「…………弱い」
10月28日、日が完全に落ちて星が瞬き始めた頃
血の海に倒れ伏した少年―――黄昏 裂邪を見下しながら、
神崎 麻夜の人格を乗っ取った「太陽の暦石」がぽつりと呟いた
血の海に倒れ伏した少年―――黄昏 裂邪を見下しながら、
神崎 麻夜の人格を乗っ取った「太陽の暦石」がぽつりと呟いた
「無理も無いでしょう。特異とは言え、所詮は人間ですので」
「いや、小僧ではない、我の方だ」
「……は?」
「直前に力が抜けたような感覚がした………何かに後ろ髪を引かれたような感覚だ
お陰で小僧に留めをさせなかったようだ」
「まさか……小娘の意思が残っていると?」
「あくまで可能性だがな…まぁ、直に抑え込めるだろう
イシュピヤコック、フラカンの容態は?」
「…………まだ、息があります」
「なら良い、後で治してやれ。新たな人間の創造に不可欠だからな
だがまずは…………」
「いや、小僧ではない、我の方だ」
「……は?」
「直前に力が抜けたような感覚がした………何かに後ろ髪を引かれたような感覚だ
お陰で小僧に留めをさせなかったようだ」
「まさか……小娘の意思が残っていると?」
「あくまで可能性だがな…まぁ、直に抑え込めるだろう
イシュピヤコック、フラカンの容態は?」
「…………まだ、息があります」
「なら良い、後で治してやれ。新たな人間の創造に不可欠だからな
だがまずは…………」
麻夜は掌を広げて裂邪に向けると、
掌から水が溢れ出し、大きな球体となった後に一気に圧縮されて小さな弾丸となる
掌から水が溢れ出し、大きな球体となった後に一気に圧縮されて小さな弾丸となる
「しかし便利な身体だ……やっひゃひゃひゃひゃひゃ、捨ててしまうのが勿体無い
兎角、ゴミは掃除してやらんとな……最初の犠牲者だ、あの世で知人達が来るのを待つと良い
今度こそ、さらばだ小僧………第四の破滅、『ジュデッカ』」
兎角、ゴミは掃除してやらんとな……最初の犠牲者だ、あの世で知人達が来るのを待つと良い
今度こそ、さらばだ小僧………第四の破滅、『ジュデッカ』」
勢い良く放たれる、水の弾丸
『洪水を起こす』能力で本来出現させる筈だった水を凝縮した一発
約1トンの水に押し流された場合、自動車でさえも変形してしまうらしい
これがそれ以上の水だとしたら、どうなってしまうのか
だが、その答えが分かる前に、水の弾丸は一瞬にして蒸発した
『洪水を起こす』能力で本来出現させる筈だった水を凝縮した一発
約1トンの水に押し流された場合、自動車でさえも変形してしまうらしい
これがそれ以上の水だとしたら、どうなってしまうのか
だが、その答えが分かる前に、水の弾丸は一瞬にして蒸発した
「―――――――――――――――む、」
何かを感じ取り、麻夜は夜空を見上げた
赤く輝く翼をはためかせ、黒いスーツを着た赤髪の少女が、ゆっくりと舞い降りた
赤く輝く翼をはためかせ、黒いスーツを着た赤髪の少女が、ゆっくりと舞い降りた
「黒服……「組織」の方かね?」
「ええ、R-No.0…ローゼ・ラインハルトと申しますわ」
「ええ、R-No.0…ローゼ・ラインハルトと申しますわ」
燃え滾るマグマのような赤い目で、彼女は麻夜、そして「ククルカン」達を睨みつける
彼女の身体からは、真っ赤な雷光がバチッ、バチッ、と音を鳴らして火花を散らしている
彼女の身体からは、真っ赤な雷光がバチッ、バチッ、と音を鳴らして火花を散らしている
「………やっひゃひゃ…貴様、「フォトンベルト」の契約者か?」
「流石にご存じの様ですわね…………「マヤの予言」、貴方の破滅を阻止しに参りましたの」
「阻止だと?……面白い事を言う、世界破滅系都市伝説が、同じ系列を止めると言うのか?」
「目には目を、破滅には破滅を、ですわ」
「やっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……そうか、気に入ったぞ小娘」
「流石にご存じの様ですわね…………「マヤの予言」、貴方の破滅を阻止しに参りましたの」
「阻止だと?……面白い事を言う、世界破滅系都市伝説が、同じ系列を止めると言うのか?」
「目には目を、破滅には破滅を、ですわ」
「やっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……そうか、気に入ったぞ小娘」
と言うや否や、麻夜は踵を返してローゼに背を向け、
「ククルカン」達へ撤収の合図を手で送った
「ククルカン」達へ撤収の合図を手で送った
「っま、待ちなさい! ここで逃がす訳が―――――」
「我とその少年、どちらを優先するのだ? 「組織」よ」
「ッ……!?」
「我とその少年、どちらを優先するのだ? 「組織」よ」
「ッ……!?」
ちら、と裂邪を見るローゼ
ここで逃がせば、人類破滅を開始するかも知れない
しかし、今裂邪を見捨てれば……
彼女は強く、唇を噛みしめた
ここで逃がせば、人類破滅を開始するかも知れない
しかし、今裂邪を見捨てれば……
彼女は強く、唇を噛みしめた
「やっひゃひゃひゃ…案ずるな、貴様等には猶予をやる。精々最期の時を足掻くが良い」
次の瞬間、麻夜達の周りを炎が包み込むと、それは彼女達の姿と共に一瞬にして消失した
