あるビルの廃墟に、一人の中学生ぐらいの少女がソファで寝ていた。
彼女は『都市伝説』だ。
いつだっただろうか、彼女が生まれたのは。
彼女は『都市伝説』だ。
いつだっただろうか、彼女が生まれたのは。
三年前、アメリカの本州のどこかで、無残な死体が発見された。
死体は34歳男性で、弾丸で鉢の巣にされ、さらには鋭利な刃物でズタズタにされていた。
しかも、その男性はあるマフィアの殺し屋をしていたのだ。
警察は彼に敵対する組織の仕業だと考え、その方針で捜査を進めた。
だが、それはすぐに間違いだとわかった。
その二日後、同じような遺体が捜査している間、アメリカのありとあらゆる地方に、ゴロゴロと出てきたのだ。彼らの接点は男性以外これといったものはなく、警察を混乱させた。
死体は34歳男性で、弾丸で鉢の巣にされ、さらには鋭利な刃物でズタズタにされていた。
しかも、その男性はあるマフィアの殺し屋をしていたのだ。
警察は彼に敵対する組織の仕業だと考え、その方針で捜査を進めた。
だが、それはすぐに間違いだとわかった。
その二日後、同じような遺体が捜査している間、アメリカのありとあらゆる地方に、ゴロゴロと出てきたのだ。彼らの接点は男性以外これといったものはなく、警察を混乱させた。
そして、人々は囁いた。
殺された人間は男なのだから、女から恨みを買われていたのではないか?
きっとその女はありとあらゆる殺人道具を持っているに違いない。
それだけではない。きっとありとあらゆる殺し方を考えているに違いない。
まだ発見されていないのだから、怪しまれにくい未成年ではないか?
それなら、その少女はよほど冷酷な心を持っているに違いない。
ならこう呼ぼう。
殺された人間は男なのだから、女から恨みを買われていたのではないか?
きっとその女はありとあらゆる殺人道具を持っているに違いない。
それだけではない。きっとありとあらゆる殺し方を考えているに違いない。
まだ発見されていないのだから、怪しまれにくい未成年ではないか?
それなら、その少女はよほど冷酷な心を持っているに違いない。
ならこう呼ぼう。
――――ドライ・キラー・ガール(DKG)、と。
そして彼女は存在を許された。人を殺すために、驚異の殺人能力と冷酷な心を持って。
彼女は忠実に人を殺していった。暇なときはマフィアの一つ一つを潰したりして、最速タイムを出すよう遊んだこともあった。もちろん都市伝説達とも殺し合ったりした。全ては彼女の圧勝だった。
だが彼女は満たされない。どれだけどれほど殺しても、彼女は満たされることは無い。それが彼女のしたい事ではないからだ。
だが彼女は満たされない。どれだけどれほど殺しても、彼女は満たされることは無い。それが彼女のしたい事ではないからだ。
前にDKGは、ある一人の男を殺した。新しい殺し方の実験だ。こういう事は考えが尽きるまでやめた事は無い。
殺した男には、一人の娘がいた。面倒なので、その娘の心を恐怖で埋め尽くし、精神から魂を殺そうとした。
その為には心を覗く必要がある。DKGは、この時初めて人の心に触れたのだ。
娘は男の死を知らず、公園で遊んでいた。DKGは娘の頭に触れ、心に触れた。
殺した男には、一人の娘がいた。面倒なので、その娘の心を恐怖で埋め尽くし、精神から魂を殺そうとした。
その為には心を覗く必要がある。DKGは、この時初めて人の心に触れたのだ。
娘は男の死を知らず、公園で遊んでいた。DKGは娘の頭に触れ、心に触れた。
今思えば、その時心に触れてみようなんて考えなければ、ただ殺すだけの存在でいられたのだろうか?
と、DKGはソファに転がりながら思う。
と、DKGはソファに転がりながら思う。
死を知らない娘の心は温かかった。自分の冷酷な心が、溶けてしまうぐらいに。
無を知らない娘の心は我がままだった。自分の顔が微笑んでしまうほどに。
ばいばいを知っている娘の心はさみしそうだった。自分が罪悪感を覚えてしまうぐらいに。
彼女は娘の心……人の心に恐れをなして、逃げ出してしまった。
無を知らない娘の心は我がままだった。自分の顔が微笑んでしまうほどに。
ばいばいを知っている娘の心はさみしそうだった。自分が罪悪感を覚えてしまうぐらいに。
彼女は娘の心……人の心に恐れをなして、逃げ出してしまった。
それから、人を殺す事以外の事を考えるようになった。
あの娘は父の死を知って、どう思うだろうか? どう変わるだろうか?
自分は人を殺し続ける存在でいいのだろうか?
娘一人の感情でここまで振り回される自分はとてももろいのだろうか?
都市伝説のDGKは、人を観察する事にした。
どう殺すのかを考えるのでは無い。どう生きるかを決めるためだ。
人々は楽しそうに街を歩いている物もいたし、悲しそうに歩いている者もいた。
DKGは一人一人の心に、恐る恐る触れて行った。
あの娘は父の死を知って、どう思うだろうか? どう変わるだろうか?
自分は人を殺し続ける存在でいいのだろうか?
娘一人の感情でここまで振り回される自分はとてももろいのだろうか?
