【鬼ごっこ 第二話「かぞくごっこ」】
雀の鳴き声が聞こえる。
朝日が顔を照らし出す。
ゆっくりと目を開く。
朝日が顔を照らし出す。
ゆっくりと目を開く。
「…………あっ、そうだ!」
昨日私は家出をしようとしてその途中で蜘蛛に襲われて助けてもらって……
「おお、眼を覚ましたみたいだね。」
私の目の前でにこやかに微笑むイケメンのオジサン。
いやオジサンというと失礼なんだけどお兄さんっていうのも少し違うっていうかさあ……。
そう、とにかく私はこの人に助けてもらっ……あれ?
昨日は暗かったから良く分からなかったけど見覚えがある。
いやオジサンというと失礼なんだけどお兄さんっていうのも少し違うっていうかさあ……。
そう、とにかく私はこの人に助けてもらっ……あれ?
昨日は暗かったから良く分からなかったけど見覚えがある。
「お義父さん、お義母さん、眼を覚ましましたよ。」
「あら良かったわ!」
「ありがとうございます!」
「あら良かったわ!」
「ありがとうございます!」
お父さん、お母さんが慌てて部屋に入ってくる。
「茉莉!大丈夫だったか?」
「貴方が妖怪に襲われたって聞いてどれだけ心配したか!」
「ちょ、ちょっとまってお父さんお母さんなんで二人とも当たり前に妖怪とか言っちゃってるの!?」
「貴方が妖怪に襲われたって聞いてどれだけ心配したか!」
「ちょ、ちょっとまってお父さんお母さんなんで二人とも当たり前に妖怪とか言っちゃってるの!?」
二人の口から当たり前に飛び出す非日常的な単語。
普通とか、日常とか、そういうものを一番に尊んで生きてきた私の生活の基盤が音を立てて砕けていく。
普通とか、日常とか、そういうものを一番に尊んで生きてきた私の生活の基盤が音を立てて砕けていく。
「その話をする前におまえが飛び出していっちゃうから……。」
「そうよ、人の話は最後まで聞きなさい。」
「あったりまえでしょ!いきなり『貴方は私たちの子供じゃないの……』とか言われたら驚くわよ!」
「お義父さん、お義母さん、やっぱりそういう話は急には不味いですって。」
「そうだったか……」
「話す踏ん切りが中々つかなくってねえ……。」
「そうよ、人の話は最後まで聞きなさい。」
「あったりまえでしょ!いきなり『貴方は私たちの子供じゃないの……』とか言われたら驚くわよ!」
「お義父さん、お義母さん、やっぱりそういう話は急には不味いですって。」
「そうだったか……」
「話す踏ん切りが中々つかなくってねえ……。」
私を置き去りにして加速する会話。
一体彼らは何を言っているのだろうか……。
一体彼らは何を言っているのだろうか……。
「いいか茉莉、お父さんは何処で働いているか知っているか?」
「え、いや総務省で働いていて天下りで今は第三セクターのなんたらかんたらって……。」
「すまん、実は嘘をついていたんだ。」
「いえいえ聡一さん、嘘は吐いていないでしょう。言っていない事が有っただけで……。」
「そうは言ってもだねえたちばな君。」
「良いから説明してよ!」
「ああ解ったよ、良いか茉莉、昨日お前が見たように世間には“ああいうもの”が居る。
そしてお前の本当のお母さんは“ああいうもの”と戦う陰陽師だったんだ。
私は国の命令で総務省に所属し陰陽師を補助する仕事についていた。
激しい戦闘で君のお母さんは命を失い、その頃からお前をあずかっていた私たちが君をそのまま育てることになったんだ。
たちばな君は彼女と組んで戦っていた陰陽師なんだ。」
「…………。」
「理解出来ないって顔だね。」
「はい。」
「でも見てしまったね?」
「うぅ……。」
「え、いや総務省で働いていて天下りで今は第三セクターのなんたらかんたらって……。」
「すまん、実は嘘をついていたんだ。」
「いえいえ聡一さん、嘘は吐いていないでしょう。言っていない事が有っただけで……。」
「そうは言ってもだねえたちばな君。」
「良いから説明してよ!」
「ああ解ったよ、良いか茉莉、昨日お前が見たように世間には“ああいうもの”が居る。
