これは、正義が小学4年生の時の話。登校中の、【恐怖の大王】との会話から始まる。
大王「少年、いったい何があったんだ?」
正義「別に。どうだっていいだろ。」
正義「別に。どうだっていいだろ。」
あの[黄昏正義(たそがれマサヨシ)]にもこんな時があったのだ。この前日から、ずっとこの調子のようである。
大王「いつもの少年らしくないぞ。警察官を目指しているんじゃないのか?
今の少年では俺の世界征服も止められないぞ?」
正義「あ、別に、幹部だっけ?今ならなってあげてもいいよ。」
今の少年では俺の世界征服も止められないぞ?」
正義「あ、別に、幹部だっけ?今ならなってあげてもいいよ。」
彼の口から思わぬ言葉が出る。しかし大王はこれを承認しなかった。
大王「ふざけるな!今のお前なんか必要ない!」
正義「ふーん。まぁ、気が向いたらよろしくね。」
正義「ふーん。まぁ、気が向いたらよろしくね。」
この後、会話は続かなかった。大王にも原因は分からない。
ただ1つ分かる事は、おそらく『反抗期』だと思われる。
反抗期なら、彼の行動にも説明がつく。
何故、この機に誘惑しないか?もし成功しても、ひょんな事で元に戻ってしまうと踏んだからだ。
反抗期なんてただの自己アピールに過ぎないと思う。飽きたら前の性格に戻るだろう。
しかし、問題は他にある。正義少年の『反抗』だ。―――
ただ1つ分かる事は、おそらく『反抗期』だと思われる。
反抗期なら、彼の行動にも説明がつく。
何故、この機に誘惑しないか?もし成功しても、ひょんな事で元に戻ってしまうと踏んだからだ。
反抗期なんてただの自己アピールに過ぎないと思う。飽きたら前の性格に戻るだろう。
しかし、問題は他にある。正義少年の『反抗』だ。―――
『挨拶をしない』
『体育の授業に参加しない』
『食事を抜く』
『夜遅くまで(誤差1時間ほど)起きている』
『体育の授業に参加しない』
『食事を抜く』
『夜遅くまで(誤差1時間ほど)起きている』
―――身体に悪いわ!死ぬぞ!
こんな少年を放っておいたら我が身が危ない、それで大王は戻すのに必死だった。
契約者が死ねば、見えない鎖で道連れにあう。これは契約した都市伝説の運命(さだめ)だ。
こんな少年を放っておいたら我が身が危ない、それで大王は戻すのに必死だった。
契約者が死ねば、見えない鎖で道連れにあう。これは契約した都市伝説の運命(さだめ)だ。
大王「(ここは少年のクラスメイトの会話を聞こう。)
(幸い姿は見えないし、そうすれば原因も解決策も見つかるかもしれない。)」
(幸い姿は見えないし、そうすれば原因も解決策も見つかるかもしれない。)」
こうして、大王の聞き込みという名の盗み聞きが始まった。
女児A「どうしたんだろ、正義くん。挨拶してくれなかったんだよね。」
女児B「もしかして、転校するから皆が寂しがらないように、って・・・。」
女児A「そんな訳ないでしょ!正義くんと離れ離れになるなんて・・・。」
女児B「もしかして、転校するから皆が寂しがらないように、って・・・。」
女児A「そんな訳ないでしょ!正義くんと離れ離れになるなんて・・・。」
男児A「どうしたんだ?正義のやつ今日も体育を休んでるぞ?」
男児B「ひょっとしたら、すごい怪我とかで・・・。」
男児A「そんな訳ねぇだろ!怪我してそうに見えるか?正義に限ってそんな・・・。」
男児B「ひょっとしたら、すごい怪我とかで・・・。」
男児A「そんな訳ねぇだろ!怪我してそうに見えるか?正義に限ってそんな・・・。」
女児A「なんでなんだろ?給食を1口も食べないなんて。」
女児B「まさか、ひどい病気で食欲が出ないとか?疲れてるみたいだし・・・。」
男児B「それなら体育に出ない件にも合点がつくな。」
男児A「はぁ?正義が病気で苦しむ訳ないだろ?そんなもん吹き飛ばすに決まってる・・・。」
女児A「そうよねぇ。死にかけてるなんて訳」
男児A「縁起でもねぇ事、言うなッ!」
女児B「まさか、ひどい病気で食欲が出ないとか?疲れてるみたいだし・・・。」
男児B「それなら体育に出ない件にも合点がつくな。」
男児A「はぁ?正義が病気で苦しむ訳ないだろ?そんなもん吹き飛ばすに決まってる・・・。」
女児A「そうよねぇ。死にかけてるなんて訳」
男児A「縁起でもねぇ事、言うなッ!」
一通り聞き込みが終わったところで、大王は屋上に出た。
原因や答えは見つからなかったが、たった1つの回答、いや疑問を得た。
原因や答えは見つからなかったが、たった1つの回答、いや疑問を得た。
大王「なんで少年はこんなに人気なんだァアァー!」
まさか学校中、同級生から上・下級生にまで話題が広がっているとは思わなかった。
少年の兄も質問攻めで困っていたぞ。
とりあえず、予想される原因をまとめてみるか。
少年の兄も質問攻めで困っていたぞ。
とりあえず、予想される原因をまとめてみるか。
●転校説:俺は聞いていないし、そんなそぶりも無いので、×
●怪我説:いつも付いて回っているので、俺が知らない訳が無い、×
●病気説:持病なら俺が知らなくて当たり前だが、今まで戦ってこれた事から、×
●怪我説:いつも付いて回っているので、俺が知らない訳が無い、×
●病気説:持病なら俺が知らなくて当たり前だが、今まで戦ってこれた事から、×
つまり、噂には事実は見当たらない、という結果だ。
あと考えられるのは『都市伝説の仕業』か。都市伝説の能力で少年の性格を変えられた。
ありえない、という言葉は我等には通用しない。
しかし、もしそうならば、どうやって助ければいいんだ?本体はいったい何なんだ?
