「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ハーメルンの笛吹き-120

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【上田明也の奇想曲35~何気ない~】

「なあ親父、母さんは元気か?」
「葵か?元気だよ。」
「奥様、正座なさりやがってください。」
「無、無理ですううう!これ以上はァアアア!」
「名前は外されたとはいえ上田家長兄の嫁たるものお茶の一つも淹れられなくてどうするのですか。」
「た、助けてええええええ!」
「杏奈さん、死なない程度に頼むぞ。」
「お任せください明也様。」
「杏奈さん、できるだけ優しく頼むぞ。」
「お任せください旦那様。」

今日は茜さんに行儀作法の勉強をさせるために俺の実家に帰っていた。
母もいるかと思ったら相変わらず仕事をしているらしい。
なんでも今度新しい警備会社を設立するとか。
貿易の次は警備って、まったくもって異業種じゃないか。

「しかしねえ、母さんは何してるんだろうか。」
「葵は金儲けが趣味だから。趣味人だから。」
「まあ浮気見逃して貰ってるんだから親父もでかいことは言えないよな。」
「将来お前も同じ事を子供に言われるからな、覚えておけよ。」
「望むところだ。」

縁側に座る俺と親父、同時に茶をすすってみる。





「葵の話しでふと思い出したんだがな。
 ……俺が、組織の、つーかサンジェルマンの私兵部隊“テンプル騎士団”を抜ける直前の話だ。
 一回だけ失敗した任務がある。」
「戦闘以外の任務でもやったのか?」
「いいや、戦闘任務、しかも至ってシンプルな“鵺”の討伐。
 俺は奇跡的に無傷だったが一緒に任務に当たった笹木って奴が死んだ。
 笹木ってのは今のF-No.5だ。そして唯の担当黒服でもある。」
「なにその奇跡。自分だけ無傷って嫌すぎるな。」
「奇跡ってのは人の、俺の意志を超えて起きるからな。
 俺は自らの属性を奇跡なんて謳っているがそれはまあ自分の力を制御できていないってことさね。」
「成る程ねえ……。」

茜さんが正座の限界に到達したらしくのたうち回っている。
お腹の子供の安全がとてつもなく気になるのでとりあえず手足を押さえつけた。

「は、離して!その手を離してください!足が!足がアアアア!」
「奥様の駄目人間っぷりもここに極まれりですね。」
「なんてったって元々ニートだ。まあ俺との契約の影響で知性も理性も悟性もゲットしてるけどね。
 純粋な演算能力だけならパソコン出身の都市伝説である以上俺より上だし、
 決して駄目なだけではないんだがまあ……。駄目だよね。
 でも料理も洗濯も出来るようになったんだぜ。」
「いや、家事手伝い用ヒューマノイドたる杏奈としてはそれの何がすごいのか……。」
「ふふふ、人間の価値はできることで決まるんじゃない。
 出来るようになったことで決まるのさ。」

その言葉を聞いた杏奈は首をかしげる。
その動作が昔この家に居た料理人のお姉さんに似ていて少しだけ懐かしい。
良い人だったな。






「ところで親父、最近実戦をする機会はあったかい?」
「いんや、まったくだよ。相手してくれよ息子。」
「我が愛しの弟とバトッてろよ。」
「駄目駄目、力比べだったらもうあいつに負けるもん俺。」
「ふうん。そいつはすごいな。」
「お前のことは忘れているぜ。母さんみたいに河伯の血を直接引いている訳でも無し。」
「泣けるぜ。……親父、この学校町で戦争が起きると聞いたらどうするよ?」
「なにそれ愉快、混ぜろよ。」

父がシニカルな雰囲気を纏わせた笑みを浮かべる。
本質的にはこの男、戦うこと以外に興味がないのだ。

「独自の情報筋から聞いた話なんだけどさ……。
 もうすぐ学校町でK-No.が暴れ始めるらしいんだよ。
 組織の許可も得ていないし、数もそこそこに居る。
 親父の大好きな殲滅戦だぜ?」
「俺は撤退戦が一番好きなんだけどな。1vs9999くらいの。
 とりあえず行こうぜ、どの辺りで一番でかい戦闘が起きそうなのよ?」

サンジェルマン曰く、刀一本でノルマンディー上陸作戦を遂行できる男だ。
予想してた以上によく食いついてくる。

「それを教える前に一つ親父に質問だ。」
「なんだ、なんでも正直に答えてやるから早く主戦場になりそうな場所教えろ!」
「なあ……、ある人から話を聞いたり、母さんの昔の写真を見て気になったんだけどさ。
 もしかして親父ロリコ……。」
「あー、待った。それを言ったら茜さんはやたら母さんにそっくりな気がするな。
 お前もしかしてマザコ……。」




「待て、親父。」
「なんだ?」
「このままだと人気投票が恐ろしいことになるぞ。
 二人揃えばどこぞの映画監督もびっくりの性癖じゃないか。」
「んなもんあったら男性部門の逆ツートップ飾るかもな。」
「なんせ女性に好かれる要素今まで0じゃん。
 甲斐性くらいじゃん、親父に至っては母さんに養われている時点でそれすらないじゃん。」
「こんな渋くてイケメンな親父捕まえておいてそこまで言うか。」
「諦めろよ、今の時代そういうのは受けねえって。」
「いや、唯が前に『時代は親父受けです!渋い親父はそれだけで萌えですよ伯父さん!』って言っていた。
 意味はわからなかったけど。」
「絶対調べるなよ、良いな?」
「何そんな怖い顔してるんだよ。……解ったよ。」

なんでこんなに知りたくもなかった話を聞かされなければならんのだ。
今日は厄日だ。

「さてさて、じゃあ今日は帰りますかね。」

茜さんをお姫様だっこして立ち上がる。

「俺が葵と一緒に河伯の家に挨拶に行った時もお姫様だっこしてたなあ。」

間違いなく戦争と書いて挨拶と読むに違いない。
適当に返事を返して俺は赤い部屋の能力を発動し、事務所までワープした。
【上田明也の奇想曲35~何気ない~fin】

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