都市伝説のDGKは、人を観察する事にした。
どう殺すのかを考えるのでは無い。どう生きるかを決めるためだ。
人々は楽しそうに街を歩いている物もいたし、悲しそうに歩いている者もいた。
DKGは一人一人の心に、恐る恐る触れて行った。
そして、彼女は人に近い感情を手に入れた。手に入れてしまったのだ。
それからというもの、人を殺す事にためらいを覚え、人の殺し方を考えているだけで気分が悪くなった。
もう人を殺すのをやめよう。
そう思い、今まで殺してきた人たちの金で人として生きて行く事にした。自分には、これしかないのだ。仕方がないと自分に言い聞かせる。
許してもらえているだろうか? DKGには涙と共に謝まる事しかできないのだから。
もう人を殺すのをやめよう。
そう思い、今まで殺してきた人たちの金で人として生きて行く事にした。自分には、これしかないのだ。仕方がないと自分に言い聞かせる。
許してもらえているだろうか? DKGには涙と共に謝まる事しかできないのだから。
だが、許してもらえなかった事を、一ヶ月後に知る事になる。
ある日、人として学校に通っていた時のことだ。
突然、力が抜け倒れてしまった。誰もその事には気がつかない。人として生きて行こうと決めた時から、いや、それ以前から自分の姿は見えているというのに、誰も気がつかない。
許してもらえなかったのか? やはり自分に人として生きて行くのは不可能なのか?
そこで、彼女は一つの考えにたどり着いた。
突然、力が抜け倒れてしまった。誰もその事には気がつかない。人として生きて行こうと決めた時から、いや、それ以前から自分の姿は見えているというのに、誰も気がつかない。
許してもらえなかったのか? やはり自分に人として生きて行くのは不可能なのか?
そこで、彼女は一つの考えにたどり着いた。
自分は人を殺すために存在を許された都市伝説。人を殺さなくなった今、自分の存在を許されなくなったのではないのか?
恐怖した。懺悔して後悔して、やっと手に入れたのに、その幸せを失う。
それどころか、存在さえ許されなくなり、再び無になる?
いやだった。人の感情を手に入れたDKGは、自分が可愛くて仕方がなかった。人としての欲望を押さえる事は無かった。
生きたい。だから殺す。本能に逆らわず、感情を消して、定められた通り殺す。
その場にいた者は全員殺した。皆に気がつかれるまで殺し尽くした。
それどころか、存在さえ許されなくなり、再び無になる?
いやだった。人の感情を手に入れたDKGは、自分が可愛くて仕方がなかった。人としての欲望を押さえる事は無かった。
生きたい。だから殺す。本能に逆らわず、感情を消して、定められた通り殺す。
その場にいた者は全員殺した。皆に気がつかれるまで殺し尽くした。
それからだ。自分が存在するために、人を殺すようになったのは。
自分が生きるために、ありとあらゆる殺し方を考えるようになったのは。
自分が生きるために、ありとあらゆる殺し方を考えるようになったのは。
そんな事を、ぼんやりとソファの上で思いかえしていた。
「……人も都市伝説も、醜いな」
ポツリ、と呟く、誰の返事も期待しないで。
「そうだな」
ドアの方から、聞いた事の無い声が聞こえた。
とても低く、恐ろしいと思える声だった。
そしてそれは、見なくとも都市伝説だと分かった。
「何だ? 俺をお前の組織にでも入れるつもりか?」
「組織? いや、俺はフリーだ」
「なら俺を殺して強くなるつもりか?」
「お前を殺して何の得になる?」
聞き捨てならない言葉だった。都市伝説としてのDKGは、アメリカの都市伝説の中でも最強と言われるほどだ。
そんな自分を、殺しても仕方がないという都市伝説。どこまでも気に食わなかった。
殺す前に、せめてどんな都市伝説かと確認しようと、その都市伝説を見る為立ち上がる。
だが、DKGの怒りは驚きに変わった。
「……ファントム?」
ファントム、リアルバットマンとも呼ばれる都市伝説だ。
その顔は不安感を持たせる青い大きな目しか無い白いマスクを被り、特撮ヒーローのような白い姿の上に、黒いコートを着ているのが特徴だ。
ファントムは国を問わず、困っている人のところに神出鬼没で現れ、悪人をやっつける正義の味方と言われている都市伝説だ。
まさか、そんな子供のような都市伝説が、本当に存在するとは思わなかった。
「そうだ。俺がファントムだ」
ファントムが名乗ると、その大きな青い目の光りが、フワァと人の心を不安げにさせるように光る。
「ヒーロー様が何の用だ? 俺みたいな都市伝説を殺しに来たのか?」
「違う。人を殺すのをやめてくれと、説得をしに来た」
何だそれは、それは俺の存在を許さないのと同じじゃないか。
DKGはファントムを睨めつけ、虚空から9mmベレットを取り出す。
もちろん相手は都市伝説。発射されるのは鉛の塊ではなく、対都市伝説専用の弾丸だ。取り換える必要は無く、DKGの存在が許される限り、無限と出る事だろう。
「お前に俺は殺せないよ」
ターンターンターンと、三発程ファントム眉間に撃つ。
だがファントムは視線と手の動きで読みとったのか、それを全てかわす。
「避けたな」
