夕暮れの学校街
学校帰りの学生達で賑やかな繁華街
そこを歩く、中学生程度の年齢の少女が一人
なかなか、非常に可愛らし………
学校帰りの学生達で賑やかな繁華街
そこを歩く、中学生程度の年齢の少女が一人
なかなか、非常に可愛らし………
「リジー・ボーデン斧をとり 父親40回ぶった切る♪」
………
物騒極まりないマザー・グースの歌を口ずさんでいたりはするが
なかなかに可愛らしい少女である
西洋人なのだろう…綺麗なハニーブロンド、好奇心にキラキラ輝くブルーアイ
歌を口ずさみながら歩くその姿は、酷く無防備だ
てとてと、てとてとと
人通りの多い道を、その少女、レティは町の風景に、目を輝かせながら歩いていく
物騒極まりないマザー・グースの歌を口ずさんでいたりはするが
なかなかに可愛らしい少女である
西洋人なのだろう…綺麗なハニーブロンド、好奇心にキラキラ輝くブルーアイ
歌を口ずさみながら歩くその姿は、酷く無防備だ
てとてと、てとてとと
人通りの多い道を、その少女、レティは町の風景に、目を輝かせながら歩いていく
…と
「にゃ?」
視界の先に
レティは、興味深いものを見かけた
街の人間達は、それを可愛いと思いつつも、それがここにいる事を深く考えていないように見えた
レティは、興味深いものを見かけた
街の人間達は、それを可愛いと思いつつも、それがここにいる事を深く考えていないように見えた
…それは、猫科の動物
それも、まだ幼い子供
しかも、2匹も
それも、まだ幼い子供
しかも、2匹も
「ぎゃしゃ?」
「しゃげ?」
「しゃげ?」
レティの視線に気付いたのだろう
振り返ってきた、それは
……どう見ても、ライオンの子供だった
振り返ってきた、それは
……どう見ても、ライオンの子供だった
何故、学校街の人間達が、それがライオンの子供である事に気付かないのか
いや、気付いていても、気付かないふりをしているだけなのか
どちらなのか…レティは、深く考えようとはしなかった
ただ
いや、気付いていても、気付かないふりをしているだけなのか
どちらなのか…レティは、深く考えようとはしなかった
ただ
「にゃんこーーーーー!!!」
だっ!!と
本能のまま、その2匹の子ライオンに突進する!!
本能のまま、その2匹の子ライオンに突進する!!
…なお、レティは、その2匹がライオンであるなどと、さっぱり気付いていない
ついでに言えば、実はその2匹が都市伝説だったりする事実にも、気付いてない
ついでに言えば、実はその2匹が都市伝説だったりする事実にも、気付いてない
「しゃぎゃ!?」
「ぎゃしゃ!?」
「ぎゃしゃ!?」
身の危険を感じたのだろうか
2匹の子ライオン……真の名を、「ゴースト」と「ダークネス」と言うそれは
「子供に全力で抱きしめられる」と言う、猫科動物にとって最大クラスの悲劇であるその現象を避ける為
突進してくるレティから、全速力で逃げ出して
そして、レティはそれを、「愛らしい猫を抱きしめたい」と言う無邪気な欲望そのままに、追いかけ続けた
2匹の子ライオン……真の名を、「ゴースト」と「ダークネス」と言うそれは
「子供に全力で抱きしめられる」と言う、猫科動物にとって最大クラスの悲劇であるその現象を避ける為
突進してくるレティから、全速力で逃げ出して
そして、レティはそれを、「愛らしい猫を抱きしめたい」と言う無邪気な欲望そのままに、追いかけ続けた
数分後
「む~、見失っちゃった」
アクロバティックに逃げ回る2匹の子ライオンを、レティはあっさり見失っていた
むぅ、と頬を膨らませ…きょろきょろ、辺りを見回す
むぅ、と頬を膨らませ…きょろきょろ、辺りを見回す
