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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん、エピローグに至るまで-契り-02

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「舞、好きだ」
「……ん」
 耳に心地よい声の後、待っていた感触はすぐに訪れた。
 自分の唇を覆う、少し硬い他人の唇の感触を受け、舞は身を震わせる。
 背に回された手が抱きしめて来るのを感じ、舞は自分でもTさんに抱きついて唇を押しつけた。すると、そうするタイミングを狙っていたかのように口内に侵入してきた異物の感触に舞はくぐもった驚きの声を上げた。
「――んぅっ!?」
 口内に侵入してきたものは、舞の歯や歯茎を丁寧になぞって行く。それがTさんの舌なのだと気付いた時には、彼の舌は舞の舌を絡め取っていた。
 丹念に舌を交わらせる感触に舞が徐々に酔っていくと、やがて舌は解放された。
「――っ、ぷは……はぁ……」
 呼吸を乱している舞の背を子供をあやすように叩くTさんに非難がましい目を向けて、舞はぼそぼそと文句を口にする。
「いきなり舌とか入れるなよ……びっくりするじゃねえか……」
 Tさんは舞の文句に目元を緩め、「すまん」と謝って手を舞の後頭部に回した。
 目線を合わせて訊ねる。
「嫌だったか?」
「んなことない。……けど、いきなりだと噛んじまうかもしれねえじゃん」
「そうか……俺は大丈夫だ。舞を信じてるからな」
 そう言うと、Tさんは舞に体重をかけた。
「うわ?!」
 倒される体の下には布団が敷いてあり、後頭部には手が回されていてクッションになっているため衝撃はほとんど無い。あっさりと押し倒された舞に覆いかぶさったTさんは、再び唇を重ねてきた。
 先程と同じ、少し硬い唇の感触。それに対して今度は舞の方が仕返しとばかりにTさんの口へと舌を差し入れた。
 他者の口の中に舌を入れる感触は妙に生ぬるいもので、不思議な感覚がした。
 先のTさんの舌の動きをなぞるように口の中を移動する舞の舌は、その途上でTさんの舌に絡め取られた。
「ん、む……ッ」
 舌を絡めて互いの味を味わう動きが行われ、上にあるTさんの口から舌を通して二人分の唾液が舞へと流れて来た。舞は舌を絡め取られて上手く飲み下せない唾液を難儀しつつコクコクと喉を鳴らして幾度か嚥下する。そうして舞の呼吸が舌の交わりと唾液の嚥下で苦しくなって来る頃に、Tさんの舌が離れていった。
「――ぁ」
 苦しさと唾液とで酩酊したような浮遊感を得ていた舞は、ぼんやりとした意識をどこかで楽しみながら、舌が無くなることに対する寂しさを声にして漏らした。
 そんな舞の後頭部から手を引き抜きながら、Tさんは上体を起こす。
 舞の腹部に体重をかけないように膝をついて跨ったTさんは、息を整えながら潤んだ目でぼうっとしている舞の浴衣の胸に触れた。
「……ん」
 舞が反応して身じろぎしたのを確認して、Tさんは舞の浴衣の胸をはだけた。
 下着をつけていない胸に直接手を這わされる感触が舞に震えを与える。
 Tさんの大きな掌に胸を包まれる感覚に安心感を得て力を抜いた舞は、続いて胸の頂きを手の動きで転がされ、艶っぽい声を上げた。
「くっ、……ん……!」
 胸へと血が集まって、その先端が硬くなっていくのを舞は自覚する。更に、這わされる手から体中に広がっていく掻痒感にも似た熱を感じながら、舞はTさんの手をそっと掴んで動きを止めさせた。
 目で「どうした?」と問いかけて来るTさんに舞は僅かに言いづらそうに口ごもる。
