ある日の学校街
駅に、やや……否、大変と目立つ集団の姿があった
ヨーロッパ系と思われる、外国人の集団
それも、その面子の半分以上が、司祭やらシスターの服装をしているのだ
目立たないはずがない
駅に、やや……否、大変と目立つ集団の姿があった
ヨーロッパ系と思われる、外国人の集団
それも、その面子の半分以上が、司祭やらシスターの服装をしているのだ
目立たないはずがない
「教会」過激派筆頭・エイブラハムと、その直属の部下である「13使徒」達
それらが………その正体を隠そうともせずに、学校街に入り込んだのだ
そして、その一行を出迎えた人物が、また、異様だった
それらが………その正体を隠そうともせずに、学校街に入り込んだのだ
そして、その一行を出迎えた人物が、また、異様だった
「お待ちしておりましたわ、エイブラハム様」
それは、世間一般の人が想像するシスターが身につけている、カソックを身に纏った……………マッスルな体型の、オカマ
目立たないはずがない
そして、できれば全力で関わりあいたくない
目立たないはずがない
そして、できれば全力で関わりあいたくない
「出迎え、ご苦労です。ヴァレンタイン・ヴァレンタイン」
そんなヴァレンタインに、エイブラハムは極自然に対応した
ヴァレンタインも、その外見からは想像できぬ優雅な仕種で一礼した
ヴァレンタインも、その外見からは想像できぬ優雅な仕種で一礼した
「オカマ久しぶりー」
「久しぶりー、オカマー!」
「その呼び方やめなさいって言ってるでしょ、ちみっこ共っ!?」
「久しぶりー、オカマー!」
「その呼び方やめなさいって言ってるでしょ、ちみっこ共っ!?」
その、優雅さは
無邪気な双子によって、一瞬でぶち壊された
きゃあきゃあ、リュリュとマドレーヌは、カイザーの背後に隠れる
無邪気な双子によって、一瞬でぶち壊された
きゃあきゃあ、リュリュとマドレーヌは、カイザーの背後に隠れる
「こら、二人共、差別的な言い方はいけませんよ……ヴァレンタインは、若干、頭が可哀想な事になっているだけですから。温かい目で見てあげていなさい」
「容赦ないわねヴァナタもっ!?」
「容赦ないわねヴァナタもっ!?」
カイザーが、双子に告げる優しいようでいて、さらりと酷い発言に、ヴァレンタインが突っ込みを入れる
ヴァレンタインの突っ込みに、ぷい、とカイザーはそっぽを向くだけだ
…嫌っているのかもしれない
ヴァレンタインの突っ込みに、ぷい、とカイザーはそっぽを向くだけだ
…嫌っているのかもしれない
「相変わらずねン……カイザーも、もっとストレートに言ってあげればいいのにン」
「…彼は、「13使徒」内の調和を意識している。波風立てたくないだけ」
「…彼は、「13使徒」内の調和を意識している。波風立てたくないだけ」
そんな、様子を
「メルセデスおにーちゃん?どうして、ヴァレンタインを見ちゃいけないの?面白いのに」
「やめておけ、レティ。目が腐る」
「…よくやりました、メルセデス」
「やめておけ、レティ。目が腐る」
「…よくやりました、メルセデス」
他の、「13使徒」メンバーは、若干遠巻きに見つめて、笑ったりちみっこ(とは言え、日本でいうところの中学生程度なのだが…)にヴァレンタインの姿を見せないようにしたりしていた
約一名、今にもチキンハートゆえの怯えから、今にも叫びだしそうな相方の口を塞ぎ続けている者もいたりするが
約一名、今にもチキンハートゆえの怯えから、今にも叫びだしそうな相方の口を塞ぎ続けている者もいたりするが
この光景だけを見れば……一行が、仲の良い集団にでも見えたかもしれない
少し変わった格好をしているが、悪い者ではないだろうと
そう……判断して、しまうかもしれない
その正体に、気づく事もなく
少し変わった格好をしているが、悪い者ではないだろうと
そう……判断して、しまうかもしれない
その正体に、気づく事もなく
「あぁ、そうです、ヴァレンタイン。ニーナは?」
「…それが、どうにも…何者かに、保護されているようで。その者が隠蔽能力でも使っているのか、まったく居場所を把握できない状況が続いてます」
「……ほぉ、なるほど」
「…それが、どうにも…何者かに、保護されているようで。その者が隠蔽能力でも使っているのか、まったく居場所を把握できない状況が続いてます」
「……ほぉ、なるほど」
ヴァレンタインの報告に、エイブラハムは慌てた様子もない
ただ、にこりと微笑んだ
ただ、にこりと微笑んだ
その、微笑みの下に
どす黒い思考が動いて居る事に……果たして、その場にいた何人が気づけただろうか?
