「…清太さん、日天さん……無事だと良いのだけれど……
ライサちゃん、裂邪さんの容態は?」
「うぅ、ちょっと苦しそう」
「もしかして、さっきの血が喉の中で固まってるんじゃ…」
「あ、ぼ、僕に任せて」
ライサちゃん、裂邪さんの容態は?」
「うぅ、ちょっと苦しそう」
「もしかして、さっきの血が喉の中で固まってるんじゃ…」
「あ、ぼ、僕に任せて」
漢が人差し指を使って空書きすると、空中に『癒』という字が浮かび上がり、
その字は裂邪の喉元に侵入するようにすぅっと消えたかと思えば、
代わりに紅い液体の玉が現れて、ぽん、と間の抜けた音を立てて消えてしまった
その字は裂邪の喉元に侵入するようにすぅっと消えたかと思えば、
代わりに紅い液体の玉が現れて、ぽん、と間の抜けた音を立てて消えてしまった
「……息が整ってる! 凄いね、ありがとうお姉ちゃん!」
「お、お姉ちゃん?;」
「あのねライサちゃん、この人はお姉ちゃんじゃなくて―――」
「やめておけ少年」
「お、お姉ちゃん?;」
「あのねライサちゃん、この人はお姉ちゃんじゃなくて―――」
「やめておけ少年」
思わず、ローゼはくすっと小さく噴き出してしまった
―――頼もしい人達ですこと
彼女は、正義や漢を見てそう感じた
こんな状況で――「マヤの予言」のこともあるが、それ以外にも
正義は兄を傷つけられ、漢は妹を攫われて
なのにも関わらず、2人はとても落ち着いているように見えた
―――頼もしい人達ですこと
彼女は、正義や漢を見てそう感じた
こんな状況で――「マヤの予言」のこともあるが、それ以外にも
正義は兄を傷つけられ、漢は妹を攫われて
なのにも関わらず、2人はとても落ち着いているように見えた
「……じゃあ、僕…行ってくる」
静かに立ち上がり、彼――漢は、か細い声ではっきりと言い放った
「ッ……聞くまでもないと思いますけど、どちらへ?」
「…麻夜のところへ……って言いたかったけれど、僕一人じゃ、行けそうにないから……
今は、手が届く範囲で、町の人を守りたい」
「漢くん、僕も一緒に―――」
「ううん…正義くんは、ここで裂兄ぃについていてあげて」
「で、でも……」
「それに…正義くんなら、僕に出来ない事も、出来るかも知れないから」
「え? そ、それってどういう事?」
「…麻夜のところへ……って言いたかったけれど、僕一人じゃ、行けそうにないから……
今は、手が届く範囲で、町の人を守りたい」
「漢くん、僕も一緒に―――」
「ううん…正義くんは、ここで裂兄ぃについていてあげて」
「で、でも……」
「それに…正義くんなら、僕に出来ない事も、出来るかも知れないから」
「え? そ、それってどういう事?」
正義の問いに、漢は微笑み返しをして、ドアを開けて病室を出ていった
何を言うでもなく、それを静かに見守るローゼを、大王は僅かな疑問が混じった目で見る
何を言うでもなく、それを静かに見守るローゼを、大王は僅かな疑問が混じった目で見る
「…良かったのか?」
「えぇ、漢さんの気持ちはワタクシも分かっているつもりですわ
どうするべきか、相当悩んでらっしゃったことも……」
「えぇ、漢さんの気持ちはワタクシも分かっているつもりですわ
どうするべきか、相当悩んでらっしゃったことも……」
ちらり、彼女は窓の外に目を遣った
何人もの契約者や都市伝説が戦っているであろう、暗い戦場を
何人もの契約者や都市伝説が戦っているであろう、暗い戦場を
「……今日が終わるまでには………必ず止めてみせますわ………!」
† † † † † † †
―――「組織」本部
「R-No.6、現状報告を」
《ぜぇ、ぜぇ……ここもダメだったみたい………何処にも無いよー「水晶髑髏」!!》
「…やはり契約者の協力を得た方が早そうですね…
分かりました。指示があるまで、暫く待機していて下さい」
《ヤッホー!! ねぇねぇ、R-No.69とあんなことやこんなことやってて良い!?》
