「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-65

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
「UFO」母艦内―――
複雑な計器やコンピュータを、何十人ものグレイ型の「エイリアン」が大慌てで操作している
巨大なキャノピーからは外の景色は臨めず、代わりに黒い煙がもうもうと立ち上っているのが見えた
体育館程も広い操縦室の真ん中で、軍服を着た裂邪が大声で怒鳴る

「おい! 状況はどうなってる!? 拠点破壊高出力レーザー砲は!?」
「駄目デス、完全ニ大破シテマス」
「すぐに修理させろ!」
「ソ、ソレガ……エンジンルームマデ損害ガ広ガッテオリ、ソチラニ手一杯デ……」
「何だと…!? くそっ、あのクソガキ共がぁ!!」
「どっちがクソガキだよ」
「貴様等に決まって――――――ッ!?」

振り返ると、そこにはさっきまで地上にいた筈の裂邪達が、ずらりと並んで立っていた

「ご、ご主人様そっくり…でもやっぱり本物のご主人様の方がかっこいいです」
「コンナ時ニ何ヲ言ッテルンダ;」
「貴様等…いつからそこに!?」
「ついさっきだよ。あとたった今これも返して貰ったぞ」

裂邪は左手に持った黄金色のパスを見せつけた
軍服の裂邪に奪われた、「レイヴァテイン」が封印された新型契約書
一瞬、ハッとした軍服裂邪だったが、すぐにまた笑みを作り出した

「…ふん、どうせ解析不能で用途がさっぱりだったものだ、くれてやる」
「どうも。ただこれだけじゃ収まらないんでね」

パスをバックルに翳す
《レイヴァテイン》と機械音声が流れ、黄金のパスは黄金の鎌に変化した
右手に「ティルヴィング」、左手に「レイヴァテイン」を携え、身構える裂邪
シェイド達も、少女裂邪も、それぞれ戦闘態勢に入っていた

「お前の首も貰うぞ、支配者さんよぉ!」
「……ッヒヒヒヒヒヒ…ヒハハハハハハハハハハハ!!
 この俺の首を取るだと? 世界を掌握し、異世界をも掌握するであろうこの俺を討ち取るというのか!?」

光線銃を構える「エイリアン」達に武器を下げさせ、パチン、と指を鳴らす
すぐさま「エイリアン」の1人が、コンピュータを弄り始めた

「良かろう、その勇気と愚かさに免じて……遊んでやろう
 光栄に思うが良い! 支配者たるこの俺が、直々に貴様等を一人残らずぶっ殺してやる!!」

ずずんっ!!と音を立てて、頭上から何かが投下された
それはどうやら、怪獣型の戦闘兵器のようだった
装甲は煌びやかなシルバーメタリック
手足には鋭い刃で出来た爪があるが、両腕はかなり短く、超至近距離の目標にしか当たらないだろう
その代わりに、背部の左右には巨大なシールド付きのシザークローが配備されていた
頭部にも角があり、口には鋭い牙のようなものも並んでいて、口腔には砲門が見える
長く太い尻尾、冷たく光る眼、ファンを備えたブースターパック
色も違い、無数のコードに繋がれてはいるが、裂邪達は一目見てそれが何なのか理解した

「「ジェノブレイカー!?」」
「「「「何ゆえゾイド!?」」」」
「ヒハハハハハハ! その通り、これこそが我が軍の科学力を結集して作り上げた最終兵器!」

腹部のハッチが開くと、軍服裂邪がそこに乗り込んだ
ジェノブレイカーが動き出し、雄々しい雄叫びを上げる

【全員、レーザー砲とエンジンルームの修理に回れ! 遅れた者、逆らう者は皆ここで殺す!!】
「「「「「「イ、Yes Sir!!」」」」」」

グレイ型「エイリアン」達は大急ぎで操縦室から出、損壊部の修理へ向かった

「…けっ、随分と余裕じゃねぇか、舐められたもんだなぁ俺様達も」
【舐めているのは貴様らだろ? 散々俺をコケにしやがって…この罪は重いぞ!!】

ブースターが火を噴き、ジェノブレイカーが動き出す
コードには繋がれているが、そのスピードは伊達ではない
一瞬にして裂邪との距離を縮め、シールドに格納されたシザークローを展開する

