一人の少女が寂れた路地を走っていた。
『君が悪い都市伝説や契約者を殺していけば、その分君の両親が都市伝説絡みの事件や事故に巻き込まれる確率は減る。そんなにも両親を大事に思っているなら…出来るだろう?ただ、僕達の言う事を聞いていればいい。
大丈夫、回数を重ねて行けば殺しのコツも掴めてくるよ』
大丈夫、回数を重ねて行けば殺しのコツも掴めてくるよ』
窓が無く、マットレスがむき出しになったベットが一つ。
数日前、牢獄のような簡素な部屋の分厚い扉越しに、知らない声にそう告げられた。
数日前、牢獄のような簡素な部屋の分厚い扉越しに、知らない声にそう告げられた。
人を、都市伝説を殺すのは、怖い。
けれど、自分が躊躇ったせいで両親が死ぬのはもっと怖い。
役に立たないからと捨てられるのは、居場所を失うのはもっともっと怖かった。
けれど、自分が躊躇ったせいで両親が死ぬのはもっと怖い。
役に立たないからと捨てられるのは、居場所を失うのはもっともっと怖かった。
前方に、標的が見えた。
瞬間、左腕が変質した。
衣服の腕の部分が内側から食い破られるように裂かれ、皮膚や、内側の筋や骨が丸ごと金属に変わったかのように、肩から先が自動小銃に変わっていた。
衣服の腕の部分が内側から食い破られるように裂かれ、皮膚や、内側の筋や骨が丸ごと金属に変わったかのように、肩から先が自動小銃に変わっていた。
少女――蛍が新しく契約した都市伝説の内の一つ、『摘発を免れた某教団の自動小銃が残っている』
角を曲がろうとした標的を、鉛玉が打ち抜いた。
―――
小学生くらいの少年が、寂れた路地を歩いていた。
この道はあまり好きではなかったけれど、家から学校までの近道だった。
この道はあまり好きではなかったけれど、家から学校までの近道だった。
後三つ角を曲がれば、路地を抜けられるという時、銃声が聞こえた。
「………っ!」
突然の銃声に、びくりと身体をすくませる。
どうやら、一つ先の角から聞こえてきたらしい。
何かあったのだろうか――好奇心が勝り、そろそろと足を進めて行く。
何かあったのだろうか――好奇心が勝り、そろそろと足を進めて行く。
奇妙な生き物が、全身を穴だらけにして倒れていた。それを、誰かが屈んで見下ろしている。
しばらくして、奇妙な生き物は光の粒になって消えて行った。
しばらくして、奇妙な生き物は光の粒になって消えて行った。
今見たものが信じられなかった。
感想を挙げるなら、『何、今の??』と言ったところだ。
感想を挙げるなら、『何、今の??』と言ったところだ。
視線を感じた。
奇妙な生き物を屈みこんで見下ろしていた者が、こちらを見つめていた。
例えるなら、人間のなりそこない。
本来、左腕がある所が銃器に変わっていた。
左目は、ぎょろぎょろと絶え間なく不気味に視線を彷徨わせている。
左目は、ぎょろぎょろと絶え間なく不気味に視線を彷徨わせている。
――次は、僕の番?
――あのお化けみたいに穴だらけにされて死ぬの?
――あのお化けみたいに穴だらけにされて死ぬの?
「う……ぁ……!
うわあああああああああああ!!化け物っ!来るな!来るなぁ!!」
うわあああああああああああ!!化け物っ!来るな!来るなぁ!!」
足元に、石ころが転がっているのが見えた。
とっさに投げた石が当たり、そいつがひるんだ隙に逃げだした。
―――
少年の姿が見えなくなった。
こめかみの辺りが熱かった。
左腕は徐々に皮膚に覆われて行き、数分で人の腕の形を成していた。
左腕は徐々に皮膚に覆われて行き、数分で人の腕の形を成していた。
「―――化け物、なんて」
蛍の口が、小さく動いた。
蛍の口が、小さく動いた。
「……そんなの、自分が一番よく分かってる……」
指の関節が白くなるほど、両の拳を握りしめた。
指の関節が白くなるほど、両の拳を握りしめた。
迎えに来た研究員に連れられて車に乗り込む。
こめかみを伝う血を気にする者は居ない。
あるのは、異形の被験体への蔑み、畏怖、研究に関わる者としての興味・関心
ただそれだけ。
こめかみを伝う血を気にする者は居ない。
あるのは、異形の被験体への蔑み、畏怖、研究に関わる者としての興味・関心
ただそれだけ。
続く…?