あと考えられるのは『都市伝説の仕業』か。都市伝説の能力で少年の性格を変えられた。
ありえない、という言葉は我等には通用しない。
しかし、もしそうならば、どうやって助ければいいんだ?本体はいったい何なんだ?
大王「こういう時に少年の友がいてくれたら助かるんだが・・・。」
正義少年の友達[日向勇弥(ひゅうがユウヤ)]も【電脳世界=自然界論】との契約者である。
彼なら管理という名目で少年がこうなった理由を見つける事が可能だと思う。
しかし、彼は今、風邪なのだ。
彼の家から電話がかかってきたのだから間違いない。
そして少年が、連絡帳を先生に届けるのを拒み続けたのも忘れていない。
最終的には連絡帳を持って行ったが。
ただでさえ頭痛が起こるのに風邪では、能力も本調子では無いだろうし、おそらく頼りにならないだろう。
彼なら管理という名目で少年がこうなった理由を見つける事が可能だと思う。
しかし、彼は今、風邪なのだ。
彼の家から電話がかかってきたのだから間違いない。
そして少年が、連絡帳を先生に届けるのを拒み続けたのも忘れていない。
最終的には連絡帳を持って行ったが。
ただでさえ頭痛が起こるのに風邪では、能力も本調子では無いだろうし、おそらく頼りにならないだろう。
大王「目ぼしいやつの話は聞いたし、いつも話しているやつはもういないはず・・・。」
ん?誰か1人忘れている気がする。
少年の幼馴染みで、いつも少年にべったりとひっついて、しきりに少年と話したがる、誰かを。
何故、忘れていた?
そういえばあの少女、今日は話かけてこなかった。
いや、昨日、朝は話しかけていたが、途中から話しかけてこなくなった。何故だ・・・?
少年の幼馴染みで、いつも少年にべったりとひっついて、しきりに少年と話したがる、誰かを。
何故、忘れていた?
そういえばあの少女、今日は話かけてこなかった。
いや、昨日、朝は話しかけていたが、途中から話しかけてこなくなった。何故だ・・・?
不意に5時を知らせるチャイムが“リーン ゴーン”と鳴る。
そろそろ帰宅時か。まだあの少女がいれば話を聞く事ができるかもしれない。
窓から学校の中に入ると、曲がり角で少女が飛び出し、怯んで止まる。
この少女が少年の幼馴染み[心星奈海(しんぼしナミ)]である。
丁度良い、話を・・・待て、何に怯んだ?
そろそろ帰宅時か。まだあの少女がいれば話を聞く事ができるかもしれない。
窓から学校の中に入ると、曲がり角で少女が飛び出し、怯んで止まる。
この少女が少年の幼馴染み[心星奈海(しんぼしナミ)]である。
丁度良い、話を・・・待て、何に怯んだ?
大王「・・・まさか、見えているのか?」
奈海「ッ!くっ!」
奈海「ッ!くっ!」
その言葉に驚いたのか、奈海は突然、大王に殴りかかる。
とても小学生、ましてはただの女子とは思えない鋭い拳で。
戦い慣れした大王でも避けきれず、かすかに命中した。
まるで避ける方向が分かっていたかのように。
同時に、大王は都市伝説の気配を察知する。
とても小学生、ましてはただの女子とは思えない鋭い拳で。
戦い慣れした大王でも避けきれず、かすかに命中した。
まるで避ける方向が分かっていたかのように。
同時に、大王は都市伝説の気配を察知する。
大王「(やはり契約者なのか?まさか、少女も洗脳されている?だとしたらまずい!)」
大王の脳裏に想定出来うるの全てのシナリオが浮かぶ。
どれも最後は正義少年の死、つまり自分の死。なんであれ、倒さなければ。
しかしパンチは絶対に命中し、こちらはなかなか手が出せない。
何か弱点は?よく見ると奈海少女は常に右手だけ握り拳のままだ。
何かを握っているのか?ならば!大王は左手で奈海の右腕を掴み、右の手刀で手首を叩く。
どれも最後は正義少年の死、つまり自分の死。なんであれ、倒さなければ。
しかしパンチは絶対に命中し、こちらはなかなか手が出せない。
何か弱点は?よく見ると奈海少女は常に右手だけ握り拳のままだ。
何かを握っているのか?ならば!大王は左手で奈海の右腕を掴み、右の手刀で手首を叩く。
奈海「あっ!」チャリィーン コロコロロ・・・
奈海の手首から何かが落ちる。やはり身体は人間。都市伝説である大王には敵わない。
大王「やはりか。もうあのパンチも出せなくなったのか?なら質問に答えてもらおうか。」
奈海「う、何されても、何も言わないからね!」
???「あいたた・・・」スゥ
奈海「う、何されても、何も言わないからね!」
???「あいたた・・・」スゥ
奈海が落としたものから何かが現れる。
出てきたのは獣の耳が頭についた小学生低学年ぐらいの少女、確実に都市伝説だ。