ギラリ、とDKGの目は輝き、9mmべレットを左手に持ち替え、左手にM2重機関銃を取り出す。
「……確か固定しないとロクに当たらないんじゃなかったか?」
「お前みたいなちんけな都市伝説と一緒にするな」
ターン、ターンと9mmべレットでファントムのまわりに撃ち込む。
ファントムはそれをひょいひょいと避ける。
面白いほどに引っかかった。ファントムは二つの弾丸を避け、大きな隙ができている。
その大きな隙に、ダァン! とM2重機関銃で一発の弾丸を胸に撃ち込んだ。
「ガァ!?」
ファントムは見事に宙を舞い、壁に叩きつけられる。
死んだな、と思いソファに転がるDKG。死体をどこに捨てようかと考えていた時だった。
「……流石に、死んだかと思った」
よっこいせ、と立ち上がり、ファントムは胸の汚れを落とすように右手ではらったのだ。
薄く黒くはなっているが、無傷と言っても過言ではないだろう。
「死を味わいたいどMか?」
ソファからサッと立ち上がり、ファントムを睨みつけるDKG。
「Sではないが、Mでもない。どちらかと言うとHだ」
「それは日本でしか通じないぞ? お前の言いたいHは恐らく『変態』って意味のHだろ?」
「違うな」
バッと腰を低くし、いつでも攻撃できる姿勢に落ちつかせる。
「ヒーローのHさ」
ファントムはDKGに、都市伝説でもトップと争えるであろうスピードで殴りかかってくる。
それをDKGはいなし、腹に蹴りをお見舞いしてやる。
ファントムの腹には当たったが、その腹は霧の様な物質に変わってしまい、DKGの体ごとすり抜けてしまう。
「流石は都市伝説ヒーロー。硬くなって攻撃を受け止めたり、水蒸気になって攻撃をすりぬけさせるって、どこのRXだ」
「ほう、こっちでもRXが有名か?」
「駄作としてな」
二人は、背中を合わせながら話し合う。相手の隙を、手さぐりで探るかのように。
「確かに、アメリカのRXはZOが出ていたりとかで酷かったが、日本の光太郎は最強ライダーだぜ?」
「日本の作品なんて知るか」
「パワーレンジャーや侍戦隊だって、元をたどれば日本のヒーローだぜ?」
「まあ、ドラゴンライダーはいい出来だとほめてやるよ」
「日本では龍騎っていうんだ。覚えておいてくれよ」
話し終わった瞬間、DKGは虚空から出したジャックブレードで、ファントムは霧で作り出した白い刀のような刃物で、互いの脇腹を刺す。
グシャァ! 互いの脇腹から、大量の血が流れ出した。
「……どっから出したその刀」
「……お前こそ銃器だけじゃないのか」
DGKはこの程度では死なない。何故ならと聞かれたら、これは作り物、ただの見た目だ。
だが、ファントムの方が少しおかしい、確かに自慢の腕っ節でファントムのふざけた装甲を深々と刺してやったが、都市伝説では重傷にはならないはずだ。
それに、ジャックブレードについたこの血、
「……人も都市伝説も、醜いな」
ポツリ、と呟く、誰の返事も期待しないで。
「そうだな」
ドアの方から、聞いた事の無い声が聞こえた。
とても低く、恐ろしいと思える声だった。
そしてそれは、見なくとも都市伝説だと分かった。
「何だ? 俺をお前の組織にでも入れるつもりか?」
「組織? いや、俺はフリーだ」
「なら俺を殺して強くなるつもりか?」
「お前を殺して何の得になる?」
聞き捨てならない言葉だった。都市伝説としてのDKGは、アメリカの都市伝説の中でも最強と言われるほどだ。
そんな自分を、殺しても仕方がないという都市伝説。どこまでも気に食わなかった。
殺す前に、せめてどんな都市伝説かと確認しようと、その都市伝説を見る為立ち上がる。
だが、DKGの怒りは驚きに変わった。
「……ファントム?」
ファントム、リアルバットマンとも呼ばれる都市伝説だ。
その顔は不安感を持たせる青い大きな目しか無い白いマスクを被り、特撮ヒーローのような白い姿の上に、黒いコートを着ているのが特徴だ。
ファントムは国を問わず、困っている人のところに神出鬼没で現れ、悪人をやっつける正義の味方と言われている都市伝説だ。
まさか、そんな子供のような都市伝説が、本当に存在するとは思わなかった。
「そうだ。俺がファントムだ」
ファントムが名乗ると、その大きな青い目の光りが、フワァと人の心を不安げにさせるように光る。
「ヒーロー様が何の用だ? 俺みたいな都市伝説を殺しに来たのか?」
「違う。人を殺すのをやめてくれと、説得をしに来た」
何だそれは、それは俺の存在を許さないのと同じじゃないか。
DKGはファントムを睨めつけ、虚空から9mmベレットを取り出す。
もちろん相手は都市伝説。発射されるのは鉛の塊ではなく、対都市伝説専用の弾丸だ。取り換える必要は無く、DKGの存在が許される限り、無限と出る事だろう。
「お前に俺は殺せないよ」
ターンターンターンと、三発程ファントム眉間に撃つ。
だがファントムは視線と手の動きで読みとったのか、それを全てかわす。
「避けたな」
ギラリ、とDKGの目は輝き、9mmべレットを左手に持ち替え、左手にM2重機関銃を取り出す。
「……確か固定しないとロクに当たらないんじゃなかったか?」
「お前みたいなちんけな都市伝説と一緒にするな」
ターン、ターンと9mmべレットでファントムのまわりに撃ち込む。
