…すぅ、と
聴こえてくる、二組の穏やかな寝息
俺と花子さんと翼さんがそこに来た時には、もう、天倉達の治療は終わったようだった
聴こえてくる、二組の穏やかな寝息
俺と花子さんと翼さんがそこに来た時には、もう、天倉達の治療は終わったようだった
「……右目の傷が、脳に達していなかったのは、不幸中の幸いだ。そこまで傷ついているようだったら、ジャッカロープでも難しいからな」
「………そうですか」
「サンキュ、辰也」
「………そうですか」
「サンキュ、辰也」
治療の為に、翼さんが呼んでくれたんだろう
ジャッカロープを抱いた広瀬さんが、そう言ってくれた
……元「組織」だというこの人は、ある程度治療の技術がある
それと…
ジャッカロープを抱いた広瀬さんが、そう言ってくれた
……元「組織」だというこの人は、ある程度治療の技術がある
それと…
「…天倉達、ですが」
「……A-No.666に、薬物投与とか精神関係の実験とか、されてたかどうかについては、後でもっとしっかり検査しないとわからないな。とりあえず、命に関わるような状態ではない」
「………ありがとうございます」
「……A-No.666に、薬物投与とか精神関係の実験とか、されてたかどうかについては、後でもっとしっかり検査しないとわからないな。とりあえず、命に関わるような状態ではない」
「………ありがとうございます」
静かに、頭を下げる
……この人が、過去にどう言う経験をしてきたのかは、俺にはわからない
だが、人体実験に関わる知識を叩き込まれてしまっているのは、事実らしい
正直、辛い記憶を思い出させるようで申し訳ないが…今回は、助かった
……この人が、過去にどう言う経験をしてきたのかは、俺にはわからない
だが、人体実験に関わる知識を叩き込まれてしまっているのは、事実らしい
正直、辛い記憶を思い出させるようで申し訳ないが…今回は、助かった
「んじゃあ、俺は戻るぞ。後でそいつらを改めて検査するって言うんなら、その時に呼べ」
「わかった。じゃあな」
「わかった。じゃあな」
ひらひらと手を振って、ジャッカロープを連れて帰っていく広瀬さん
花子さんと一緒に、広瀬さんに頭を下げて見送って
……俺は、天倉達の傍に腰を下ろした
み、と花子さんも俺にならうように、腰をおろす
花子さんと一緒に、広瀬さんに頭を下げて見送って
……俺は、天倉達の傍に腰を下ろした
み、と花子さんも俺にならうように、腰をおろす
…静かな寝息
恐らく、傷一つ残らぬよう、治療されている事だろう
もう、痕すら残っていない、撃ちぬかれた俺の左肩のように
恐らく、傷一つ残らぬよう、治療されている事だろう
もう、痕すら残っていない、撃ちぬかれた俺の左肩のように
「みー…おねーちゃん達、大丈夫なの?」
「蝦蟇の油とジャッカロープ使っての治癒だ。後遺症も残らねぇよ」
「蝦蟇の油とジャッカロープ使っての治癒だ。後遺症も残らねぇよ」
花子さんの言葉に、そう答えてくれる翼さん
み!と、花子さんがほっとしたような声をあげる
み!と、花子さんがほっとしたような声をあげる
……あぁ、そうだ
後で、あの人に連絡しなければ、と考える
天倉達のいとこだと言う、白峰 徹さんに
……あの場所にあった、男女の死体
恐らく、あぁ言う状況であった死体である事から察するに…天倉達の、両親だろう
後で、あの人に連絡しなければ、と考える
天倉達のいとこだと言う、白峰 徹さんに
……あの場所にあった、男女の死体
恐らく、あぁ言う状況であった死体である事から察するに…天倉達の、両親だろう
…二人が、目を覚ました時
どんな言葉をかけてやればいいのか……わからない
答えの見つからぬ自分の至らなさが、情けない
どんな言葉をかけてやればいいのか……わからない
答えの見つからぬ自分の至らなさが、情けない
もっと
もっと早く、駆けつけられなかったのか
二人が、あそこまで傷つけられるよりも前に、何故、到着できなかったのか
いや、それよりも、早く
危険に気付き、あの二人の両親を助けられなかったのか?
もっと早く、駆けつけられなかったのか
二人が、あそこまで傷つけられるよりも前に、何故、到着できなかったのか
いや、それよりも、早く
危険に気付き、あの二人の両親を助けられなかったのか?