「えと……いじって、楽しいか? 俺、胸……小せえじゃん」
「スタイルはいいんだ、引け目を感じることもないだろう」
 そうだろうかと唸る舞に穏やかな目を向け、Tさんは舞に跨ったまま後ろに片手を回した。
「そこだけをいじられるのが不満なら、色々な所をいじろうか」
 そう言いながら、舞の内腿に浴衣から手を差し入れた。
「ちょ……!?」
 体を反射的に堅くする舞をほぐすように、Tさんは上体を倒して舞の首に舌を這わせ、もう片方の手で舞の胸を再び覆った。
「……ぁ、やっ……!」
 体の複数の場所を同時に愛撫され、舞の身体に甘い痺れを伴う熱が広がる。その熱は下腹部に集まってゆき、熱の集まる先へとTさんの手指が下着越しに触れた。
「――っ!」
 自分の手以外のものが秘部に触れる感触に半ば悲鳴にも似た熱い息を零して、舞は身体を快楽に震わせた。
 二三度下着越しに舞の秘部を撫でたTさんは、舌と手の動きを止めると上体を起こした。
 背後に回していた手を舞へと見せる。そこに確かに湿り気があることを確認して、舞の顔は耳まで一気に燃え上がった。
「一応下着を脱いだ方がいいと思うが」
「――――ッ!」
 何か文句のようなものが口から出てきそうになり、しかし恥ずかしさの為に何も言えずに舞は口を何度か開閉させて、やがて観念したように小さく首を縦に振った。
 Tさんは舞が何か言おうとしたのを分かっているのかいないのか、微笑ましげに笑むと、舞の上から脇の方に退いて浴衣を完全に体の前面からはだけさせた。
 はだけた浴衣の上に仰向けになる格好となった舞は、Tさんに体を完全に見られている自身の状態に顔を更に上気させて、Tさんから顔を逸らした。
 そのまま十数秒、恥ずかしげに体をもぞもぞ動かしている舞の側に自分で下着を脱ぐ意図が無いことを悟ると、Tさんは彼女の下半身を覆っている簡素な白い下着に手をかけた。
 下着を脱がしやすいよう、舞は仰向けに寝たまま尻を軽く持ち上げて膝を伸ばす。そうして下着が足から抜かれると、舞は自分の左脇で裏返った下着を手に持っているTさんに半目を向けて口を尖らせた。
「あんまり人の下着、じろじろ見んなよ」
「分かっているさ。下着よりも舞の身体の方が見ていて面白い」
「な――」
 言葉を失う舞の横でTさんは下着を床に置き、改めて舞の身体を見下ろした。
 深々と頷く。
「眼福だ」
「――ッ」
 舞は勢いよく体を起こしてTさんを睨みつけるが、顔をこれ以上ない程に赤らめた上に涙を湛えた目を向けているようでは威圧感は全く無い。
 羞恥に染まった舞をあやすように撫でてTさんは笑顔で言う。
「きれいだよ」
 その一言で言葉が出て来なくなる自分はやはり骨抜きにされている。そう思いながら舞は僅かに不安を帯びた声で問いかけた。
「……欲情するか?」
「ああ」
 瞬時に返された答えと問答の内容に、自分自身で呆れつつ安心を得て、じゃあ、と舞はTさんに続きを促した。
「また、今度は最後まで…………お願い」
「わかった」
 そう答えてTさんは舞の背に回ると、背後から抱き締めるような格好で腕を回して、左の腕を胸に、右の腕を舞の秘部へと伸ばした。
 無意識の内に抵抗するように閉じられていた腿を割って、成熟しているとは言い難い入り口にTさんの指が届く。
「――――っ」
 指は確かめるように一本の線のような秘部とその周囲をまさぐり、微かに粘性を帯びた水音を部屋に響かせた。
 舞が緊張と羞恥の板挟みになって身を固くしていると、秘部を確認しながらのTさんの声が背後から聞こえてくる。
「以前母さんが言っていたが、本当に生えて――」
「言うなよ! なんか恥ずかしいだろ!?」
 ……ってか千勢姉ちゃん、いつの間にこんな話をしてやがった!?
