【鬼ごっこ】
「ハァ……、ハァ……」
闇夜の田舎道。
追われる少女。
追われる少女。
「ずいずいずっころばしごまみそずい」
遠くから男の声が聞こえてくる。
「茶壺に追われてとっぴんしゃん」
「抜けたら、どんどこしょ」
声が、増える
「俵のねずみが米食ってちゅう、ちゅうちゅうちゅう」
四つ辻にたどり着く。
暗くて何も見えない中、自らの荒い息遣いと不気味な声だけが彼女を追いかけてきた。
暗くて何も見えない中、自らの荒い息遣いと不気味な声だけが彼女を追いかけてきた。
「おっとさんがよんでも、」
「おっかさんがよんでも、」
「行きっこなしよ」
「おっかさんがよんでも、」
「行きっこなしよ」
囲まれた。
彼女が来たのと真逆の三方向から童謡が聞こえてきた。
彼女が来たのと真逆の三方向から童謡が聞こえてきた。
「井戸のまわりで、」
何も見えないのに、声だけが近づいてくる。
「お茶碗欠いたのだぁ…………」
少女の脚に冷たい感触が走る。
何かが足を掴んでいる。
何かが足を掴んでいる。
「ひ…………」
ゆっくりと足元を見下ろす。
そこには顔が半分崩れたようになっている蜘蛛男が居た。
蜘蛛男はニタァ、と笑う
そこには顔が半分崩れたようになっている蜘蛛男が居た。
蜘蛛男はニタァ、と笑う
「捕まえたァ……!」
ペタリ、ペタリペタリペタリペタリタリ
いくつもの手の感触が彼女の身体に走る。
顔に、胸に、手足に、背骨の窪みに、項に、臀部に、大腿の内側に
体中触られていないところが無いくらいに撫で回されて体温を奪われていく。
助けを呼ぼうとしても喉は凍りつき声が出ない。
走ろうとしても足が動かない。
せめてもの思いで伸ばした手。
いくつもの手の感触が彼女の身体に走る。
顔に、胸に、手足に、背骨の窪みに、項に、臀部に、大腿の内側に
体中触られていないところが無いくらいに撫で回されて体温を奪われていく。
助けを呼ぼうとしても喉は凍りつき声が出ない。
走ろうとしても足が動かない。
せめてもの思いで伸ばした手。
「捕まえた。」
暖かな人の手。
伝わってくる体温。
彼女の手を引き締まった顔立ちの男性が掴んでいた。
男は彼女を蜘蛛の群れの中から引きずりだす。
男は革のロングコートから札を一枚取り出して宙に投げた。
伝わってくる体温。
彼女の手を引き締まった顔立ちの男性が掴んでいた。
男は彼女を蜘蛛の群れの中から引きずりだす。
男は革のロングコートから札を一枚取り出して宙に投げた。
「お前は誰だ!」
蜘蛛男の戸惑ったような声。
「破ァ!」
札は掛け声と共に鳥の姿をした真っ赤な炎に変身し、少女を守るようにして飛び回る。。
それに怯えた蜘蛛男達は一斉に少女から離れた。
火の鳥の清い明かりに照らされた今ならば少女にも解る。
三匹どころではなかった。
数えきれない数の蜘蛛の群れがそこには居たのだ。
それに怯えた蜘蛛男達は一斉に少女から離れた。
火の鳥の清い明かりに照らされた今ならば少女にも解る。
三匹どころではなかった。
数えきれない数の蜘蛛の群れがそこには居たのだ。
「大丈夫だったか?下がっていなさい。」
「え、え、あ、ありがとうございます!」
「え、え、あ、ありがとうございます!」
男は少女をかばうようにして前に出ると懐から一枚の紙切れを出す。
「己ぇええ!陰陽師か!儂の食事を!」
男は指を鳴らす。
快音と共に水で出来た龍が現れて、すぐさま巨大化して鉄砲水を巻き起こす。
蜘蛛の群れを一瞬で押し流し、あっという間に周囲は静寂を取り戻した。
快音と共に水で出来た龍が現れて、すぐさま巨大化して鉄砲水を巻き起こす。
蜘蛛の群れを一瞬で押し流し、あっという間に周囲は静寂を取り戻した。
「すごい!あんなにたくさん居たのに!」
「あれは全てまやかしだ、本体は……」
「まあ良いわ……娘ともども食い殺してくれよう!」
「あれは全てまやかしだ、本体は……」
「まあ良いわ……娘ともども食い殺してくれよう!」
道の向こう側にぽつんと立っている蜘蛛男。
一見、他の分身と変わらない姿である。
しかしあれこそがあの化物の本体。
一見、他の分身と変わらない姿である。
しかしあれこそがあの化物の本体。
「うごああああああああああああああああああ!」
この世のものとも思えぬ叫び声と共に蜘蛛男の背中が割れる。
八本の足が割れた背中から伸び、人間の面影を残していた顔は溶けて異形のそれへと変貌を始めた。
