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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-09

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匿名ユーザー

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 よろり
 腹を抱えて、そのホテルに入っていく
 俗に言う、ラブホテル…その中でも、かなり管理が雑な場所だ

 いや、そもそも、管理などされていないに等しい
 店員すら存在せず、金を入れれば部屋の鍵を自由に取る事ができ、好きな部屋を使える
 一応、その支払い場所に監視カメラらしき物は設置されているが、アレが作動していない事は既に知っている
 いくつかの部屋には盗聴器が設置されており、いかがわしい商売に使われてすらいるようだ

 …まぁ、そんな事は、彼にはどうでもよく
 とりあえず、この激しい腹痛から逃れるために、少し休みに来たのだ
 このホテルの幾つかの部屋は、「首塚」組織の面子が、何人か常に鍵を持っている
 そこを、「首塚」組織が自由に使う為だ
 「組織」と違い、「首塚」組織には、金銭的バックアップは存在しない
 溜まり場など、こう言う半ば非合法な場所くらいしかないのだ
 「首塚」のお膝元は……プレッシャーが強すぎ、くつろげる雰囲気ではない
 あそこでくつろげる人間がいるとしたら、いくら何でも神経を疑う
 よろよろと、彼はその部屋の一ヶ所に向かい…

 …中から、気配が
 『鳳凰の千里眼』で確認すると……なんだ、こいつらか
 緊張をといて、部屋に入る


「うー!10万ボルトー!」
「っちょ、ま!?さては卵技で覚えさせ……うわ、負けた」

 ………
 何をやっているんだ、こいつらは
 思わず、腹の痛みも忘れ、あきれて彼は先客を見つめた

「…?うー?」
「ん?あぁ、お前かよ」

 薄汚れたダブルサイズのベッドの上に腰掛けている、青年と少年
 二人とも、その手に携帯ゲーム機を持っていた

「…こんな場所で携帯ゲーム機で対戦なんてするか。普通」
「いいだろ、別に。俺とこいつの年齢差じゃ、公の場所でやってたら、俺不審者じゃねぇか」

 じゃらり
 シルバーアクセサリーをごてごてと身につけた金髪の青年が、彼の言葉に答える
 少年は…彼のことをあまり、覚えていなかったのだろうか
 すすす、と青年の背後に隠れている

「ん?どうした?」
「…うー」
「ほら、お前も会った事あるだろ。「首塚」の仲間だぞ。厨2病だ」
「ちゅーにびょー?……うー」

 なかなか、思い出せないらしい
 まぁ、こんなお子様に覚えられていなくても、わりとどうでもいい

「技の厨2病だよ」
「わざの…?…うーうー」
「…いいから、ちょっと、そのベッドを明渡してくれ」

 あぁ、腹痛が再発してきた
 こちらの切羽詰った様子を感じ取ったのか、青年は少年をひょいと摘み上げ、己もベッドから腰をあげた
 ばたりっ
 彼は、そのままベッドに倒れこむ

「なんだぁ?具合悪いのかよ」
「うるさい…………っく、ミミズハンバーグ……」

 くそ
 どうして、あの「いちねんせいになったら」の契約者は、あれを食べても平気だったんだ!?
 平気な顔して平らげた上に、俺達が残した分まで全て食べた…だと…!?
 勿体無いの精神が重要である今日には素晴らしいことだが、あれはある意味異常だろう、常識で考えて

「…うー?ちゅーにびょー、おなか痛い?」

 じ、と
 少年が、ベッドに顎を置いて彼を見つめてきた
 一応、心配はしてくれているようである

「あぁ、それはもう………もう、二度と店長のオススメは頼まないぞ…」
「…あ~、もしかすると、あの店だな」

 青年が苦笑してきた
 …っくそ、知っていたのか!?
 ならば、一言教えてくれればいいものを!!
 こちらの抗議の視線を感じ取ったようで、青年は口笛吹きつつ視線をそらしてきた
 くそ、覚えていろ
 今度、ホモだって言いふらしてやる

「うー?……大丈夫?痛い?」
「…それはもう」
「うー……じゃあ、これあげる」
「?」

 す、と
 差し出された、コ○ラのマーチ、一粒
 描かれたコアラは眉毛付き
 …確か、この少年の能力は「幸せの眉毛コアラ」
 ささやかな幸せを手に入れる、他人にも、それを分け与える能力
 ……ありがたく、受け取って、口に放り込む

 …この腹痛が治ってくれれば幸せなんだが、と思いながら

「………お?」

 お?
 痛みが、引いていくのを感じた
 …おぉお?

「うー、治った?」
「あぁ」

 むくり、起き上がる
 …まさか、本当に治るとは

「へぇ、そんな事もできたのか」
「うー!痛いの治れば幸せ!うーうー!」

 青年に、褒められるように頭を撫でられ、嬉しそうな少年
 …腹痛が治るのも、またささやかな幸せか
 はたして、「ささやか」の範疇とは、定義とは、はたしてどのくらいなのか
 場合によっては、恐ろしく便利な能力だ
 考えようによっては、この少年は「首塚」組織の切り札なのか…?
 少年を見つめつつ、そんな事を彼は考えた

「…なあ、ちなみにそれ、毒も消せるか?」
「毒?……うー、わかんない」
「ん、そうか」

 …毒?
 毒で、何かあったのだろうか
 首をかしげる少年に、青年は誤魔化すように笑っている

「あ、そうだ。例のレストランの店主とか、こっちに誘うのいいけどよ。あそこ、「組織」に所属してる奴も一人バイトしてるらしいから、気をつけろよ」
「は?…そう言えば、新入りとか呼ばれている奴がいたような…」
「『人格的に多大に問題があるから、あまり関わらない方がいい』奴らしいぜ?」

 人格的に問題?
 そんなもん、お前が言える事なのか?
 そんな事を考えつつも、腹痛は消えたものの、その余韻は残ったまま
 消耗した体力はそのままだ
 彼はそのままぼふり、ベッドの上で力尽きたのだった






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