺達とどっか遊びに行かね?
(男性B>俺達とどっか遊びに行かね?
どう見ても、道を教えてくれるような紳士ではない
(漢>あ、あの、ご、ごめんなさい、ちょっと用事があって・・・
(男性C>なになに? 買い物? あぁそれならついて行ってやるよ
(漢>いえ、そn痛っ・・・
(男性C>なになに? 買い物? あぁそれならついて行ってやるよ
(漢>いえ、そn痛っ・・・
腕を掴まれ、無理矢理引っ張るように連れていかれる
「嫌だ」とはっきり言えばいいのに、心が弱すぎてそれすらも言えない
彼はそういう男である
「嫌だ」とはっきり言えばいいのに、心が弱すぎてそれすらも言えない
彼はそういう男である
(男性A>買い物なんて後にしてさぁ、やっぱ遊びに行こうぜ?
(男性B>何処行く? 遊園地? クラブ? いっそホテル行かね?
(男性C>早すぎるだろwww
(漢>あ・・・あ、の・・・や、やめ・・・
(男性B>何処行く? 遊園地? クラブ? いっそホテル行かね?
(男性C>早すぎるだろwww
(漢>あ・・・あ、の・・・や、やめ・・・
勇気を出して、漢が口を開いた時だった
「控えい、控えい!」
背後から何やら声が聞こえた
振り向くと、2つの人影
3月下旬にもなって上着まで着込んでいるし何故かサングラスまでかけた、黒ずくめの少年
それとは対照的に薄着で、シルバーアクセサリーをじゃらじゃらと飾った金髪の青年
男達は何か言おうとしたが、青年を見るなり、段々と青ざめていった
それを見越してか、サングラスの少年が続けて、
振り向くと、2つの人影
3月下旬にもなって上着まで着込んでいるし何故かサングラスまでかけた、黒ずくめの少年
それとは対照的に薄着で、シルバーアクセサリーをじゃらじゃらと飾った金髪の青年
男達は何か言おうとしたが、青年を見るなり、段々と青ざめていった
それを見越してか、サングラスの少年が続けて、
(少年>ここにおわすお方を何方と心得る!? 天下の日景 翼様に在らせられるぞ!!
(青年>・・・裂邪、俺は水戸黄門じゃないからな?
(男性B>きっ、狂犬だと!?
(翼>それはともかく・・・おい、その手を―――
(裂邪>その薄汚い手を退けないと怒りの業火がお前達を襲う事になるぞ!と翼様は申しておられる!
痛い目に遭いたくなかったらその子を解放してさっさと帰れ!!
(青年>・・・裂邪、俺は水戸黄門じゃないからな?
(男性B>きっ、狂犬だと!?
(翼>それはともかく・・・おい、その手を―――
(裂邪>その薄汚い手を退けないと怒りの業火がお前達を襲う事になるぞ!と翼様は申しておられる!
痛い目に遭いたくなかったらその子を解放してさっさと帰れ!!
何故か強く意気込む少年―――黄昏 裂邪
それを見て思わず苦笑してしまう青年―――日景 翼
3人は漢を掴んでいた手を離し、一目散に逃げていった
安堵の表情を浮かべる漢に、サングラスをくい、と上げて裂邪が歩み寄る
それを見て思わず苦笑してしまう青年―――日景 翼
3人は漢を掴んでいた手を離し、一目散に逃げていった
安堵の表情を浮かべる漢に、サングラスをくい、と上げて裂邪が歩み寄る
(漢>ぁ・・・え、っと・・・
(裂邪>全く、お前は何年経っても変わらねぇな、漢!
(漢>や・・・っぱり・・・裂兄ぃ!!
(裂邪>全く、お前は何年経っても変わらねぇな、漢!
(漢>や・・・っぱり・・・裂兄ぃ!!
ぎゅっ!と勢い良く飛びつき、強く抱きしめる
漢は少し背が低いので、丁度裂邪の胸に顔を埋めるような構図となっている
漢は少し背が低いので、丁度裂邪の胸に顔を埋めるような構図となっている
(裂邪>うわっ、ちょっ、泣くなよバカ! 服が濡れるだろっつか抱きつくな気持ち悪い!
