正体不明 02
「いやー、思わぬ海外旅行。流石に北極は初体験だったわー」
「出口は北極と南極が一番メジャーなんだよ、『地球空洞説』って」
重装備の防寒具を抱え、やや春めいた学校町に降り立つ旗上詩卯と黒服の男
「それにしても、恐竜はいるわ地底人はいるわ巨人はいるわ、バラエティに富んでたねー、地球の中って」
「それだけ人間が色んな事を想像してたって事さ」
そう言って黒服の男は、駅の公衆電話へと向かい直属の上司へと電話を掛ける
「あ、もしもし? すいません俺です、Z-No.999です」
《お前が突然消息を絶つのはいつもの事だ、仕方あるまい》
「地球の内側だと衛星通信も届かないですからね。ともあれ例のアレに遭遇した一般人を保護してたんですけど、その後どうなってます?」
《駆除は順調に進んでいる。奴は人間にとっては脅威だが、我々のような黒服には擬態は通用せんからな》
その言葉に、Z-No.999は首を傾げる
「えっと、状況がちょっと飲み込めないんですが」
《何を言っている。昨今の失踪事件の原因の話だろう?》
「ええ、そうなんですがなんか何か違和感が」
《違和感? まさか私が擬態した奴らと入れ替わっているとでも言うつもりかね》
「いや、そうじゃなくて。今、一体何を駆除してるんです? 俺が遭遇した奴、擬態とかするなんて話は聞いた事無いですよ?」
その言葉に、上司が僅かに息を呑む
《こちらは現在、学校町に潜伏中の『物体X』の駆除活動中だ。炎や熱を操れる契約者と担当黒服のツーマンセルでローラー作戦中だ》
「げ……あー、でも『物体X』なんてのも放置しといたら大惨事確定だし……」
Z-No.999が妙な声を上げて言葉に詰まる
《どうした。報告は簡潔に述べろ》
「俺が遭遇したのは『物体X』なんかじゃないですよ。下手すりゃもっと厄介な奴です」
「出口は北極と南極が一番メジャーなんだよ、『地球空洞説』って」
重装備の防寒具を抱え、やや春めいた学校町に降り立つ旗上詩卯と黒服の男
「それにしても、恐竜はいるわ地底人はいるわ巨人はいるわ、バラエティに富んでたねー、地球の中って」
「それだけ人間が色んな事を想像してたって事さ」
そう言って黒服の男は、駅の公衆電話へと向かい直属の上司へと電話を掛ける
「あ、もしもし? すいません俺です、Z-No.999です」
《お前が突然消息を絶つのはいつもの事だ、仕方あるまい》
「地球の内側だと衛星通信も届かないですからね。ともあれ例のアレに遭遇した一般人を保護してたんですけど、その後どうなってます?」
《駆除は順調に進んでいる。奴は人間にとっては脅威だが、我々のような黒服には擬態は通用せんからな》
その言葉に、Z-No.999は首を傾げる
「えっと、状況がちょっと飲み込めないんですが」
《何を言っている。昨今の失踪事件の原因の話だろう?》
「ええ、そうなんですがなんか何か違和感が」
《違和感? まさか私が擬態した奴らと入れ替わっているとでも言うつもりかね》
「いや、そうじゃなくて。今、一体何を駆除してるんです? 俺が遭遇した奴、擬態とかするなんて話は聞いた事無いですよ?」
その言葉に、上司が僅かに息を呑む
《こちらは現在、学校町に潜伏中の『物体X』の駆除活動中だ。炎や熱を操れる契約者と担当黒服のツーマンセルでローラー作戦中だ》
「げ……あー、でも『物体X』なんてのも放置しといたら大惨事確定だし……」
Z-No.999が妙な声を上げて言葉に詰まる
《どうした。報告は簡潔に述べろ》
「俺が遭遇したのは『物体X』なんかじゃないですよ。下手すりゃもっと厄介な奴です」
―――
人間の頭部から節足動物のような足を生やした物体が、きちきちと触手をくねらせ炎の中で消し炭となっていく
体液の一滴からでも甦り、あらゆる生物に寄生、擬態するこの『物体X』
だが擬態を用意に見破る事が出来て、弱点を把握されている状況ではその利点も無意味である
「汚物は消毒だー☆ なんちって」
自らの周辺一帯を凄まじい炎で覆いながらも、対象である『物体X』以外は熱すら帯びていない
『泣く少年の絵』の契約者である少女は、大量の炎を自在に呼び寄せながらも、その炎で焼く対象を自在に選択できる
その敏捷性と擬態能力で不意打ちを得意としていた『物体X』だが、問答無用の広範囲攻撃には為す術も無かった
「黒服さーん、ターゲットはあと何匹ぐらい?」
「そうですね、あと」
担当の黒服がそう言い掛けた、その時
その上半身が、ぞぶりと消えた
「へ? 黒服さん?」
炎で紅く染まる世界の中、黒服の立っている場所で何かが蠢いているのが判る
「なんだかわかんないけど……焼けろっ!」
少女が焼却制限を解除すると、蠢いている物体が炎に包まれる
だがそれはぐつぐつと沸騰するかのように泡立つだけで、全く意に介した様子は無い
「何よ……聞いてないわよ、こんなの!? 燃えなさいよ、焼けなさいってば!」
悲鳴じみた声と共に炎の渦は更に強く熱く燃え上がるが
それは大きく膨れ上がり
炎も少女も
全てを飲み込んで
町のどこかへと消えていった
体液の一滴からでも甦り、あらゆる生物に寄生、擬態するこの『物体X』
だが擬態を用意に見破る事が出来て、弱点を把握されている状況ではその利点も無意味である
「汚物は消毒だー☆ なんちって」
自らの周辺一帯を凄まじい炎で覆いながらも、対象である『物体X』以外は熱すら帯びていない
『泣く少年の絵』の契約者である少女は、大量の炎を自在に呼び寄せながらも、その炎で焼く対象を自在に選択できる
その敏捷性と擬態能力で不意打ちを得意としていた『物体X』だが、問答無用の広範囲攻撃には為す術も無かった
「黒服さーん、ターゲットはあと何匹ぐらい?」
「そうですね、あと」
担当の黒服がそう言い掛けた、その時
その上半身が、ぞぶりと消えた
「へ? 黒服さん?」
炎で紅く染まる世界の中、黒服の立っている場所で何かが蠢いているのが判る
「なんだかわかんないけど……焼けろっ!」
少女が焼却制限を解除すると、蠢いている物体が炎に包まれる
だがそれはぐつぐつと沸騰するかのように泡立つだけで、全く意に介した様子は無い
「何よ……聞いてないわよ、こんなの!? 燃えなさいよ、焼けなさいってば!」
悲鳴じみた声と共に炎の渦は更に強く熱く燃え上がるが
それは大きく膨れ上がり
炎も少女も
全てを飲み込んで
町のどこかへと消えていった