 恥ずかしいのかなんなのか分からないままにとりあえず憤っている舞へと謝りながら、Tさんは釈明する。
「しかしこういう特徴はいつの段階で歳を取るのが止まったのかを計ることが出来る……データとして重要なんだ、あまり怒らないでくれ」
「千勢姉ちゃんとTさん、どっちに対してだよ? ……まあいいけどさ……あと、俺一応子供は出来るからな」
 Tさんが相槌を打つ。そこで舞は自らの緊張が随分とほぐれていることに気付いた。
 ……狙って……やってんだよなあ、きっと。
 舞は大きく息を吐き、背中から包むようにしてくれているTさんへ遠慮気味にもたれかかった。続きをしてくれという催促だ。
 無言の内に心得たのか、Tさんは舞を軽く抱きしめ直すと、彼女の胸と秘所への愛撫を再開した。
 既に湿り気を帯びていた秘所は、Tさんの手指の動きに合わせて水音を奏で、指は蜜を滴らせている秘部の入り口を幾度か往復している。
 男を受け容れたことの無いそこはぴったりと閉じて侵入者を警戒しているようであったが、その実、蜜を溢れさせて侵入者を受け容れる準備を整えていた。
 指に蜜を十分に絡めたTさんはゆっくりと秘所の中へと指を挿入する。Tさんの腕の中で身体を委ねている舞の肩がピクリと震えた。
「ん……ぁ、入って来て……る?」
「痛みはないか?」
「ん……痛く、ない」
 むしろ気持ち良いくらいだ。体の中へと入って来た指を舞の身体は指の形をはっきりと理解できる程にキツく締めつけているが、それはこれ以上の異物の侵入を止めようというのではなく、入って来たものを逃がさないようにするかのようでもあった。
 ……うわ、指……けっこういい……。
 驚きながら思う間に、舞の体内で指が動いた。ゆっくりと、傷を付けないよう気遣うようにして中を移動する指にTさんの心遣いを感じ、舞は湿り気を帯びた息を吐き出すと共に、異物の侵入によって知らず体に入っていた余分な力を抜いた。
「……ん……っ、ぁっ」
 徐々に早まって行く指の動きに連動してこれまで感じたことの無い類の快感が舞の身を熱していく。ただ座っているだけでも辛くなった舞は、Tさんに全体重を預け、体の下の浴衣ごと布団を握り締めた。
 荒くなっていく呼吸に伴って秘所から聞こえてくる水音は大きくなっていく。
 二人しかいない≪マヨヒガ≫という隠れ家の中、その音は嫌でも大きく響いて耳朶を振るわせた。
「やっ……音……恥ずかし……っ……!」
 指や手の一動作ごとに快感を感じる状態になった舞は息も絶え絶えに喘ぐ。Tさんは両の手を動かし続けながら小さく身を震わせる彼女に囁きかけた。
「もっと聞かせてほしい。音も、声も」
 耳元での声と共に、舞の中に二本目の指が侵入した。
「ん――っ!」
 鉤状に曲げられた指で蜜を掻き出すように秘所をまさぐられ、舞の身体は昂ぶっていった。
「いっ……や……あ、てぃ……さ……っ! く……くる……っ!」
 絶頂が近いことを訴える舞に応えるように、Tさんは秘所と胸を愛撫する手の動きを早くして行き、更に秘所の上方にある秘芯へと親指を押し当てた。
 胸の先同様、充血したそこを弾くように触る。
「……あ――!」
 秘所の中をまさぐる指の動きと合わせるように新たに秘芯へと刺激が与えられる。舞は急激に増やされた快感の量に絶頂の予感を感じて布団を強く握りしめて目を瞑る。
「う、あ……あ……ッ! いッ――――――!」
 背筋がピンと伸びて、そこを駆けあがって来る強烈な快楽の波に舞は呑まれた。
「――――――ッ!」