出てきたのは獣の耳が頭についた小学生低学年ぐらいの少女、確実に都市伝説だ。
奈海「大丈夫?コインちゃん。」
コイン「うん、なんとか。もう、落とさないでってうわぁッ!」
大王「・・・?こいつが少女を洗脳していたのか?」
奈海「違うわ。この子は私の意志で契約した都市伝説【コックリさん】の。」
コイン「[コイン]ちゃんでーす。宜しくね。じゃない、早く逃げようよ!」
大王「【コックリさん】・・・?」
コイン「うん、なんとか。もう、落とさないでってうわぁッ!」
大王「・・・?こいつが少女を洗脳していたのか?」
奈海「違うわ。この子は私の意志で契約した都市伝説【コックリさん】の。」
コイン「[コイン]ちゃんでーす。宜しくね。じゃない、早く逃げようよ!」
大王「【コックリさん】・・・?」
【コックリ(狐狗狸)さん】とは、日本の占いの一種で、
『机の上に「はい、いいえ、鳥居、男、女、五十音表」を記入した紙を置き、
その紙の上に硬貨を置いて参加者全員の人差し指を添え、
全員が力を抜いて「コックリさん、コックリさん、おいでください。」と呼びかけると硬貨が動く』というもの。
この占いの起源は、西洋の「テーブル・ターニング(Table-turning)」とされている。
日本では通常、狐の霊を呼び出す行為(降霊術)と信じられており、そのため狐狗狸さんといわれるらしい。
『机の上に「はい、いいえ、鳥居、男、女、五十音表」を記入した紙を置き、
その紙の上に硬貨を置いて参加者全員の人差し指を添え、
全員が力を抜いて「コックリさん、コックリさん、おいでください。」と呼びかけると硬貨が動く』というもの。
この占いの起源は、西洋の「テーブル・ターニング(Table-turning)」とされている。
日本では通常、狐の霊を呼び出す行為(降霊術)と信じられており、そのため狐狗狸さんといわれるらしい。
風邪にも関わらず、勇弥ががんばって簡潔に説明してくれた。おつかれ。
大王「なるほど、それで攻撃が命中したのか。」
奈海「えぇ。私と契約して『硬貨を持つ人間の質問に答えたり、その人間を操る』能力を得たの。
質問に答えたわ。もういい?」
コイン「早く逃げようよ、うわぁーん、怖いぃ!食べられちゃうぅ!」ジタバタジタバタ
大王「喰うか!俺は少年について聞きたかっただけだ。それ以外はどうでも良い。」
奈海「あら、私は知らないわよ。他を当たったら?」
大王「そうか、すまな」
コイン「あ!それなら教えてあげるよ!あのねぇ・・・。」
奈海「あ、こら!ムグッ。」
大王「悪いな。さて、聞かせてもらおうか。」
奈海「えぇ。私と契約して『硬貨を持つ人間の質問に答えたり、その人間を操る』能力を得たの。
質問に答えたわ。もういい?」
コイン「早く逃げようよ、うわぁーん、怖いぃ!食べられちゃうぅ!」ジタバタジタバタ
大王「喰うか!俺は少年について聞きたかっただけだ。それ以外はどうでも良い。」
奈海「あら、私は知らないわよ。他を当たったら?」
大王「そうか、すまな」
コイン「あ!それなら教えてあげるよ!あのねぇ・・・。」
奈海「あ、こら!ムグッ。」
大王「悪いな。さて、聞かせてもらおうか。」
大王に抑えられた奈海を無視し、[コイン]という名の【コックリさん】はニヤニヤしながら昨日の事を語りだした。
~コインの回想~
あれは昨日の、体育が終わって奈海が着替えをしていた時なんだけど、たしかあの時、教室にはもう奈海1人だったかな。
奈海「フフンーフフフン、フフフ、フーフフンフン♪」
正義「“ガララ”奈海ちゃん、あのさ」
奈海「きぃやぁぁあぁぁ?!」
正義「“ガララ”奈海ちゃん、あのさ」
奈海「きぃやぁぁあぁぁ?!」
なんと着替え中に正義くんが入ってきちゃったんだよ。これには流石の奈海もびっくり!
まぁ、驚かれた正義くんの方が驚いてたみたいだったけどね。
まぁ、驚かれた正義くんの方が驚いてたみたいだったけどね。
奈海「なによアンタ、デリカシーってものがないの?!」
正義「なんだよ!ボクが何したっていうんだよ!」
奈海「したわよ思いっきり!ちょっと考えたら分かる事でしょ!?」
正義「うるさい!人をいちいちバカにして!」
奈海「実際そうじゃない!バカじゃなかったらこんなところ」
正義「もういい!もうお前とは絶対、口聞かないから!」バンッ!
奈海「ふん、こっちこそ!」
正義「なんだよ!ボクが何したっていうんだよ!」
奈海「したわよ思いっきり!ちょっと考えたら分かる事でしょ!?」
正義「うるさい!人をいちいちバカにして!」
奈海「実際そうじゃない!バカじゃなかったらこんなところ」
正義「もういい!もうお前とは絶対、口聞かないから!」バンッ!
