(ルート>・・・・喉・・・乾いたぁ・・・
ふらふらと、覚束ない足取りで住宅街を歩いているルート
彼女の肩の上でも、エーヴィヒがぐったりとしている―――のではなく、単に眠っているだけだ
彼女の肩の上でも、エーヴィヒがぐったりとしている―――のではなく、単に眠っているだけだ
(ルート>エーヴィヒは大丈夫みたいだけど・・・
アタシはこれ以上何も飲まなかったら脱水症状起こしちゃうしぃ・・・
アタシはこれ以上何も飲まなかったら脱水症状起こしちゃうしぃ・・・
日の光は温かくなり、植物達も春を向かえる準備をしている
そんな日に、黒い長袖の上着を着ていれば、当然汗も流れるだろう
しかし、脱げば晒しだけになってしまうので、仕方のないことだった
そんな日に、黒い長袖の上着を着ていれば、当然汗も流れるだろう
しかし、脱げば晒しだけになってしまうので、仕方のないことだった
(ルート>・・・・・あ
ぴくっ、と顔を上げ、足早にすたすたと歩いていく
一直線に向かった先は、自動販売機
一直線に向かった先は、自動販売機
(ルート>・・・よかったぁ、スポーツドリンク、売り切れてなかったぁ・・・
ほっ、と胸を撫で下ろす
だが問題は
だが問題は
(ルート>・・・・・お金、無い・・・・・
実は彼女、「組織」を抜けて以降は自分を狙ってきた黒服の持ち物を強奪して生計を立てていた
ところがここ暫くその黒服が全く襲ってこなくなった為に、
彼女の全財産は尽きてしまっていたのだ
ところがここ暫くその黒服が全く襲ってこなくなった為に、
彼女の全財産は尽きてしまっていたのだ
(ルート>あぁ、もぉ、1円も落ちてない・・・意地汚い国だねぇ・・・
自動販売機の下を覗いているお前はどうなのだ、と聞きたくなるものだが
彼女が買えもしないジュースと睨めっこを続ける事、数十分
彼女が買えもしないジュースと睨めっこを続ける事、数十分
チャリン、という音がほぼ零距離から聞こえた
(ルート>ん?
機械から落ちてきたものは、彼女が狙いを定めていたスポーツドリンク
横から伸びた手はそれを掴むと、それを彼女の目の前に差し出した
横から伸びた手はそれを掴むと、それを彼女の目の前に差し出した
「飲みなよ。お金、忘れちゃったの?」
小春日和の今日この頃に、身体を黒衣で包んだ少年が、にこりと笑って話しかけた
ルートは暫し渋ったが、両手でそれを受け取り、
ルートは暫し渋ったが、両手でそれを受け取り、
(ルート>・・・Danke(有難う)
(少年>ん、Sind Sie ein Deutsche?(君、ドイツ人?)
Konnen Sie Japanisch sprechen?(日本語は話せる?)
(少年>ん、Sind Sie ein Deutsche?(君、ドイツ人?)
Konnen Sie Japanisch sprechen?(日本語は話せる?)
ぷしゅっ、と蓋を開けると同時に、少し目を丸くするルート
(ルート>へぇ、驚いたねぇ。日本はドイツ語の授業でもやってるのぉ?
(少年>いや、俺はちょこっとかじっただけ
(ルート>だろうねぇ、発音最悪だったしぃ
(少年>はっきり言われた・・・でも可愛いから許しちゃう
(ルート>・・・何ぃ? ナンパぁ?
(少年>まさか。散歩してたら困ってる女の子を見つけたから、何となく来ただけだよ
(ルート>あぁ、偽善団体さん?
(少年>せめて慈善団体と言って欲しかった
どっちにしろ、俺が勝手にやったことだから、恩とか別にいらないよ
(ルート>しようとも思ってないからさぁ
今日明日生きてるかどうかもアタシには分からないしぃ
(少年>不安な事を平然と言うんだね
(ルート>みぃんなそうでしょぉ?
明日死ぬかも知れない、今日死ぬかも知れない、5秒後死ぬかも知れない
人は不安を抱えて生きてんのよぉ
(少年>そうかもね。でも偶には希望とか持って生きたいじゃない
今日の晩飯何かなぁとか、明日は君に会えるかなとか
(ルート>そうやって前向きになれる人間が沢山いたらさぞ世界は平和だったろうねぇ
(少年>いや、俺はちょこっとかじっただけ
(ルート>だろうねぇ、発音最悪だったしぃ
(少年>はっきり言われた・・・でも可愛いから許しちゃう
(ルート>・・・何ぃ? ナンパぁ?