(漢>ぐすん・・・ありがとぉ、裂兄ぃ・・・
(翼>何だ、知り合いだったのか?
(裂邪>あ、俺の従兄弟なんだ。それより手伝ってくれて有難う、翼の兄ちゃん
(翼>良いって、それより怪我はないか?
(漢>は、はい・・・あ、ありがとう、ございます・・・日景、さん?
(翼>翼でいいよ
(漢>つ、翼、さん・・・・・あ、の、ぼ、僕、神崎 漢と申します
(裂邪>はっきり喋れよ!
(漢>ひゃっ・・・ご、ごめんなさい・・・
(裂邪>一々悲鳴あげんなっつぅの!
(翼>やめてやれ; 女子供を泣かす奴は、「首塚」の敵だぞ?
(裂邪>あ、あのね、こいつこう見えても―――
(翼>っと、俺はそろそろ行くけど、お前らだけで大丈夫か?
(裂邪>え・・・あ、うん、後は俺に任せてよ、ホントに有難う!
(漢>ぐすん・・・ありがとぉ、裂兄ぃ・・・
(翼>何だ、知り合いだったのか?
(裂邪>あ、俺の従兄弟なんだ。それより手伝ってくれて有難う、翼の兄ちゃん
(翼>良いって、それより怪我はないか?
(漢>は、はい・・・あ、ありがとう、ございます・・・日景、さん?
(翼>翼でいいよ
(漢>つ、翼、さん・・・・・あ、の、ぼ、僕、神崎 漢と申します
(裂邪>はっきり喋れよ!
(漢>ひゃっ・・・ご、ごめんなさい・・・
(裂邪>一々悲鳴あげんなっつぅの!
(翼>やめてやれ; 女子供を泣かす奴は、「首塚」の敵だぞ?
(裂邪>あ、あのね、こいつこう見えても―――
(翼>っと、俺はそろそろ行くけど、お前らだけで大丈夫か?
(裂邪>え・・・あ、うん、後は俺に任せてよ、ホントに有難う!
手を振りながら、翼はその場を立ち去った
何か伝えたそうだったが、「まぁいっか」と呟き、裂邪は再び漢を見た
何か伝えたそうだったが、「まぁいっか」と呟き、裂邪は再び漢を見た
(裂邪>さて、何故お前がここに――――――って、漢?
漢が見ていたのは、裂邪ではなく、たった今立ち去った翼の後姿
それは何処か、恋する乙女を思わせる表情だった
それは何処か、恋する乙女を思わせる表情だった
(裂邪>おいコラァ! お・れ・の・話を聞けぇぇぇぇぇぇぇぇい!?
(漢>ひんっ!? ご、ごごごめんなさい!? と、ところで裂兄ぃが何でこの町に?
(裂邪>俺が聞きたいわ馬鹿野郎! お前こそ何でここにいるんだ!?
俺はこの町に住んでるから、いて当然だろ!
(漢>え、そ、そう、なの? ぼ、僕もこの町に越してきたんだ、今日
(裂邪>あぁそうか、それで・・・って・・・・・・・バファリン買ってこい
(漢>頭痛いの!? え、と、い、今治して―――
(裂邪>嘘に決まってんだろ! いいよもう、家に送ってやるから場所教えろ!
(漢>それが・・・僕、まだ買い物の途中で・・・
あ、そ、そうだ、スーパーマーケットって何処にあるの?
(裂邪>もしかしてそれでさっき絡まれてたの!? マジだったら抱きしめてやりたいわ!
(漢>・・・・・・・・・・・う、うん
(裂邪>しかもマジでマジかよ!もぉイヤァ!
分かったから!ついてってやるから!さっさときやがれ!
(漢>ひんっ!? ご、ごごごめんなさい!? と、ところで裂兄ぃが何でこの町に?
(裂邪>俺が聞きたいわ馬鹿野郎! お前こそ何でここにいるんだ!?