ファントムはそれをひょいひょいと避ける。
面白いほどに引っかかった。ファントムは二つの弾丸を避け、大きな隙ができている。
その大きな隙に、ダァン! とM2重機関銃で一発の弾丸を胸に撃ち込んだ。
「ガァ!?」
ファントムは見事に宙を舞い、壁に叩きつけられる。
死んだな、と思いソファに転がるDKG。死体をどこに捨てようかと考えていた時だった。
「……流石に、死んだかと思った」
よっこいせ、と立ち上がり、ファントムは胸の汚れを落とすように右手ではらったのだ。
薄く黒くはなっているが、無傷と言っても過言ではないだろう。
「死を味わいたいどMか?」
ソファからサッと立ち上がり、ファントムを睨みつけるDKG。
「Sではないが、Mでもない。どちらかと言うとHだ」
「それは日本でしか通じないぞ? お前の言いたいHは恐らく『変態』って意味のHだろ?」
「違うな」
バッと腰を低くし、いつでも攻撃できる姿勢に落ちつかせる。
「ヒーローのHさ」
ファントムはDKGに、都市伝説でもトップと争えるであろうスピードで殴りかかってくる。
それをDKGはいなし、腹に蹴りをお見舞いしてやる。
ファントムの腹には当たったが、その腹は霧の様な物質に変わってしまい、DKGの体ごとすり抜けてしまう。
「流石は都市伝説ヒーロー。硬くなって攻撃を受け止めたり、水蒸気になって攻撃をすりぬけさせるって、どこのRXだ」
「ほう、こっちでもRXが有名か?」
「駄作としてな」
二人は、背中を合わせながら話し合う。相手の隙を、手さぐりで探るかのように。
「確かに、アメリカのRXはZOが出ていたりとかで酷かったが、日本の光太郎は最強ライダーだぜ?」
「日本の作品なんて知るか」
「パワーレンジャーや侍戦隊だって、元をたどれば日本のヒーローだぜ?」
「まあ、ドラゴンライダーはいい出来だとほめてやるよ」
「日本では龍騎っていうんだ。覚えておいてくれよ」
話し終わった瞬間、DKGは虚空から出したジャックブレードで、ファントムは霧で作り出した白い刀のような刃物で、互いの脇腹を刺す。
グシャァ! 互いの脇腹から、大量の血が流れ出した。
「……どっから出したその刀」
「……お前こそ銃器だけじゃないのか」
DGKはこの程度では死なない。何故ならと聞かれたら、これは作り物、ただの見た目だ。
だが、ファントムの方が少しおかしい、確かに自慢の腕っ節でファントムのふざけた装甲を深々と刺してやったが、都市伝説では重傷にはならないはずだ。
それに、ジャックブレードについたこの血、
――――都市伝説の見かけだけのものではなく、人間の血ではないか?
あり得ない。吸血したり人を捕食する都市伝説からは人の血が流れる事がある。
だが、だがこの都市伝説はヒーローという、人を食べるとは聞いたことが無い。相手が悪人だとしてもだ。
ならなぜ? と頭をフル回転させて考える。
ふとファントムは扉に向かってよろよろと歩いており、今にも逃げ出しそうだ。
気になるのなら、アイツの体に聞く事にしよう。
そう結論づけたDKGは、先程のファントムと並ぶスピードで勢いよく走りだす。
この時、DKGは気が付いていなかった。ファントムの右足が、青く、怪しく光っている事に。
だが、だがこの都市伝説はヒーローという、人を食べるとは聞いたことが無い。相手が悪人だとしてもだ。
ならなぜ? と頭をフル回転させて考える。
ふとファントムは扉に向かってよろよろと歩いており、今にも逃げ出しそうだ。
気になるのなら、アイツの体に聞く事にしよう。
そう結論づけたDKGは、先程のファントムと並ぶスピードで勢いよく走りだす。
この時、DKGは気が付いていなかった。ファントムの右足が、青く、怪しく光っている事に。
DKGがファントムの頭を掴もうとした瞬間、DKGの頭はファントムの回し蹴りの餌食となり、そのまま壁に叩きつけられ(この時、壁は壊れた)、DKGは気絶した。
朝になると、DKGはいつものソファで起きた。まわりにファントムは見えない。
「……少女の顔を蹴るなんて、信じられないな」
DKGが起きた時の一声は、とても皮肉な物だ。
「仕方がないでしょう」
キッチンの方(廃墟だが、DKGの力を使ってなんとか使えるようにした)から、おいしそうな匂いとさわやかなな青年らしき声が聞こえる。昨日の男とは明らかに違うものだし、明らかに普通の人の声だ。
「あなたが大人しく私の話を聞いてくれなかったんですから」
この廃墟の唯一のテーブルに、さわやかな青年が持ってきた、ブレックファーストと白いほっかほかのご飯が置かれる。
「……いやお前誰だよ。何でここで料理なんか作っている」
人間なら発狂しかねないほどの殺気を込めて睨みつけるが、さわやかな青年はもろともしない。
「ひどいなー」
と勝手にソファの手すりにすわり、ヘラヘラと手を振る。
久々に罪悪感なく人を殺せそうだと確信したDKGは、強く強く拳を握る。
「昨日殺し合ったのに、もう忘れてるんですか? この忘れん坊さんめー☆」
めー☆ でかなりイラついたが、その前の言葉に違和感を覚えた。
「待て、俺は昨日、人を軽く2000人ぐらいの人間と、都市伝説50体ぐらいしか覚えが無いが、お前みたいなのは初めてみたぞ?」