「それは許可しません」
《ぜぇ、ぜぇ……ここもダメだったみたい………何処にも無いよー「水晶髑髏」!!》
「…やはり契約者の協力を得た方が早そうですね…
分かりました。指示があるまで、暫く待機していて下さい」
《ヤッホー!! ねぇねぇ、R-No.69とあんなことやこんなことやってて良い!?》
「それは許可しません」
がちゃり、受話器を置いて深い溜息を吐く蓮華
「全く……本当に馬鹿ばっかですね、R-No.は……
R-No.2、R-No.4、R-No.5、R-No.7、R-No.8、R-No.9の6人が戦闘に出向き、
R-No.3、R-No.10、そしてR-No.0が病院にて待機……
上位メンバーが全員出払ってるなんてどういう了見ですか
唯一残っていたR-No.6の身にもなってあげて欲しいものです……捜索の指示を出したのは私ですが」
R-No.2、R-No.4、R-No.5、R-No.7、R-No.8、R-No.9の6人が戦闘に出向き、
R-No.3、R-No.10、そしてR-No.0が病院にて待機……
上位メンバーが全員出払ってるなんてどういう了見ですか
唯一残っていたR-No.6の身にもなってあげて欲しいものです……捜索の指示を出したのは私ですが」
独り言をぶつぶつと垂れ、こほんと咳払いを一つして、
椅子をくるりと回転させて背後を見た
椅子をくるりと回転させて背後を見た
「さて、どんな調子ですか?」
「ち、ちょっと待って欲しいかしら! 突然話しかけられたら集中が途切れるかしら!
………ふむふむ、「組織」じゃないフリーの契約者や、「首塚」の構成員の一部があの怪人と各地で戦闘中かしら
「組織」の構成員の中でも、R-No.を筆頭に頑張ってるかしら
あと、ジャガーにマタタビを云々かんぬんっていう内容のチェーンメールが出回ってるかしら」
「ち、ちょっと待って欲しいかしら! 突然話しかけられたら集中が途切れるかしら!
………ふむふむ、「組織」じゃないフリーの契約者や、「首塚」の構成員の一部があの怪人と各地で戦闘中かしら
「組織」の構成員の中でも、R-No.を筆頭に頑張ってるかしら
あと、ジャガーにマタタビを云々かんぬんっていう内容のチェーンメールが出回ってるかしら」
ぺらぺらと、学校町の現況を報告しているのは中学生くらいの少女だった
道化師のような華美で滑稽な衣装を纏った、怪しい風貌の少女
彼女の名は、ローゼマリー・ラッツィンガー
「ニバス」という悪魔と契約した、元「教会」所属の契約者だ
道化師のような華美で滑稽な衣装を纏った、怪しい風貌の少女
彼女の名は、ローゼマリー・ラッツィンガー
「ニバス」という悪魔と契約した、元「教会」所属の契約者だ
「…なるほど、分かりました。引き続き監視を行って下s」
「それにしても人使いが荒すぎるかしら
折角外の空気が吸えたと思ったらいきなり重労働なんて信じられないかしら
「組織」はそんな酷いところだったかしら!? 見損なったかしr」
「うるさい」
「それにしても人使いが荒すぎるかしら
折角外の空気が吸えたと思ったらいきなり重労働なんて信じられないかしら
「組織」はそんな酷いところだったかしら!? 見損なったかしr」
「うるさい」
バシィッ!!
蓮華の腕から植物の蔓が伸び、鞭の如く操ってローゼマリーにぶつけた
ネコが蹴飛ばされたような声をあげて、彼女はその場に倒れ込む
起き上がろうとするローゼマリーの顎をくっと掴んで、蓮華は鬼の形相を彼女の顔に近づけた
蓮華の腕から植物の蔓が伸び、鞭の如く操ってローゼマリーにぶつけた
ネコが蹴飛ばされたような声をあげて、彼女はその場に倒れ込む
起き上がろうとするローゼマリーの顎をくっと掴んで、蓮華は鬼の形相を彼女の顔に近づけた
「ひっ………」
「メルセデス・オラーリャに捨てられ、「教会」の裏切り者扱いにされ、
行き場のなくなった貴方を引き込んだのは我々R-No.だと言う事をお忘れですか?