 裏返った声が上がり、下腹部を中心にして震えが走って体が硬直する。
 数秒間そのまま硬直した舞は、やがて息を詰まらせていた絶頂の硬直がとけると、くてんと脱力してTさんに身を擦り当てた。


            ●


「――ッ……っ……」
「気をやったか」
 小さく顎を引いた舞の秘部から手をどかすと、Tさんはもたれかかってくる舞の身体を両手で抱き寄せた。
 より密着して包まれる安心感に抱かれながら舞はTさんに身を任せ、やがて手が白くなる程強く握っていた布団から手を離して弱々しく手の甲をTさんに当てた。
「どうした?」
 短く要件を訊ねてくるTさんに舞は言う。
「Tさん……と、一つになりたい……」
 息を吸って、
「ね? ……続き、最後まで、やろ?」
「苦痛が伴うぞ?」
「分かってるって……覚悟できてるし、それにもう、一度……その、…………イッたから、準備……できてる」
 語尾に向かうにつれてぼそぼそと聞き取りづらくなる表明を聞いて、Tさんは「それだけで準備万端というわけではないと思うが……」と苦笑する。
 対して舞は口端を力無くわずかに吊り上げ、
「それに、欲情してるTさんを、生殺しにするのはかわいそう……だしな」
 Tさんは何かを言おうとして、しかし首を振って一息を入れた。
「――まあ、確かにそうだな、生殺しは辛い。一つになろうか」
「……え、あ、……おう」
 欲情している事に対して否定の言葉が来ると思っていた舞は、思わぬ素直な解答に面食らってぎこちなく頷く。Tさんは微笑すると舞の身体の下に敷かれている浴衣を抜きとった。
 浴衣の下部は蜜でぐっしょり濡れている。それ以外にも、体の下に敷かれていたり強く握られていた事もあって全体に皺がよってもいた。
「アイロンをかけなくてはいかんな」
「……布団の方もな」
 布団に寝かされた舞が、足をもぞもぞ動かしながら言う。秘所の辺りのシーツは既に蜜でしとどに湿っている。こちらも洗濯が必要だろう。
「それより、Tさんが俺に欲情した証拠、見せてくれよ」
 先程背から抱かれた時に感じた感触を思い出しながら舞は言う。
 その声に含まれた好奇心の色を感じとったのか、Tさんは肩を僅かにすくめて浴衣の帯を解いた。
 下着の中で存在を主張しているモノを見て、舞は息を呑む。
 下着を下ろしたTさんのモノは雄々しく屹立していた。
「これが……大きくなった……Tさんの……へぇ……」
「怖いか?」
「まさか、そこらのちょっと体とかが欠けてる都市伝説とかの方がよっぽど怖えよ」
「比較対象がそれか」
 なんとも複雑そうな表情で言うと、Tさんは舞を挟むように膝をついて跨ぎ、その身体に伸し掛かった。
「――わっ?!」
 舞の腹部にTさんのモノが当たり、一瞬の灼熱感に小さく驚きの声を上げた。
 確認するように軽く身じろぎして、腹の上でソレを転がしてみる。
「けっこう、熱いんだな……んでもって、でっかい」
 先程指二本をやっと受け容れることができた自分の秘所でこれを受け容れることができるのだろうかと舞は一抹の不安を覚える。
 ……いや、でもけっこうその手の本では大丈夫っぽいって言ってたし……。
 急ごしらえで仕入れた知識を総動員して舞は決意を固める。
 興奮からか緊張からか、荒くなってくる呼吸を意識しながら、
「Tさん、や、やってくれ」
 声が詰まったことに悔しさを覚え、その後に自分の発言の意味を自分で考えて舞は再び顔を紅潮させた。
 ……うわ、俺何言って……いや、でも、いいの、か?