奈海「ふん、こっちこそ!」
そしてこの後から今までずぅーっとケンカしてるって訳。
~コインの回想/終~
コイン「・・・と、こんなもんかな。笑っちゃうよね。下着見られたぐらいで」
奈海「言うな!もぅ、なんであの時入ってきたのよぉー。」
奈海「言うな!もぅ、なんであの時入ってきたのよぉー。」
- さて、どうしてくれようか。
情けない。この程度の出来事で自分が死にかけたとは情けない。
とりあえず少年の弁護でもしておくか。
とりあえず少年の弁護でもしておくか。
大王「念のため言っておくが、少年はまだ異性への関心が無いぞ。」
奈海「えっ?!嘘!?」
大王「下着を見られて恥ずかしがる理由を考えるぐらいだぞ。
それから、少女の事もあまり好きそうではなかった。いつも自分を下に見られる事を嫌っていたな。」
奈海「そうだったんだ・・・。」
コイン「だから早く謝りに行きなって言ったのよ。放っておいたら、自殺しちゃうかもねぇ。」
奈海「そ、そんな」
大王「現に今3回分食事を摂っていない。餓死の可能性も充分あるな。」
奈海「う・・・。」
奈海「えっ?!嘘!?」
大王「下着を見られて恥ずかしがる理由を考えるぐらいだぞ。
それから、少女の事もあまり好きそうではなかった。いつも自分を下に見られる事を嫌っていたな。」
奈海「そうだったんだ・・・。」
コイン「だから早く謝りに行きなって言ったのよ。放っておいたら、自殺しちゃうかもねぇ。」
奈海「そ、そんな」
大王「現に今3回分食事を摂っていない。餓死の可能性も充分あるな。」
奈海「う・・・。」
奈海はしばらく黙り込んだ。
そろそろいいか。あとは正義少年の精神しだいだ。少年にも上手く説明して謝らせるべきか。
そろそろいいか。あとは正義少年の精神しだいだ。少年にも上手く説明して謝らせるべきか。
大王「よし、少年を探して話し合おうか―――」ゾクッ!
突然、嫌な気配を感じた。無論、都市伝説の気配だ。
しかも多くの人間をコロしてきたであろう、殺気。
何故この学校にこんなものが?不安がよぎる。
しかも多くの人間をコロしてきたであろう、殺気。
何故この学校にこんなものが?不安がよぎる。
大王「おい!少女の!」
コイン「はいぃぃ![コイン]ですぅぅ!」
大王「お前、少年の居場所は分かるか?!今すぐ教えろ!」
コイン「わ、分かるけどぉ、コインくれないと分からないっていうルールだから・・・。」
コイン「はいぃぃ![コイン]ですぅぅ!」
大王「お前、少年の居場所は分かるか?!今すぐ教えろ!」
コイン「わ、分かるけどぉ、コインくれないと分からないっていうルールだから・・・。」
コインのねだりにいらだつ大王。
突如、コインの頭上に黒雲が広がり、黒雲から大量の十円硬貨が降ってくる。
突如、コインの頭上に黒雲が広がり、黒雲から大量の十円硬貨が降ってくる。
大王「コインならいくらでもやる。すぐに教えろ。」
コインはすぐに命令に了解した。
それは十円玉のおかげではなく、大王の恐ろしい剣幕によって恐れおののいたからである。
それは十円玉のおかげではなく、大王の恐ろしい剣幕によって恐れおののいたからである。
コイン「ひ、わ、分かりましたぁぁ!な、奈海!」
奈海「わ、分かった!・・・コックリさん、コックリさん、正義くんの居場所を教えてください。」
奈海「わ、分かった!・・・コックリさん、コックリさん、正義くんの居場所を教えてください。」
ポケットから十円玉を取り出すと、それを右手で握り締めて呟きだした。
すると、コインは十円玉の中へ入っていくかのように消えていった。
いや、おそらく本当に入っていったのだろう。
すると、コインは十円玉の中へ入っていくかのように消えていった。
いや、おそらく本当に入っていったのだろう。
奈海「ん、こっちよ!」
大王「よし、案内してもらおう!」
大王「よし、案内してもらおう!」
奈海を抱えると、大王は高速で飛んだ。おそらくこれが大王の限界の速度であろう。
大王「少女よ、今話しかけても問題ないか?」
奈海「うん、大丈夫。何?」
大王「この学校に都市伝説らしきものはあるか?」
奈海「待って、そこの階段で2階まで行って。」
奈海「うん、大丈夫。何?」
大王「この学校に都市伝説らしきものはあるか?」
奈海「待って、そこの階段で2階まで行って。」
あまりスピードを下げずに、大王は急カーブした。
奈海「あるわよ。『学校七不思議』が。まず『天井に顔がある』ね。ただのシミだけど。
他には『スリッパが足りない』とか『骨格標本が動く』とか。」
他には『スリッパが足りない』とか『骨格標本が動く』とか。」
小学生らしいたわいの無いものから、『男子トイレに太郎くんがいる』という中途半端な認知度のものもあった。
だが、最後に挙げられたものだけは、子供らしさが根こそぎ取られた都市伝説だった。
だが、最後に挙げられたものだけは、子供らしさが根こそぎ取られた都市伝説だった。
奈海「そして最後に、『警備員』の話ね。」
大王「どうやら、可愛らしい都市伝説ばかりのようだな。」
奈海「これだけは別よ。この学校に夜遅くまでいると誰かが懐中電灯を持って歩いているの。
でも、誰も姿を見ていなくて、先生達も心当たりが無かったの。
それで男の子が3人で調べに行ったら、なんと!懐中電灯が浮いていたのよ!
大王「【透明人間】か!やっかいだな。」
奈海「それから、その男の子のうち2人が殺されちゃったんだって!」
大王「どうやら、可愛らしい都市伝説ばかりのようだな。」
奈海「これだけは別よ。この学校に夜遅くまでいると誰かが懐中電灯を持って歩いているの。
でも、誰も姿を見ていなくて、先生達も心当たりが無かったの。
それで男の子が3人で調べに行ったら、なんと!懐中電灯が浮いていたのよ!
大王「【透明人間】か!やっかいだな。」
奈海「それから、その男の子のうち2人が殺されちゃったんだって!」
ち、殺人設定があると、多くの都市伝説は自我も無く暴れまわるんだぞ。少年が危ない!
