少女は教室の扉の前に立っていた。
中では朝のホームルームが始まっており、少女は自分が呼ばれるのを待つ。
『それでは、入ってきなさい』
自分に向かって何て口を聞くんだあの教師は! と思うが、ここでは普通の人間としての生活なので、右手で作った拳を左手で抑え込み、扉を開いた。
中には、三十人位の生徒が座っており、こちらに注目している。
少女は教卓に立っていた教師が、黒板に名前を書くように、とサインしている事に気が付き、あまりなじみの無い漢字で、自分の仮の名前を黒板に書いた。
書き終わると、少女は生徒達のいる方を見た。
「今日から転校してきた、本条薫だ。まあ、そこそこよろしく頼む」
初日から、どこか偉そうだった。
中では朝のホームルームが始まっており、少女は自分が呼ばれるのを待つ。
『それでは、入ってきなさい』
自分に向かって何て口を聞くんだあの教師は! と思うが、ここでは普通の人間としての生活なので、右手で作った拳を左手で抑え込み、扉を開いた。
中には、三十人位の生徒が座っており、こちらに注目している。
少女は教卓に立っていた教師が、黒板に名前を書くように、とサインしている事に気が付き、あまりなじみの無い漢字で、自分の仮の名前を黒板に書いた。
書き終わると、少女は生徒達のいる方を見た。
「今日から転校してきた、本条薫だ。まあ、そこそこよろしく頼む」
初日から、どこか偉そうだった。
時は三十分前に遡る。
「…………どうしてもこれを着なきゃいけないのか」
「それが学校ですから」
場所は本条宅、そろそろ学校に行かなければならない時間に、少女――――DKG、またの名を本条薫は、究極の選択を迫られていた。
彼女の手に握られているのは、ブレーザーとミニスカート。雄介の通う学校の女子の制服だ。
実は彼女、アメリカで一カ月だけ普通に学生生活をしていたのだが、あちらでは制服など着た事は無く、私服で通っていた。
その為、さあ学校に行こうとなってから、雄介に制服は行く途中に能力的なもので着るんですか? と言われ、思わず首をかしげてしまった。
薫はスカートに抵抗がある。一々気を使わなくては中身が見えてしまうし、スースーとした感覚が嫌なのだ。このスカートがスースーするというのは、慣れてしまえば感じなくなるのだが、彼女がまだ感じるという事ははき慣れていないという事だ(ちなみに私服はホットパンツかジーンズである)。
「ズボンと言われても今からじゃ用意できませんよ」
「……じゃあ俺がお前のズボンをはくから、お前がこのスカートをはけ」
「断固お断りしますッ!!」
サッ! とズボンを押さえる雄介。それを脱がそうと必死に襲い掛かる薫。
「脱げ! 今すぐ脱げ!」
「嫌です! もうスカートなんてはきたくありません!」
「もうって何だもうって!! まるでスカートをはいたような口だなコノヤロー!!」
「黙秘権発動断固拒否発動! 絶対に私はズボンを脱ぎません!!」
傍から見れば、朝から迫っている彼女に、贅沢な彼氏が拒否している光景に見えるが、二人の心境はそんな生易しいものじゃない。
二人は暴れているうちにタンスにぶつかり、ドサァ! とその上にあった物が流れ落ちてきた。
「なぁ!?」
「うぎゃう!?」
二人は見事に埋もれ(実際そこまで物は無いのだが、そう二人には感じた)、バッ! と積ってきたものをどかした。
「……第二ラウンドいくぞ」
「したくないですっ!」
学生鞄を素早く取り、ベランダから飛び降りる雄介。学生鞄を持っている反対の手でマスクを被り、瞬間変身で見事着地。
「だから! お前はRXか!」
「光太郎よりチートになってやりますよ?」
はーはっはっは! と言いながら逃走する雄介。それを追おうとするが、結局はこの制服を着るしかないという現実に向き合い、制服の上にも積ってしまった物を蹴飛ばして払った。
「ん?」
だが、一つ妙なタイトルのアルバムがあった。
「『ゆーちゃんアルバム』……って、これアイツのか?」