「ああ、そっかそっか」
青年は何かを思い出したかのように、青年自身が着ている黒いコートの懐から、白いマスクを取り出す。それは、昨日初めて会った都市伝説――――ファントムの物だった。
「……お前、ファントムの契約者か」
あの夜、近くに契約者の人間がいなかったので、野良だと勝手に思っていたが、契約者がいるなら、あの反則技と、『殺しても意味が無い』という発言に少しは頷ける。なぜなら契約者がいれば力を付けることも可能だし、無理して有名になろうとせずとも消える心配はないわけなのだから。
だが、不思議とそのマスクからは都市伝説の気配がしない。
「まあまあ、見ててくださいって」
右手に持ったマスクを右に突き出し、左手は軽いスナップをしながら前に突き出す。
「変身!」
叫びながら、左手を握りその脇を締め、右手で大振りをしながらマスクを被る。
ああ、日本でいう痛い人ってこういう奴の事をいうのか、と何か納得してしまった。
だが、突如そこに大きな都市伝説が存在していた。
その体は、昨日の都市伝説、ファントムと瓜二つ、いや、全く同じものだった。
「ファントム、参・上!」
右手を『参』のところで左肩あたりに固定し、『上』のところで右手の人差指でどこかを指さす。
一連の動作を終えると、そのマスクの大きな目が青く光った。
何からツッコミを入れようか、と頭がパニックになっているDKG。
そんなDKGを見て、サッと頭を抱えている。
「……見るな。こうでもしないと都市伝説になれないんだよ」
「……都市伝説に、なる?」
その言葉に違和感を覚えた。
なんだそれは。まるで元々は人間のだったかのような口ぶりじゃないか。
「話せば長くなるが、聞くか?」
「……聞く」
断って勝手に記憶でも覗いてやろうと思ったが、記憶のハッキングとか簡単にしでかしそうなので、聞くを選択した。
ファントムは椅子に座ると(この椅子はいくつかある)、懐かしそうに話しだした。
「あれは二年前……俺が中学生の時だった」
「……って事はお前高校生か?」
「細かいところは気にするな。……あの時、俺はまだ子供だった」
「今も十分子供だろ?」
「三歳児のお前に言われたくは無い」
気を取り直すように、ゴホン、と咳をする。
実際にそういう仕草をする人っているのなと思ったが、話を進めるため受け流す。
「パルクールを知っているか?」
「ああ、確かフランス発祥の忍者みたいに街を駆け抜けるあれだろ?」
「そうだ。俺は面白そうだからと独学で習得した」
「暇だったんだな」
「中学生だったからな。それで、俺は夢を叶えるため、これを作った」
そう言いながら、コンコンと白い体を指で叩く。
「これ、自前か」
「自分でもほれぼれしそうな出来だ」
誇らしそうに胸を張る姿は、まるで少年だ。
「で、お前の夢ってのは何なんだ?」
その言葉を聞くと、表情を隠すためのマスクがひきつった気がした。
「……笑わないか?」
「人の夢を笑う奴は死刑だと自負している」
殺人鬼が言うにはおかしなセリフだと思うが、そう思っているのだから仕方がない。
「……そうか、なら言うぞ」
「おお、言え言え」
ゴクリと喉を鳴らし、見えない唇を動かして、ファントムは言った。
「俺、特撮ヒーローになるのが夢なんだ」
それを聞いた瞬間、
「あっっははっはっはっはは!!あっはっはっはっはっははは~~~ッ!!」
DKGは思い切り笑っていた。
「笑わないって言っただろうが……ッ!」
「笑わないなんて約束してないし、お前は都市伝説だろうが~っ!」
まだ笑いは収まらないらしく、腹を抱えてゴロゴロと床を転がりまくる。
DKGの笑いが収まったのは、十分後だった。
「――――ああ、いい年をした男が特撮ヒーローだなんて、おかしいおかしい。久しぶりに盛大に笑っちまったぜ」
「……傷ついた。俺のガラスの心は傷ついた……ッ!!」
ファントムは屈辱的だったらしく、頭を抱え床に額の部分をガンガンと叩きつけている。
「悪かった悪かった。もう笑わないから、続けてくれ」
「……俺はこの恰好で外に出た」
「――――ぶふぅ!?」
「今笑っただろ!? 絶対笑ったな! ゆるさんぞぉお!!」
「笑って無い! その刀をしまって話を続けろ!」
ファントムはいつの間にか霧で作り出した刀を霧に戻し、落ちつきながら話す。
「路地裏を歩いていると、大の大人のはずの、明らかに不良だと一目でわかる連中が中学生一人囲んでいたのさ」
「定番だな」
「事実なのだから仕方がない。それで、俺はその中学生を助ける事にした。パルクールを利用して、アクロバティックな動きで裁いていった」
DKGは人の視点で考えてみる。こんなのが宙を舞いながら人をぶっ飛ばしていたら、それはそれは不気味な光景だろう。
「正体はばれないで、段々と噂になっていった。……調子に乗ってさ、どんどんと活躍していったのさ」
「具体的には?」
「荷物が重くて動けなくなってるおばあちゃんから銀行強盗に拳銃突きつけられてるお姉さんまで、やれることはやった」
「……お前、友達いないだろ」
「いますよ。数えた事はありませんが」
それは、数えられる数だが、絶対に少ないから数えたくないのだろうか?