そしてお前の本当のお母さんは“ああいうもの”と戦う陰陽師だったんだ。
私は国の命令で総務省に所属し陰陽師を補助する仕事についていた。
激しい戦闘で君のお母さんは命を失い、その頃からお前をあずかっていた私たちが君をそのまま育てることになったんだ。
たちばな君は彼女と組んで戦っていた陰陽師なんだ。」
「…………。」
「理解出来ないって顔だね。」
「はい。」
「でも見てしまったね?」
「うぅ……。」
つまり私の平和な生活は帰って来ないというのか……
「で、ここまでが昨日しようと思っていた話。」
「まだ有るの?」
「まだあるのよ。」
「勘弁してよお母さん……。」
「まあそのなんだ、茉莉も年頃の女の子だし、非常に言いづらいのだが……」
「なんなのお父さん!?」
「いえお待ちくださいお義父さん、その話は俺からします。」
「ああ、頼んだよ。たちばな君。」
「っていうかなんでその……たちばなさんは私の両親のことをお父さんお母さんって呼んでるの?」
「今から話すのが正にその話なんだ。」
「え?」
「状況が状況だからできなかったけどまずは自己紹介。
俺の名前は崩月たちばな、たちばなってのは平仮名だから注意な。」
「まだ有るの?」
「まだあるのよ。」
「勘弁してよお母さん……。」
「まあそのなんだ、茉莉も年頃の女の子だし、非常に言いづらいのだが……」
「なんなのお父さん!?」
「いえお待ちくださいお義父さん、その話は俺からします。」
「ああ、頼んだよ。たちばな君。」
「っていうかなんでその……たちばなさんは私の両親のことをお父さんお母さんって呼んでるの?」
「今から話すのが正にその話なんだ。」
「え?」
「状況が状況だからできなかったけどまずは自己紹介。
俺の名前は崩月たちばな、たちばなってのは平仮名だから注意な。」
聞いたことがある。
テレビや雑誌の占い特集で良く名前を見る占い師の人と同じ名前だ。
見覚えがあると思ったらそういうことか。
テレビや雑誌の占い特集で良く名前を見る占い師の人と同じ名前だ。
見覚えがあると思ったらそういうことか。
「普段は妖怪退治やら占いのお仕事でお金を稼いでいます。
最近は契約者のせいで妖怪退治の仕事が減っているので占いがメインね。」
「あ、あの……私見たことあります!テレビとかで!」
「それはありがたい。陰陽庁からの補助金も減ってねえ……。」
「私も上と掛け合っては居るんだがこの財政難だ、厳しいことを言ってくれるな。
人間にとっての脅威は妖怪だけではない、無能な政治家(オエライサン)や続く天災がなあ……。」
「解ってますよ、だからテレビに出たりしてるわけで。
そもそも陰陽師の仕事とは吉凶を占い、人々を幸せにすることですから。
決してお役所に金の無心をすることでは……」
「めっちゃ根に持ってるじゃん!めっちゃ不満タラタラじゃん!」
「こんなんじゃあ弟子食わせていけませんよ……。」
「と、とりあえずお話を元に戻しましょう?
あなた、それにたちばな君、厳しい話ばっかりしててもしょうがないでしょ?」
「そうですね、本題に戻しましょう。」
「えーっと、茉莉ちゃん。」
「はい。」
「君の本当のお母さんの遺言でね。」
「はい。」
「俺は君の許嫁らしいんだ。」
「はい。」
最近は契約者のせいで妖怪退治の仕事が減っているので占いがメインね。」
「あ、あの……私見たことあります!テレビとかで!」
「それはありがたい。陰陽庁からの補助金も減ってねえ……。」
「私も上と掛け合っては居るんだがこの財政難だ、厳しいことを言ってくれるな。
人間にとっての脅威は妖怪だけではない、無能な政治家(オエライサン)や続く天災がなあ……。」
「解ってますよ、だからテレビに出たりしてるわけで。
そもそも陰陽師の仕事とは吉凶を占い、人々を幸せにすることですから。
決してお役所に金の無心をすることでは……」
「めっちゃ根に持ってるじゃん!めっちゃ不満タラタラじゃん!」
「こんなんじゃあ弟子食わせていけませんよ……。」
「と、とりあえずお話を元に戻しましょう?
