「うん、うん、わかったー。
よろしくおねがいしまーす」
通話が終了する。
千葉県夜刀浦市民会館の屋上で
一人の松葉杖を付いた女子高生がのんびりと
携帯電話を片手に着信を待っている。
彼女が今しがた怪異を寸断し
数分後には戦闘が再開されるなど誰も思いはしないだろう。
先ほど、組織に務める契約者の友達に電話して
今戦っている怪異の詳細を調べてもらっている所なのだ。
程なく、電話が掛かってくる。
……間違い電話をかけてしまった、かけられたことがある人は多いだろう。
1994年、統計学上、もっとも間違われやすい電話番号が発見された。
ルーレットの配置と同じく、複雑な計算の末たどりついたナンバーだ。
だが、現在まで使われているにも関わらず、15年間間違い着信は只の1件もないらしい。
……この都市伝説と化した電話番号は……
現在、『組織』上層部へのホットラインとして使われている。
「……衛悟から話は聞いた、それは恐らく、ティンダロスの猟犬だな」
「流石エーテルさん。話が早いねー。
それってどんな都市伝説なの?」
「アメリカが発祥の都市伝説だ。
異常な角度をもつ時空に住む不浄な存在とされる。
時間旅行者の「におい」を知覚すると
その獲物を捉えるまで、時間や次元を超えて永久に追い続ける」
「対処法は?」
「ティンダロスの猟犬は「時間の角」に巣食いこの世に現出する時には
90度以下の鋭角が必要らしい。身を守るには鋭角の無い部屋に閉じこもる事。
だがこれは完全ではない。
ティンダロスの猟犬の協力者のドールに地震を起こされると破綻する」
「ふむふむ……有効な攻め手は?」
「魔術師ヴェルハディスが用いた球形のジレルスの結界石。
あるいは錬金術師エノイクラが用いた万物溶解液。
このことから球状の結界に閉じ込めるなり
コークロアなど「溶解」の性質を持った都市伝説攻撃が有効と推察される。
万物溶解液はエリクサーや賢者の石の原料だから
サンジェルマンが持っているはずだが生憎と今は連絡が付かない」
暦の中で思考が巡る。
「それだけ分かればおっけー。
……黒服は動かせそう?ちょっと借りたいんだけど……?」
「何をするつもりかしらないが……
夜刀浦市にいる事後処理用の一分隊十一名が限度だぞ?」
「十分。あそこにプラネタリウムがあるでしょ?
そこを人払いをさせた上ガシャポンの玉、ボール……
球形のものなら何でもいいわ、街からかき集めてありったけ用意させてもらえる?
後は私が何とかするわ」
暦は足を引きずりながらドーム状の屋根をしたプラネタリウムを目指す。
その顔には一切の恐怖は無い。
よろしくおねがいしまーす」
通話が終了する。
千葉県夜刀浦市民会館の屋上で
一人の松葉杖を付いた女子高生がのんびりと
携帯電話を片手に着信を待っている。
彼女が今しがた怪異を寸断し
数分後には戦闘が再開されるなど誰も思いはしないだろう。
先ほど、組織に務める契約者の友達に電話して
今戦っている怪異の詳細を調べてもらっている所なのだ。
程なく、電話が掛かってくる。
……間違い電話をかけてしまった、かけられたことがある人は多いだろう。
1994年、統計学上、もっとも間違われやすい電話番号が発見された。
ルーレットの配置と同じく、複雑な計算の末たどりついたナンバーだ。
だが、現在まで使われているにも関わらず、15年間間違い着信は只の1件もないらしい。
……この都市伝説と化した電話番号は……
現在、『組織』上層部へのホットラインとして使われている。
「……衛悟から話は聞いた、それは恐らく、ティンダロスの猟犬だな」
「流石エーテルさん。話が早いねー。
それってどんな都市伝説なの?」
「アメリカが発祥の都市伝説だ。
異常な角度をもつ時空に住む不浄な存在とされる。
時間旅行者の「におい」を知覚すると
その獲物を捉えるまで、時間や次元を超えて永久に追い続ける」
「対処法は?」
「ティンダロスの猟犬は「時間の角」に巣食いこの世に現出する時には
90度以下の鋭角が必要らしい。身を守るには鋭角の無い部屋に閉じこもる事。
だがこれは完全ではない。
ティンダロスの猟犬の協力者のドールに地震を起こされると破綻する」
「ふむふむ……有効な攻め手は?」
「魔術師ヴェルハディスが用いた球形のジレルスの結界石。
あるいは錬金術師エノイクラが用いた万物溶解液。
このことから球状の結界に閉じ込めるなり
コークロアなど「溶解」の性質を持った都市伝説攻撃が有効と推察される。
万物溶解液はエリクサーや賢者の石の原料だから
サンジェルマンが持っているはずだが生憎と今は連絡が付かない」
暦の中で思考が巡る。
「それだけ分かればおっけー。
……黒服は動かせそう?ちょっと借りたいんだけど……?」
「何をするつもりかしらないが……
夜刀浦市にいる事後処理用の一分隊十一名が限度だぞ?」
「十分。あそこにプラネタリウムがあるでしょ?
そこを人払いをさせた上ガシャポンの玉、ボール……
球形のものなら何でもいいわ、街からかき集めてありったけ用意させてもらえる?
後は私が何とかするわ」
暦は足を引きずりながらドーム状の屋根をしたプラネタリウムを目指す。
その顔には一切の恐怖は無い。
【続く】