アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗-07

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗 07


あの、張り紙を手にしてから数日、決戦の準備の合間に俺は、ある廃校となった古い小学校を訪ねていた。
「たーろーさーん、あそびましょ!」
ドンドンドンドン、と目の前の扉を激しく叩く。
返ってきたのは返事ではなく、小さく呻く子供の声。
強引に扉を開くと、そこには古びた個室トイレの中で全身の痛みに耐えるように蹲る血塗れの少年の姿があった。
「よう、元気か太郎さん」
「うん……元気」
「全然、そうは見えんぞおい」
そう言いながらも、顔を蒼白にしながら力なく頷く太郎さんを抱えてトイレを出る。
廊下を歩き一番近くにあった教室へと入り、机の上に太郎さんを座らせると
持ってきた救急セットで太郎さんの全身の傷を手当していく。
「あの超再生は効いてないのか?」
「うん、なんか、変身後じゃないとあまり効果がないみたい」
「あー、もしかして変身能力の後に、再生能力の設定を書いたからか?」
「そうかも…」
痛みに震えながらも小さく苦笑を漏らす太郎さん。
全身の裂傷から止めどなく滲み出てくる血液に、こんな市販の救急セットでする応急手当など焼け石に水だろう。
しかし、俺は治療の手は緩めず、消毒と化膿止めを傷に塗り太郎さんの身体に包帯を巻いていく。
「ありがとう……ごめんね」
「ばっか、これくらい気にすんな、俺たち友達だろ」
むしろ、本当なら、俺が太郎さんに謝らなければならない立場な筈だ
本来、超どマイナーな都市伝説な為、力も強くないはずの彼の身体は、俺たちがノートに書き連ねたチートレベルの
強大な超能力群の所為で、いつ内側から崩壊してしまうか分からない状態になっている。
「友……達……」
俺が罪の意識から逃れるために半ば反射的に出した軽口に、だが太郎さんは強烈な反応をしめす。
ボロボロと涙を流し、しゃくり上げるように泣き出した、目の前の少年を前に盛大に混乱し、かける言葉を無くす俺。
目の前で途方に暮れる情けない俺の様子に、少し表情を緩め、太郎さんは語り出した。

「僕はね、今までずっと一人だった、最初に僕を作った子供たちは花子さんが寂しくないようにという理由で
 僕を作り出したけど、生まれてきてみれば、この学校には花子さんは居なかった。ずっと寂しかった、
 トイレの窓から見える校庭で遊ぶ子供たちを眺めてはいつも仲間に入れて欲しいと思ってた、
 いつしか、ノートが書き換えられて、子供を殺し喰らう化け物になれ果てた後も、僕はずっと望んでた。
 子供たちのはらわたを食い破りながら、こんな事はしたくない、殺したくない、食べたくない、
 ただ、ただ僕の友達になって欲しい、一緒に疲れ果てるまで笑い合って遊びたいと願ってたんだ。
 人食いの化け物が願うには罪深すぎる僕の夢、でも、そんな僕を変えてくれた人がいた。
 化け物だった僕を、格好良い正義のヒーローに変えてくれた人がいた。
 子供を殺すしか能がない僕に、悪と戦う力を与えてくれた人がいた。
 僕はさ、ずっと前から変身ヒーローに憧れてたんだ、学校の子供たちが良く遊んでたヒーローごっこ
 遠くから眺めながら彼らが叫ぶ台詞を必死に覚えてさ、「組織」との戦いでは、その時の台詞を元にして本物のヒーロらしく振る舞ってるんだ。
 戦いと言えば、この前、敵に面白いおじさんが居てさ、ちょっと変な人だったけど凄く強かった、次に合うときはもっと強くなってるんだろうな
 きっと、次は楽に勝たせてくれないと思う、こういうのってライバルっていうのかな? ありがちだけどヒーロー物には必要だよね。
 この前、花子さんにもあったよ、でも「組織」の味方をしていたんだ、あの娘は「僕の花子さん」じゃない事は分かってたけど
 突然の事で、ひどく狼狽してしまって、意味の分からない事を口走って逃げてしまった、あれは後で凄く後悔したなぁ。
 ねえ、そんな顔をしないでよ、僕は今、とても幸せなんだ。
 確かに、とても痛くて、とても苦しくて、とても辛いのは確かだけど、でも、今の僕はそれ以上にとても充実してる。
 だから僕は君を恨んでなんかいない、それどころか感謝してる。
 君が僕を利用しようとしてるのは分かってる、でもそれはきっと君の大切な誰かのためなんだよね?
 なら僕は、例えどんな事があろうとも、恩人の君の、友達の君の手助けをしたいんだ」
そう一息で言い放つと話疲れたのか大きく息を吐くと、絶句する俺へ向かって純真な笑顔を向けてくる目の前の少年。
そんな彼に、俺はどうすれば良い、どんな返答を返してやれば良い。
真っ直ぐに信頼の視線を投げかけてくる太郎さんを、俺は自分の目的のために使い潰す事が出来るのか?

その答えを最後まで出す事ができないまま。
その日、俺は、ただ力なく頷くことだけしかできなかった。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー