「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 俺とプラモと都市伝説-04

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
※この物語は、平穏とライガーたちを愛する一人の契約者の日常的な非日常を描いたものです。過度な期待はしないでください。
※後、作者は文才に乏しいです。いくつか読みづらい文章などが出てくるやもしれません。

では、【未発売キットを製作すると発売決定する都市伝説】第四話をお送りいたします。


「有間君……本当に、よかったです……」

「むぐぐぐぐぐぐ……」

「ほっ!」ドヤァ

数分後、紫亜はようやく泣き止んでくれた。【殺人鬼】も目を覚ましてすぐ俺に飛びかかろうとしたが、手錠で両腕を拘束されていたため
横にいた婆さんに素早く取り押さえられてしまった。今は婆さんに猿轡を噛ませられた上に、手足にロープなどを追加されつつある。
…………正直言うと、かなり哀れだ。かといって止めさせるわけでもないけど。なんせ殺されかけたんだし。

「……紫亜、落ち着いたところで聞きたいんだが、あの後一体何が?というか、ここ俺の家だよな?」

「うん……そこのホッピングババ……じゃなくてお婆さんが、有間君を連れてきてくれたんです」

紫亜の話によると、目が覚めて部屋の惨状に気づいた彼女は、すぐさま家を飛び出して俺と【殺人鬼】を探しに行ったんだそうだ。
すると、土手の向こう側から気絶した俺を背負って歩いていた婆さんを発見。事情を話して俺の家まで届けてもらったらしい。
その後婆さんに教えてもらった場所で【殺人鬼】を回収し、看板や砂山やらを片付け終えた後に俺の家で合流。

大体の話の流れはこんな感じらしい。ただ、何故婆さんが俺を背負ってきたかはわからないとの事。

「もしかして、俺がいつまで立っても来ないから探してたのか?」

そう婆さんに尋ねると、満面の笑みでサムズアップを返してきた(【殺人鬼】の手錠は既に二桁に達しつつある)。
恐らく俺が【殺人鬼】に殺されそうになった時も、婆さんが助けてくれたのだろう。

「そっか。助けてくれてありがとう、婆さん」

「私からも改めてお礼を言います……ありがとうございました、お婆さん。【殺人鬼】さんの暴走も止めてくれて」

「ほっほっほー!礼には及ばんよ嬢ちゃん。我が《らいばる》の危機とあらば当然の事じゃよ」

「むぐぐ……むぐぐぐぐ……!」

…………ん?

「どうした、我が《らいばる》よ。そんな驚いたような顔をして……あ」

「ば……婆さんが喋ったー!?」


紫亜の説明によると、現在彼女と婆さんは仮契約の状態にあるらしい。

「私の契約者としての器もまだ余裕あるし、仮契約だから殆ど影響もないしね」

「都市伝説やら「組織」やらの説明は昨日そこの変態から聞いたとして、それって普通の契約とどこか違うのか?」

「えっと……契約も仮契約も色々方法があるんだけどね?私とお婆さんの場合は単なる『会話の成立』を目的とした物だから」

要は、婆さんの言いたいことがこちらにはちゃんとした言葉で伝わり、こちらの言葉は婆さんの使っている言語(バネ語とかか?)に変換され
向こうに伝えられるという、言語翻訳器に近い契約だそうだ。互いの力を借りたり強めたりは出来ないそうだが。
……よく考えれば、「ほっほっほ」しか喋れないホッピング婆さんと紫亜で会話が成立するはずもないよな。納得できた。

「でも、仮とはいえ契約は契約!これでお婆さんも野良から「組織」保護下の都市伝説です!」

「あ、やっぱり都市伝説がウロウロしてるのは不味いのか。説明聞いたとき『あれ?』とは思ってたんだ」

何という簡単なジョブチェンジ。

「儂はこれまで通り過ごさせてもらうぞ、あくまで保護じゃからな。言っとくが戦闘には参加せんし、期待もするでないぞ嬢ちゃん」

「そのとおりだぞ紫亜!お前は私が守ってやるからな!」

「「馬鹿な、いつの間に!?」」

てか、どうやってあの拘束から抜け出しやがったこの変態!?思わず婆さんと同時に声を上げてしまったじゃないか……ってあれ?

「さ、早くこの男の化けの皮を剥がすぞ……え?」

「……もそも……元はといえば、全部殺人鬼さんが…………しかも事もあろうに有間君をこ……こ、kkk殺そうだなんて……!」

紫亜さーん?その両手に握られた中華鍋は一体どこから……あれ、デジャビュ?

「し、紫亜!?まて落ち着け、私はお前のためを思って……!」

「殺人鬼さんの…………殺人鬼さんの、馬鹿ーーーーー!!」

【殺人鬼】、三度沈黙。怒らせた紫亜は結構怖いのだ。婆さんはまた嬉々として気絶した変態を縛り上げにかかっている。
今度こそ僅かばかりの哀れみも失せたので、無視して先程の鍋の事を紫亜に聞いてみた。

「ああ、『能力の貸し借り』は本契約の特徴の一つです。これも【ベッドの下の殺人鬼】の拡大解釈で……それよりも」

と、言って紫亜は急に真面目な顔になって………こう、切り出した。

「単刀直入に聞きます。有間君は……今後、どうしたいですか?」

「どういう意味だ?」

「朝にも説明したとおり、出井君は何らかの形で都市伝説と契約しています。それも、分類が難しい新世代の都市伝説と」

「ああ、【プラモデルを作ると翌日店で販売されてる】っていう能力か……え、世代とか分類とかってあるの」

「基本【使役:現象:物品】の三つに……ってそれは置いといて。担当の黒服さんに聞いた話によれば……」

都市伝説と都市伝説は惹かれあう。俺が契約している限り、別の都市伝説が襲ってくる可能性もあるのだ、と。

「…………」

「都市伝説だって、人間と同じです……いい人だけとは限りません。【すねこすり】のような無害な存在から【トンカラトン】【くねくね】【八尺様】といった、人を問答無用で即死・発狂させたり……最悪、死よりも怖い状態に陥れる者も、数多くいます」

「…………」

『人智を超えた力なんて持つもんじゃないな、やっぱり凡人は平凡な日常で満足するべきだったんだ―――』

「ですから、「組織」の一員として私はここで……有間君に《選択》してもらいます」

「選択……?」

「はい。「組織」の傘下に入り、契約者として戦う道。契約を破棄し、記憶も消して日常へと帰る道」


どちらか一つだけ、選んでください。


「…………俺は」

正直、殺される直前であったなら迷わず後者を選んでいたはずだ。能力が消えてもプラモデルが消えるわけじゃないし。
流石にホッピングやヘルメットは回収されるだろうが、スノーライガー達は手元に残るだろう。
それに俺自身、そんなに出来た人間じゃない。体力と短距離走にちょっと自信があるだけの、何処にでもいるゾイドオタクだ。
いつ殺されるかわからないような生活なんてまっぴらだ…………でも。

「紫亜も……戦ってるんだよな」

「え?あ、はい……一ヶ月ほど前から」

友人が日常の裏で……時には命懸けの戦いを繰り広げている一方で、平和な日常を享受する……。

本当にいいのか、それで。

「紫亜。悪いけど…………俺は命懸けの生活はしたくないし、自分ができるとも思えない」

「……そう、ですか……では、記憶を消し」

「でも、記憶は消さないで欲しい。「組織」入りは出来ないけど、民間協力者って形は駄目か?」

「えっ?いえ、せめて協力関係にまで持っていければいいって言われてますけど……」

「じゃあ、それで頼む。やばそうな都市伝説にあったらすぐ「組織」に連絡するし、紫亜が危ないときは……その、何とかする」

「……わかりました。じゃあ、ちょっと書いて欲しい物がいくつか……」

……結局、俺はどっちも選べなかった。紫亜の事を見捨てられなくて、婆さんとの決着をつけたくて、もっと色んなプラモが作りたくて、
その一方で戦うことも怖くて……こんな中途半端な道を選ぶ事になってしまった。本当に最低だな、俺。

「あ、そうだ紫亜。さっき言ってた危険な都市伝説についてもっと知りたいから、これからちょくちょく互いの家行き来しようぜ」

「はい、私が有間君の家に…………えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

まあ、紫亜との関係が元通りになった事でよしとしようか。てか、何慌ててるんだこいつ?
今までだってよく、お前の家に遊びに行ってただろ。

「そ、それは慣れというか、気まずさがないというか……あぅぅ……心の準備が」

気まずさ?何となく自分の部屋を見渡してみる。

  • 床にめり込んだ拳ほどの大きさの石
  • 棚の中や上に並べられた機獣たち
  • 岩と穴ぼこだらけの庭
  • もはや生身の部分が見えなくなっている変態

…………うん、紫亜からすればかなり気まずいな。特に最後のが。真面目な彼女からすれば当然とも言える。
仕方ない、これからも俺の方から出向くしかないようだ。


「はい、これで完了で……あ、そうだ有間君」

「ん?」

「そ、その……色々あったけど、来年も、よろしくお願いします!」

「あ……うん。こちらこそ、今後ともよろしく」

そういえば大晦日だったな、今日。来年こそいい年になりますように。


こうして、俺の日常的な非日常が始まった…………のだが。
新年早々、俺はまた新たな都市伝説と出会う事になる。
そして「彼女」は、紫亜が警告していたあの【危険な都市伝説】の一人だったのだ―――――


『……とんから、れん……?とんから、てん……とんから、りん……?』


―――――た、多分……。


第四話:終わり

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