「それでさ、とうとう都市伝説って言われるぐらいになって、ファントムとか呼ばれてさ。浮かれてたんだよ」
彼は歳は話を聞くに17歳辺りが最年長だろう。つまり未成年だ。よくそこまでになるまでやっていたなと、もう感心してしまうぐらいだ。
「その都市伝説って呼ばれたあたりかな。……ある日、俺はパルクールでいつものように日本を駆け巡っていた。気がつくと、俺はビル群を走りぬけていたんだ」
「落ちたら死ぬな。普通は」
「落ちました」
「そうか…………ってはぁあ!?」
あまりにも普通に言うので、理解するまで数秒かかってしまった。
「……ああ、それで死んで都市伝説ってわけか。不幸な最期だな」
「それだと私が普通の人間でいられるわけがないでしょう?」
もっともなところを指摘され、DKGはうぅ、と唸る。
「じゃあその後どうなったんだよ?」
「見事に着地できました」
「………………マジ?」
「マジマジ」
……重い沈黙が、場を制した。
「おっかっしぃぃいいいいいいいいいいいいいだろぉぉぉおおおおおおぉおおおおおぉぉぉおおぉおおッッッ、がぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「うきゃう!?」
あまりに大きな声でツッコミを入れられてしまったので、ファントムの鼓膜が壊れかけてしまった。
「あのな! パルクールっていうのは難しい体操みたいなモンだろ!? それが本当の忍者みたいにそんな高いところから着地できるかっ!!」
「いやーもー驚きましたもん。自分だって『あ、死んだ』って定番みたいなセリフしか考えられませんでしたもん」
「何でそんな事ができるんだよ! 簡潔に説明しろ!」
「どっかの組織の都市伝説関連のなんやかんやに携わる人が教えてくれたんですが、都市伝説っていうのは人の噂から誕生するんですよね。でも、私の場合本当に存在して、生きていて、器がある……細かいところは覚えていないんですが、嘘と真が混ざって、都市伝説として語られ、その通りに行動しているこの姿に、都市伝説パワーが与えられたんですよ」
成程とうなずき掛けたが、一つ大きな矛盾がある。
「……まあ確かにそんな例もあるかも知れない、少しの矛盾は許そう。だがお前自分の発言には大きすぎる矛盾がある」
「え? どこら辺が?」
マスク越しでも、ファントムがきょとんとしているのが手に取るように分かる
「お前は『この姿に』と言ったな」
「ええ、言いましたね」
「じゃあ人間の姿から……まあ都市伝説パワーと言っておくが……その力で変身するのは、大きな矛盾だ」
うーん、とファントムは腕を組み、照れるように頭をかく。
「実は、都市伝説になる前に、何度かマスク取られているのを見られてまして……正体までは特定されてなかったんですが、人間がなっているんだといわれ、日本ではリアルライダー、ここら辺ではリアルバットマンとも呼ばれるんです、で、変身! とか言えば本当に変身するんじゃないか? とか、装着してるんだとか言われてまして……本来なら後者が正しいんですが、前者もできるらしいんです」
ふと、DKGは思い出す。彼が変身する時に、ものすごく恥ずかしがっていたのを。
……そんな恰好で外に出れて、変身ポーズを見られただけであそこまで恥ずかしがるのはおかしいと思うが。
「……悔しいが、納得してやる」
「それはどうも」
そう言いながらファントムはマスクを外し、黒いコートの下は普通の服に戻る。
「それでは、本題に入らせて頂きましょうか」
そう言いながら椅子に腰かけ、体を預けるファントムの媒体。
「本題?」
「そう、もうあなたに人を殺してほしくないんです」
「……そういやそうだったな」
「だからといって殺し合いに来たわけじゃないんですよ。それにあなたじゃ私に勝てません」
「……まあ、確かに、な」
あれは不意打ちだが、それでも立派な策略。状況を利用するのは、DKGもしていた事だ。策にはまった自分が悪いのだし、何よりこうやって生かされるという事は、話し合いをしたいんだろう。
「前にも言った気がしたが、俺が人を殺すのをやめれば俺は消える。力では最強だが、存在としてはとても弱い。一か月もせずに消えるさ」
「でも、あなた人を殺したくないんでしょ?」
「――――ッ!?」
なぜだ。なぜこの男はそれを知っている?
「見ていれば分かります。組織からは彼方の抹消を頼まれていたんです。でも私も人を殺すのは嫌なので……」
「俺は人じゃない。都市伝説だ」
「私からすれば人も都市伝説も一緒ですよ。……皮肉な事にね」
やれやれー、と言いながら肩をすくめるファントム。
「それに、これは初めてあなたにあった時から思っていたんですが……」
男は一息をつき、真剣な顔つきで言った。
「……少女の顔を蹴るなんて、信じられないな」
DKGが起きた時の一声は、とても皮肉な物だ。
「仕方がないでしょう」
キッチンの方(廃墟だが、DKGの力を使ってなんとか使えるようにした)から、おいしそうな匂いとさわやかなな青年らしき声が聞こえる。昨日の男とは明らかに違うものだし、明らかに普通の人の声だ。
「あなたが大人しく私の話を聞いてくれなかったんですから」
この廃墟の唯一のテーブルに、さわやかな青年が持ってきた、ブレックファーストと白いほっかほかのご飯が置かれる。
「……いやお前誰だよ。何でここで料理なんか作っている」
人間なら発狂しかねないほどの殺気を込めて睨みつけるが、さわやかな青年はもろともしない。
「ひどいなー」
と勝手にソファの手すりにすわり、ヘラヘラと手を振る。
