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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 無垢なる支配者と蜘蛛・C-No.0-07

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 カタカタと、室内にキーボードを叩く音が響く
 それは時折止まり、さらさらとサインを書く音や、ぽんぽん、とハンコを押す音に代わる

 突然現れたカラミティが、姿を消した後
 セシリアは、いつも通り、仕事に戻っていた
 …もやもやとした感情を抱えながらも、仕事をこなす様子はいつも通りだ
 感情と行動を、彼女はある程度は、切り離せる
 切り離せなくなるのは、恋愛感情を抱いてしまった翼に対してと………あともう一人は、カラミティの前くらいだろうか
 それ以外は、徹底して、感情と行動を切り離せる
 だからこそ、彼女は優秀なのだ
 ………なお、例外として、時々サンジェルマンというかFNo相手に盛大にキレているが、周囲が誰も止めないし突っ込まないので良しとする

 カタカタ、カタカタ
 小さな音が響く室内に……こんこん、と軽いノックの音が響いた

「セシリアさん、いらっしゃるかしら~♪」
「…ローゼか?」

 自分と同じNo.0であるローゼの声に、セシリアは作業の手は止めないままに顔を上げた
 仕事用の上司や部下に対する口調ではなく、己と対等な存在への口調で答える

「入っても、かまわないかしら?」
「あぁ、かまわない」

 がちゃr、扉が開き、赤い髪の可愛らしい少女が入ってくる
 手には、報告書らしきものを持っていた
 ……それと、ついでに、紅茶の茶葉が入った瓶も

「「教会」メンバーに関する報告書ですわ」
「ありがとう、そこに置いておいてくれるか?」

 えぇ、と指された机に報告書を置いたローゼ
 そして、いつも通りの、どこかほんわかとした笑みを浮かべてくる

「ついでに、少し、休憩なさったらどうかしら~♪いい茶葉が手に入りましたのよ♪」
「ん、だが…」
「あまり根を詰めすぎては、逆に作業効率が悪くなりますわよ?」
「……それを言い訳に休憩しすぎも、いけないとは思うがな」

 苦笑しつつ、作業の手を止めたセシリア
 立ち上がり、戸棚からティーポットとティーカップを取り出す
 茶菓子は、前の休憩時間に作っておいたクッキーがあったので、それを出すことにした

 ソファーに腰かけたローゼ
 テーブルの上にティーポットやカップを並べ、ローゼから受け取った瓶から、ティーポットに茶葉を入れていく

「水の精霊よ、ほんの少し、お前の体を分けておくれ。火の精霊よ、お前の力で、これをほんの少し温めておくれ」

 短く、二つの呪文を続けて唱えるセシリア
 蓋を開けたティーポットの真上に、水が出現
 それは瞬時にお湯に代わり、ティーポットへと入っていった

「便利な魔法ですわね~♪」
「まぁ、本当ならこの程度の些細な事に、魔法を使ってはいけないのだろうがな」

 ローゼの感心したような声に、セシリアは苦笑して見せた
 それでも、自分は「魔法」に飲まれた魔法使い
 ある程度は、魔法を使わないと、その存在意義が揺らいでしまうのだ

 しばしの、穏やかなティータイム
 …そんな、中

「セシリアさん」
「ん、何だ?」
「…何か、悩み事が、おありですの?」

 と 
 ローゼが、そんな事を訪ねてきた
 ぴたり、思わずセシリアは動きを止める

「…いや、そんな、事は」
「なんだか、いつもより暗いお顔をしていますわ~」
「……そう、見えるか?」

 えぇ、と頷いてくるローゼ
 まいったな、とセシリアは小さく苦笑した

「…どうにも、お前には見抜かれてしまうらしい」
「あら、だって、お友達の事ですもの。気づくに決まっていますわ♪」

 ころころと微笑むローゼ
 可愛らしいその笑みに、セシリアは控えめに笑って見せた

 …かたん、と、ティーカップを下す

「……ローゼ。もし、今まで敵対していた者が……顔を合わせる度、殺しあってきたような相手が。突然、見返りもなしにこちらの手伝いをする、と言ってきたら、信じるか?」
「…状況次第かしら~?互いに利害が一致すれば、手を組んでも問題ない、ということもあると思いますの」

 やや考え、小首を傾げながら答えたローゼ
 ふと、セシリアに視線を向けてくる

「どなたか、そのような相手がいらっしゃいましたの?」
「あぁ……そして、私は信じなかった。信じてやる事が、できなかった」

 視線を落とすセシリア
 きれいな色の紅茶が揺れて、小さく波ができる

「…ローゼ。もし、弟がいたとする」
「………?」
「双子の、弟だ。片時も離れず、そばにいた………それが、ある事をキッカケに、相手がこちらを嫌って離れてしまって………長い間、会うこともなく。そして、久々に再会できたそれが、自分が覚えていた弟と、まったく変わってしまっていたように見えたならば。お前は、それを弟だと信じられるか?」
「…セシリアさん?」

 どこか、か細い声
 自分が、いつの間にか小さく震えていたことに、セシリアは気づき
 軽く頭を振って、苦笑した

「…あぁ、すまんな、おかしなことを聞いて。忘れてくれ」
「………」


 自分は、信じる事ができなかった
 弟だった男の言葉を

 自分は、認められなかった
 悪魔達に囲まれ、あの時のように平気で残虐なことをして見せるそれが、自分の大切な弟であるなどと


 ……自分は
 あの時、手を差し伸べられなかった

 あの時、自分は
 無数の屍の上に立つ、弟を前に
 両親からすら畏怖の眼差しを向けられ、困惑していた弟に、自分は

 両親と同じ、他の者達と同じ
 畏怖の眼差しを、向けてしまった
 突き放してしまった


(………もう、戻れぬのだろうな)

 きっと、すべては自分が悪いのだ
 自業自得
 もう、弟は帰ってはこない

 セシリアは小さく自嘲して、ぬるくなった紅茶に口をつけたのだった









to be … ?




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