言わば貴方はR-No.の……それも、リーダーがあのザマなので実質私の所有物ですよ
『情報操作ができる』だの『情報を司る』だのという能力を高く買って有効利用してあげてるんですから、
少しは『ありがとうございます』だとか『感無量でございます』だとか言ってみたらどうなんですか?
よくも抜け抜けと愚痴ばかりが並べられますね、それでも「教会」の端くれですか?
感謝する相手は神だけですか? 人間や恩人には感謝の気持ちは捧げられないんですか?」
「うぐっ………あ、ありがとぅゴザイマス」
「はぁ? 聞こえませんねもう一回遣り直しです!!」
「ひゃあっ!?」
「メルセデス・オラーリャに捨てられ、「教会」の裏切り者扱いにされ、
行き場のなくなった貴方を引き込んだのは我々R-No.だと言う事をお忘れですか?
言わば貴方はR-No.の……それも、リーダーがあのザマなので実質私の所有物ですよ
『情報操作ができる』だの『情報を司る』だのという能力を高く買って有効利用してあげてるんですから、
少しは『ありがとうございます』だとか『感無量でございます』だとか言ってみたらどうなんですか?
よくも抜け抜けと愚痴ばかりが並べられますね、それでも「教会」の端くれですか?
感謝する相手は神だけですか? 人間や恩人には感謝の気持ちは捧げられないんですか?」
「うぐっ………あ、ありがとぅゴザイマス」
「はぁ? 聞こえませんねもう一回遣り直しです!!」
「ひゃあっ!?」
ビシッ!バシッ!!
二度、三度と蔓の鞭がローゼマリーの身体に打ちつけられる
次第に服が破れ始め、とうとう泣き出してしまった
クスッ…と、彼女は短く笑い、口角を上げて頬に手を当て、その声をうっとりと聞き惚れていた
読者の殆どが忘れているだろうが、蓮華はドSである
相手を痛めつけたり傷付けたり、泣いている声を聞いたりするのが大好きな残念ロリである
二度、三度と蔓の鞭がローゼマリーの身体に打ちつけられる
次第に服が破れ始め、とうとう泣き出してしまった
クスッ…と、彼女は短く笑い、口角を上げて頬に手を当て、その声をうっとりと聞き惚れていた
読者の殆どが忘れているだろうが、蓮華はドSである
相手を痛めつけたり傷付けたり、泣いている声を聞いたりするのが大好きな残念ロリである
「ひっぐ………スライムに襲われたり蔓で殴られたり………路頭に迷って死んだ方がマシだったかしら…………」
憐れローゼマリー
彼女の受難はきっとこれからも続く
彼女の受難はきっとこれからも続く
† † † † † † †
学校町某所、R-No.2&R-No.4―――
「行け、死霊共……『ラクリモサ』!!」
地を這う無数の霊魂が、1匹のジャガー人間に寄って集り、血塗れの肉塊に変える
「くたばれってカンジぃ!! 『ROLLING インパクト』!!」
天空から無数の閃光が、刹那の間に大勢のジャガー人間達を黒焦げた死骸に変える
辺りは静けさを取り戻し、肉塊も死骸も光となって消えた
辺りは静けさを取り戻し、肉塊も死骸も光となって消えた
「……このエリアはこれだけか……? ロール、まだやれるか?」
「はっ、アンタに心配される筋合いは無いってゆーか、何でアタシがアンタと行動しなきゃなんねーのってカンジぃ?