あなた、それにたちばな君、厳しい話ばっかりしててもしょうがないでしょ?」
「そうですね、本題に戻しましょう。」
「えーっと、茉莉ちゃん。」
「はい。」
「君の本当のお母さんの遺言でね。」
「はい。」
「俺は君の許嫁らしいんだ。」
「はい。」
ん?
「え?」
「許嫁って解る?」
「いえそれは解りますけど。」
「君のお母さん、まあ今の俺と同じくらいの年だったな。
俺は彼女とタッグを組んで気に入られていて……
まあタッグと言っても弟子と師匠みたいだったけど。
娘を頼むと言われたけどそこまで頼まれていたとは知らなかったよ……。」
「許嫁って解る?」
「いえそれは解りますけど。」
「君のお母さん、まあ今の俺と同じくらいの年だったな。
俺は彼女とタッグを組んで気に入られていて……
まあタッグと言っても弟子と師匠みたいだったけど。
娘を頼むと言われたけどそこまで頼まれていたとは知らなかったよ……。」
芦薬茉莉、十三歳。
どうにも予想以上の人生の岐路に立たされちゃってるみたいです。
どうにも予想以上の人生の岐路に立たされちゃってるみたいです。
「で、君にはこれから僕と一緒に暮らして貰わなくてはいけない。」
「なんでですか。」
「ちなみにこのことについて君に選択権はない。
齢十三を超えると人間の心の力にも匂いがつくからね。
君の心の力はとくに化物を引き寄せやすいんだ。」
「なんでですか。」
「ちなみにこのことについて君に選択権はない。
齢十三を超えると人間の心の力にも匂いがつくからね。
君の心の力はとくに化物を引き寄せやすいんだ。」
岐路ですらなかったようです。
「お義父さんやお義母さんを危険に晒すわけにはいかない。
俺の家で俺の妻として弟子の世話を手伝ってもらうよ。」
「そ、そんなぁ!?」
「すまない茉莉、こんな大事なことをお前に黙っていて……。」
「偶には帰ってきてね。血はつながっていなくても私たちは貴方の両親よ。」
俺の家で俺の妻として弟子の世話を手伝ってもらうよ。」
「そ、そんなぁ!?」
「すまない茉莉、こんな大事なことをお前に黙っていて……。」
「偶には帰ってきてね。血はつながっていなくても私たちは貴方の両親よ。」
両親ともに全力で送り出すモードである。
どうやら抵抗は諦めたほうが良いらしい。
どうやら抵抗は諦めたほうが良いらしい。
「せ、せめてその許嫁云々のところだけでも!」
「じゃあ陰陽師になる?」
「いやそれもちょっと……」
「文句は君のお母さんに言ってくれ……。
……ああ、あれか。そうだよな、こんなオジサンじゃいやだよな……。
せめてイケメンな……デビューしたてくらいの俺だったら良かったのかな。」
「じゃあ陰陽師になる?」
「いやそれもちょっと……」
「文句は君のお母さんに言ってくれ……。
……ああ、あれか。そうだよな、こんなオジサンじゃいやだよな……。
せめてイケメンな……デビューしたてくらいの俺だったら良かったのかな。」
急にいじけ始めるたちばなさん。
普段整った顔立ちをしているだけにその落差が可笑しい。
……イカンイカン、ちょっと可愛いとか思ってしまった。
普段整った顔立ちをしているだけにその落差が可笑しい。
……イカンイカン、ちょっと可愛いとか思ってしまった。
「週に一度は帰って来られるようにするし、学校はいつも通り通えるように手を打っている。
家もここから近いし安心してくれよ。」
家もここから近いし安心してくれよ。」
ポンと肩に手を置かれる。
たちばなさんが優しく微笑む。
たちばなさんが優しく微笑む。
「君のお母さん、小夜子さんに頼まれた以上、俺が必ず君を守るから。」
伝わってくる手の温もりは紛れもなく昨日と同じ。
暖かくて大きくて優しい手。
昨日と全く同じだった。
暖かくて大きくて優しい手。
昨日と全く同じだった。
【鬼ごっこ 第二話「かぞくごっこ」】