天倉姉妹の答えを聞いて、当然だろう、と天地は判断した
もはや、暗示は解けているのだ
あのような経験をした以上…「組織」に残りたい、などと、思うはずもない
もはや、暗示は解けているのだ
あのような経験をした以上…「組織」に残りたい、などと、思うはずもない
「わかった。では、そのように手続きする」
A-No.666のやらかした事がやらかした事だ
手続きは、すぐに終わるだろう
手続きは、すぐに終わるだろう
天地の答えに、姉妹はほっとしたような表情を浮かべて
……くぅ、きゅるるるる
………愛らしい音が、室内に響いた
……………やや、気まずい沈黙が流れて
っぽ、と
紗江と紗奈が頬を赤らめたのは、ほぼ同時
双子とは、こう言うところまでシンクロするものなのか
まぁ、ほっとしたせいもあるのだろう
不安もあってか、「首塚」の本拠地に保護されて以降、彼女らはまともな食事を取れていない
っぽ、と
紗江と紗奈が頬を赤らめたのは、ほぼ同時
双子とは、こう言うところまでシンクロするものなのか
まぁ、ほっとしたせいもあるのだろう
不安もあってか、「首塚」の本拠地に保護されて以降、彼女らはまともな食事を取れていない
「ちょっと待ってろ、何か、軽く食べられるもん、作ってくるから」
苦笑し、翼がそう言った
一連を見届け、自分の役目は終わったと判断した辰也も、立ち上がる
一連を見届け、自分の役目は終わったと判断した辰也も、立ち上がる
「俺は、戻るぞ」
「ん、あぁ。ありがとうな、辰也」
「ん、あぁ。ありがとうな、辰也」
翼の言葉に、いい、と短く答える辰也
「組織」の強行派や過激派…特に、非人道的な実験に手を貸している者に害が及ぶような行為の手伝いならば、いくらでも手を貸すつもりなのだから
だから、この程度の手伝いなど、軽いものだ
「組織」の強行派や過激派…特に、非人道的な実験に手を貸している者に害が及ぶような行為の手伝いならば、いくらでも手を貸すつもりなのだから
だから、この程度の手伝いなど、軽いものだ
ちらりと、辰也は天地に視線を向けた
天地は、辰也に何か言おうとして……しかし、口には出さないままに、視線をそらしてきた
互いに兄弟であるとわかった今も、彼ら兄弟の溝は完全には埋まっていない
未だに、天地が素直に、辰也を兄であると認められずにいるままだ
心のどこかでは、辰也を兄だと認めている
だが、それを言葉や態度で現すことができないのだ
天地は、辰也に何か言おうとして……しかし、口には出さないままに、視線をそらしてきた
互いに兄弟であるとわかった今も、彼ら兄弟の溝は完全には埋まっていない
未だに、天地が素直に、辰也を兄であると認められずにいるままだ
心のどこかでは、辰也を兄だと認めている
だが、それを言葉や態度で現すことができないのだ
それに、気付いているのか、いないのか
辰也は小さくため息をつき、告げる
辰也は小さくため息をつき、告げる
「「組織」で上に行くつもりなら、とっさの判断はもっと早くできるようにしておけ。ほんの少しの沈黙が、致命的な隙に繋がる事もある」
「…言われなくとも、わかってるよ」
「…言われなくとも、わかってるよ」
従兄に「組織」の人間の事をどう説明すれば言いか、と問われた時、すぐに答えられなかった事を指摘されている
それを理解して、ますます天地は視線をそらした
それを理解して、ますます天地は視線をそらした
どこか子供っぽいその仕種に、辰也はぽつりと続ける
「まぁ、お前はまだ若いから、これから経験を詰んでいけばいんだろうがな」
「俺と一歳しか違わない癖に、何爺むさい事言ってやがる」
「お前が餓鬼っぽいだけだろ。今年で21になる癖に」
「俺と一歳しか違わない癖に、何爺むさい事言ってやがる」
「お前が餓鬼っぽいだけだろ。今年で21になる癖に」
………
…………
……………
…………
……………
静かに
静かに、睨みあう辰也と天地
一触即発
静かに、睨みあう辰也と天地
一触即発
「お前ら、喧嘩するなら別の部屋でやっとけ」
一触即発・回避
翼の突っ込みで、辰也が冷静になった
翼の突っ込みで、辰也が冷静になった
「じゃあ、翼。何かあったら、また連絡しておけ………誠にバレないように」
「ん、わかった。恵によろしくな」
「ん、わかった。恵によろしくな」
改めて、部屋を出る辰也
天地も立ち上がろうとする
天地も立ち上がろうとする
「…俺も、これで」
「あぁ、天地も、飯食ってけよ。一人分多く作るくらいはできるから」
「……だが」
「あぁ、天地も、飯食ってけよ。一人分多く作るくらいはできるから」
「……だが」
一応、「組織」と「首塚」は敵対している
「組織」の自分が、「首塚」の本拠地でそうのんびりしていていいものなのか?