大王は少年の安否を考え、最速で飛び続けた。
大王は少年の安否を考え、最速で飛び続けた。
奈海「そこの教室よ!」
奈海が指したのは理科室。大王は奈海を降ろし、勢いよく引き戸を開ける。
そこには、骸骨に似たものがこちらにフラスコを振りかぶる姿があった。
そこには、骸骨に似たものがこちらにフラスコを振りかぶる姿があった。
骨格標本「・・・。」カタカタカタ
奈海「ひっ。」
大王「くっ!」ゲシッ!
奈海「ひっ。」
大王「くっ!」ゲシッ!
怯えている奈海を余所に、とっさに大王は【骨格標本】を蹴飛ばした。
【骨格標本】が吹っ飛ぶと同時に持っていたフラスコが宙に舞う。
大王は黒雲から剣を降らせ、それを手に取り【骨格標本】の首元に向ける。
【骨格標本】が吹っ飛ぶと同時に持っていたフラスコが宙に舞う。
大王は黒雲から剣を降らせ、それを手に取り【骨格標本】の首元に向ける。
大王「さぁ、少年を返してもらおうか。」
奈海「・・・。・・・おっと。」
奈海「・・・。・・・おっと。」
宙から振ってきたフラスコを、奈海は見事にキャッチした。
大王はその名に恥じぬ恐ろしい剣幕で相手を脅す。しかし【骨格標本】はそれに屈せず、首を横に振る。
大王はその名に恥じぬ恐ろしい剣幕で相手を脅す。しかし【骨格標本】はそれに屈せず、首を横に振る。
大王「・・・そうか。」スゥ・・・
【骨格標本】の首を切り落とすために、大王が剣を振りかぶる。
正義「待って!大王!」
その時、掃除用具入れの中から声と共に正義が飛び出した。
驚いたのか、大王は剣を落とす。同時に、命が救われた【骨格標本】がほっとため息をうつ。
驚いたのか、大王は剣を落とす。同時に、命が救われた【骨格標本】がほっとため息をうつ。
大王「少年、無事だったのか!」
正義「うん。この【骨格標本】に匿ってもらっていたんだ。」
正義「うん。この【骨格標本】に匿ってもらっていたんだ。」
どうやら、正義がこの理科室に逃げ込んだ時に、この【骨格標本】が正義を襲おうとしたらしい。
しかし、正義はとっさに説得を行う。
しかし、正義はとっさに説得を行う。
(正義「キミは本当にそれでいいの?キミの自由に生きればいいんだよ?」)
(骨格標本「・・・。」カタカタ・・・)
(骨格標本「・・・。」カタカタ・・・)
何とか説得に成功し、掃除用具入れの中に隠れさせてもらっていたという訳である。
正義「おかげでなんとか大王にも会えたよ。ありがとう、【骨格標本】。」
骨格標本「・・・。」カタカタ
骨格標本「・・・。」カタカタ
表情は分からないが、【骨格標本】は照れているようである。ふと正義の無事の他に、大王がある事に気付く。
大王「少年、どうやら戻ったようだな。」
正義「ん?まぁね。」
正義「ん?まぁね。」
正義少年が説得を試みた、という事は、少年の『正義』が帰ってきたという事である。
これでまず1つ。次はケンカの仲裁か。ん?待て!
これでまず1つ。次はケンカの仲裁か。ん?待て!
大王「少年、何から匿ってもらっていたんだ?」
正義「あ!えと、あいつの方は説得できなかったんだよ。それで逃げてて・・・。」
奈海「まさか、あの・・・。」
正義「うん、【透明警備員】だよ。」
正義「あ!えと、あいつの方は説得できなかったんだよ。それで逃げてて・・・。」
奈海「まさか、あの・・・。」
正義「うん、【透明警備員】だよ。」
やはり、か。いつかの【口裂け女】並みの殺気、さらに見えない。流石の俺たちでも無理であろうか。
大王もここは退く事を提案しようとした。
不意に、引き戸が開く。しかし、誰もいないようだ。
大王もここは退く事を提案しようとした。
不意に、引き戸が開く。しかし、誰もいないようだ。
奈海「なんだ、勝手に開いただけ」
大王「そんな訳ないだろ!避けろ!」
大王「そんな訳ないだろ!避けろ!」
1つの閃光が奈海の方に向かっていく。それは懐中電灯などではなく、まるで金属の反射のような光。
正義が反応した時には【骨格標本】が奈海をかばいに行っていた。
【骨格標本】の肋骨に【透明警備員】の刃物が直撃する。
しかし想像以上の堅さにより、【骨格標本】も奈海も無事で済んだようだ。
とっさに、全員教卓の中へ隠れる。
【骨格標本】の肋骨に【透明警備員】の刃物が直撃する。
しかし想像以上の堅さにより、【骨格標本】も奈海も無事で済んだようだ。
とっさに、全員教卓の中へ隠れる。
正義「ふぅ、良かった。」
大王「さて、どうやって倒すんだ?」
正義「んー、そうだ!ウル○ラマンで透明な怪獣が出た時、体に絵の具かなにかを塗ってた!」
大王「なるほど。姿が見えればこちらのものだ。」
大王「さて、どうやって倒すんだ?」
正義「んー、そうだ!ウル○ラマンで透明な怪獣が出た時、体に絵の具かなにかを塗ってた!」
大王「なるほど。姿が見えればこちらのものだ。」
天井いっぱいに紫がかった黒雲が生まれる。その雲から赤い絵の具が土砂のように降り注ぐ。
赤い雨は教室や【透明警備員】の体を赤く染める。
赤い雨は教室や【透明警備員】の体を赤く染める。
奈海「・・・あっ、ちょっとぉ!服汚れたんだけどぉ!」
大王「よし、成功だ。」