 そんなことを思いながら腹部にある熱の塊に意識を向ける。
 ……やっぱりちょっと、怖い……かも。
 何しろ熱くて大きいのだ。未経験な人間がそれを体の中に入れることに恐れがないわけではない。しかしそれに匹敵する程に愛しい人と一つになりたいという欲求と、行為に対する期待があった。
 舞がそんなふうに期待と恐れに葛藤する中、Tさんは身を起してゆっくりと体を動かした。
 水音と共に秘所の入り口に熱が宛てがわれる
 その熱さを一度気をやって敏感になっている粘膜で感じ取り、舞は身を震わせる。
「入れるぞ」
 入り口に確かにあるソレの存在感に対して、舞は許しと促しの肯きを送った。
「うん」
 舞の肯きに従うように、少しずつ、舞の身体が大丈夫であることを確かめるように熱の塊は秘所の中へと入ってきた。指とは比べ物にならない太さと熱を持ったモノが、強烈な異物感を伴って胎へと侵入してくる。
「――ん……ぐ……ッ」
 異物感が呻きを零させ、舞は不安を拭うようにTさんに手を伸ばした。Tさんは舞の手を握り返して腰を押し進めた。
 少し体内に侵入した熱が奥へと進む。すると突然異物感とは違う、刺すような明確な痛みが舞を襲った。
「――ァッ?!」
「……力を抜け、一気に行くぞ」
 Tさんの言葉でこれが処女膜の痛みなのかと理解して、舞は頷いた。
 絡めた手にだけ力を入れて、それ以外は出来るだけ力を抜くようにする。
 瞬間、Tさんの腰が更に押し進められ、熱の塊の侵入に伴って繊維質を引きちぎるような音が舞の内部で響いた。
「――――――ッ!!」
 破瓜の衝撃に音にならない声で喉を震わせて、舞は顎を反らした。
 窮屈な秘所の奥は熱の塊を受け容れるにいはやはり小さく、破瓜の痛みと、未だ狭い胎を割り広げる圧迫感に舞は涙を浮かべた。
 今の状態はひどく痛く、苦しい。しかし、
 ……これで、Tさんと……。
 一つになったという充足感がある。奥まで入って動きを止めたTさんは、深く息を吐いて舞へと気遣うような視線を向けた。
「大丈夫か?」
「……ん、あ……だい……じょぶ」
 言葉が上手く出てこないことにもどかしさを感じつつ舞は返答する。Tさんは安心したようにもう一度息を吐き、舞の涙を手で拭った。更に口の中で文言を唱えようとする。
 その動作の意味を悟って、舞は咄嗟にTさんに叫んだ。
「や、まっ――だめ! Tさん!」
「だが……」
 舞は息を整えてTさんに訴える。
「この痛みも、さ……俺にとって大事なものなんだよ……ありがたいけど、……この痛みを消そうとしないでくれ」
 Tさんは舞の様子を診て、やがて諦めたように頷いた。
「了解した。しかし、沈痛を願おうとしたこと……よく分かったな」
「……ん、もう長い付き合いだからな」
 そう言って舞は痛みをこらえて笑った。そして強請るようにTさんと繋いだ手に力を込めて、彼の顔を見上げる。
「代わりに、さ。キスしてくんね?」
「分かった」
 Tさんは舞の痩せ我慢に付き合う気になったらしい。表情を緩めると、舞の注文を果たす為に下半身を動かさないように注意しながら、ゆっくりと舞の体に上半身を倒した。
 胎の中で舞に強く締めつけられている熱が、脈動しながら小さく動く。その圧迫感に苦しい呼吸をしながら唇を合わせ、舞はTさんに両腕でしがみついた。
 相手の舌を夢中で追いかけながら体温を味わっていると、徐々に身体が胎の中にある熱の温度や存在感に慣れて来るのを感じた。幾分か時間が経って破瓜の衝撃からくる意識が飛びそうな痛みが引けて来る頃になると、舞はTさんにしがみつく腕に力を込めた。