【くたばれぇ!!】
「断る!!」

甲高い金属音と共に、ぶつかりあう4本の刃
黄金の鎌と白銀の剣が火花を散らして、ジェノブレイカーのシザークローを止めていた

【ウヒヒヒヒヒ、隙だらけだ愚か者!】

反対側のシザークローが展開され、両手の塞がった裂邪を狙う

「させないわ!」
「ご主人様!」

少女裂邪の掌から黒い光が放たれる
ミナワがシャボン玉の付いた『バブロッド』をぶつける
ジェノブレイカーはその動きを予測していたかのように、シザークローを格納してシールドで双方の攻撃を防ぎ、
裂邪を弾き飛ばして背後にジャンプした

「そんなっ、『シュヴァルツ・リヒト』が効かない!?」
「っく、シェイド!理夢!ウィル!」

裂邪の声と同時に、ジェノブレイカーの真下から無数の腕が伸び、
理夢が爪を立て、ウィルは火の鳥の姿を取って上から攻める
しかしその全ての攻撃も、ジェノブレイカーが張ったバリアによって防がれてしまった

「チッ…思ッタ以上ニ機動力ガ高イナ
「ぁんだ今のバリア!? 反則だろうが!!」
【ヒハハハハハハ! 馬鹿め、貴様ら如きの攻撃が通る訳ないだろう!?
 このジェノブレイカーはマザーコンピュータと直接リンクしている…
 例え集団で襲いかかろうと、0.01秒で演算処理できんだよぉ!!
 そぉもそも、この装甲はオレイカルコス鋼を使用した特殊合金だ、そう易々とは破れんぞ!!】
「旦那ァ! どうやら口先ばっかりじゃあなさそうですぜ!?」
「完璧なコンピュータなんてあるものか! 攻撃を続けろ!
『忙しいな、君も』
「お前もやるんだよ! 『トータラージーク』!」
『は? あぁ、はいはい』