また、失敗してしまった
もう二度と、失敗するつもりなどなかったと言うのに
やはり、俺は力不足だ
過剰な力はいらないと、そう考えてきたが
…過剰ではない力すら、俺には足りない
もう二度と、失敗するつもりなどなかったと言うのに
やはり、俺は力不足だ
過剰な力はいらないと、そう考えてきたが
…過剰ではない力すら、俺には足りない
もっと
もっと、強くなるべきだ
もっと
もっと、より広く、情報を手に入れられるようになるべきだ
もっと、強くなるべきだ
もっと
もっと、より広く、情報を手に入れられるようになるべきだ
そうしなければ、護れない
また、失敗してしまう
………もう、失敗する訳には、いかない
また、失敗してしまう
………もう、失敗する訳には、いかない
「ねぇ、ちょっといい?」
から、と
障子を開けて、キャリアウーマン風の女性が顔を見せてきた
その背後には、ふわふわと…女子中学生くらいの生首が、浮いている
障子を開けて、キャリアウーマン風の女性が顔を見せてきた
その背後には、ふわふわと…女子中学生くらいの生首が、浮いている
「ん、どうした?」
「将門様がねぇ、その子に話があるんですってぇ」
「将門様がねぇ、その子に話があるんですってぇ」
そういって
つ、と女性が指差してきたのは……俺だ
つ、と女性が指差してきたのは……俺だ
「将門様が、龍一に?どうして?」
「知らなぁい」
「知らなぁい」
肩をすくめてくる女性
詳しい話は、聞いていないのだろう
翼さんが、怪訝な表情浮かべる
詳しい話は、聞いていないのだろう
翼さんが、怪訝な表情浮かべる
「………わかりました」
立ち上がる
みー?と、ついてこようとした花子さんを、俺は制した
みー?と、ついてこようとした花子さんを、俺は制した
「…花子さんは、天倉達の傍にいてやってくれ」
「み?……わかったの」
「み?……わかったの」
ぺとん、とあげかけた腰をおろす花子さん
翼さんが、俺を心配そうに見てきた
翼さんが、俺を心配そうに見てきた
「…龍一、疲れてるだろうし、無理するなよ?何なら、俺が将門様に言って、後日改めてって事に…」
「……大丈夫です……俺も、将門公に、お話がありますから」
「……大丈夫です……俺も、将門公に、お話がありますから」
俺の答えに、翼さんが首をかしげた
…軽く、首を左右に振って、雑念を払う
キャリアウーマン風の女性に連れられて、俺は、天倉達が寝ている部屋とは、障子二枚、部屋一つを挟んだそこに到着する
キャリアウーマン風の女性に連れられて、俺は、天倉達が寝ている部屋とは、障子二枚、部屋一つを挟んだそこに到着する
「では、将門様。私達は、これでぇ」
「うむ、ごくろうだった」
「うむ、ごくろうだった」
……広い部屋の、奥に
日本最強の祟り神の姿が、ある
一瞬でも気を抜けば、押しつぶされそうな威圧感
ゆっくりと近づき、用意された座布団の上に腰を下ろす
日本最強の祟り神の姿が、ある
一瞬でも気を抜けば、押しつぶされそうな威圧感
ゆっくりと近づき、用意された座布団の上に腰を下ろす
「ふむ、ごーるでんうぃーく、とやらの花見の時以来か」
「……そうなります」
「……そうなります」
自然と、背筋が伸びる
祟り神の、どこか楽しげな視線が、俺に突き刺さった
祟り神の、どこか楽しげな視線が、俺に突き刺さった
「くく……っ、改めてその名、聞いても良いか?」
「……はい」
「……はい」
静かに、俺は頭を下げ、名乗る
「………獄門寺家 十三代目 獄門寺 龍一。八代目様の代より、貴公より授けられし「童子切安綱」を継承し続けております」
「くくくっ、龍彦以降、扱えた者は居らぬようだがなぁ?」
「……恥ずかしながら」
「くくくっ、龍彦以降、扱えた者は居らぬようだがなぁ?」
「……恥ずかしながら」
楽しげに、楽しげに笑う祟り神
向けられるその視線を……俺は、真正面から、受け止めた
向けられるその視線を……俺は、真正面から、受け止めた
to be … ?