正義「やった。大王、剣出して!いっきに決めるよ。」
大王「よし、成功だ。」
正義「やった。大王、剣出して!いっきに決めるよ。」
正義の目の前に刃を下にした剣が降ってくる。いつも通り正義は柄を掴み、刃を【透明警備員】に向ける。が、
正義「えっ?!いない!?」
気がついた頃には、何故か【透明警備員】はいなかった。刹那、正義の目の前に閃光が走る。
正義は紙一重で避け、閃光が空を切った。正義は教卓へ退避する。
同時に赤い雨が止み、赤い絵の具もすぅっと消えていく。
正義は紙一重で避け、閃光が空を切った。正義は教卓へ退避する。
同時に赤い雨が止み、赤い絵の具もすぅっと消えていく。
正義「どうして?!一瞬成功したのに。」
大王「おそらく、すぐに絵の具を自分の体の一部と認識したんだろう。まるで空気に溶け込んでいるようだ。」
大王「おそらく、すぐに絵の具を自分の体の一部と認識したんだろう。まるで空気に溶け込んでいるようだ。」
それよりも攻撃の後、いちいち間を置いている辺りがイライラする。
『いつ攻撃がくるか分からない』という恐怖に怯えろ、という事か。
どうやら頭もいいようだ。大王が次の策を考えている時、正義が不意に立つ。
『いつ攻撃がくるか分からない』という恐怖に怯えろ、という事か。
どうやら頭もいいようだ。大王が次の策を考えている時、正義が不意に立つ。
正義「やっぱり、これしかないよね。
いい?ボクが囮になるから、隙を見つけたら大王は攻撃、奈海ちゃんは逃げて。」
大王「ッ!お前!囮が嫌いなんじゃなかったのか!」
正義「他人をできるだけ傷つけられたくないだけだよ。ボクが傷つくだけで済むなら、それで良い。」
奈海「でも」
正義「じゃあ、いくね。」
いい?ボクが囮になるから、隙を見つけたら大王は攻撃、奈海ちゃんは逃げて。」
大王「ッ!お前!囮が嫌いなんじゃなかったのか!」
正義「他人をできるだけ傷つけられたくないだけだよ。ボクが傷つくだけで済むなら、それで良い。」
奈海「でも」
正義「じゃあ、いくね。」
正義は教卓から飛び出し、壁を背にして歩く。大王も攻撃の準備をする。
奈海は、何か考え事をしているようだ。ふと、奈海が握っていた十円玉からコインが現れる。
奈海は、何か考え事をしているようだ。ふと、奈海が握っていた十円玉からコインが現れる。
コイン「ねぇ、本当にこれでいいの?」
奈海「・・・。」
コイン「正義くんは奈海を守ろうとしているんだよ。なのに奈海は何もしないの?」
奈海「・・・。」
コイン「奈海、後悔しないように、ね。」
奈海「・・・分かった。でも、コインの説得に折れたから、助けるんだからね。」
奈海「・・・。」
コイン「正義くんは奈海を守ろうとしているんだよ。なのに奈海は何もしないの?」
奈海「・・・。」
コイン「奈海、後悔しないように、ね。」
奈海「・・・分かった。でも、コインの説得に折れたから、助けるんだからね。」
その様子を見てコインは微笑み、十円玉の中へと入っていった。
奈海「コックリさんコックリさん、【透明警備員】の居場所を教えてください。」
そう呟くと、右手の十円玉がぼやっと光りだした。
正義「(どこだ、どこからくる?)・・・。」
奈海「右!」
奈海「右!」
正義はとっさに右に剣の刃を向ける。金属音が“カキィーン”と響く。
驚きながらも大王が正義の右の空間に斬りにかかる。
血は出ていないが、手ごたえを感じた。確実に、やつに当たった。
驚きながらも大王が正義の右の空間に斬りにかかる。
血は出ていないが、手ごたえを感じた。確実に、やつに当たった。
大王「そうか、コインの能力か。これで見えるようになったも同然か。」
急に【透明警備員】が狂ったように攻撃しだした。とっさに状況を判断し、さっさと片付けたいのだろう。
正義「くぅッ!大王、足止めを任せてもいい?奈海と話がしたいんだ。」
大王「ん、・・・いいだろう、行け。」
大王「ん、・・・いいだろう、行け。」
作戦を立てるなら正義のほうが上、そう考え、大王は正義の前の空間を斬る。
大王「さて、どうやって戦おうか・・・。」
その頃、正義が教卓、奈海のところに向かい、話しかける。
正義「奈海ちゃん、都市伝説と契約していたんだ。」
奈海「別にいいでしょ。許可でもいるの?」
正義「何かは分からないけど、その都市伝説で、ボクにもあいつを見れるようにできる?」
奈海「う、出来てもやってあげ」
正義「お願い、今は奈海ちゃんが必要なんだ。」
奈海「別にいいでしょ。許可でもいるの?」
正義「何かは分からないけど、その都市伝説で、ボクにもあいつを見れるようにできる?」
奈海「う、出来てもやってあげ」
正義「お願い、今は奈海ちゃんが必要なんだ。」
考え込んだ後、奈海は顔を上げ、正義に向かって言う。
奈海「いいわ、やってみる。」
右手を開くと、中からコインが現れる。
コイン「結局、意地張ってても」
奈海「言うな!早くやりなさい!」
コイン「たぶん無理よ。だってそうゆう契約だし。」
奈海「やってみなくちゃ分からないじゃない。」
正義「じゃあ、やっぱりどこから来るか、奈海が言って。」
コイン「その方がいいよねぇ、フインキ的にさぁ。」