裂邪が「ティルヴィング」の切っ先をジェノブレイカーに向けた瞬間、白い光条が真っ直ぐに放たれる
それもまた、ジェノブレイカーのバリアによって遮られた

【何度やろうが同じ事だ! 貴様等はこの俺に触れることすらできない―――――】

がんっ!とシールド越しに破裂音が響く
ミナワが『ブレイカブル』で攻撃していたらしいが、やはり傷は付いていない
だが、軍服裂邪は気に入らなかった

【き、貴様等ぁ………無駄だというのが何故分からんのだぁ!?】

シザークローを広げ、少女の身体を引き裂かんとするジェノブレイカー
それが彼の、唯一のミスだった

「隙有りっ! 『シュヴァルツ・リヒト』!」

黒い光が、シールドの裏側に命中し爆発を起こす
一瞬怯んだ軍服裂邪だったが、レーダーが次の襲撃に反応した

「「『ミットライト』ォ!!」」

突き進んでくる炎の塊
ウィルを纏った理夢が、意思のある隕石のように突撃する
シールドを構え、バリアを張る態勢を取るが

【……っば、馬鹿な、バリアが張れない!?―――――――ぐあぁっ!?】

直撃
突き飛ばされたジェノブレイカーは、ブースターを点火してすぐに態勢を整える

「『角刀影(ツノトカゲ)』、『レイヴァテイン・カタナ』」

気付いた時には既に遅かった
口に黄金の刀を咥え、右手に漆黒の刀、左手に白銀の剣を構えた裂邪が、猛スピードで駆けてくる
シザークローを展開し、攻撃に備える軍服裂邪

【舐めるな! バリアなど無くとも、そんな攻撃ィ!!】
「三刀流奥義……『シュトゥルム・ウント・ドランク』!」

ジャンプして空中で身体を捻り数回転
向かい来るシザークローを全て弾き返し、ボディを蹴って軽やかにバック宙を決め込んで着地した後にバックステップ

「…我が剣に、断てぬ物無し!」

刹那、甲高い音と共に4本のシザークローが弾けるように分断され、ぼろぼろとフロアに落ちた

【何っ……!? な、何故特殊合金のシザークローが…!?】
「簡単だ、「レイヴァテイン」は“破滅”を司る武器。斬る瞬間に破滅の力を集中させた
 「ティルヴィング」は鉄さえも豆腐のように斬れる程の切れ味だから、金属はお手のもんだ
 そしてシェイドの『角刀影』は、実はただの防御だったりする」
「全ク、ショックナ話ダ」

いつの間にか元の姿に戻っていたシェイドが、わざとらしく首を振って悲しげに呟く
ミナワや理夢達も、彼の元に駆け寄ってきた

「形勢逆転、と言った感じですね」
「直感でシールドの裏を狙ったんだけど、まさか本当に無力化できるなんて…」
「ククク、結果オーライって奴だ」
【………どこまでも俺をコケにしやがって……もういい】

ジェノブレイカーの口が大きく開き、ブースターに配備されたファンが高速回転を始める
砲門が、強い輝きを放ち始めた瞬間に、裂邪は「やばい」と零した

「っミナワ!『バリアブル』! ナユタは『ザンクトゥーアリウム』!」
「はいご主人様!」
『仰せのままに』
【ヒハハハハハハハハ!! 荷電粒子砲、発射ァ!!!】

ジェノブレイカーの口から、轟音と共にドス黒い光条が解放される
それは途中で幾本にも分岐し、シャボン玉と紫炎に直撃した

「うっ………す、凄いっ、威力ですっ……!!」
『こ、こんな事が……僕の「ヴァルプルギスの夜」がっ、押されているというのか……!?』
【ウヒヒヒヒヒヒ、この荷電粒子砲に使用されている粒子は対都市伝説用に俺が作らせた特殊素粒子だ!
 最初から貴様等の敗北は決定してたんだよ! 俺に狙われた時点でなぁ! ヒハハハハハハハハ!!】
「くっそ、一体どうすりゃ……」
「皆どいて!!」

少女裂邪が叫ぶや否や、彼女が差し出した右掌に黒い穴が現れ、
荷電粒子砲の光条を貪欲に飲み干していった

【ちっ……またブラックホールか!】

やがて光条は消え、背部から熱が蒸気となって放出される
少女裂邪はがくっと、その場にへたり込んだ

「っおいお前! 大丈夫か!?」
「はぁ、はぁっ……うん、私は平気。それよりあんたの方が……」
「何言ってんだ、俺だって大丈b―――――」

ぐらり、視界が歪む
崩れる彼を咄嗟に抱きとめたのは、ミナワだった

「ご、ご主人様!」
「あぁ………悪い、正月のクソ神父の時くらい無茶したかも知れん」
【ヒハハハハハハ……どうやら勝ちは見えたようだな】

ファンが回転する音が響く
砲口に、黒い輝きが集まってゆく

【折角だ、最高出力で仕留めてやる……充填時間は長いからな、懺悔の時間くらい与えてやろう】
「ッ!? おめぇさん、この乗り物ごとぶっ壊す気ですかい!?」
【どうせ死ぬのは貴様等と、乗組員と化物が何匹かだ、大した損害じゃない】
「…テメェ、仲間を何だと思ってやがる」
【仲間? 笑わせるな、あれはただの駒だ、代わりなら幾らでもいる
 このジェノブレイカーは時空の歪みさえ探知できれば単独で異世界へ行けるように設計してあるからな
 「UFO」も、奴隷共に新しい物を作らせれば良い
 新たな船と新たな戦力で、再び異世界の黄昏裂邪を狩りに行く!
 天国の“俺”に宜しく言っておいてくれよ? ヒハハハハハハハハハハハハ!!!】
「……狂ッテイル、イヤソレ以上ダナ」
「そんなことっ……絶対…」
「させねぇよ」