 意図は通じ、Tさんは舞の腕の範囲内で僅かに身を起こすと、舞の目を見て告げた。
「動くぞ」
「ん……っ」
 舞の返事に頷き返して、Tさんは腰をゆっくりと動かす。
 中程まで引き抜かれたモノが、またゆっくりと舞の中へと戻って行く。
 純潔であった証である血と、蜜の絡んだ液体を掻き出しながら行われるゆっくりとした抽送は、舞の身体にモノの形と温度をしっかりと馴染ませるためのものだろう。
 汗の浮いた体でその動きを受け止めているうちに、舞は少しずつ自身を苛む圧迫感や痛み以外のものが胎の中を往復する熱の動きから得られるようになった。
「ふっ、あっ……っく……っ、……っ!」
 それは先程指で秘所を掻きまわされていた時に感じたものと同じ、痺れるような快楽だ。
 Tさんは舞の表情から苦痛の色が消えて行くのを見て取ったのか、一旦動きを止めると、入口近くまでモノを引き抜き、確かめるように最奥まで一気に突き込んだ。
「は、あ――――んぅッ!」
 快感の色が含まれていることを示す、湿っぽい喘ぎが舞の口から零れた。
 Tさんは最奥をこじりながら舞に問いかける。
「感じているのか?」
「――ば、か、いっ……言う、な……ッ」
 答えは快楽に蕩けそうになっている舞の表情を見れば一目了然だ。痩せ我慢では無い何よりの答えを得て、Tさんは舞に言った。
「大きく動くぞ?」
「ん、いい……よ」
 答えを受け、Tさんは腰を大きく使い始めた。
 一定のリズムを刻むように二人の下腹部がぶつかり合う乾いた音と、粘膜や分泌物が立てる水音が合わさった淫音が部屋に響く。
「んっ、っ、……っく……っ!」
 断続的に襲いかかる快楽の波に、舞は熱っぽい喘ぎ声を迸らせる。呼吸は秘所を動くモノの動きの影響を受けてその感覚を短くしていく。
 気が付けば、いつの間にか舞の方からも腰を動かしてTさんと共に快感を得ようとしていた。
 最初はぎこちなかった舞の動きも、相手の動きに合わせるのが一番心地よいことであると体が覚える頃には自然と二人の動きが合うようになっていく。
 舞は今や、胎を愛しい人の熱い塊にかき回される行為に軽い圧迫感と、それ以上の快さを感じていた。苦痛の色が完全に払拭された喘ぎ声はだんだんと高音になって行き、彼女の身体が再び昇りつめようとしていることを報せている。
「てぃ、……ッ! イ、クッ……あ、や……ッ!!」
 舞の訴えを受けて、心得たようにTさんが舞の身体を抱きすくめた。
 動きが激しくなる。
 二人の結合部から響く淫音が激しくなっていく。それは二人の快感が昂ぶって行く音でもあった。
「あぅ、あ……! あ、ん……あッ……! う、あぁ……――ッ!」
 激しい抽送に、Tさんにしがみついた舞の声は既に意味を為してはいない。腕だけでなく、足もTさんに絡めて、舞は悦楽に震えながら愛しい人と一つになろうとする。
「ひ、あ……あ――っ」
 舞は最奥部を貫く一突きで全身を何度も痙攣させ、布団の上で身体を跳ねさせた。
「あぁああ――――――ッ!」
 舞が絶頂を迎えると同時に胎が脈動して中のモノから精を絞り上げようとする。Tさんはその動きに逆らうことをしなかった。
「――――ッ! …………ん、あ……ふ……ぁ、なか……に、あつ、い…………」
 舞はこれまでに感じたことの無い多幸感に包まれながらぼんやりとした意識で途切れ途切れに呟いて、胎を満たそうとする熱を受け容れていた。
「――……、……舞」
 多幸感を与えてくれている張本人の声がする。