青白い月光を照り返す真っ黒な身体に赤い文様が浮かび上がる。
ぬらぬらとした体液を辺りに撒き散らしながら不快な唸り声をあげ、化け蜘蛛は少女に襲いかかってきた。
八本の足が割れた背中から伸び、人間の面影を残していた顔は溶けて異形のそれへと変貌を始めた。
青白い月光を照り返す真っ黒な身体に赤い文様が浮かび上がる。
ぬらぬらとした体液を辺りに撒き散らしながら不快な唸り声をあげ、化け蜘蛛は少女に襲いかかってきた。
「出てこい善鬼!」
二頭身の鬼が蜘蛛の足を食い止める。
鬼は腰から斧を取り出すと蜘蛛の足をまっぷたつにした。
緑色の液体が男と少女の足元にまで飛び散る。
鬼は腰から斧を取り出すと蜘蛛の足をまっぷたつにした。
緑色の液体が男と少女の足元にまで飛び散る。
「触れるな!」
「きゃっ!」
「きゃっ!」
男が咄嗟に少女を突き飛ばす。
液体がかかった男の服が白い煙をあげて溶けている。
液体がかかった男の服が白い煙をあげて溶けている。
「こ、これは一体……!?」
「ああいう化物の体液は何でも溶かしてしまう性質があるんだ。
警告を忘れていたよ。済まなかったね。」
「ああいう化物の体液は何でも溶かしてしまう性質があるんだ。
警告を忘れていたよ。済まなかったね。」
転んだ少女に手を差し伸べる男。
「あれって一体何なんですか?」
「あれは妖怪、今は都市伝説と呼ばれることが多い。
昔は私のような人間が封じて回っていたのだが……時代は変わってしまった。」
「ぬおおおおお!どかぬか鬼めぇ!」
「行け業鬼!」
「あれは妖怪、今は都市伝説と呼ばれることが多い。
昔は私のような人間が封じて回っていたのだが……時代は変わってしまった。」
「ぬおおおおお!どかぬか鬼めぇ!」
「行け業鬼!」
刀を持った鬼が蜘蛛に飛びかかる。
善鬼と業鬼と呼ばれた二体の鬼が蜘蛛の足を次々と落としていく。
善鬼と業鬼と呼ばれた二体の鬼が蜘蛛の足を次々と落としていく。
「ぬおおおおおおお!やめろ!やめんか!」
「ふん、いい具合に弱ってきたな。そろそろやるか……。」
「やるって?」
「まあ見てなさい。昔からこの国の人間はこうやって妖怪に対抗してきたんだよ。
「ふん、いい具合に弱ってきたな。そろそろやるか……。」
「やるって?」
「まあ見てなさい。昔からこの国の人間はこうやって妖怪に対抗してきたんだよ。
男は息を大きく吸って朗々と呪文を詠唱し始める。
「元柱固真、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐い、
奇動霊光四隅に衝徹し、元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて五陽霊神に願い奉る」
奇動霊光四隅に衝徹し、元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて五陽霊神に願い奉る」
男が朗々と呪文を唱えるたびに蜘蛛の身体は崩れ落ちていく。
「臨兵闘者 皆陳列在前!」
「ぎゃあああああああああああ!」
「ぎゃあああああああああああ!」
完全に身体が崩れ落ちる寸前に男は蜘蛛に札を投げつける。
するとあっという間に蜘蛛は札の中に吸い込まれていった。
するとあっという間に蜘蛛は札の中に吸い込まれていった。
「終わったか……」
「あの、今のは……。」
「封印したんだよ、倒すだけではすぐに再び現れるからね。」
「えっと……。」
「行こうか。」
「え?」
「君のご両親の所にだ。」
「え?」
「道は知っている、車に乗りなさい。」
「そ、そんなちょっと……やめてくださいってお姫様だっこって!私重いです!」
「鍛えてますから!」
「あの、今のは……。」
「封印したんだよ、倒すだけではすぐに再び現れるからね。」
「えっと……。」
「行こうか。」
「え?」
「君のご両親の所にだ。」
「え?」
「道は知っている、車に乗りなさい。」
「そ、そんなちょっと……やめてくださいってお姫様だっこって!私重いです!」
「鍛えてますから!」
いつの間にやらそこにあったのは黒塗りのGT-R
男に無理やり車に押し込まれる少女。
少女の抵抗にもかかわらず車は彼女の家に向かって発進したのであった……。
男に無理やり車に押し込まれる少女。
少女の抵抗にもかかわらず車は彼女の家に向かって発進したのであった……。
【鬼ごっこ to be continued……?】