辺りを見回した後、すぐさまローゼは裂邪の傍に駆け寄り、衝撃を与えないようにそっと抱き起こした
辺りを見回した後、すぐさまローゼは裂邪の傍に駆け寄り、衝撃を与えないようにそっと抱き起こした
「裂邪さん! 裂邪さん!!」
「………………うぶっ、ろ、ローゼ、ちゃ…………」
「良かった、今すぐ「蝦蟇の油」を……」
「ローゼ、ちゃん………ご、め……お゙ぁ゙っ!」
「無理にお喋りにならないで、本当に死んでしまいますわ!」
「ま……や………麻夜、が………」
「…大体の状況は掴めました。遅れてしまって、本当に何と申し上げればよいか…
ワタクシ達が気づくのがもう少し早ければ、こんなことにならなかったのに……
麻夜ちゃんは必ず、ワタクシが…「組織」が全力を上げて、無事に保護してみせますわ」
「ぁ…………た、の…………ぅ」
「ッ! 裂邪さん!!」
「………………うぶっ、ろ、ローゼ、ちゃ…………」
「良かった、今すぐ「蝦蟇の油」を……」
「ローゼ、ちゃん………ご、め……お゙ぁ゙っ!」
「無理にお喋りにならないで、本当に死んでしまいますわ!」
「ま……や………麻夜、が………」
「…大体の状況は掴めました。遅れてしまって、本当に何と申し上げればよいか…
ワタクシ達が気づくのがもう少し早ければ、こんなことにならなかったのに……
麻夜ちゃんは必ず、ワタクシが…「組織」が全力を上げて、無事に保護してみせますわ」
「ぁ…………た、の…………ぅ」
「ッ! 裂邪さん!!」
ローゼが「蝦蟇の油」の入った瓶を取り出したが、
その前に裂邪は、深い闇の底に墜ちていった
その前に裂邪は、深い闇の底に墜ちていった
「……手が冷たい………血を流し過ぎてますわ、別な場所へ運ばないと――――――――ッ!」
何かの気配を感じ取った
咄嗟に振り向くと、月明かりで出来た影の中から、複数の影が飛び出した
裂邪の契約都市伝説であるシェイド、ミナワ、リム、ウィル、
そして彼の弟――黄昏 正義と、その契約都市伝説「恐怖の大王」
咄嗟に振り向くと、月明かりで出来た影の中から、複数の影が飛び出した
裂邪の契約都市伝説であるシェイド、ミナワ、リム、ウィル、
そして彼の弟――黄昏 正義と、その契約都市伝説「恐怖の大王」
「み、皆さん………」
「っ!! ご、ご主人様!!」
「お兄ちゃん……! ひ、酷い怪我………」
「申し訳ないけれど、裂邪さんは深刻な状態ですわ
すぐに「組織」管轄の病院へ向かいますので、話はそこで詳しく聞かせて頂けるかしら?」
「……アァ、無論ダ」
「それと……正義さん、漢ちゃんの連絡先、教えて頂けませんこと?」
「分かった、ちょっと待ってて」
「っ!! ご、ご主人様!!」
「お兄ちゃん……! ひ、酷い怪我………」
「申し訳ないけれど、裂邪さんは深刻な状態ですわ
すぐに「組織」管轄の病院へ向かいますので、話はそこで詳しく聞かせて頂けるかしら?」
「……アァ、無論ダ」
「それと……正義さん、漢ちゃんの連絡先、教えて頂けませんこと?」
「分かった、ちょっと待ってて」
† † † † † † †
山奥――――――
「ここで良い。フラカンの治療を」
「…………了解」
「…………了解」
闇が広がる山林の中
麻夜―――「太陽の暦石」は、そこで足を止めて「イシュピヤコック」に命令を下した
麻夜―――「太陽の暦石」は、そこで足を止めて「イシュピヤコック」に命令を下した
「ついでに、ここを拠点にせよ。その方が都合が良い」
「しかしそれでは、余計な邪魔が入る可能性が御座いますが?」
「何処にいても最後には「組織」などの輩が我を消しに来る
ならばいっそ、ここで迎え撃った方が早いだろう
…………そうだな、あの小僧のような者が現れても困る」
「しかしそれでは、余計な邪魔が入る可能性が御座いますが?」
「何処にいても最後には「組織」などの輩が我を消しに来る
ならばいっそ、ここで迎え撃った方が早いだろう
…………そうだな、あの小僧のような者が現れても困る」
一人で納得するように頷き、麻夜はその場にしゃがみ込んで、そっと地面に手を触れる
すると、一帯の土に無数の土竜塚が出来上がったかと思えば、
中から1体ずつ、人の形をしたジャガーが飛び出した
ジャガー人間の大群は、一斉に町の方へと向かった
すると、一帯の土に無数の土竜塚が出来上がったかと思えば、
中から1体ずつ、人の形をしたジャガーが飛び出した
ジャガー人間の大群は、一斉に町の方へと向かった
「くくるくくくくく、貴方も甘くなられましたな」
「なに、暫く遊ぶだけだ……歯向かう者は皆、徹底的に潰せば良い」
「なに、暫く遊ぶだけだ……歯向かう者は皆、徹底的に潰せば良い」
やっひゃひゃひゃ、と彼女は不気味に笑い、
両手を広げて天の闇を仰いだ
両手を広げて天の闇を仰いだ
「さぁ、人類破滅の秒読みの開始だ………もう、誰にも止められはせん」
2011年10月28日午後6時頃
学校町全域にジャガーの怪人が現れ、住民を襲い始めた
終焉へのカウントダウンが今、始まった
学校町全域にジャガーの怪人が現れ、住民を襲い始めた
終焉へのカウントダウンが今、始まった
...To be Continued