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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗-05

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ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗 05


ザクリと、肉を穿つ鈍い感触が手元に残る。
ジュルリジュルリと、怪しく蠢く刃が今まさに断たれんとする命の血肉を啜り始める。
「久しぶりですね、あなたを振るうのは……」
諦観と共に自らの手に握られた得物を見る、「エペタム」かつて自分が人間であった頃に契約していた都市伝説、
そして現在では体の一部、いや、すでに自分自身でそのものである人食い刀。
その人食い刀に喰われつつある哀れな人型に目を向ける。
自分と同じように黒服に身を包んだ意志のない繰り人形、「組織」に入り込んでいた「夢の国」の工作員である。
大粛正。「夢の国」より「組織」へと紛れ込まされていた黒服の存在が明るみになった現在。
彼は病み上がりの身でありながら、その炙り出しと排除に追われていた。
「身体能力は低い、少なくとも病み上がりの自分でも対応できる程度には……」
しかし……。
ちらりと横を見ると、組織に所属する契約者が放つ紅蓮の炎をまともに食らったはずの敵が何もなかったかのように立ち上がるのが見えた。
『夢の国の住人は死なない』
夢の国の勢力はその勢力圏内において不死であるとの報告は確かに受けている。
いつの間にか人知れず、この場所も「夢の国」の勢力圏となってしまったようだった。
「この場所は、組織の重要拠点の一つだった筈なのですけどね……」
まさか、我々組織の目を完全にかいくぐり、丸ごと勢力圏へと取り込まれるとは誰が思うだろうか…。
「まさか、それが狙いで工作員を……?」
血煙の立つ戦場に、似合わない楽しげな音楽が遠くから聞こえる。
死なない兵士、いつまでも続く闘争のパレード。
隣で戦っていた数人の黒服と契約者たちが物量に押され、飲み込まれていく。
「殺しても死なないというのは、何ともやっかいですね……」
そう呟きながらも、手に持った「エペタム」を振るう。
エペタムを振るうたびに刀身から鳴り響くカタカタという異音は、夢の国のパレード音楽を混乱させ一時的にだが彼周辺の黒服の不死を無効化させている。
目の前の工作員を袈裟切りに振り抜き、返す刀で背後より襲いかかる敵の首を落とす。
敵の中には、幼い子供のような姿も多く見えるが、一切躊躇することなく屠り続ける。
「彼は、この場に派遣されなくて僥倖だったかもしれませんね」
同僚の中でも特にお人好しで苦労人の、そして子供に対してとても甘い黒服の事を思い浮かべ苦笑する。
ある契約者たちを「組織」の追求の目から庇う彼の行動は、彼にとって理解できない事柄である、が。
「まあ、もっとも彼ほど突き抜けているよりかはましかもしれませんが……」

ジワリジワリと押されつつある状況の中、嬉々として敵の最中に突っ込んでいき、
その筋力でもって敵の一丸を殲滅しつつある、頭頂部の眩しい色んな意味で規格外な同僚を半眼で見やる。
彼の力もどうやら「夢の国」の勢力に効果があるらしく、自分や彼以外にも幾人かは不死の工作員を屠る事ができているようだ。
しかし、それでも。
「やはり多勢に無勢、ここまでのようですね……」
生き残った黒服や契約者たちに撤退の命令を飛ばし、自らも前線から離れ後方へと下がる。
敵を寄せ付けぬよう遠距離から援護射撃を続けている一団の中から1人の黒服を探しだす。
数秒のうちに見つかった女性体の黒服は、若干疲れているようだ。
先日、自らの担当を引き継いだ黒服の女性である、最初期の黒服であるはずだが調整の為に
時間がかかり、今回の「大粛正」が初の実戦となる彼女。
今から行わせる「仕事」のことを考えると、その程度で参ってしまっていては困るのだが…。
「B-No.002、作戦Sを発動します、準備を」
「B-No.001……本当に、あれをやるのですか?」
未だ、納得できないという表情を浮かべる彼女に呆れ顔を向ける。
「仕方ないでしょう、これ以上「組織」の敵に好き勝手させるわけにはいきません」
「……敵の中には、洗脳された子供の姿も見られますが」
「貴い犠牲です」
「他に、方法は……」
「ある事はありますが、しかし」
「では…!」
「この場を放棄、体制を整えた後に組織の契約者たちによる一斉攻撃、もちろん『彼』も参加することになるでしょう、それでも?」
長い長い沈黙、しかし答えは分かりきっている、『彼』の事を出した時点で『彼女』は首を縦に振るしかないのだ。
「わかり、ました……」
唇を噛みしめ自らの感情を押し込めようとする彼女の姿を、半ば無視するように声を上げる。
「では、味方勢が全員撤退を確認後、貴女の能力のセーフティを解除、都市伝説「鮫島事件」を発動してください」
「……了解しました」

数十分後、「夢の国」の勢力の一部が、元「組織」の拠点であった廃ビル共々消滅した。



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