言っとくけどアタシはアンタが嫌いなんだから、そこんと分かって欲しい的なカンジってゆーか」
「蓮華、不細工な化物が多いポイントを割り出せるか?」
「って超スルー!? マジありえないし!?」
「はっ、アンタに心配される筋合いは無いってゆーか、何でアタシがアンタと行動しなきゃなんねーのってカンジぃ?
言っとくけどアタシはアンタが嫌いなんだから、そこんと分かって欲しい的なカンジってゆーか」
「蓮華、不細工な化物が多いポイントを割り出せるか?」
「って超スルー!? マジありえないし!?」
携帯電話を片手に蓮華と話しているR-No.4――レクイエム・リッケンバッカーを憎々しげに見ているのは、
彼女の同僚である、身体中にアクセサリーをじゃらじゃらと散りばめた金髪の少女、R-No.2――ロール・レインウォーター
彼女がレクイエムを嫌っている理由は単純で、“自分より胸がデカいから”
というより俗に言う『つるぺたボディ』であるロールにとって、
(本人がそうであるかを別にして)自慢げに豊満な乳房をゆっさゆっさと揺らしている彼女は嫌味の塊にしか見えなかった
彼女の同僚である、身体中にアクセサリーをじゃらじゃらと散りばめた金髪の少女、R-No.2――ロール・レインウォーター
彼女がレクイエムを嫌っている理由は単純で、“自分より胸がデカいから”
というより俗に言う『つるぺたボディ』であるロールにとって、
(本人がそうであるかを別にして)自慢げに豊満な乳房をゆっさゆっさと揺らしている彼女は嫌味の塊にしか見えなかった
《そうですね……いえ、そこで待機していて下さい。第二波が来ます》
「まだ来るのか、しつこいな……了解した、引き続きこの場に待機する」
《気をつけて下さい。幼気を扱っている以上、何らかの形で強化される可能性もあります》
「なに、それを乗り越えられるのもまた幼気だろう?……じゃ、切るぞ」
「まだ来るのか、しつこいな……了解した、引き続きこの場に待機する」
《気をつけて下さい。幼気を扱っている以上、何らかの形で強化される可能性もあります》
「なに、それを乗り越えられるのもまた幼気だろう?……じゃ、切るぞ」
ピッ、と通話を切ると、彼女はちらりとロールを見た
ロールは露骨に不機嫌そうな、むすっとした表情をしている
ロールは露骨に不機嫌そうな、むすっとした表情をしている
「…どうした?」
「べっつにー」
「もうすぐ第二波が来る……と、噂をすればだな」
「べっつにー」
「もうすぐ第二波が来る……と、噂をすればだな」
屋根を飛び越えて、それはぞろぞろとやってきた
黄金色の毛並みに大きな斑模様、鋭い眼と爪
ネコ科なのでネコ耳だけがチャームポイントであるが、二足歩行なので猫愛好家からのクレームは来ない
黄金色の毛並みに大きな斑模様、鋭い眼と爪
ネコ科なのでネコ耳だけがチャームポイントであるが、二足歩行なので猫愛好家からのクレームは来ない
「行くぞ、ロール」
「命令すんなっつーの!」
「命令すんなっつーの!」
かたや右手に白い刃を作り出し、かたや左手に激しい雷光を纏わせ、
2人は迫りくるジャガー人間に狙いを定め、
2人は迫りくるジャガー人間に狙いを定め、
「『ディエス・イレ』!」
「『CRACKLE シュート』!」
「『
それぞれ1匹ずつ、攻撃を仕掛けた
1匹は袈裟切りにされ、大量の血を噴き出した
1匹は雷鳴と共に蹴りを入れられ、一瞬にして黒焦げになった
