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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - プレダトリー・カウアード-06

最終更新:

uranaishi

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プレダトリー・カウアード 日常編 06


「ねぇ、姉ちゃん」

 夜。一通りの検査を終えた後、僕は姉ちゃんに声をかけた。
 僕はベットの上、姉ちゃんは床に布団を敷いて寝っころがっている。
 本当は姉ちゃんのための病室もちゃんとあるらしいのだけれど、だだをこねた姉ちゃんが無理やり僕との相部屋にしたらしい。

「どうしたー? 姉ちゃんの愛なら有り余ってるぞー?」
「いや、姉ちゃんの愛なら充分に間に合ってるんだけど……」

 ちょっとだけ、口を噤む。
 これから話す話題は、姉ちゃんにとって楽しいものじゃないだろう。
 僕が起きてから、今までの数時間。
 意識的にか無意識的にか、姉ちゃんは一言だって、そのことに触れなかったのだから。

「あの、さ」

 けれど、僕は全てを話さなければならない。
 僕たち姉弟が先へ進むためには、絶対に。

「『昨日』のことなんだけど…………」
「あー、そうだよな。聞きたいよなぁ」

 姉ちゃんの言葉に、続けようとした僕の言葉が詰まる。
 「聞きたい」?
 違う。僕は「言いたい」んだけれど…………。

「え? いや、聞く側なのは姉ちゃんじゃ――――」
「……ごめんなぁ、優」

 ――――固まった。
 姉ちゃんの声が、震えている。
 いつも強気で、いつも我を張っていた姉ちゃんの声が、震えている。

「姉ちゃん…………あのバカ夫婦のこと、守れなかったよ」

 ああ――――そうか。
 僕は馬鹿だ。
 姉ちゃんが、あの破天荒なまでに強い姉ちゃんが、「あいつ」を前に何もしなかったはずなんて、ない。
 戦ったのだろう。戦ってしかし、届かなかったのだろう。
 僕は本当に、馬鹿だ。
 悲しみだけだと思っていた。
 ただ父さんと母さんを失った悲しみだけが、姉ちゃんの心にあるんだと思っていた。
 そんなはず、ないのに。
 戦っただけ、戦える力があっただけ、姉ちゃんの心には深い影が落ちた、はずなのに。

「姉ちゃん…………」

 ベットから、降りる。
 それにつられて身体を起こした姉ちゃんの顔に、涙はない。
 けれど、僕にはどうしてか――――姉ちゃんが、泣いているような気が、した。

「…………ごめん」

 だから、抱きしめた。
 言わなければならない事がたくさんあった。謝らなければならない事がたくさんあった。
 けれどまだ、その時じゃない、今は謝るのはこの一言だけでいい。
 今は――姉ちゃんのための、時だ。


 その日。僕は初めて、姉ちゃんの涙を、見た。



【Continued...】




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