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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - モンスの天使-20

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 …惨劇の、翌日
 再び、「首塚」本拠地を訪ねてきた辰也
 紗江と紗奈に簡単な質問をいくつか繰り返し…

 …小さくため息をつき、首を左右に振った

「……駄目だな。よほど強い暗示だったのか、まだ解けてない」
「そうか…」

 辰也の言葉に、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる天地

 …本来、「組織」所属の天地は、「首塚」本拠地に侵入できる存在ではない
 しかし、今回は状況が状況なので、特別に許可されたのだ
 空間転移能力保持者の能力で瞬間的に転移させられてきた為、進入方法は当然、わからない

 ……とまれ
 今回、ここに辰也に天地…そして、直希までもが集まった目的は、天倉姉妹にかけられた「「組織」を離れるな」と言う暗示が、まだかかっているかどうかの確認
 そして、まだその暗示が解けていないならば…それを解除する、と言うものだ

 辰也が行ったメンタルチェックの結果……あれだけの体験をしながら、まだ、暗示は解けていなかった
 かなり強いレベルで暗示をかけられた証拠だ

「暗示なんて、かけられていたんですか?私達」
「そんな感じは、しないんですけど…」
「かけられた自覚があったら、暗示の意味がないだろ」

 姉妹の言葉に、そう返す辰也
 …正直、その通りである
 暗示をかけられていた、と言う事実に、二人共、多かれ少なかれ、ショックを受けているようだ

「……解除、できますか?」

 検査に立ち会っていた龍一が、辰也に尋ねる
 長い前髪のせいで表情は見えないが…姉妹に、暗示をかけた存在
 すなわち、龍一がその手で切り殺した、A-No.666に対する怒りが、改めて込み上げているようにも見える

「こんだけ強い暗示となると…いや、やってみる」

 ………自分に、できるか?
 一瞬、自信の無さを感じつつも、やるしかないと、天地は紗江と紗奈に近づこうとした

「…あぁ、待て、天地」

 が
 それを、直希が制した
 「光輝の書」を手に、立ち上がる

「僕がやろう」
「直希。でもよ…」
「君は「組織」内にて、今後の彼女達の身の振り方や………今回の件の後処理に、動いてくれている。何も出来ていないのは僕だ。僕にやらせてくれ」

 直希にこう言われて、天地は断る事が出来ない
 …直希とて、何もできていない訳ではない
 辰也に連絡をとる事を躊躇した天地の変わりに辰也に連絡を取り、A-No.666の動きを警戒するよう言ってくれたのは直希なのだ
 それがなければ…自分達は、もっと、動くのが遅れていただろうから

 しかし、直希は「自分は何も出来ていない」と感じている
 今回の件で、責任を感じてしまっている
 …ならば
 ここで、直希に、姉妹の暗示を解かせる事で、「何も出来ていない」と言う認識を、覆させるべきだ
 すたすたと、直希は姉妹に近づいた
 座っていた二人に視線を合わせるように、屈む

「…今から、君達にかけられている暗示を解除する。構わないだろうか?」
「あ、は、はい」
「………お願いします」

 直希の言葉に、頷く紗江と紗奈
 では…と、直希は「光輝の書」を、開いた

「……見通せ、ラジエル」

 直希の言葉に……「光輝の書」が、ひとりでにページをめくり始めた
 しかし、天使の姿は現れない
 まだ、ラジエルと呼ばれる天使を呼び出すには……直希の力が、足りないのだ

 だが、その力を行使する事はできる
 「光輝の書」が輝き、その力が行使される

「………深層にて、異物を確認………切除開始…………」

 ぱらぱら、ぱらぱらと
 めくれ続けるページ
 ラジエルの力により、紗江と紗奈の精神内部に埋め込まれた暗示を直希は見つけ出し、切除する
 二人の精神に傷をつけないよう、慎重に、慎重に
 目に見える作業ではない
 だが、直希には「見えて」いる

「…切除完了……異物を排除………」

 …ぱたん、と
 本が、閉じられた

 その、瞬間
 紗江と紗奈の心から……今まであった「「組織」から離れないようにしよう」と言う気持ちが、消滅した
 何故、今まで、「組織」から離れようと言う気持ちが湧き上がらなかったのか
 暗示のせいだったのだ…と、改めて認識し、わずかに恐怖すら生まれ始める