1匹は袈裟切りにされ、大量の血を噴き出した
1匹は雷鳴と共に蹴りを入れられ、一瞬にして黒焦げになった
「これ以上は好き勝手させんぞ…化け物共!!」
「キャッハハハハァ♪ ねぇねぇ、チョーキモチイイことしたくね???」
「キャッハハハハァ♪ ねぇねぇ、チョーキモチイイことしたくね???」
同町某所、R-No.5&R-No.9―――
「今宵の月は綺麗でござるなぁ」
「全く」
「賑やかな夜の月もまた風流でござるが、やはり拙者は静かな夜に淋しく浮かぶ月が好きでござるよ」
「何ゆえ?」
「かっかっか、そこまでは分からぬ……しかし、どうもそれを穢されるのは黙っていられぬでござる」
「全く」
「賑やかな夜の月もまた風流でござるが、やはり拙者は静かな夜に淋しく浮かぶ月が好きでござるよ」
「何ゆえ?」
「かっかっか、そこまでは分からぬ……しかし、どうもそれを穢されるのは黙っていられぬでござる」
す、と鞘から秀麗な刀を抜き取る、桜色の着物に黒袴の少女、R-No.9――流崎 羅菜
その一方で、身体をぬるりとスライム状に液化させる紫色の髪の眼鏡の少女は、R-No.5――レジーヌ・ルーフィオ
2人の元にじりじりと近づき、ジャガー人間の軍団は攻撃のチャンスを伺っている
その一方で、身体をぬるりとスライム状に液化させる紫色の髪の眼鏡の少女は、R-No.5――レジーヌ・ルーフィオ
2人の元にじりじりと近づき、ジャガー人間の軍団は攻撃のチャンスを伺っている
「……戦闘態勢に入る。ミッション内容は『学校町の防衛』並びに『被害の抑制』」
「どこからでもかかってくるでござる…拙者等は逃げも隠れもせぬ」
「どこからでもかかってくるでござる…拙者等は逃げも隠れもせぬ」
彼女の挑発に乗ったのか否か、ジャガー人間達は一斉に彼女達に向かって走り出した
ぎらっ、と羅菜の愛刀、ミタラシこと「八丁念仏団子刺し」が月明かりに輝いた
ぎらっ、と羅菜の愛刀、ミタラシこと「八丁念仏団子刺し」が月明かりに輝いた
「拙者の名は羅菜…流崎 羅菜! 悪を断つ、剣なり!!」
一閃
一閃
一閃
向かい来るジャガー人間に、一切の漏れもなく斬撃を入れる
それらは斬られても尚、彼女達の遥か後方へと走っていった
す、と彼女は刀身を鞘に納め始める
一閃
一閃
向かい来るジャガー人間に、一切の漏れもなく斬撃を入れる
それらは斬られても尚、彼女達の遥か後方へと走っていった
す、と彼女は刀身を鞘に納め始める
「拙者のミタラシに断てぬ物無し……『身垂断吾 』」
ちん、甲高い金属音と共に完全に鞘に納められた瞬間、
走り去っていったジャガー人間達は全員、縦真っ二つに斬り裂かれ、臓物を散らせて無惨に倒れ伏した
「八丁念仏団子刺し」はタイムラグこそあるものの、
“斬られた者がそうと気づかずに歩き続ける”程に斬れ味の良い物である
鞘に刀を納めた羅菜を狙ってジャガー人間が襲い来るが、ここで“彼女”が黙っている訳がない
走り去っていったジャガー人間達は全員、縦真っ二つに斬り裂かれ、臓物を散らせて無惨に倒れ伏した
「八丁念仏団子刺し」はタイムラグこそあるものの、
“斬られた者がそうと気づかずに歩き続ける”程に斬れ味の良い物である
鞘に刀を納めた羅菜を狙ってジャガー人間が襲い来るが、ここで“彼女”が黙っている訳がない
【『メドゥーサン・テンタクルス』】
透明なジェル状の液体が無数の細長い槍となって、ジャガー人間を残らず串刺しにする
