「こんなところに洞窟があったなんて……」
「足元にお気を付けなさって、赤い光しか出せなくて申し訳ないけど」
「足元にお気を付けなさって、赤い光しか出せなくて申し訳ないけど」
学校町を山に沿って北に離れた所にあった謎の洞窟
そこに「水晶髑髏」があるらしく、ローゼは正義達と共に探索を開始した
歩き始めて既に数十分。深奥に辿り着く気配は、未だ無い
そこに「水晶髑髏」があるらしく、ローゼは正義達と共に探索を開始した
歩き始めて既に数十分。深奥に辿り着く気配は、未だ無い
「こ、コインちゃん、まだなの?」
『うん、ずーっと先の方だよー』
「嘘でしょお……ねぇ、ローゼさんでも勇弥でも良いから、奥までパッと行けないの?」
「それが…何かブロックがかかってるみたいですの」
「オレも同じだ。この洞窟内の空間に干渉できないみたいだ」
「という事だそうだ。諦めるんだな心星」
「そんなぁ……足が棒になっちゃうよ……」
「でも宝探しには付き物だよね」
「楽して手に入れられるものではないという事だな」
「世界の命運がかかってるのよ!?」
『うん、ずーっと先の方だよー』
「嘘でしょお……ねぇ、ローゼさんでも勇弥でも良いから、奥までパッと行けないの?」
「それが…何かブロックがかかってるみたいですの」
「オレも同じだ。この洞窟内の空間に干渉できないみたいだ」
「という事だそうだ。諦めるんだな心星」
「そんなぁ……足が棒になっちゃうよ……」
「でも宝探しには付き物だよね」
「楽して手に入れられるものではないという事だな」
「世界の命運がかかってるのよ!?」
状況の悪さとは裏腹に、あまりにも和やかなこの雰囲気に、ローゼはまたも噴き出してしまった
「ほらお前ら、ローゼさんが呆れてるぞ」
「え、あ、そんな事はありませんわ…それにしても狭い洞窟ですこと」
「広いところはあったけど、そこだけだったよねぇ」
「こういう方が洞窟っぽいから、ボクは狭い方が良いな」
「そうですわね、心が躍るようですわ♪」
「ろ、ローゼさんまで……」
「おほほほほ♪ さあ、お宝を目指して冒険ですわ――――」
「え、あ、そんな事はありませんわ…それにしても狭い洞窟ですこと」
「広いところはあったけど、そこだけだったよねぇ」
「こういう方が洞窟っぽいから、ボクは狭い方が良いな」
「そうですわね、心が躍るようですわ♪」
「ろ、ローゼさんまで……」
「おほほほほ♪ さあ、お宝を目指して冒険ですわ――――」
ぞくり、背筋を走るような悪寒
表情を強張らせ、彼女は咄嗟に振り返った
闇しかないその先――正確には後ろだが――に、何か邪悪なものがある
表情を強張らせ、彼女は咄嗟に振り返った
闇しかないその先――正確には後ろだが――に、何か邪悪なものがある
(…ジャガーの怪人じゃない……でも「太陽の暦石」やその取り巻きでもなさそうですわね……
どうしましょう、行けばこの方達は――――)
「ローゼちゃん」
どうしましょう、行けばこの方達は――――)
「ローゼちゃん」
正義に呼ばれて振り返ると、眩い光が彼女の目に差した
掌で目を覆いながら確認すれば、それはどうやら勇弥の「電脳世界=自然界論」の能力で発生した光のようだった
一瞬、ローゼの心に不安が過ったが、それは的中した
掌で目を覆いながら確認すれば、それはどうやら勇弥の「電脳世界=自然界論」の能力で発生した光のようだった
一瞬、ローゼの心に不安が過ったが、それは的中した
「…「水晶髑髏」はボク達に任せて」
「っそんな、貴方達だけじゃ危険ですわ!」
「じゃあ、全員で敵を迎え撃つか?」
「……卑怯ですわ、そんなの。どっちみち危険に変わりないじゃありませんの」
「大丈夫ですよローゼさん、私達も死にに来た訳じゃないので」
「そうそう、ねーコインちゃん?」
「っそんな、貴方達だけじゃ危険ですわ!」
「じゃあ、全員で敵を迎え撃つか?」
「……卑怯ですわ、そんなの。どっちみち危険に変わりないじゃありませんの」
「大丈夫ですよローゼさん、私達も死にに来た訳じゃないので」
「そうそう、ねーコインちゃん?」
本日何度目の溜息だろうか
はぁ、と不満を排出すると、無理矢理に笑顔を作って