久々に罪悪感なく人を殺せそうだと確信したDKGは、強く強く拳を握る。
「昨日殺し合ったのに、もう忘れてるんですか? この忘れん坊さんめー☆」
めー☆ でかなりイラついたが、その前の言葉に違和感を覚えた。
「待て、俺は昨日、人を軽く2000人ぐらいの人間と、都市伝説50体ぐらいしか覚えが無いが、お前みたいなのは初めてみたぞ?」
「ああ、そっかそっか」
青年は何かを思い出したかのように、青年自身が着ている黒いコートの懐から、白いマスクを取り出す。それは、昨日初めて会った都市伝説――――ファントムの物だった。
「……お前、ファントムの契約者か」
あの夜、近くに契約者の人間がいなかったので、野良だと勝手に思っていたが、契約者がいるなら、あの反則技と、『殺しても意味が無い』という発言に少しは頷ける。なぜなら契約者がいれば力を付けることも可能だし、無理して有名になろうとせずとも消える心配はないわけなのだから。
だが、不思議とそのマスクからは都市伝説の気配がしない。
「まあまあ、見ててくださいって」
右手に持ったマスクを右に突き出し、左手は軽いスナップをしながら前に突き出す。
「変身!」
叫びながら、左手を握りその脇を締め、右手で大振りをしながらマスクを被る。
ああ、日本でいう痛い人ってこういう奴の事をいうのか、と何か納得してしまった。
だが、突如そこに大きな都市伝説が存在していた。
その体は、昨日の都市伝説、ファントムと瓜二つ、いや、全く同じものだった。
「ファントム、参・上!」
右手を『参』のところで左肩あたりに固定し、『上』のところで右手の人差指でどこかを指さす。
一連の動作を終えると、そのマスクの大きな目が青く光った。
何からツッコミを入れようか、と頭がパニックになっているDKG。
そんなDKGを見て、サッと頭を抱えている。
「……見るな。こうでもしないと都市伝説になれないんだよ」
「……都市伝説に、なる?」
その言葉に違和感を覚えた。
なんだそれは。まるで元々は人間のだったかのような口ぶりじゃないか。
「話せば長くなるが、聞くか?」
「……聞く」
断って勝手に記憶でも覗いてやろうと思ったが、記憶のハッキングとか簡単にしでかしそうなので、聞くを選択した。
ファントムは椅子に座ると(この椅子はいくつかある)、懐かしそうに話しだした。
「あれは二年前……俺が中学生の時だった」
「……って事はお前高校生か?」
「細かいところは気にするな。……あの時、俺はまだ子供だった」
「今も十分子供だろ?」
「三歳児のお前に言われたくは無い」
気を取り直すように、ゴホン、と咳をする。
実際にそういう仕草をする人っているのなと思ったが、話を進めるため受け流す。
「パルクールを知っているか?」
「ああ、確かフランス発祥の忍者みたいに街を駆け抜けるあれだろ?」
「そうだ。俺は面白そうだからと独学で習得した」
「暇だったんだな」
「中学生だったからな。それで、俺は夢を叶えるため、これを作った」
そう言いながら、コンコンと白い体を指で叩く。
「これ、自前か」
「自分でもほれぼれしそうな出来だ」
誇らしそうに胸を張る姿は、まるで少年だ。
「で、お前の夢ってのは何なんだ?」
その言葉を聞くと、表情を隠すためのマスクがひきつった気がした。
「……笑わないか?」
「人の夢を笑う奴は死刑だと自負している」
殺人鬼が言うにはおかしなセリフだと思うが、そう思っているのだから仕方がない。
「……そうか、なら言うぞ」
「おお、言え言え」
ゴクリと喉を鳴らし、見えない唇を動かして、ファントムは言った。
「俺、特撮ヒーローになるのが夢なんだ」
それを聞いた瞬間、
「あっっははっはっはっはは!!あっはっはっはっはっははは~~~ッ!!」
DKGは思い切り笑っていた。
「笑わないって言っただろうが……ッ!」
「笑わないなんて約束してないし、お前は都市伝説だろうが~っ!」
まだ笑いは収まらないらしく、腹を抱えてゴロゴロと床を転がりまくる。
DKGの笑いが収まったのは、十分後だった。
「――――ああ、いい年をした男が特撮ヒーローだなんて、おかしいおかしい。久しぶりに盛大に笑っちまったぜ」
「……傷ついた。俺のガラスの心は傷ついた……ッ!!」
ファントムは屈辱的だったらしく、頭を抱え床に額の部分をガンガンと叩きつけている。
「悪かった悪かった。もう笑わないから、続けてくれ」
「……俺はこの恰好で外に出た」
「――――ぶふぅ!?」
「今笑っただろ!? 絶対笑ったな! ゆるさんぞぉお!!」
「笑って無い! その刀をしまって話を続けろ!」
ファントムはいつの間にか霧で作り出した刀を霧に戻し、落ちつきながら話す。
「路地裏を歩いていると、大の大人のはずの、明らかに不良だと一目でわかる連中が中学生一人囲んでいたのさ」
「定番だな」
「事実なのだから仕方がない。それで、俺はその中学生を助ける事にした。パルクールを利用して、アクロバティックな動きで裁いていった」
DKGは人の視点で考えてみる。こんなのが宙を舞いながら人をぶっ飛ばしていたら、それはそれは不気味な光景だろう。
「正体はばれないで、段々と噂になっていった。……調子に乗ってさ、どんどんと活躍していったのさ」
「具体的には?」
「荷物が重くて動けなくなってるおばあちゃんから銀行強盗に拳銃突きつけられてるお姉さんまで、やれることはやった」
「……お前、友達いないだろ」
「いますよ。数えた事はありませんが」
それは、数えられる数だが、絶対に少ないから数えたくないのだろうか?