「組織」の自分が、「首塚」の本拠地でそうのんびりしていていいものなのか?
「いいから………疲れてるんだろ?少し休んどけ」
紗江と紗奈に気を使っているのだろう、そちらの耳には入らないよう、翼は天地にだけ聞こえるように、そう言った
…事実、天地は少々、いや、かなり疲労している
A-No.666の実験に協力していた黒服を捕え、現場処理を他の黒服達…D-No.444達に任せてきて
C-No.840が尋問によって引き出した情報を元に、C-No.572に指示
そして、尋問によって判明した、A-No.666の人体実験に協力していた黒服連中をおびき出し………一斉に、始末
それらの作業を全て終えて、休む間もなく、直希からの連絡を受けて「首塚」本拠地まで来たのだ
その間、天地は一切、休息を取っていない
彼にしては珍しく、某過労死候補生の黒服並に働いているのだ
A-No.666の実験に協力していた黒服を捕え、現場処理を他の黒服達…D-No.444達に任せてきて
C-No.840が尋問によって引き出した情報を元に、C-No.572に指示
そして、尋問によって判明した、A-No.666の人体実験に協力していた黒服連中をおびき出し………一斉に、始末
それらの作業を全て終えて、休む間もなく、直希からの連絡を受けて「首塚」本拠地まで来たのだ
その間、天地は一切、休息を取っていない
彼にしては珍しく、某過労死候補生の黒服並に働いているのだ
なるたけ、その疲労を表に出さないようにしていた天地だが、翼には見抜かれたらしい
…恐らくは、辰也も見抜いていたのかもしれないが
…恐らくは、辰也も見抜いていたのかもしれないが
「……わかった。お言葉に甘えさせてもらう」
「あぁ、ゆっくりしとけ。どうせ、フィラちゃんの能力で転移して帰るんだから、帰る時間はこっち次第だしな」
「あぁ、ゆっくりしとけ。どうせ、フィラちゃんの能力で転移して帰るんだから、帰る時間はこっち次第だしな」
…まぁ、それもそうだ
転移でここに連れてこられた自分は、転移する事でしか…転移させられる事でしか、帰る事ができないのだから
転移でここに連れてこられた自分は、転移する事でしか…転移させられる事でしか、帰る事ができないのだから
翼を見送り、腰をおろす
部屋には天地と、天倉姉妹だけが残された
部屋には天地と、天倉姉妹だけが残された
…微妙な沈黙が部屋を支配する
(…女の話し相手は、直希の方が得意なんだろうがな)
いや、直希は直希でどこか抜けているから、アレだが
どうしたものか
微妙な沈黙の場の中、天地は少し、居心地の悪さを感じたのだった
微妙な沈黙の場の中、天地は少し、居心地の悪さを感じたのだった
続くかどうか不明