槍の主は、巨大なスライムのような怪物――「ショゴス」の姿を取ったレジーヌ
暫く身体を痙攣させ、動かなくなった骸を、ぞんざいにべちゃりと投げ捨てた
槍の主は、巨大なスライムのような怪物――「ショゴス」の姿を取ったレジーヌ
暫く身体を痙攣させ、動かなくなった骸を、ぞんざいにべちゃりと投げ捨てた
「むぅ、敵とはいえ命は尊いもの、そのように扱っては可哀想でござる」
【関係無い】
「…かっかっか、戦いの時はいつも冷酷でござるな、其方は」
【君も充分】
【関係無い】
「…かっかっか、戦いの時はいつも冷酷でござるな、其方は」
【君も充分】
苦笑しながらも、再び刀に手をかける羅菜
まだ、ジャガー人間達は歩み寄ってきている
まだ、ジャガー人間達は歩み寄ってきている
「今頃は、殿や蓮華殿が秘策を編み出している筈……せめてその時間稼ぎを!!」
【テケリリリリリリリリ…目標凡そ200……戦闘を続行する】
【テケリリリリリリリリ…目標凡そ200……戦闘を続行する】
またも同町某所、R-No.7&R-No.8―――
「ふえーん、敵多いし疲れたし肩痛ーい、もう戦うのヤだよー!!」
短めのオレンジ色のツインテールを揺らしながら、
相対するジャガー人間に向けてランチャーからド派手にミサイルをぶっ放すのはR-No.7――ラピーナ・レスピーギ
放たれたミサイルは、獣達の身体に着弾し、爆発してその身を抉った
ふぅ、と溜息を吐くと、彼女は手持ちのランチャーを傍にいた饅頭型の謎の生物に手渡した
渡された瞬間にぷちっと潰されてしまったが、すぐに仲間達に救出されて事無きを得た
相対するジャガー人間に向けてランチャーからド派手にミサイルをぶっ放すのはR-No.7――ラピーナ・レスピーギ
放たれたミサイルは、獣達の身体に着弾し、爆発してその身を抉った
ふぅ、と溜息を吐くと、彼女は手持ちのランチャーを傍にいた饅頭型の謎の生物に手渡した
渡された瞬間にぷちっと潰されてしまったが、すぐに仲間達に救出されて事無きを得た
「弾のリロードやっといて! 代わりにアヴェンジャー持ってきてよー!」
「「「「ホ、ホニョ!!」」」」
「アヴェンジャー言うたら、対戦車用の航空機用装備最強のガトリング砲やんけ……やりすぎやろ;
まぁ、こういう時はそうでもせなしゃあないわな」
「「「「ホ、ホニョ!!」」」」
「アヴェンジャー言うたら、対戦車用の航空機用装備最強のガトリング砲やんけ……やりすぎやろ;
まぁ、こういう時はそうでもせなしゃあないわな」
ラピーナの背後で呆れ果てつつ、水の入ったペットボトルを開封しているのはポニーテールの少女、R-No.8――乱堂 凛々
彼女はその水を飲む訳でもなく、容器を傾け始めた
水が、零れる
彼女はその水を飲む訳でもなく、容器を傾け始めた
水が、零れる
「せやけど腑に落ちへんわぁ、何でこいつら人襲てんの?
ジャガーの好物って……肉じゃがーちゃうん?」
ジャガーの好物って……肉じゃがーちゃうん?」
彼女が1つ駄洒落を口走っただけで
ぴしり、零れた水が地に届く前に、氷柱状に凍りついた
尖った先端を上に向け、ペットボトルを剣の柄のようにして構える
ぴしり、零れた水が地に届く前に、氷柱状に凍りついた
尖った先端を上に向け、ペットボトルを剣の柄のようにして構える
「ん、これやと弱そうやな………ストーブがすっとぶ、ふとんがふっとんだ、シャベルがしゃべる」
1つ、2つと駄洒落を口に出すと、氷柱はどんどん成長していった