奈海「・・・『ふ・ん・い・き』。分かった、がんばる。」
正義「それから―――。」
奈海「言うな!早くやりなさい!」
コイン「たぶん無理よ。だってそうゆう契約だし。」
奈海「やってみなくちゃ分からないじゃない。」
正義「じゃあ、やっぱりどこから来るか、奈海が言って。」
コイン「その方がいいよねぇ、フインキ的にさぁ。」
奈海「・・・『ふ・ん・い・き』。分かった、がんばる。」
正義「それから―――。」
その頃、大王はまたもや【透明警備員】に翻弄されていた。
大王「“チッ”攻撃の手を休めたらこれか。どこから来る?」
静寂―――耳を澄ましても足音1つ無い空間―――に一筋の閃光が走る。
奈海「大王の後ろ!」
声に反応し振り返ると、正義が大王の方に向かっていた。大王も正義の方を向き―――2人の剣は空を斬る。
音も血飛沫も無い空間に、手応えだけが残る。
音も血飛沫も無い空間に、手応えだけが残る。
正義「命中。」
奈海「当たったわ。でもまだ倒せそうに無いわよ。」
正義「わかった!よし、大王、良い?―――。」
大王「何ッ!それは、あ!そうか。考えたな。」
奈海「当たったわ。でもまだ倒せそうに無いわよ。」
正義「わかった!よし、大王、良い?―――。」
大王「何ッ!それは、あ!そうか。考えたな。」
正義は大王にそう伝えた後、【透明警備員】に斬りかかる。
大王は共に斬りかかるのではなく、その場で天井を見、ある合図を待っていた。
大王は共に斬りかかるのではなく、その場で天井を見、ある合図を待っていた。
奈海「もっと右!そう、そっち!もう少し・・・!」
―――それから、これ、できるかな?【コックリさん】の能力で―――
大王「まだか?準備はとっくにできているぞ。」
―――大王、良い?奈海の合図で―――
奈海「ッ!今よ!」
大王「了解!」パチンッ
大王「了解!」パチンッ
―――奈海の合図で『雷』降らせて。―――
大王が指を鳴らすと、黒雲にスパークが走る。同時に、正義が【透明警備員】から離れる。
正義「大王、行っけぇぇ!」
【透明警備員】が気付いた時か、気付く前か。どちらにせよ、誰も彼から逃れられない。
彼は高らかに“ドゴォォ・・・ン”と音を立て地に落ちた。
被害者は、【透明警備員】。苦痛の叫びも透明なのか、ついにその実体さえも、本当に消えてしまった。
彼は高らかに“ドゴォォ・・・ン”と音を立て地に落ちた。
被害者は、【透明警備員】。苦痛の叫びも透明なのか、ついにその実体さえも、本当に消えてしまった。
奈海「・・・もう!他の手は無かったの!?」
正義「ごめんね。たぶん無いと思う。」
大王「『火の海』は火事の危険性もあったからな。」
正義「ごめんね。たぶん無いと思う。」
大王「『火の海』は火事の危険性もあったからな。」
3人の会話に押し入るように、奈海の右手の十円玉からコインが現れた。
コイン「まぁまぁ、あの【透明警備員】もやっつけたし、2人も仲直りしたみたいだし。」
その言葉にはっとしたかのように、正義は大王の後に隠れた。
どうやらケンカの事を忘れていたらしい。まぁいい、今から解決するまでだ。
どうやらケンカの事を忘れていたらしい。まぁいい、今から解決するまでだ。
大王「では、少女とコイン、少しここから出ていてくれ。」
奈海「え、何で?」
コイン「いいから、いいから。きっと漢と漢の会話が始まるんだよ。」
奈海「それ絶対難しい方の『おとこ』でしょ。だからってなんで出る必要が」ガラガラ ピシャッ
奈海「え、何で?」
コイン「いいから、いいから。きっと漢と漢の会話が始まるんだよ。」
奈海「それ絶対難しい方の『おとこ』でしょ。だからってなんで出る必要が」ガラガラ ピシャッ
コインに押され、奈海は外へと出て行った。
正義「・・・。」
大王「(さて、説得開始だ。どう言ったらいいか。)まず、ケンカの理由は聞いたぞ。」
正義「ボクは悪くないもん。」
大王「ん、では、そうだな、少年には見られたくないものは無いのか?」
正義「別に・・・。」
大王「(やはりダメか。)ならあの少女に自分の裸を見られたとしたら?」
正義「・・・。」
大王「(少年がうつむいた。流石にそろそろ異性への意識もできてきたか。)
少女にも恥ずかしくて見られたくない所があるんだ、分かってくれ。」
正義「・・・でも。」
大王「(往生際が悪いな。そうだ!)他人の気持ちを分かってやる事が『正義』ってものじゃないのか?
自分だけ良ければ、なんて、それはただの『独裁』だ。」
大王「(さて、説得開始だ。どう言ったらいいか。)まず、ケンカの理由は聞いたぞ。」
正義「ボクは悪くないもん。」
大王「ん、では、そうだな、少年には見られたくないものは無いのか?」
正義「別に・・・。」
大王「(やはりダメか。)ならあの少女に自分の裸を見られたとしたら?」
正義「・・・。」
大王「(少年がうつむいた。流石にそろそろ異性への意識もできてきたか。)
少女にも恥ずかしくて見られたくない所があるんだ、分かってくれ。」
正義「・・・でも。」
大王「(往生際が悪いな。そうだ!)他人の気持ちを分かってやる事が『正義』ってものじゃないのか?
