「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - モンスの天使-19a

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 C-No.572と、あの尋問を担当した、C-No.572よりも幼い外見の黒服から、報告を受ける
 本来ならば、C-No.572を通して聞けばいい話だが、一刻も早く、尋問結果を知りたかった

「……麻痺と毒物か」
「そろそろ効果が出るはず、と本人は言ってました」
「治療した際に、ついでにそっちも癒されてる可能性はあるが…とりあえず、伝えておく。暗示に関しちゃ、今回のショックで解けてるか……解けてなくとも、簡単に解除できるだろ」

 小さく、ため息をつく天地
 昨年まで、そこに所属していた人間の言える事ではないが…相変わらず、過激派強行派はろくでもない
 …このように考える事ができるようになったのも、自分が穏健派に所属するようになったからだろうか、とぼんやりと考える
 いや、正確には……ハンニバルの一件の後から、か
 一歩引いて、強行派や過激派の行いを見られるように、なったから

「現場の処置は?」
「あ、えっと…D-No.444さんが担当してます、「立つ鳥後を濁さず」の契約者さんが」

 天地の言葉に、少しつっかえつつ答えるC-No.572
 なるほど、あれが処置したならば、問題あるまい

「ただ、その……まだ、事件の「犯人という事にする」者は、用意できてないそうです。その……死体の損傷具合からして、猟奇殺人犯を用意する必要があるので…」
「……猟奇殺人という事にすると、マスコミが余計に騒ぐ。死体の損傷…特に、獣に食い散らかされた痕を修正して、通常の殺人事件にしておけ」

 戸惑いがちなC-No.572の言葉に、天地は事務的に返す
 …こう言う点では、まだ、C-No.572は、都市伝説事件の処理に、うまく対処ができていない
 昨年の秋…「夢の国」事件の際に黒服化した、まだ、若い黒服
 そろそろ一年が経とうとしているのだから、そろそろ慣れるべきなのだろうが……まぁ、本人の性格的なものもあるのだろう

「あの、私はどうすればいいんですか?」

 報告に来ていた、尋問を担当した少女黒服…確か、「サイコメトリー」に飲まれた存在のはずだ…が、声をあげた
 天地は、そちらにもやや事務的に告げる

「引き続き、あの黒服から情報を引き出せ。「組織」禁則事項 268に引っかかってる連中の情報を洗い出してまとめろ。A-No.666の息がかかった連中を、一気に縛り上げられるかもしれない」
「わかりました」
「C-No.572は、まずはこれをG-No.1に報告。それと、死体の修正と、「犯人」の用意の手続き、もっと急いでおけ」
「は、はい!」

 ぱたぱたと、サイコメトリーの黒服から受け取った報告書を持ち、駆けていくC-No.572
 …途中で転んで、報告書をぶちまけないといいのだが
 変なところでどんくさいし

「……?どうした?」

 と
 携帯電話を取り出そうとしていた天地は、サイコメトリーの黒服からの視線に気付いた
 少々、むっとしたような表情を向けられる

「…C-No.572のおねーちゃんを、あんまり苛めないでくださいね?」
「苛めてない。「組織」の黒服である以上、これくらいの事にはさっさと慣れるべきだろ」
「そうですけど…」

 …わかっている
 A-No.666の行いの、あまりの卑劣さに、恐ろしさに
 C-No.572が恐怖を、畏怖を感じて、仕事が鈍っている事実が
 ……そのような行いに対し、何も感じるな、というつもりはない
 だが、この程度で仕事が遅れるようでは、「組織」ではやっていけまい

「とにかく、引き続き尋問してこい……それと」
「何です?」
「尋問相手への暴力行為は、気付かれない程度にやれよ。穏健派は、それも禁止してるんだろ?」
「大丈夫です、証拠は一切残しません」

 なら、いい
 立ち去っていくサイコメトリーの黒服を見送って…天地は、誰もいない手身近な空き部屋に入り込んだ
 携帯を取り出し………やや迷った後、辰也に電話する

『天地か。何かわかったのか?』
「…あの姉妹、麻痺を起こさせる薬物と、毒物を混ぜた物を投与されている。それも、二度。そろそろ、効果が出る頃らしいんだが…」
『あぁ、怪我の具合を見ていた時、P-57とP-958の症状が見えたのはそのせいか。そっちも、ジャッカロープの力で治癒している』
「………そうか」

 辰也の言葉に、安堵の息を吐く天地
 …同時に…症状を見ただけで、投与された薬物の、それも、調合された物の薬品番号すら当てた辰也に、自分はまだ敵わぬと思い知らされる
 ハンニバルの事件以降、天地も、「組織」内において、禁じられた人体実験を行っている者達が扱う薬物については、勉強し始めている
 だが、まだ、辰也のように症状を見ただけで、その種類を判別するまでには………まだ、遠い
 自分が越えようとしていた相手は、まだまだどこまでも先にいるのだ
 改めて……それを、実感した

『他には?』

 辰也の言葉に、正気に戻る
 軽く首を振って、答えた

「…「組織から逃げるな」。そう言う暗示をかけられていたようだ」
『暗示か。今回の精神的ショックで解けてるとは思うが……解けてないようだったら、宏也か、大門 大樹にでも頼んで…』

 辰也の言葉に

「…いや。暗示がまだ続いてるようなら、俺に解かせてくれ」

 と
 天地が、間に割り込んだ

『お前がか?』
「…一応、「組織」の一部の黒服連中が使う、暗示に対する対処法だって、わかっているつもりだ……今回の件、俺はほとんど何も出来てないんだ、それくらいやらせろ」
『……お前は、「組織」でのこの件に関する処置に動いている。何もしていない訳じゃないだろ』

 辰也はこういってくるが、それでも
 自分は、「何もできなかった」のだ
 …天地には、その後悔が、強いのだ

「…俺にやらせる気がないんなら、せめて、直希にやらせてやってくれ。あいつの天使に、精神関係をどうにかできる奴も、いたはずだから」

 直希も、また
 今回の件で「何も出来なかった」と
 …あの双子の姉妹を、救う事ができなかったのだ、と
 深く、後悔している
 それをわかっているからこそ、天地はそう告げた

 …携帯の向こう側、辰也が小さくため息をついたのが、気配で伝わった

『……わかった。まずは、あの姉妹が目覚めてからだ。後でまた連絡する』
「…あぁ」

 通話を切って、乱暴に携帯をしまいこむ



 …何も、できなかった
 だが、いつまでも、それを後悔し続けるだけで花いけない

 何も出来なかったのならば
 これからできる事を、していかなければならない
 せめて、少しでも…あの姉妹の傷を、癒す為にも

 部屋を出て、天地は先へと進んでいく



 …自分がこれから、「組織」内でどうあっていくか
 それに、思考をめぐらせながら









to be … ?




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