「寒いダジャレ」の能力で、空気中の水分さえも凍てつかせているのだ
そうして出来た巨大な氷の剣で、向かって来たジャガー人間を薙ぎ払った
「寒いダジャレ」の能力で、空気中の水分さえも凍てつかせているのだ
そうして出来た巨大な氷の剣で、向かって来たジャガー人間を薙ぎ払った
「後ろはウチに任しとき!」
「うん! 代わりに凛々ちゃんの背中は、ラピーナが守るから!」
「うん! 代わりに凛々ちゃんの背中は、ラピーナが守るから!」
R-No.における上位メンバーの少女達は優勢に立っていた
だが、“彼”だけは―――――――
だが、“彼”だけは―――――――
† † † † † † †
「ッハァ、ハァ………くそっ、数が多すぎる…………!」
東区某所――――
右手にスケッチブック、左手にペンを構えた少年――R-No.3、栄 日天は、
喉を唸らせるジャガー人間の群れに囲まれていた
彼の服などからは、幾つか引っかき傷のようなものが垣間見える
右手にスケッチブック、左手にペンを構えた少年――R-No.3、栄 日天は、
喉を唸らせるジャガー人間の群れに囲まれていた
彼の服などからは、幾つか引っかき傷のようなものが垣間見える
「「「ババリバリッシュ!!!」」」
「っく…新たな絵を描く暇も無い………使える龍は全て使ってしまった………
冗談で言ったつもりだったが…真実になるかも知れないな」
「っく…新たな絵を描く暇も無い………使える龍は全て使ってしまった………
冗談で言ったつもりだったが…真実になるかも知れないな」
清太に言った言葉を思い出しながら自嘲する日天
ふと何気なくスケッチブックを開くと、手の代わりに大きな翼の生えた細身の西洋竜――「ワイバーン」が描かれていた
ふと何気なくスケッチブックを開くと、手の代わりに大きな翼の生えた細身の西洋竜――「ワイバーン」が描かれていた
「……「ワイバーン」………こいつが召喚出来れば…………」
「画竜点睛」は、元々中国の故事から生まれた言葉であり、都市伝説
故に、彼は中国等の伝承に由来する東洋龍しか召喚出来なかった
他の上位メンバーと違って、彼にはそれを捻じ曲げる力が――――“幼気”が無かったから
ぎり、と彼は強く歯軋りした
故に、彼は中国等の伝承に由来する東洋龍しか召喚出来なかった
他の上位メンバーと違って、彼にはそれを捻じ曲げる力が――――“幼気”が無かったから
ぎり、と彼は強く歯軋りした
「……チェックメイト、か……」
眼を瞑る
スケッチブックを閉じかける
彼の戦意は、完全に崩れ去った―――――――
スケッチブックを閉じかける
彼の戦意は、完全に崩れ去った―――――――
―――もしかしたらまた会えるかも……知れないねぇ
突然、脳裏に少女の声が過った
それは彼が愛した、ある少女の言葉
それは彼が愛した、ある少女の言葉
「………ルート……そうだ」
目を開き、スケッチブックを開いて再びペンを構える
「ここでオレが死ねば……あいつはまた一人になる……
絶対に死ねない…オレは生きなきゃならないんだ
あいつを護ってやれるのは…オレだけなんだ!!」
絶対に死ねない…オレは生きなきゃならないんだ
あいつを護ってやれるのは…オレだけなんだ!!」
スケッチブックに描かれた「ワイバーン」の右の白眼に瞳を描き入れ、
彼はそれを高々と頭上に掲げ、腹一杯に叫んだ
彼はそれを高々と頭上に掲げ、腹一杯に叫んだ
「応えてくれ……俺の我侭に!