「…あれ?ここ、どこだろ??」
…そして
ようやく、自分が薄暗い、よくわからない場所に入り込んでしまっていた事実に気付く
どうにも、彼女、レティには緊迫感というか危機感と言うものが欠けている面がある
「13使徒」内で、未成年達の保護者のような役割を担っているカイザーや、レティの兄代わりのメルセデスにとっても、非常に心配なレティの欠点だ
ようやく、自分が薄暗い、よくわからない場所に入り込んでしまっていた事実に気付く
どうにも、彼女、レティには緊迫感というか危機感と言うものが欠けている面がある
「13使徒」内で、未成年達の保護者のような役割を担っているカイザーや、レティの兄代わりのメルセデスにとっても、非常に心配なレティの欠点だ
その、欠点は
「……おや、迷子かい?お嬢ちゃん」
「ふぇ?」
「ふぇ?」
期待を裏切らぬ存在を、招き寄せる
何時の間にか、レティは見知らぬ男達に囲まれていた
…都市伝説的気配を、レティは感じ取る
何時の間にか、レティは見知らぬ男達に囲まれていた
…都市伝説的気配を、レティは感じ取る
「おにーちゃん達、レティにご用?」
「あぁ、そうだなぁ」
「あぁ、そうだなぁ」
にやにやと笑う男
手にもっていた赤いクレヨンをしまいこむ
それが、何を意味しているのか、レティにはよくわからなかった
男が、「赤いクレヨン」都市伝説で、この場所を閉じた世界にしている事実など、わからない
手にもっていた赤いクレヨンをしまいこむ
それが、何を意味しているのか、レティにはよくわからなかった
男が、「赤いクレヨン」都市伝説で、この場所を閉じた世界にしている事実など、わからない
ただ、レティにわかるのは
男達が、邪悪な存在だということ
男達が、邪悪な存在だということ
「楽しい事を、しようか?」
すらり
一人の男が、注射器を手にする
注射男の契約者
拡大解釈で、殺す為以外の力を得ている
だが、それも、レティは知らない
彼女は、この国の都市伝説に詳しくないのだ
一人の男が、注射器を手にする
注射男の契約者
拡大解釈で、殺す為以外の力を得ている
だが、それも、レティは知らない
彼女は、この国の都市伝説に詳しくないのだ
「楽しい事?レティと遊んでくれるの?」
「あぁ、そうだよ」
「あぁ、そうだよ」
じゅるり、と
一人の男が、タコのような触手を蠢かせる
いや…むしろ、それはタコの脚そのもの
タコ妊娠の使い手なのだろう
レティには、わからない事だが
一人の男が、タコのような触手を蠢かせる
いや…むしろ、それはタコの脚そのもの
タコ妊娠の使い手なのだろう
レティには、わからない事だが
「そっか、遊んでくれるんだね」
ぱぁ、と
レティは、無邪気に笑顔を浮かべる
レティは、無邪気に笑顔を浮かべる
男達は、嘲笑う
何も知らないバカな餓鬼だ、と
さぁ、どう弄んでやろうか、と
何も知らないバカな餓鬼だ、と
さぁ、どう弄んでやろうか、と
男達は、気付かない
レティが、力を解放し始めた事に
レティが、力を解放し始めた事に
注射男の契約者が、レティの腕を掴んだ
その腕に、注射をする為に
だが
その腕に、注射をする為に
だが
「……え」
その行為は、続かなかった
じゅっ、と言う音を立てて
……注射男の契約者の、体は……一瞬で、炎に包み込まれた
じゅっ、と言う音を立てて
……注射男の契約者の、体は……一瞬で、炎に包み込まれた
「何!?」
「…っこの餓鬼、契約者か!?」
「…っこの餓鬼、契約者か!?」
仲間が、悲鳴をあげる間もなく焼き殺された事実に、男達はレティから距離をとった
にこり
レティが、笑う
にこり