「…むぅ。なるべく、関係のない部分には触れずに、暗示のみを切除したつもりだが……大丈夫か?」
「…は、はい」
「大丈夫…だと、思います」
「……そうか、良かった」

 姉妹の答えに、直希はかすかに、ほっとしたように、笑い

 ……ぐらり
 そのまま、体がよろけ、倒れそうになる

「直希っ!?」

 慌てて、直希を抱きとめる天地
 むぅ、と直希が小さく声をあげる

「…あぁ、すまない。大丈夫だ」
「嘘付け、真っ青だろうが」

 天地の言葉通り、直希は酷く顔色が悪くなっていた
 …いまだ召喚できない天使の力を、半ば無理矢理引き出して使った反動だ

「だ、大丈夫ですか!?」
「…問題ない……少し、休めば、治る…」

 紗奈の言葉にも、直希は小さく、そう答えた
 自分で立っていられない程度まで疲労している状態の人間のセリフではないのだが…心配をさせたくない、と言う気持ちからなのだろう
 説得力は皆無だが

「……休ませてきましょうか?」
「あぁ…獄門寺、だったか、頼む」
「…むぅ」

 立ち上がった龍一が、直希の体を支えた
 そのまま、隣の部屋まで連れて行っている

 ……さて
 まずは、一番の目的を果たした
 次は…今度こそ、自分の役目だ

 天地は、紗江と紗奈に向き直る

「…お前達の、両親のことだが」
「………っ」

 二人の顔が、強張った
 それに気付かないふりをして……できる限り事務的な口調にするよう心がけながら、天地は続ける

「……申し訳ないが、死体を少し「修復」した。都市伝説事件に巻き込まれて死んだのではなく…「通常の殺人事件」に巻き込まれて死んだ。そのような処置をした」
「…通常の…です、か?」
「あぁ。葬儀の手続きも、こちらで行おう」

 ……両親は、死んだのだ、と
 もう、この世に居ないのだ、と
 改めて、それを認識した姉妹
 ………物心ついた頃には、両親が既に亡く……いや、正確には父親は存命していたが、未だに彼を父親とは認識しきれない……、両親の愛情というものに縁のなかった天地に、その悲しみは完全には理解できない
 だが、それでも、姉妹の悲しみと絶望が深い事だけは、辛うじて、理解できる

「…暗示は、解除した。お前達が「組織」から離れたいなら、そのように手続きする」
「……いいん、ですか?」
「お前達は被害者だ。無理に引き止めるような事はしない」

 …少なくとも、穏健派は
 今回の件は、また、強行派が叩かれる事となった事件だ
 事件の後処理関係は、全て穏健派が手綱を握っている
 紗江と紗奈が「組織」を離れる事を望むならば、それを引き止めるつもりはない

「…「組織」の事を、忘れたいならば、忘れさせる事もできる。これ以上都市伝説に関わりたくないならば…そこも含め、全て忘れさせる事もできる」
「全て…?」
「あぁ。その場合、都市伝説とも契約を解除する事になるけどな。少なくとも…今回のような事には、巻き込まれなくなるだろうよ」


 …だが、それは
 都市伝説の事も、全て忘れる、と言う選択肢は
 それが縁で知り合った者との縁も、それが縁で親しくなった者とも縁も、切れると言う事

 ……今、姉妹の目の前にいる、天地とも
 先ほど、隣の部屋まで連れて行かれた直希との縁も、切れる
 龍一とも、ただ、「同じクラスの生徒」「妹と同じクラスの生徒」と言うだけの関係になり、花子さんの事も忘れてしまう
 ……いとこの衛が契約しているユキの事だって、忘れてしまう


 自分の事も忘れられる
 それをわかっていて、天地は「忘れる」と言う選択肢を提示した
 「組織」の人間の務めであると同時に……己が、姉妹を助けられなかった、その罪滅ぼしであるかのように

 突き出された選択肢を、前に
 姉妹は、互いに顔を見合わせたのだった














to be … ?





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