「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - キメラロア

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都市伝説と契約した者は、特殊な能力を得、都市伝説と戦える同等の力を持つようになる。
もちろん、例外として、戦闘以外で役立つ能力や、そもそも何に使えば良いのか分からない能力を得る場合もあるが。
しかし、多くの場合はその辺の都市伝説なら簡単に勝てる程度の能力は手に入る。
少なくとも、その青年は口裂け女に負けた事はなかった。

時は深夜。
敵は口裂け女。
場所は近くのマンション住人の為の駐車場。
『当たり屋グループ』の契約者であり、複数の車を操作する能力を持つ青年にとって絶好の場所。けれど……、
「あぁ……欝陶しい……」
エンジンを限界まで回し、時速200キロ以上で走行する2台の車。それを口裂け女の左右から突っ込ませた。
その結果が、その2台を片手で受け止めている口裂け女の姿だった。
「なんだよ、これ」
そもそも、襲ってきた時からおかしかったのだ。口裂け女にも関わらず、「私、きれい?」とも聞かず突然襲ってきた。
口裂け女対策に持っていたべっ甲飴に見向きもせず、ポマードと唱えても無視した。
何か変だ。青年はそう感じ、駐車場にある全ての車を口裂け女に向けて発車させ、自分の乗っている車を反転、口裂け女から逃げた。
「逃げるのか……」
そう呟く口裂け女の背後から、高速で1台の車が突っ込み、轢いた。
「あ……」
跳ね上げられ、空を舞う身体を次の車が跳ね飛ばした。
「よっし!」
その様子をバックミラーで確認しながら、青年は駐車場を出た。
そして、ぶつかり合う車。ぶつかり合い、車体を傷つけ、いくつかの車からガソリンが漏れだす。
そして、引き起こされる、大きな爆発。

「何だったんだ、あれは」
駐車場から持ちだした、自分の物ではない車を運転しながら、青年は呟いた。
「この車は……まぁ良いや。その辺に棄てとけ…………ば……?」
ふと、窓の外を走っている存在に気がつく。
傷一つ無い、白いワンピースの、大きく口の裂けた女。
「…………っ!!」
その存在を認識すると同時、青年は車の速度を上げた。
口裂け女は100メートルを3秒で走る。時速約120キロ。それ以上の速度なら逃げられると判断して。そして
「…………は?」
その口裂け女が普通でない事を忘れて。
時速140キロ、隣を走る口裂け女の腕が、車の窓をぶち抜き、その手の鋏が、青年の喉を切り裂いた。

「あー、いたいた」
「遅いぞ……何してた……」
運転手の死んだ車にもたれ掛かり、眠っているようにじっとしていた口裂け女に、一人の男が近づいた。
黒い衣服に、サングラス。組織所属の黒服。
「いやいや、駐車場での爆発の片付けがね。まいったよ本当、何度言っても派手な戦いするし、車盗むし、困った契約者だよ。だから殺されるんだよ。
 いやいや、過激じゃないよ?これでも再三の注意を無視したのはあっちだしね、我慢に我慢を重ねたんだしね。あ、これ今回のターゲット?うわぁ、また容赦なくやったね、本当、人間が嫌いだね君は」
ここまで、長々と喋り、黒服は一息いれ、
「………………で?」
そう言った。
「たまに……自分が自分でなくなる……自分が……よく分からなくなる……黒服……」
「はい?」
「私は……口裂け女だな……?」
「そうですよ。まあ、『ターボババア』の速度や『鬼』の力や『ロールスロイスは壊れない』の頑丈さとか、色々入ってますが」
それは一つの実験。都市伝説に別の都市伝説を加える実験。都市伝説の長所を集め、短所を無くし、強い都市伝説を造る。
もっとも、自身の情報が重要な物となる都市伝説にそんな事をすればどうなるか。
「今の実験結果では一週間が最長記録ですね。一つの都市伝説として形を保てたのは。初期の頃は一瞬で駄目になってましたから、少しは進歩したんですけどね」
「知ってる……だから……次の仕事を……早く……」
「仕事熱心ですね。そんなに人間殺したいですか?いやはや、無関係な一般人とか襲わないで下さいよ?あ、こちら仕事の資料です。
 その仕事の後に殺す予定の契約者のリストもあるんで時間許す限り頑張ってください。一応言っておきますけど、穏健派のボンクラに見つかったらないようにお願いしますよ」
「殺す……全部……敵……人間は……契約者は……協力する都市伝説も……私達を攻撃する……敵」
黒服の言葉を聞いているのかいないのか、資料を受け取った口裂け女はフラフラと歩きだす。
敵を殺す為にこの実験の被験者になったのだ。自分が消える、その時まで、敵を殺す為、歩きだす。
「まあ、実験の前はそんな事言ってなかったけどな」
ただ組織を正しいと信じていただけの、『満月の夜は犯罪が増える』の情報が混ざってから、おかしくなってしまった口裂け女を見ながら、
黒服は静かに呟いた。

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