レティが、笑う
「遊ぶんだよね?遊んでくれるんだよねっ?じゃあ、遊ぼ、レティと一杯遊ぼうよっ!」
笑う、レティの体
それが……炎に、包み込まれる
包み込まれて、しかし、痛みも苦しみも、熱すら感じていないようにレティは笑う
……この炎は、レティの力そのものだ
それが……炎に、包み込まれる
包み込まれて、しかし、痛みも苦しみも、熱すら感じていないようにレティは笑う
……この炎は、レティの力そのものだ
「このっ!!」
男の一人が、コーラの瓶を取り出した
蓋を開けると、中からコーラが飛び出す
「コーラの原液」の契約者
飛び出したコーラが、レティを包み込んで溶かし尽くそうとする
蓋を開けると、中からコーラが飛び出す
「コーラの原液」の契約者
飛び出したコーラが、レティを包み込んで溶かし尽くそうとする
「その飲み物、いらな~い!そんなのよりもっといい物、レティが出したげるっ!!」
ふわり
レティの周囲を、水が漂いだした
無色透明の水と………どす緑色に染まりあがった、どこか毒々しい、水
それが、飛んできたコーラの原液を受け止める
全てを溶かす都市伝説とは言え…液体を溶かすなど、不可能
そして、その二色の水は……猛スピードで、男達の口内に飛び込んでいく
レティの周囲を、水が漂いだした
無色透明の水と………どす緑色に染まりあがった、どこか毒々しい、水
それが、飛んできたコーラの原液を受け止める
全てを溶かす都市伝説とは言え…液体を溶かすなど、不可能
そして、その二色の水は……猛スピードで、男達の口内に飛び込んでいく
「っぐ!?」
「が、な、何だ、苦……!?」
「が、な、何だ、苦……!?」
苦い
飲み込まされた水がものすごく苦い、と…その事実を、認識した直後
男達は、苦しみ悶え………一人残らず、息を引き取った
飲み込まされた水がものすごく苦い、と…その事実を、認識した直後
男達は、苦しみ悶え………一人残らず、息を引き取った
「あれ?あれれ?もうおしまいなの??」
きょとん、と
命を落とした男達を前に、レティは首をかしげた
命を落とした男達を前に、レティは首をかしげた
「ぶ~、つまんない、もっと遊んでよぉ。レティのにがぁいお水、まだまだ一杯あるよ?」
ふよふよと
燃え盛るレティの周囲を、水が飛び回る
炎と、熱
相反する力だが、レティはこの二つを同時に使用できるのだ
燃え盛るレティの周囲を、水が飛び回る
炎と、熱
相反する力だが、レティはこの二つを同時に使用できるのだ
……その体は、松明のように燃え盛り
それが降り注いだことによって苦くなった水は、人を苦しめ、死に至らしめる
それが降り注いだことによって苦くなった水は、人を苦しめ、死に至らしめる
レティの契約都市伝説
それは、古い古い話に語られる、世界を滅ぼす災厄の一つなのだ
それは、古い古い話に語られる、世界を滅ぼす災厄の一つなのだ
「もう、いいや。それより、あのにゃんこ達、どこに行ったんだろ?」
死に絶えた男達への興味は、既に失せて
レティはてとてと、その場所から脱出した
契約者が死んだ為、「赤いクレヨン」の結界は既に解除されており
レティが抜け出したその空きビルの一角には、ただびっしりと「ごめんなさい」と書かれた不気味な壁と
数人の男の、苦悶の表情を浮かべた死体だけが、残されたのだった
レティはてとてと、その場所から脱出した
契約者が死んだ為、「赤いクレヨン」の結界は既に解除されており
レティが抜け出したその空きビルの一角には、ただびっしりと「ごめんなさい」と書かれた不気味な壁と
数人の男の、苦悶の表情を浮かべた死体だけが、残されたのだった
to be … ?