俺はこの町に住んでるから、いて当然だろ!
(漢>え、そ、そう、なの? ぼ、僕もこの町に越してきたんだ、今日
(裂邪>あぁそうか、それで・・・って・・・・・・・バファリン買ってこい
(漢>頭痛いの!? え、と、い、今治して―――
(裂邪>嘘に決まってんだろ! いいよもう、家に送ってやるから場所教えろ!
(漢>それが・・・僕、まだ買い物の途中で・・・
あ、そ、そうだ、スーパーマーケットって何処にあるの?
(裂邪>もしかしてそれでさっき絡まれてたの!? マジだったら抱きしめてやりたいわ!
(漢>・・・・・・・・・・・う、うん
(裂邪>しかもマジでマジかよ!もぉイヤァ!
分かったから!ついてってやるから!さっさときやがれ!
何故かキレまくりで先導する裂邪
その後姿が、昔見た時より少し大きくなっていると、ふと感動し、涙を流し、
その後姿が、昔見た時より少し大きくなっていると、ふと感動し、涙を流し、
(漢>・・・・・・ありがとう・・・変わらないね、裂兄ぃ・・・
漢は、きゅっ、とまた裂邪の腕に抱きつく
(裂邪>いや、だからやめろっての!? お前男だろ!?
(漢>・・・男だと・・・ダメ、なの?
(裂邪>ダ・メ・で・す!!
(漢>む、昔は・・・いつも、やって、たのに・・・ひっぐ
(裂邪>泣くなよもう! いいよ好きにしろよ!
(漢>・・・男だと・・・ダメ、なの?
(裂邪>ダ・メ・で・す!!
(漢>む、昔は・・・いつも、やって、たのに・・・ひっぐ
(裂邪>泣くなよもう! いいよ好きにしろよ!
結局彼は許してしまったようである
尤も、漢が男とはいえ、見た目は完全に女なので、どう見てもただのデートにしか見えないのだが
尤も、漢が男とはいえ、見た目は完全に女なので、どう見てもただのデートにしか見えないのだが
(漢>そ、そういえば・・・あの、翼さんって・・・
(裂邪>ん? 知り合った理由とか?
(漢>・・・裂兄ぃ凄いね、僕の言おうとしたこと、すぐに分かるなんて
(裂邪>お前が喋るの遅いんだrあぁもう泣くな分かったから
まぁ、色々あってね。結構世話になってんだ、あの人には
(漢>・・・そう、なんだ・・・
(裂邪>ん? 知り合った理由とか?
(漢>・・・裂兄ぃ凄いね、僕の言おうとしたこと、すぐに分かるなんて
(裂邪>お前が喋るの遅いんだrあぁもう泣くな分かったから
まぁ、色々あってね。結構世話になってんだ、あの人には
(漢>・・・そう、なんだ・・・
彼は呟きながら、春空を見上げた
日が落ちかけている空は、既に赤く染まり始めていた
日が落ちかけている空は、既に赤く染まり始めていた
(漢>(僕もいつか・・・あの人みたいにかっこよくなれるかなぁ・・・)
(裂邪>待てよ? おい、お前もしかして学校は・・・
(漢>え、あ、えっと、東区の―――
(裂邪>俺と同じ!?
(漢>ほ、ホント? じ、じゃあ、裂兄ぃと一緒に、授業を受けられるんだ・・・ヤッタァ
(裂邪>不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
(裂邪>待てよ? おい、お前もしかして学校は・・・
(漢>え、あ、えっと、東区の―――
(裂邪>俺と同じ!?
(漢>ほ、ホント? じ、じゃあ、裂兄ぃと一緒に、授業を受けられるんだ・・・ヤッタァ
(裂邪>不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
哀しげな叫びが、繁華街に響き渡った
(裂邪>あ、麻夜ちゃんは?
(漢>もちろん、来てるけど・・・
(裂邪>ならば許す
(漢>もちろん、来てるけど・・・
(裂邪>ならば許す
...物語ハ 猶モ 続ク