プレダトリー・カウアード 日常編 04
――――光。
光が、満ちている。
青く、淡く、明滅を繰り返す、光。
見えるもの、見渡す限りの全てが、光で満たされていた。
光持ちえぬ不純物は、例外は、「見ている側」ただ一人。
しかしそれも、消える。きっと、消える。
だって、そうじゃないか。
光が、こんなにも、僕に、迫って――――
光が、満ちている。
青く、淡く、明滅を繰り返す、光。
見えるもの、見渡す限りの全てが、光で満たされていた。
光持ちえぬ不純物は、例外は、「見ている側」ただ一人。
しかしそれも、消える。きっと、消える。
だって、そうじゃないか。
光が、こんなにも、僕に、迫って――――
*****************************************
「…………ん……」
意識が、覚醒する。
視界が開けた先に見えたのは、白い天井。
青でも赤でもないその色に、若干と安堵と、そして同時に疑問を覚える。
――――ここは、どこだ?
記憶を掘り起こす。
最後に見たのは血塗れた壁と、窓の外の明りない家々。
床の血が頬にかかり、妙に冷たかったのを、覚えている。
――そうだ。僕は、吸血鬼を殺した後に、倒れて…………
視界が開けた先に見えたのは、白い天井。
青でも赤でもないその色に、若干と安堵と、そして同時に疑問を覚える。
――――ここは、どこだ?
記憶を掘り起こす。
最後に見たのは血塗れた壁と、窓の外の明りない家々。
床の血が頬にかかり、妙に冷たかったのを、覚えている。
――そうだ。僕は、吸血鬼を殺した後に、倒れて…………
「…………姉ちゃんはっ!?」
被さっていた布団を跳ね飛ばし、身体を起こす。
それでようやく、周囲の状況が目に入ってきた。
それでようやく、周囲の状況が目に入ってきた。
――――白。
天井だけじゃ、なかった。
壁も、ベットも、床も、僕の着ている服さえも、みんなみんな、白かった。
その中で着色されているのは、窓の外の風景と、用途の分からない妙な機械。
そして――――
壁も、ベットも、床も、僕の着ている服さえも、みんなみんな、白かった。
その中で着色されているのは、窓の外の風景と、用途の分からない妙な機械。
そして――――
「あ…………」
いた。ベットの隣。
椅子に座った一人の女の人が、僕の手を握りながら、眠っていた。
僕と同じ純白の服を着て、こくりこくりと船を漕いでいる。
傾いた顔に黒い髪がかかり、そのせいで顔がよく見えなくなっているけれど――分かった。
椅子に座った一人の女の人が、僕の手を握りながら、眠っていた。
僕と同じ純白の服を着て、こくりこくりと船を漕いでいる。
傾いた顔に黒い髪がかかり、そのせいで顔がよく見えなくなっているけれど――分かった。
「――――姉ちゃん」
握られていない方の手を伸ばし、顔にかかった髪を払ってあげる。
髪の下から現れた顔は、僕がこの十七年と数ヶ月、ほぼ毎日見てきたものだ。
…………間違いなく、姉ちゃんだった。
髪の下から現れた顔は、僕がこの十七年と数ヶ月、ほぼ毎日見てきたものだ。
…………間違いなく、姉ちゃんだった。
「はぁー…………」
――よかった、生きてた。
ほっとして、身体から力が抜ける。
ほっとして、身体から力が抜ける。
「………………んぅ」
「姉ちゃん?」
「姉ちゃん?」
ちょっとだけ騒ぎすぎたのかもしれない。
船を漕いでいた姉ちゃんの身体はいつの間にか止まり、その口からはむにゃむにゃと言葉を為していない何かが漏れている。
船を漕いでいた姉ちゃんの身体はいつの間にか止まり、その口からはむにゃむにゃと言葉を為していない何かが漏れている。
……姉ちゃんが、顔を上げた。
半覚醒状態といったところだろうか。
半分だけ開いた眼はまず、握った手を見、腕、肩、首へと移っていく。
やがて視線は、顔まで上がり――
半覚醒状態といったところだろうか。
半分だけ開いた眼はまず、握った手を見、腕、肩、首へと移っていく。
やがて視線は、顔まで上がり――
「…………ぁ」
――僕と目が、あった。
「おはよう、姉ちゃん」
僕は、出来るだけ優しく微笑む。
僕の家族。たった一人になってしまった僕の家族へ、向けて。
僕の家族。たった一人になってしまった僕の家族へ、向けて。
「――――お」
姉ちゃんの口が、開く。
……なぜか嫌な予感が、した。
……なぜか嫌な予感が、した。
「おおおおおおおおおおおおおお」
「ごめん姉ちゃん、何言ってるのか分からないんだけど……」
「弟よぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおっっっ!!」
「ごめん姉ちゃん、何言ってるのか分からないんだけど……」
「弟よぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおっっっ!!」
あね が おそいかかって きた !
「きゃーーーーーーーーーーっ!!??」
躱そうとするが、遅い。
あの吸血鬼よりも速いんじゃないかと思うような速度で飛び掛ってきた姉ちゃんは、立ち上がりかけた僕の身体を腕で強引にロック。
そのまま自分の方へと引き寄せて、ぎゅうっと、抱きしめた。
あの吸血鬼よりも速いんじゃないかと思うような速度で飛び掛ってきた姉ちゃんは、立ち上がりかけた僕の身体を腕で強引にロック。
そのまま自分の方へと引き寄せて、ぎゅうっと、抱きしめた。
……それだけなら、いい。
それだけなら、まだ、姉弟の感動の再会に見えなくも、ない。
――――けれど
それだけなら、まだ、姉弟の感動の再会に見えなくも、ない。
――――けれど
「お姉ちゃんは心配したんだぞぉぉおおおおっっ!!」
「ちょ、待って。痛い、痛いよ姉ちゃん。入ってる。絶対何かの技入ってるってこれ!」
「ちょ、待って。痛い、痛いよ姉ちゃん。入ってる。絶対何かの技入ってるってこれ!」
抱きしめる力が、強すぎる。
腰に巻きつけられた腕は、まるで万力か何かのように僕の身体を締め上げていた。
腰に巻きつけられた腕は、まるで万力か何かのように僕の身体を締め上げていた。
「今日はもう離さないからなぁぁぁあああああああああああっ!!」
「止めて死んじゃう! 内臓的な意味で僕死んじゃう!」
「止めて死んじゃう! 内臓的な意味で僕死んじゃう!」
まずい。まずいぞ。
気のせいだと信じたい。信じたいのだが
気のせいだと信じたい。信じたいのだが
「待って止めようちょっと冷静になろう姉ちゃん。ねぇ、ねぇってば!」
何だかだんだん、締め付ける力が、強くなっている、ような――――
「弟よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!」
「いぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!!??」
「いぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!!??」
――――後で友達に聞いたら、あれは「鯖折り」とか呼ばれる歴とした相撲技だとかなんだとか。
一つ勉強になったけれど、その代わりに、僕の入院はほんの少しだけ、延びていた。
一つ勉強になったけれど、その代わりに、僕の入院はほんの少しだけ、延びていた。
【Continued...】