「それでさ、とうとう都市伝説って言われるぐらいになって、ファントムとか呼ばれてさ。浮かれてたんだよ」
彼は歳は話を聞くに17歳辺りが最年長だろう。つまり未成年だ。よくそこまでになるまでやっていたなと、もう感心してしまうぐらいだ。
「その都市伝説って呼ばれたあたりかな。……ある日、俺はパルクールでいつものように日本を駆け巡っていた。気がつくと、俺はビル群を走りぬけていたんだ」
「落ちたら死ぬな。普通は」
「落ちました」
「そうか…………ってはぁあ!?」
あまりにも普通に言うので、理解するまで数秒かかってしまった。
「……ああ、それで死んで都市伝説ってわけか。不幸な最期だな」
「それだと私が普通の人間でいられるわけがないでしょう?」
もっともなところを指摘され、DKGはうぅ、と唸る。
「じゃあその後どうなったんだよ?」
「見事に着地できました」
「………………マジ?」
「マジマジ」
……重い沈黙が、場を制した。
「おっかっしぃぃいいいいいいいいいいいいいだろぉぉぉおおおおおおぉおおおおおぉぉぉおおぉおおッッッ、がぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「うきゃう!?」
あまりに大きな声でツッコミを入れられてしまったので、ファントムの鼓膜が壊れかけてしまった。
「あのな! パルクールっていうのは難しい体操みたいなモンだろ!? それが本当の忍者みたいにそんな高いところから着地できるかっ!!」
「いやーもー驚きましたもん。自分だって『あ、死んだ』って定番みたいなセリフしか考えられませんでしたもん」
「何でそんな事ができるんだよ! 簡潔に説明しろ!」
「どっかの組織の都市伝説関連のなんやかんやに携わる人が教えてくれたんですが、都市伝説っていうのは人の噂から誕生するんですよね。でも、私の場合本当に存在して、生きていて、器がある……細かいところは覚えていないんですが、嘘と真が混ざって、都市伝説として語られ、その通りに行動しているこの姿に、都市伝説パワーが与えられたんですよ」
成程とうなずき掛けたが、一つ大きな矛盾がある。
「……まあ確かにそんな例もあるかも知れない、少しの矛盾は許そう。だがお前自分の発言には大きすぎる矛盾がある」
「え? どこら辺が?」
マスク越しでも、ファントムがきょとんとしているのが手に取るように分かる
「お前は『この姿に』と言ったな」
「ええ、言いましたね」
「じゃあ人間の姿から……まあ都市伝説パワーと言っておくが……その力で変身するのは、大きな矛盾だ」
うーん、とファントムは腕を組み、照れるように頭をかく。
「実は、都市伝説になる前に、何度かマスク取られているのを見られてまして……正体までは特定されてなかったんですが、人間がなっているんだといわれ、日本ではリアルライダー、ここら辺ではリアルバットマンとも呼ばれるんです、で、変身! とか言えば本当に変身するんじゃないか? とか、装着してるんだとか言われてまして……本来なら後者が正しいんですが、前者もできるらしいんです」
ふと、DKGは思い出す。彼が変身する時に、ものすごく恥ずかしがっていたのを。
……そんな恰好で外に出れて、変身ポーズを見られただけであそこまで恥ずかしがるのはおかしいと思うが。
「……悔しいが、納得してやる」
「それはどうも」
そう言いながらファントムはマスクを外し、黒いコートの下は普通の服に戻る。
「それでは、本題に入らせて頂きましょうか」
そう言いながら椅子に腰かけ、体を預けるファントムの媒体。
「本題?」
「そう、もうあなたに人を殺してほしくないんです」
「……そういやそうだったな」
「だからといって殺し合いに来たわけじゃないんですよ。それにあなたじゃ私に勝てません」
「……まあ、確かに、な」
あれは不意打ちだが、それでも立派な策略。状況を利用するのは、DKGもしていた事だ。策にはまった自分が悪いのだし、何よりこうやって生かされるという事は、話し合いをしたいんだろう。
「前にも言った気がしたが、俺が人を殺すのをやめれば俺は消える。力では最強だが、存在としてはとても弱い。一か月もせずに消えるさ」
「でも、あなた人を殺したくないんでしょ?」
「――――ッ!?」
なぜだ。なぜこの男はそれを知っている?
「見ていれば分かります。組織からは彼方の抹消を頼まれていたんです。でも私も人を殺すのは嫌なので……」
「俺は人じゃない。都市伝説だ」
「私からすれば人も都市伝説も一緒ですよ。……皮肉な事にね」
やれやれー、と言いながら肩をすくめるファントム。
「それに、これは初めてあなたにあった時から思っていたんですが……」
男は一息をつき、真剣な顔つきで言った。
「私と一生を共にするため、契約してください!」
なるほど、と素直に思ったし、とてもうれしかった。
契約、これさえあれば、この男が死なない限り、普通の人間の寿命で生きて、人生を謳歌できるかもしれない。
だが、『私と一生をともにするため』というのはどうなんだろうか?
どこかおかしいと思うのは、気のせいだろうか?
「まあ別に契約なら条件を果たしてるし、俺は別にいいが」
こういうのって、普通逆じゃないか? と聞こうとも思ったが、別の疑問を優先させる。
「一生を共にするためって、愛の告白じゃあるまいし……」
「本気です」
「はい?」
本気の顔つきで、彼はDKGの手を握る。
「一目ぼれですが、私はあなたを一生幸せにします。好きです。大好きです。初めてアナタを見て恋してしまいました」
手から手を離し、彼女を抱きしめる。
「私と契約してください!」
「は!? はぁ!? はぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」
DKGは驚きのあまり、顔を赤くしなが叫んでしまう。
そして彼女は知らなかった。DKGの略称が、『デレデレ・キュート・ガール』のと噂されてしまうということは……。
契約、これさえあれば、この男が死なない限り、普通の人間の寿命で生きて、人生を謳歌できるかもしれない。
だが、『私と一生をともにするため』というのはどうなんだろうか?
どこかおかしいと思うのは、気のせいだろうか?
「まあ別に契約なら条件を果たしてるし、俺は別にいいが」
こういうのって、普通逆じゃないか? と聞こうとも思ったが、別の疑問を優先させる。
「一生を共にするためって、愛の告白じゃあるまいし……」
「本気です」
「はい?」
本気の顔つきで、彼はDKGの手を握る。
「一目ぼれですが、私はあなたを一生幸せにします。好きです。大好きです。初めてアナタを見て恋してしまいました」
手から手を離し、彼女を抱きしめる。
「私と契約してください!」
「は!? はぁ!? はぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」
DKGは驚きのあまり、顔を赤くしなが叫んでしまう。
そして彼女は知らなかった。DKGの略称が、『デレデレ・キュート・ガール』のと噂されてしまうということは……。
……続くのだろうか?
―――――――
何やら言葉のおかしい部分があったので、修正しました。