画竜点睛!! 現れろ、「ワイバーン」!!!」
画竜点睛!! 現れろ、「ワイバーン」!!!」
雷鳴が轟く
一瞬辺りが光に包まれたその瞬間に、絵の中から黒い影が飛び出した
描かれた姿と、全く同じその怪物は正しく、「ワイバーン」そのものだった
一瞬辺りが光に包まれたその瞬間に、絵の中から黒い影が飛び出した
描かれた姿と、全く同じその怪物は正しく、「ワイバーン」そのものだった
「ギゴガゴォォォォォォォゴォォォォォォォォ!!!!」
「「ワイバーン」……有難う、ルート……助けられてしまったな」
「「ワイバーン」……有難う、ルート……助けられてしまったな」
「ワイバーン」に飛び乗り、日天は地上を指差して指示を行なった
口から火球が放たれ、ジャガー人間達をあっという間に焼き払う
それでも、ジャガー人間は民家の屋根から飛びかかろうとしていた
口から火球が放たれ、ジャガー人間達をあっという間に焼き払う
それでも、ジャガー人間は民家の屋根から飛びかかろうとしていた
「避けろ「ワイバーン」!」
錐揉み旋回しては火球を放ち
宙返りしては火球を放ち
ヒット&アウェイを繰り返して少しずつ、確実に敵を潰してゆく
宙返りしては火球を放ち
ヒット&アウェイを繰り返して少しずつ、確実に敵を潰してゆく
「やはり数が問題だな……よし、「ワーム」を呼び出そう」
ペンを取り、白い紙にその先端を押し当てた
力を入れて僅かな線が引かれた、その時だった
力を入れて僅かな線が引かれた、その時だった
「―――――――――ぐぅ……!?」
左手を抑え、苦悶の表情を浮かべる
瞬間、彼の心の器が不安定になった所為か、「ワイバーン」の身体が歪んだかと思えば、
姿が完全に消滅し、日天はそのまま地上に打ちつけられた
瞬間、彼の心の器が不安定になった所為か、「ワイバーン」の身体が歪んだかと思えば、
姿が完全に消滅し、日天はそのまま地上に打ちつけられた
「あがっ……く、そ……腕が…………」
たらり、と血が流れ出る
ジャガー人間との戦闘で出来た傷が開いてしまったようだ
血の臭いを嗅ぎつけ、野性を丸出しにしたジャガー人間達がまたもぞろぞろと集まってきた
じゅるりと涎を舐め取る音が、連続して響いた
ジャガー人間との戦闘で出来た傷が開いてしまったようだ
血の臭いを嗅ぎつけ、野性を丸出しにしたジャガー人間達がまたもぞろぞろと集まってきた
じゅるりと涎を舐め取る音が、連続して響いた
「ふざ、けるな………こんな…ところで…………!!」
腕に力を入れるが、うまく動かない
「蝦蟇の油」を常備していなかった事を、彼は心底悔やんだが、時既に遅し
「蝦蟇の油」を常備していなかった事を、彼は心底悔やんだが、時既に遅し
――――――――――――――――すまない、ルート
獣の爪が、鮮血に染まった
「………なっ…!?」
どさ、とジャガー人間が力無く、その場に倒れた
攻撃したのは、同じジャガー人間
仲間を攻撃したその裏切り者は、己の首を引き裂いて自害した
日天には、その光景に見覚えがあった
攻撃したのは、同じジャガー人間
仲間を攻撃したその裏切り者は、己の首を引き裂いて自害した
日天には、その光景に見覚えがあった
「こ、これは……!」
突如、彼の前に何者かが現れた
黒いミニスカートを穿き、黒い上着を羽織った、灰色の髪の少女
その肩には、白いふさふさの毛並みのネコがちょこんと乗っかっていた
黒いミニスカートを穿き、黒い上着を羽織った、灰色の髪の少女
その肩には、白いふさふさの毛並みのネコがちょこんと乗っかっていた
「全く、人類滅亡だなんて…Traum もHoffnung もありゃしないわぁ」
怒りを露わにして襲いかかるジャガー人間
しかし、少女はそれ以上の怒りを以て、
しかし、少女はそれ以上の怒りを以て、
「『ギフト・トロプフェン』!!」
周囲に黒い液体を展開し、それを無数の細長い針にして射出する
ジャガー人間は身体中に赤い班模様を作り出して、悶え苦しみながら絶命した
ジャガー人間は身体中に赤い班模様を作り出して、悶え苦しみながら絶命した
「る、ルート……お前なのか?」
「ごめんね日天さん、遅くなって………後はアタシに任せてぇ!!」
「ごめんね日天さん、遅くなって………後はアタシに任せてぇ!!」
少女は――ルート・ライフアイゼンは、液体を黒い刃に変えて、
高らかに、そして勇ましく、戦闘参加を宣言した
高らかに、そして勇ましく、戦闘参加を宣言した
...To be Continued