 舞は声だけで震えを得るような幸せを感じながら、Tさんにしがみつく四肢に力を込めた。
 絶頂の余韻のせいでろくに入らない力で、それでも必死に抱きついて、快楽に蕩けて回らなくなった舌で愛しい人の名を呼ぶ。
「てぃーさん」


            ●


 しばらくTさんにしがみついていた舞は、火照った身体が幾分か冷め、絶頂の余韻が抜けてきて正気を取り戻す段階になって、ようやくTさんから足を離した。体勢を動かしたことで未だ繋がっている結合部から精と蜜と血が混ざったものが布団に零れ、そこで行われた行為が夢ではないのだと二人に示す。
 足は外して脱力気味に伸ばすが、腕は互いに相手を抱いたままだ。
 そのまま状態で二人は言葉を交わす。
「……やばい、なんか……ものすごく幸せなんだけど」
「俺もだ。これほど幸福感や充足感を得られるとは……」
 互いの肌の温度を感じながら、二人は笑みを零す。
「Tさんと、一つになったみたいだった……ずっとこんなのを待ってた気がする」
「望んでいたようになれた。精神的にも、肉体的にも、そういう気がするな」
「ああ、俺もだよ……」
 どこか茫漠とした声で言って、舞は小さく笑う。
「それにしても、アレだな」
「どうした?」
「なんか、すごく相性が良くって、一回くらいじゃ満足出来無さそうだ」
 初めてなのにここまでになってしまうのは何か恥ずかしいものを感じる。そう言ってくすくすと笑う舞にTさんは、彼にしては珍しく、意地悪とも、挑戦的とも言える口調でこう言った。
「では、もう一度相手をしてもらえるか?」
「へ?」
 舞が気が付いてみれば、彼女の中で一度果てた筈のTさんのモノは、再びその存在を胎の中で主張していた。
 ……相性がいいのはお互い様ってことだよな……。
 そう心に思いつつ、舞は頷いた。
「おう、望むところだ」


            ●


 翌日、正午を少し回った時間。≪マヨヒガ≫の入り口にリカちゃんを肩に乗せた夢子が現れた。
 塀に囲まれた巨大な和風建築は玄妙な姿で二人を迎える。その立派な屋敷の偉容から以前の廃屋の姿を思い浮かべるのは難しいだろう。
 夢子が敷地の中へと入っていくと、Tさんが≪マヨヒガ≫の母屋の縁側に腰かけて陽に当たっている洗濯物を眺めていた。
 ≪マヨヒガ≫は今天気の良い場所に移動している。太陽の光もよく届いて洗濯物もすぐに乾く事だろう。
 そう考えながら、夢子はTさんに向かってリカちゃんと一緒に手を振った。
「Tさーん!」
「お兄ちゃーん!」
 Tさんは手を上げて二人に返事を返してくる。そうしながら彼は夢子に頭を下げた。
「リカちゃんの面倒を見てもらって、すまないな」
「いえ、楽しかったですよ。ねー」
「ねー」
 仲良くはしゃぎ合う二人を見て笑みを浮かべるTさんに近付きながら、夢子はTさんの傍にあるものに目を留めた。
「お昼からお酒ですか?」
 Tさんの傍らには盆があり、その上には酒の瓶とグラス、それに肴までが用意されている。
「今日は特に用事も無くてな」
 瓶を持ち上げてTさんは苦笑した。
「それに、この酒肴は≪マヨヒガ≫からのお祝いだそうだ」
「おいわい?」
「あ、そうなんですか……」
 よくわけが分からずに疑問符を頭に浮かべるリカちゃんと違い、何に対してのお祝いなのかを察した夢子はわずかに顔を赤らめた。
「ええと……私たちからもいずれお祝いを」
「いらんいらん。あまり気を使わないでくれ」
 手を振って制するTさんに「それでは私たちも気が収まりません」と不満げに呟いて、夢子は言葉を重ねる。