自分だけ良ければ、なんて、それはただの『独裁』だ。」
正義少年は驚いたように、はっとした。自分の間違いに気付いたのだ。
他人の気持ちを考える、あんなに大切にしていた事を、何故か忘れてしまっていたようだ。
他人の気持ちを考える、あんなに大切にしていた事を、何故か忘れてしまっていたようだ。
大王「(よしここで。)今からでも遅くない、謝りに行くぞ。
少年には他人の事も考える優しい心がある。きっと許してくれるはずだ。」
少年には他人の事も考える優しい心がある。きっと許してくれるはずだ。」
今思えば、誘惑にことごとく失敗してきたのに、何故この時は説得が成功すると思ったのだろうか。
あの時は我ながらすごい閃きだと思った。正義は黙ったままだったが、すぐに返事を返した。
あの時は我ながらすごい閃きだと思った。正義は黙ったままだったが、すぐに返事を返した。
正義「・・・分かった、奈海ちゃんに謝るよ。」
正義が教室のドアを開ける。
奈海「きゃあっ!」ビクッ!
正義「ッ!?」ビクッ!
奈海「びっくりしたぁ、またあの【透明警備員】かと。」
正義「あ、ご、ごめん。あ、それから。」
正義「ッ!?」ビクッ!
奈海「びっくりしたぁ、またあの【透明警備員】かと。」
正義「あ、ご、ごめん。あ、それから。」
正義は深く、深く、頭を下げる。
正義「昨日は本当にごめん。すぐに謝った方が良かったのに、奈海ちゃんの事、考えて無くて・・・。」
反省の気持ちが伝わったのか、奈海の顔に自然と笑みが出る。
奈海「私もごめん。私も言い過ぎたところがあったみたいね。
これからは気をつけるから、正義くんも気をつけてね。」
正義「うん、分かった。ありがとう。」
これからは気をつけるから、正義くんも気をつけてね。」
正義「うん、分かった。ありがとう。」
正義も笑顔になった。ふと、正義は後のある人物の方を向く。
正義「【骨格標本】もありがとう。キミのおかげで助かったよ。」
奈海「そういえば、私も助けてもらったんだっけ。ありがとう。」
骨格標本「・・・。」カタカタ・・・
奈海「そういえば、私も助けてもらったんだっけ。ありがとう。」
骨格標本「・・・。」カタカタ・・・
【骨格標本】も表情は見えないが、おそらくまた照れているのだろう。正義達は【骨格標本】に別れを告げる。
正義「またねー、【骨格標本】。」
奈海「バイバーイ。」
奈海「バイバーイ。」
【骨格標本】も手を振り、正義達を見送った。そして【骨格標本】も、夜の闇へと消えていった。
正義「うわっ、もうこんな時間だ。お腹すいたー。」
大王「夕食を抜いたらどうなる事か。戻って本当に良かったよ。」
コイン「ほんとにねぇー。2人とも戻ってこれで」
奈海「言うな!コインは一言多い!」
大王「少女、さっきから何を隠しているんだ?言われたくない事があるらしいが。」
奈海「い、いや、何も・・・。」
大王「夕食を抜いたらどうなる事か。戻って本当に良かったよ。」
コイン「ほんとにねぇー。2人とも戻ってこれで」
奈海「言うな!コインは一言多い!」
大王「少女、さっきから何を隠しているんだ?言われたくない事があるらしいが。」
奈海「い、いや、何も・・・。」
よほど重大な事なのか、奈海は詰まってしまった。
コイン「あ、そうだぁー。コイン頂戴。あの時降らせてたやつ。」
正義「大王が降らせたやつなら、もう消えた頃じゃない?」
コイン「え゛。あれ、ニセモノ?」
大王「悪い、必死だったものでな。」
コイン「そんなぁー、酷いぃー。」びぇぇぇん
正義「参ったな・・・、あ。これあげるよ。」
正義「大王が降らせたやつなら、もう消えた頃じゃない?」
コイン「え゛。あれ、ニセモノ?」
大王「悪い、必死だったものでな。」
コイン「そんなぁー、酷いぃー。」びぇぇぇん
正義「参ったな・・・、あ。これあげるよ。」
運良くポケットの中に入っていた、いつかコインゲームをやった時のコインを、正義はコインに渡した。
コイン「うわぁ、なにこれ。面白い絵が描いてある。」キャッキャッ
正義「(良かった。)」
正義「(良かった。)」
こうして、このケンカは無事に解決し、この話は一件落着となる。
大王「(少年が戻ってよかった。これで俺も安心して・・・。)
ん!そうだ少年。今朝『幹部になってもいい』と言わなかったか?今なら考えてやっても」
少年「あぁ、あれならやめておくよ。大王の世界征服はボクが止めるから。」
ん!そうだ少年。今朝『幹部になってもいい』と言わなかったか?今なら考えてやっても」
少年「あぁ、あれならやめておくよ。大王の世界征服はボクが止めるから。」
やはりダメだったか。こういう時に限って誘惑の言葉が出ない。プライドを無視して、あの時素直に承認しておくべきだったか。
『後悔先に立たず』か。選択ミスだ。
またあるかも分からない次の機会を待つとするか。
『後悔先に立たず』か。選択ミスだ。
またあるかも分からない次の機会を待つとするか。
―――世界征服への道は遠い。
第5話「絶対命中警報」―完―