少し興味を持ち、ちょっとだけならとアルバムをめくった。
だが、中身を見た瞬間バッ、と閉じる。
「……アイツも苦労してるな」
自分なんて可愛いもんか、そう思いながら服を脱いだ。
「…………どうしてもこれを着なきゃいけないのか」
「それが学校ですから」
場所は本条宅、そろそろ学校に行かなければならない時間に、少女――――DKG、またの名を本条薫は、究極の選択を迫られていた。
彼女の手に握られているのは、ブレーザーとミニスカート。雄介の通う学校の女子の制服だ。
実は彼女、アメリカで一カ月だけ普通に学生生活をしていたのだが、あちらでは制服など着た事は無く、私服で通っていた。
その為、さあ学校に行こうとなってから、雄介に制服は行く途中に能力的なもので着るんですか? と言われ、思わず首をかしげてしまった。
薫はスカートに抵抗がある。一々気を使わなくては中身が見えてしまうし、スースーとした感覚が嫌なのだ。このスカートがスースーするというのは、慣れてしまえば感じなくなるのだが、彼女がまだ感じるという事ははき慣れていないという事だ(ちなみに私服はホットパンツかジーンズである)。
「ズボンと言われても今からじゃ用意できませんよ」
「……じゃあ俺がお前のズボンをはくから、お前がこのスカートをはけ」
「断固お断りしますッ!!」
サッ! とズボンを押さえる雄介。それを脱がそうと必死に襲い掛かる薫。
「脱げ! 今すぐ脱げ!」
「嫌です! もうスカートなんてはきたくありません!」
「もうって何だもうって!! まるでスカートをはいたような口だなコノヤロー!!」
「黙秘権発動断固拒否発動! 絶対に私はズボンを脱ぎません!!」
傍から見れば、朝から迫っている彼女に、贅沢な彼氏が拒否している光景に見えるが、二人の心境はそんな生易しいものじゃない。
二人は暴れているうちにタンスにぶつかり、ドサァ! とその上にあった物が流れ落ちてきた。
「なぁ!?」
「うぎゃう!?」
二人は見事に埋もれ(実際そこまで物は無いのだが、そう二人には感じた)、バッ! と積ってきたものをどかした。
「……第二ラウンドいくぞ」
「したくないですっ!」
学生鞄を素早く取り、ベランダから飛び降りる雄介。学生鞄を持っている反対の手でマスクを被り、瞬間変身で見事着地。
「だから! お前はRXか!」
「光太郎よりチートになってやりますよ?」
はーはっはっは! と言いながら逃走する雄介。それを追おうとするが、結局はこの制服を着るしかないという現実に向き合い、制服の上にも積ってしまった物を蹴飛ばして払った。
「ん?」
だが、一つ妙なタイトルのアルバムがあった。
「『ゆーちゃんアルバム』……って、これアイツのか?」
少し興味を持ち、ちょっとだけならとアルバムをめくった。
だが、中身を見た瞬間バッ、と閉じる。
「……アイツも苦労してるな」
自分なんて可愛いもんか、そう思いながら服を脱いだ。
そして現在に至る。
「はい、それじゃあ恒例の『転校生に質問タイム』! 雄介、変な質問はするなよ!」
教師は、後ろの席に座っている雄介に向かって注意をしている。
問題児なのだろうか? と少し首を掲げる薫。薫の知っている雄介というのは、いつも笑っていて基本的に敬語を使い、身だしなみがきっちりとしており、家でやっている宿題をぱぱっと終わらせ、さらにぱぱっと夕食を作ってしまう、いわば完璧少年というイメージ……いや、少し変なところもあるが。
「先生! 私がいつ変な質問したって言うんですか!」
「研修の先生に『あなたのストライクゾーンに子供は入っていますか?』と聞くのは十分変な質問だ」
(……なんだ、いつも通りか)
薫としてはもう質問タイムとかはしてほしくないのだが、生徒たちが期待の目で見てくるのだから、無理と言って断るのも印象悪いか、と思っているのだから、最初の一声で台無しになっている事に気が付いていない。
「はい、それでは雄介以外の質問を受け付けるぞー」