「≪マヨヒガ≫にも、随分と好かれてらっしゃるんですね」
「≪マヨヒガ≫を立て直したことを感謝しているのだろう。――義理堅い、夢子ちゃんと同じだな」
「私と同じ、ですか」
 夢子は穏やかに笑んで≪マヨヒガ≫を見上げた。子供のように柔和に笑んで、
「そうですね、きっと≪マヨヒガ≫も、ここにある皆も、お二人に助けられた皆も、私と同じようにお二人のことが大好きなんですよ。――ね? リカちゃん」
「ね!」
 夢子とリカちゃんが頷き合う。
「その優しさに支えられているんだ。俺も、舞も」
 Tさんはグラスを空けて盆の上に置くと、リカちゃんを受け取る為に夢子へと手を伸ばした。
 夢子はTさんにリカちゃんを渡してから、気になったように周囲を見回し、目当ての人影がないと知るとTさんに訊ねた。
「舞さんはどちらでしょう? 台所に立ってらっしゃるんですか?」
 Tさんは受け取ったリカちゃんを頭の上に乗せて「少し、な」と言って酒瓶に手を伸ばした。
 グラスに酒を注ぐ動きで目線を逸らし、
「……恥ずかしくて今日は顔を合わせたくはないのだそうだ」
「あらら……」
 頬に手を当てて曖昧に笑んだ夢子にTさんは苦笑して、
「すまないが今日一日、舞のところに居てやってくれないか?」
「え? あ、はい」
 訝しげに答えた夢子にTさんは小さく頭を下げる。その頭の上で髪の毛を掴んで落ちないようにしながらリカちゃんが頭を傾ける。
「私はどうするの?」
「リカちゃんは俺の酒飲みに付き合ってくれるか? 昨日、何をして遊んできたのかも聞きたいな」
「うん、わかったの!」
 よほど話したい事でもあるのか、リカちゃんはそわそわと身を揺らす。
 それに微笑みかけながら、夢子は靴を脱いで縁側に上がった。
「では、行ってまいりますね?」
「ああ、場所は舞の部屋だ。頼む」


            ●


 夢子が≪マヨヒガ≫の内部で舞が使用している部屋の襖をノックすると、部屋の中からはいつもの舞の声がきた。
「Tさんか?」
「いえ、私――夢子です。Tさんにこちらだとうかがって」
「ああ、夢子ちゃん。入ってきなよ」
「はい」
 普段通りに元気そうな声だ。風邪とかではなさそうだと胸を撫で下ろして、夢子は襖を開けた。
 和室の中では舞が一人、部屋の真ん中に布団を広げて横になっている。
「や、夢子ちゃん。リカちゃんのこと、ありがとな」
「あ、はい。それは別にいいのですけど……」
 夢子は布団に仰向けに寝ている舞の様子に表情を曇らせた。
「あの……お風邪を召されているのですか?」
 元気そうな声だが、実際には体調が悪いのだろうか。
 ……だからTさんは一日居てくれるように頼んだのでしょうか?
 そう思い、夢子は舞の額に自分の額を合わせた。
 夢子の長い髪に埋もれた舞は「いや……」と呟いて頬を染めた。
「えーっと、熱とかは無くて、な……その、腰が……動かねえから……」
 言葉の意味を悟って夢子は舞につられたように頬を染めた。そして舞の額から顔を離し、しげしげと布団に隠れた舞の腰の辺りを見つめて、「えっと……」と口ごもりながら、好奇心に従ってうかがうように訊ねる。
「そんなに……えっと……すごいんですか?」
 訊ねられた舞は顔を半分以上布団で隠して小さく頷き、ぼそぼそと言う。
「……寺生まれって、すげえ……」
 発された言葉は妙な説得力をもって部屋に響いた。





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