どす黒い思考が動いて居る事に……果たして、その場にいた何人が気づけただろうか?
「では、あちらから、姿を現すようにしましょうか」
「……どう言う事です?エイブラハム様」
「……どう言う事です?エイブラハム様」
叫びだしそうなジョルディを押さえ込んでいたイザークが、顔をあげ、尋ねる
そのイザークの問いかけに、エイブラハムは更に笑みを深くして
そのイザークの問いかけに、エイブラハムは更に笑みを深くして
「私達が、学校街内で行動していれば、あちらが、私達に気付くでしょう。嫌でも、ね」
「街をうろちょろすればいいの?」
「あちこち、見て回ってもいいの?」
「自由に行動していいの??」
「街をうろちょろすればいいの?」
「あちこち、見て回ってもいいの?」
「自由に行動していいの??」
エイブラハムの言葉に、期待の眼差しをむけるのは、リュリュとマドレーヌの双子と、レティ
はい、とエイブラハムは優しく頷いた
はい、とエイブラハムは優しく頷いた
「ただし……無理に目立とうとしてはいけませんよ?悪魔や異教徒を滅するのは、構いませんがね」
ぱぁあああああ、と笑みを浮かべる子供三人
…カイザーが、ほんの少し複雑そうな表情を浮かべたが…恐らく、気付いていない
…カイザーが、ほんの少し複雑そうな表情を浮かべたが…恐らく、気付いていない
「……探し物をしても、構いませんか?」
「もちろんですよ、クラリッサ…あぁ、でも、あなたは目的の者を見つけても、すぐに討伐に動かないように。あれは、危険な存在ですからね」
「…わかりました」
「もちろんですよ、クラリッサ…あぁ、でも、あなたは目的の者を見つけても、すぐに討伐に動かないように。あれは、危険な存在ですからね」
「…わかりました」
クラリッサが、小さく頭を下げる
あらあら、とシモネッタが、その様子に笑みを浮かべている
あらあら、とシモネッタが、その様子に笑みを浮かべている
「念の為、クラリッサには私がついてますわン。この子、トライレスの事になると、頭に血が上りますからン」
「そうですね、頼みましたよ、シモネッタ」
「………」
「そうですね、頼みましたよ、シモネッタ」
「………」
少し、不満そうなクラリッサではあったが…シモネッタと行動するのは、嫌ではないのだろう
断ろうとは、しない
断ろうとは、しない
「……さぁ、行きますよ、皆さん。我らが神の意思を実行するためにも」
エイブラハムが、歩き出す
その後を、一行はそれぞれ、ついて歩き出した
その後を、一行はそれぞれ、ついて歩き出した
…イザークが、ジョルディを押さえつけるのをやめ、手を引いていく
「イ、イザーク、ボク、やっぱり、この街、怖いよ………人じゃない気配を、異常に一杯感じるよ、きっと、もうどこからか、ボク達を襲おうと見張ってるよ……」
「……安心しろ。お前に襲い掛かってきた者がいたら、俺が叩き斬る。だから怯えるな」
「……安心しろ。お前に襲い掛かってきた者がいたら、俺が叩き斬る。だから怯えるな」
ずるずると、臆病な幼馴染を引きずっていくイザーク
………また、あの時の光景を繰り返してなるものか
そう、心に決めながら
そんな二人の様子を見て…カイザーは、小さくため息をつき…そして、学校街を自由に歩ける事を喜んでいる三人の子供達に、視線を移す
そんな二人の様子を見て…カイザーは、小さくため息をつき…そして、学校街を自由に歩ける事を喜んでいる三人の子供達に、視線を移す
………せめて、この子達とニーナだけでも、死なせるものか
そう、強く、願いながら
to be … ?