(少年>まさか。散歩してたら困ってる女の子を見つけたから、何となく来ただけだよ
(ルート>あぁ、偽善団体さん?
(少年>せめて慈善団体と言って欲しかった
どっちにしろ、俺が勝手にやったことだから、恩とか別にいらないよ
(ルート>しようとも思ってないからさぁ
今日明日生きてるかどうかもアタシには分からないしぃ
(少年>不安な事を平然と言うんだね
(ルート>みぃんなそうでしょぉ?
明日死ぬかも知れない、今日死ぬかも知れない、5秒後死ぬかも知れない
人は不安を抱えて生きてんのよぉ
(少年>そうかもね。でも偶には希望とか持って生きたいじゃない
今日の晩飯何かなぁとか、明日は君に会えるかなとか
(ルート>そうやって前向きになれる人間が沢山いたらさぞ世界は平和だったろうねぇ
ペットボトルに口をつけ、ぐいと喉を潤す
一息吐くと、彼女は数十分振りに歩を進めた
一息吐くと、彼女は数十分振りに歩を進めた
(ルート>ドリンクついでに話相手になってくれてどうもぉ
会えるといいねぇ、またいつか
(少年>会えるよ、生きていればいつか、ね
会えるといいねぇ、またいつか
(少年>会えるよ、生きていればいつか、ね
少年も、ルートと反対方向を向いて歩き出した
† † † † † †
日が輝きを失い始め、代わって月の光が強くなりかけた頃
グーキュルルル・・・と、1匹の虫が公園の木の上で静かに鳴いた
グーキュルルル・・・と、1匹の虫が公園の木の上で静かに鳴いた
(ルート>お腹空いたぁ・・・やっぱり、もう限界かなぁ?
枝から飛び降り、華麗に着地を決める
(ルート>向こうが来ないならぁ・・・こっちから呼んじゃおっと♪
ちらり、ちらりと、彼女は目をあちらこちらに動かす
ブランコで遊んでいる少女
ボール遊びをしている少年達
己の子供を迎えに来た母親
ブランコで遊んでいる少女
ボール遊びをしている少年達
己の子供を迎えに来た母親
(ルート>これだけ殺せば・・・流石に「組織」も動き出すよねぇ?
背後に、液状の蛇が5匹、いや10匹、ぬるりと現れた
それらは一斉に、公園にいる子供達に襲いかかった
叫び声が、響き渡る
それらは一斉に、公園にいる子供達に襲いかかった
叫び声が、響き渡る
(ルート>ヒャッハハハハハハ! さぁ、泣き叫んで「組織」のバカを呼んでよぉ!!
「頂けないねぇ、そのやり方は!!」
「頂けないねぇ、そのやり方は!!」
咄嗟にウィルスを剣に変え、忍び寄る影からの攻撃を防ぎ、距離を取る
黄金色の光が反射して、暗い木陰の中で微かに顔が見えた
黄金色の光が反射して、暗い木陰の中で微かに顔が見えた
(ルート>テメェ、昼間の・・・契約者だったんだぁ?
(少年>こっちは既に分かってたんだけどね
ヤな予感がしたからついてきてみたら、見事に的中・・・って訳
もうちょっと、早く来れたら良かったんだが
(少年>こっちは既に分かってたんだけどね
ヤな予感がしたからついてきてみたら、見事に的中・・・って訳
もうちょっと、早く来れたら良かったんだが
辺りを見渡す少年
先程まで賑やかだった公園には、動かなくなった子供や母親が倒れていた
先程まで賑やかだった公園には、動かなくなった子供や母親が倒れていた
(ルート>ヒャハハハ・・・恩を仇で返す訳じゃないけどぉ?
敵対するんだったら容赦しないからねぇ!!
(少年>俺だって許しゃしねぇよ・・・どうも、いつの間にか誰かさんの病気が感染ったみたいでね
お前みたいな、罪の無い人間を殺すような奴を、
敵対するんだったら容赦しないからねぇ!!
(少年>俺だって許しゃしねぇよ・・・どうも、いつの間にか誰かさんの病気が感染ったみたいでね
お前みたいな、罪の無い人間を殺すような奴を、
彼の影が、激しく蠢き、
(少年>見過ごしちゃいられなくなっちまったんだよぉ!!
無数の黒い腕が影から伸びて、
少年――――黄昏裂邪の身体を包みこんだ
少年――――黄昏裂邪の身体を包みこんだ
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