……扉を、半ば破壊しながら、そこに飛び込む
花子さんは、翼さんと一緒に、隣の部屋で俺達を足止めしようとしてきた連中の相手をしてくれている
…花子さんとの距離が離れれば離れるほど、花子さんの能力で作った水の武器を保つのが難しくなる
だが、この程度で根をあげる訳にはいかない
俺は、この世の全ての人を護れるような正義の味方ではない
それでも、せめて、クラスメイトだけでも、護りたいのだ
花子さんは、翼さんと一緒に、隣の部屋で俺達を足止めしようとしてきた連中の相手をしてくれている
…花子さんとの距離が離れれば離れるほど、花子さんの能力で作った水の武器を保つのが難しくなる
だが、この程度で根をあげる訳にはいかない
俺は、この世の全ての人を護れるような正義の味方ではない
それでも、せめて、クラスメイトだけでも、護りたいのだ
………そう、考えていた
部屋の中に充満した、血の匂いに
赤い、光景に
三つ首の犬に喰らいつかれ、片目を失った紗奈の姿に
傷つき、それでも紗奈を救おうとしている紗江の姿に
赤い、光景に
三つ首の犬に喰らいつかれ、片目を失った紗奈の姿に
傷つき、それでも紗奈を救おうとしている紗江の姿に
俺の意識は、赤く染まった
「何者です?」
侵入者に、A-No.666は、やや煩わしそうに視線を向けた
これから、楽しいところだというのに
これから、楽しいところだというのに
侵入者は、少年一人
己の都市伝説の敵ではない
A-No.666はそう考えた
どうせなら、この少年も一緒に、スナッフフィルムにその最期を収めて…
己の都市伝説の敵ではない
A-No.666はそう考えた
どうせなら、この少年も一緒に、スナッフフィルムにその最期を収めて…
「………………ろ」
「…?」
「…?」
小さく、呟かれた声
少年の、長い前髪で隠された………その歳には似合わぬ、鋭い眼光が
A-No.666を、ケルベロスを、ビデオカメラをまわしている黒服を、睨みつけた
少年の、長い前髪で隠された………その歳には似合わぬ、鋭い眼光が
A-No.666を、ケルベロスを、ビデオカメラをまわしている黒服を、睨みつけた
「-------天倉から、離れろっ!!!」
鋭い怒声が、少年の口から叫ばれた、その瞬間
A-No.666は、一瞬、己の意識が遠のくのを感じた
ギリギリのところで意識を保つも、どさり……と、ビデオカメラを回していた黒服が、泡を吹いて倒れた姿が、視界に映り
ケルベロスですらも、威圧され、それに押し負けたかのように、獲物から牙を離し
A-No.666は、一瞬、己の意識が遠のくのを感じた
ギリギリのところで意識を保つも、どさり……と、ビデオカメラを回していた黒服が、泡を吹いて倒れた姿が、視界に映り
ケルベロスですらも、威圧され、それに押し負けたかのように、獲物から牙を離し
直後
少年が、床を蹴った
その手にもっていた……水で出来た、銃の形が、変わっていって
少年が、床を蹴った
その手にもっていた……水で出来た、銃の形が、変わっていって
ぎゃぃん!!??と
悲鳴が、響く
悲鳴が、響く
「な……!?」
……ケルベロスの、首、が
一つ…ない
ごろん、と床に落ちて、その形を保てずに消え去ろうとしている
一つ…ない
ごろん、と床に落ちて、その形を保てずに消え去ろうとしている
首が、切り落とされたのだ
血が、辺りに撒き散らされる
血が、辺りに撒き散らされる
「……獄門寺……君……?」
朦朧とした声で、紗江がその名前を呼ぶ
獄門寺と呼ばれた、その少年は……その身に、ケルベロスの血を浴びて、立っていた
手にもつのは、銃ではなく……刀
水で作られたそれは、ケルベロスの血が混じり、やや赤くなっている
獄門寺と呼ばれた、その少年は……その身に、ケルベロスの血を浴びて、立っていた
手にもつのは、銃ではなく……刀
水で作られたそれは、ケルベロスの血が混じり、やや赤くなっている
ケルベロスが、獄門寺に炎を浴びせようとした
だが、もう遅い
その口元に炎が生まれた瞬間には、既に彼はケルベロスのそばまで接近していて
だが、もう遅い
その口元に炎が生まれた瞬間には、既に彼はケルベロスのそばまで接近していて
一閃
ケルベロスの胴体が、真っ二つに切り裂かれた
獄門寺の体が、更に血で染め上げられていく
獄門寺の体が、更に血で染め上げられていく
ケルベロスが、たかが人間の……それの、少年相手に、遅れをとって、倒されるなど!?