「ひどいっ! 先生ひどいですっ!」
勝手に教師が進めているが、確かに雄介は変な質問をしてきそうなので、口は出さない。
「それじゃ、名前順で進めるぞー」
そう教師が言うと、相沢という生徒が、一つ大きな爆弾を落としてきた。
「はい、それじゃあ恒例の『転校生に質問タイム』! 雄介、変な質問はするなよ!」
教師は、後ろの席に座っている雄介に向かって注意をしている。
問題児なのだろうか? と少し首を掲げる薫。薫の知っている雄介というのは、いつも笑っていて基本的に敬語を使い、身だしなみがきっちりとしており、家でやっている宿題をぱぱっと終わらせ、さらにぱぱっと夕食を作ってしまう、いわば完璧少年というイメージ……いや、少し変なところもあるが。
「先生! 私がいつ変な質問したって言うんですか!」
「研修の先生に『あなたのストライクゾーンに子供は入っていますか?』と聞くのは十分変な質問だ」
(……なんだ、いつも通りか)
薫としてはもう質問タイムとかはしてほしくないのだが、生徒たちが期待の目で見てくるのだから、無理と言って断るのも印象悪いか、と思っているのだから、最初の一声で台無しになっている事に気が付いていない。
「はい、それでは雄介以外の質問を受け付けるぞー」
「ひどいっ! 先生ひどいですっ!」
勝手に教師が進めているが、確かに雄介は変な質問をしてきそうなので、口は出さない。
「それじゃ、名前順で進めるぞー」
そう教師が言うと、相沢という生徒が、一つ大きな爆弾を落としてきた。
「名字が本条ですけど、あそこにいる本条君とは親戚ですか?」
(そうだった……)
その質問に、思わず頭を抱えてしまう薫。それが失敗だった。
「(……おい、本条との関係聞かれて転校生がうなだれてるぞ)」
「(……そう言えば、俺本条と家一緒なんだけど、昨日本条の家にあの子入っていくの見たぞ)」
「(……えー! じゃあ何? 転校生は本条の嫁か!? 本条爆発しろ!)」
何故か話がドンドンと大きくなり、収拾がつかなくなっていく始末。
(……ちくしょうちくしょうドちくしょう……! いっそ殺せぇ!!)
思わぬ事態に、頭を抱えたまま顔を上げられない始末。
「(……そういえば、前にリムジンの迎えでどっか行ったことあったよな)」
「(え!? じゃあもしかしてその時顔合わせしてたんじゃ!!)」
「(……本条って高校になってからこっち来たから、親しい友達とかいなくて、情報が全くないから謎だよな)」
これは薫も初耳だが、今はどうでもいい。
薫は助けを求めるように雄介を見てしまう。そんな薫を見て、雄介は微笑みながらうなずく。
そんな彼を見て、ほっと安心した。いや、してしまった。
雄介は机の上に立ち上がった。
その質問に、思わず頭を抱えてしまう薫。それが失敗だった。
「(……おい、本条との関係聞かれて転校生がうなだれてるぞ)」
「(……そう言えば、俺本条と家一緒なんだけど、昨日本条の家にあの子入っていくの見たぞ)」
「(……えー! じゃあ何? 転校生は本条の嫁か!? 本条爆発しろ!)」
何故か話がドンドンと大きくなり、収拾がつかなくなっていく始末。
(……ちくしょうちくしょうドちくしょう……! いっそ殺せぇ!!)
思わぬ事態に、頭を抱えたまま顔を上げられない始末。
「(……そういえば、前にリムジンの迎えでどっか行ったことあったよな)」
「(え!? じゃあもしかしてその時顔合わせしてたんじゃ!!)」
「(……本条って高校になってからこっち来たから、親しい友達とかいなくて、情報が全くないから謎だよな)」
これは薫も初耳だが、今はどうでもいい。
薫は助けを求めるように雄介を見てしまう。そんな薫を見て、雄介は微笑みながらうなずく。
そんな彼を見て、ほっと安心した。いや、してしまった。
雄介は机の上に立ち上がった。
「薫は私の嫁だ!! 何人たりとも触れることは許さない!!」
雄介の顔面に、薫が教卓を投げつけてしまったのは、仕方がない事である。
続くといいな……