はぁ、と不満を排出すると、無理矢理に笑顔を作って
「…死ぬ事のありませんように」
「分かってる。絶対に合流しよう」
「分かってる。絶対に合流しよう」
こくんと頷いて、彼女は赤く輝く翼を背に生やし、
闇が広がる、先程歩いてきた道を猛スピードで翔け抜けていった
そこに何が待ち受けているかも知らずに
闇が広がる、先程歩いてきた道を猛スピードで翔け抜けていった
そこに何が待ち受けているかも知らずに
† † † † † † †
自らの赤光を頼りに狭い通路を飛んでいると、ローゼは突如広い空間に出た
体育館程度の広さで、天井から氷柱のような鍾乳石が幾つも垂れ下がっていた
ふと、そこでローゼが気になったのは、異常に赤すぎる足場だった
体育館程度の広さで、天井から氷柱のような鍾乳石が幾つも垂れ下がっていた
ふと、そこでローゼが気になったのは、異常に赤すぎる足場だった
「………ッ!! こ、これは………!?」
無理もない
彼女が見たものは、今にも消えようとしているジャガー人間の惨殺死体だった
ある者は首を落とされ、ある者は縦に、ある者は横に分断され
その中の幾つかは、焼かれたように黒焦げた者もあった
彼女が見たものは、今にも消えようとしているジャガー人間の惨殺死体だった
ある者は首を落とされ、ある者は縦に、ある者は横に分断され
その中の幾つかは、焼かれたように黒焦げた者もあった
「…ワタクシ達を追ってきたようですわね……それより、一体誰が……」
「まさかそっちから来てくれるとは思ってなかったよ」
「まさかそっちから来てくれるとは思ってなかったよ」
暗闇に響いた、少年の声
声の主は正面の、やや離れたところに立っていた
片手に紫の禍々しいオーラを伴った黄金の柄の血塗れた剣、片手に消えゆくジャガー人間の死骸を持った、
闇に紛れるような黒尽くめの少年
声の主は正面の、やや離れたところに立っていた
片手に紫の禍々しいオーラを伴った黄金の柄の血塗れた剣、片手に消えゆくジャガー人間の死骸を持った、
闇に紛れるような黒尽くめの少年
「裂邪さん……!!」
安堵と、病院を抜け出した事に対する怒りが沸き起こったが、
それらを払拭してしまう程に強烈なものを、彼は持っていた
それらを払拭してしまう程に強烈なものを、彼は持っていた
「……どうしてそれを使ってらっしゃるの?」
彼女の問いに、裂邪はにやっと笑うだけ
自分の前に放り投げたジャガー人間の死骸は、闇の中に融けていった
ぼう、と剣から紫の炎が燃え上がる
自分の前に放り投げたジャガー人間の死骸は、闇の中に融けていった
ぼう、と剣から紫の炎が燃え上がる
「まさか、ナユタにとり憑かれて………!?」
『残念だけど僕は一切関与してないよ
ここに来たのも、僕の力を利用しているのも、全てマスター自身の意志によるものだ』
「そういうことだ」
『残念だけど僕は一切関与してないよ
ここに来たのも、僕の力を利用しているのも、全てマスター自身の意志によるものだ』
「そういうことだ」
怪しい笑みを浮かべながら、一歩、また一歩と歩み寄る裂邪
今まで感じた事のない、表現しようのない恐怖を抱き、ローゼは直感的に後退る
ごくんと息を呑むと、唇を震わせながら、一番聞きたくなかった、しかし一番気になった事を問うた
今まで感じた事のない、表現しようのない恐怖を抱き、ローゼは直感的に後退る
ごくんと息を呑むと、唇を震わせながら、一番聞きたくなかった、しかし一番気になった事を問うた
「…裂邪、さん……貴方、ここに何しにいらっしゃったの…?」
その瞬間、紫の炎が激しく燃え、2人の周囲の半径10メートル四方をぐるりと囲んだ
宛らデスマッチのリングを思わせるその光景に驚きを隠せないローゼを見て、彼は狂ったように高笑いした
宛らデスマッチのリングを思わせるその光景に驚きを隠せないローゼを見て、彼は狂ったように高笑いした
「ヒッハハハハハハハハハ!!」
「なっ……!?裂邪さん! これはどういう――――――」
「何しに来たかって?……お前を殺しに来たんだ!!」
「なっ……!?裂邪さん! これはどういう――――――」
「何しに来たかって?……お前を殺しに来たんだ!!」
...To be Continued