にわかには信じられぬ、しかし、真実そのものの光景を、A-No.666は目の当たりにする
にわかには信じられぬ、しかし、真実そのものの光景を、A-No.666は目の当たりにする
………ケルベロスが遅れをとった理由は、わかっている
先ほどから、この少年が発し続けている、威圧感
気を抜けば、意識を失いかねないそれが、ケルベロスの動きを鈍らせたのだ
それは、まるで、選ばれた者だけが、纏うことを許されたような、威圧感
人の上にたち、人を支配すべき者がもつような、それ
20にも届かぬ年齢の少年が、それを纏っている
先ほどから、この少年が発し続けている、威圧感
気を抜けば、意識を失いかねないそれが、ケルベロスの動きを鈍らせたのだ
それは、まるで、選ばれた者だけが、纏うことを許されたような、威圧感
人の上にたち、人を支配すべき者がもつような、それ
20にも届かぬ年齢の少年が、それを纏っている
(……待て、よ)
獄門寺、と
紗江が、そう、口にした
その家は、確か…
紗江が、そう、口にした
その家は、確か…
「………天倉、紗江……………動くな、何も、しなくていい」
「え………」
「……………………俺が、終わらせる」
「え………」
「……………………俺が、終わらせる」
静かに
静かに、獄門寺は、紗江にそう告げた
感情が、押し殺された、声
静かに、獄門寺は、紗江にそう告げた
感情が、押し殺された、声
その下に隠された感情は
地中奥深く、マグマのように煮えたぎる…………怒り
それを孕んだ視線が、A-No.666に、向けられた
地中奥深く、マグマのように煮えたぎる…………怒り
それを孕んだ視線が、A-No.666に、向けられた
「----っ舐めるな!」
獄門寺に、銃を向けるA-No.666
サイレンサー付きのそれから銃弾が放たれる
真っ直ぐに、獄門寺の急所を狙い打とうとした、それは………一振りで、防がれた
銃弾は、彼に届かない
サイレンサー付きのそれから銃弾が放たれる
真っ直ぐに、獄門寺の急所を狙い打とうとした、それは………一振りで、防がれた
銃弾は、彼に届かない
銃弾を
水の刀の一振りで、切り落としたのだ
水の刀の一振りで、切り落としたのだ
「……な」
獄門寺が、床を蹴る
血に塗れた、その姿で
A-No.666の、その命を、刈り取る為に
血に塗れた、その姿で
A-No.666の、その命を、刈り取る為に
死そのものが、己に向かってきている錯覚
今まで他人に与えた来たものが、まっすぐに、容赦なく、逃げ場も与えられず、向かってきている錯覚
今まで他人に与えた来たものが、まっすぐに、容赦なく、逃げ場も与えられず、向かってきている錯覚
襲いくる死に立ち向かおうと、A-No.666は発砲を繰り返す
何度も
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も
その悉くを切捨て、獄門寺はA-No.666に向かってくる
何度も
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も
その悉くを切捨て、獄門寺はA-No.666に向かってくる
……が
「---っ!?」
一発の銃弾を、防ぎきれず
それが、左肩に命中した
わずか、動きが鈍る
それが、左肩に命中した
わずか、動きが鈍る
そのわずかな隙を逃すことなく
A-No.666は、さらに銃弾を叩き込もうとして
A-No.666は、さらに銃弾を叩き込もうとして
……かちり
「え」
玉切れ
最悪のタイミングでの、それ
最悪のタイミングでの、それ
次の、瞬間
獄門寺は、A-No.666の真正面まで、接近していて
獄門寺は、A-No.666の真正面まで、接近していて
「------ぁ」
己の、首が
胴体から、切り離されたのを……切り飛ばされた己の首で、確認する
どす、と
その、胴体の心臓が……水の刀で、貫かれた様子を
そのまま、横なぎに、刀が胴体を切り裂いた様子を、はっきりと、見て
胴体から、切り離されたのを……切り飛ばされた己の首で、確認する
どす、と
その、胴体の心臓が……水の刀で、貫かれた様子を
そのまま、横なぎに、刀が胴体を切り裂いた様子を、はっきりと、見て
そして
血塗れた姿で、無表情の中、しかし、その鋭すぎる眼光に、激しい怒りをともした獄門寺の姿を、見て
血塗れた姿で、無表情の中、しかし、その鋭すぎる眼光に、激しい怒りをともした獄門寺の姿を、見て
「……剣……………鬼…………」