ふらつく身体を制し、裂邪は立ち上がる
けほっ、と小さく咳をして、少量の血を吐き出した

【…まだ立ち上がるか……そんなに死にたいのか?
 何故だ、何故貴様等はそう死に急ぐ!? 勝てないのは目に見えているだろうが!?】
「それより…俺の質問に答えろ」
【質問だと?】

すぅっ、と裂邪は深呼吸し、はっきりと言い放った

「お前、ロリは好きか?」
【…………は?】
「ロリは好きかって聞いてんだ」
「ご、ご主人様?」
【…興味が無い。クローン技術のお陰で、性に関心を持つ必要が無いからな】
「そうか、俺は大好きだ」
「っこ、こんな時に何言ってんのよ―――――」
「ロリっ子のあどけない笑顔を見てると、こっちまで元気が出てくるんだ
 闇を知らない、明るく無邪気なあの笑顔が、俺だけじゃない、両親や友達、近所の人、色んな人を元気づけてくれる
 逆に、泣いているロリっ子は見たくない
 悲しんでいる姿を見てると、心臓が抉り取られるように痛くなるから
 俺は、ロリっ子を泣かせたくない
 そして、泣かせる奴は絶対に許さない!」
【…で? それがどうした?】
「お前はこいつ――――裂邪(サクヤ)を泣かした! こいつの日常を、愛する人を全部奪って、心を傷つけた!
 だから俺は、例え血を吐こうが腕を斬り裂かれようが立ち上がってやる!
 俺は……全世界のロリの笑顔を守る男だ!!」

ぜぇ、ぜぇ、と肩で息をする裂邪
そんな彼の頭をぽこっ、と小突いたのはミナワだった

「ぁ痛っ」
「演説が不純すぎます…でも、素敵です♪」
「…ね、ねぇ、サクヤって?」
「“裂”を『さく』って読んだだけだよ。こっちの方が女の子っぽいだろ? 分かりやすいし」
『ハァ、呆れたね…君達はこんな契約者にくっついているのかい?』
「ソシテ今ノ貴様ノ契約者ダ、覚悟ハ決メタカ?」
【何度この俺を馬鹿にしたら気が済むんだ貴様等は……!! もうすぐ荷電粒子砲のチャージが完了する!それまで泣いて待ってろ!!】

ヒヒッ、と裂邪は笑い、くるりと振り返ってシェイド達に提案した

「なぁ、お前ら……久しぶりにさ、“皆で一緒に”戦わないか?」
「…へ? ずっと一緒に戦ってたじゃないn」
「“アレ”ヲヤルノカ? マァ、負担ハ軽減サレルガ」
「えへへ、実は結構好きなんですよ、“あれ”♪」
「主にしがみつけるからだろ……一番きついのは俺様なんだぜ?」
「まぁまぁ、ここからが正念場でい、すぱっと決めてやりやしょうや!」
「あ、あのぉ、これから何を?」

流れに乗れない少女裂邪を差し置いて、裂邪は「レイヴァテイン」と「ティルヴィング」を構えてミナワと共に理夢に飛び乗る

「っしゃあ! 行くぞお前らぁ!!」
「了解シタ」「はい、ご主人様!」「OKィ!!」「がってんでい!」『仰せのままに』

掛け声と同時にシェイドは影に溶け込むと、
理夢の足元から無数の腕を伸ばして裂邪と理夢を包み込み、一体となる
ウィルは炎の羽を散らしながら、理夢の背に燃え滾る赤き翼を作り出す
5つの心が今、一つとなった
さながら黒いケンタウロスのようなそれは、前足を高らかに上げて雄叫びを上げた

「「「「「完成! 『シャドーズ・ウトガルド』ォ!!!」」」」」


   ...To be Continued

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