……あれは、人ではない
喩えるならば、剣鬼
容赦なく命を刈り取る死神そのもの
その眼差しに捕えられた自分が…………生きられるはずなど、なかったのだ
喩えるならば、剣鬼
容赦なく命を刈り取る死神そのもの
その眼差しに捕えられた自分が…………生きられるはずなど、なかったのだ
獄門寺家
その名を思い出す
どのナンバーだったか、その名前を口にしていた
学校街の、旧家の一つ
学校街五大旧家が一つ
日景の家に仕えし、修羅の家系
その名を思い出す
どのナンバーだったか、その名前を口にしていた
学校街の、旧家の一つ
学校街五大旧家が一つ
日景の家に仕えし、修羅の家系
獄門寺 龍一
修羅の家系の、直系の息子
修羅の血を、最も濃く受け継いだ存在
修羅の家系の、直系の息子
修羅の血を、最も濃く受け継いだ存在
死の間際、今更ながら、それを確認して
A-No.666の意識は、そのまま二度と浮かび上がる事のできぬ、血塗れた闇の中に沈んでいった
A-No.666の意識は、そのまま二度と浮かび上がる事のできぬ、血塗れた闇の中に沈んでいった
「---ッ龍一!」
「けーやくしゃ!!」
「けーやくしゃ!!」
粗方、向かってきていた黒服達を蹴散らし終えた翼と花子さんは、龍一が飛び込んだ部屋の中へと侵入した
……まず感じたのは、濃い、血の匂い
「……龍一?」
部屋の中央に立っている………血塗れの、龍一
肩から血を流し、全身には、頭からどっぷりと返り血を浴びている
手に持っていた水の銃は消えうせ、変わりに、持っているのは……水の、刀
肩から血を流し、全身には、頭からどっぷりと返り血を浴びている
手に持っていた水の銃は消えうせ、変わりに、持っているのは……水の、刀
「………、ちゃん、紗奈ちゃん……っ!」
部屋の中に響く、悲痛な声
打ち抜かれた足を引きずりながら、紗江は意識を失っている紗奈にすがり寄る
意識を失っているその体にすがりつき、涙を流す
打ち抜かれた足を引きずりながら、紗江は意識を失っている紗奈にすがり寄る
意識を失っているその体にすがりつき、涙を流す
「紗奈ちゃん……や、だ、嫌だ、よぅ………死んじゃ、いやぁ……っ、お願い、死なないで、お願い、私を……置いていかないで………っ」
遠目から見ても、重傷を負っている二人
早く治療しないと、手遅れになる
早く治療しないと、手遅れになる
ざっと、部屋の中を見渡す翼
……夫婦と思われる、大人二人の死体
あれは……もう、無理だ
泡を吹いて倒れている黒服、それはどうでもいい
……夫婦と思われる、大人二人の死体
あれは……もう、無理だ
泡を吹いて倒れている黒服、それはどうでもいい
「ッ龍一、来い!」
叫びながら、翼は急いで姉妹に駆け寄る
びくり、と紗江が怯えたように見えたが……それどころではない
びくり、と紗江が怯えたように見えたが……それどころではない
「龍一っ!」
動かぬ龍一に、もう一度声をかける翼
花子さんが慌てて龍一に駆け寄る
花子さんが慌てて龍一に駆け寄る
「けーやくしゃ!」
「………」
「………」
花子さんにぐいぐいと手を引っ張られ、ようやく近づいてきた龍一
俯いたその様子から、表情は伺えない
俯いたその様子から、表情は伺えない
翼は、懐から携帯電話を取り出し、急いで「首塚」の味方に連絡する
「フィラちゃんっ!瀕死の重傷の奴が二人、怪我人一人!!すぐに治療したい、こっち来てくれ!!」
翼の言葉に、怯えていた紗江が……小さく、反応した
「……治療……?……助けて、くれる……?………紗奈ちゃん、が……死なずに、すむ……?」
「………必ず助ける、「首塚」の名にかけて!!」
「………必ず助ける、「首塚」の名にかけて!!」
はっきりと、断言した翼
その言葉に、安心したのだろうか
………限界だったのだろう
紗江は、意識を失って……紗奈の体に重ねるように、倒れこんだ
その言葉に、安心したのだろうか
………限界だったのだろう
紗江は、意識を失って……紗奈の体に重ねるように、倒れこんだ
直後、光が現れる
駆けつけた「フィラデルフィア計画」の契約者が翼達5人を、まとめて包み込み、「首塚」へと移動させる
駆けつけた「フィラデルフィア計画」の契約者が翼達5人を、まとめて包み込み、「首塚」へと移動させる
………その、直前
「…………………また、失敗した」
と
龍一が、小さく、小さく………呟いたのだが
龍一が、小さく、小さく………呟いたのだが
その呟きは、誰の耳にも、届く事は、なかった
to be … ?