「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 争奪戦

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匿名ユーザー

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「その鞄の中の物を、渡して貰おうか」
学校へ行こうと家を出ると、黒服の男がいた。
「突然ね。挨拶くらいしたら?」
「したら、渡してくれるのか?」
「お断りするわ」
内心、焦っていた。
私がコレを所持している事は、予想されているだろうとは思っていた。
しかし、まさかこんな朝から仕掛けてくるとは。
「これは、組織の命令なのかしら?」
「いや、俺の独断だ。それが他の奴の手に渡ると、嫌なんでね」
当たり前だ。
この事を組織が把握しているはずは無いし、把握していたとしても、手を出してくる事は無いだろう。
「渡さないなら、力ずくで頂くぞ」
黒服はそう言って一歩、近づいてくる。
何とかしなければ。
コレを今、奴に渡す訳にはいかない大事な物だ。
黒服に手を出すのは気が引けるが、仕方ない。
「くらえっ!」
私の都市伝説は「耳から白い糸」だ。
能力は、相手の視力を一時的に無くす事。
「何!?」
今のうちにと、目の見えなくなった黒服の横を擦り抜けようとして、
「なんてな」
腕を掴まれる。
「な、嘘!なんで!?」
「俺は『壁に耳あり』と契約していたんだ。
 能力は、五感を一つ別の物に移す事。目が見えなくとも問題無い」
「くっ……」
「さて、鞄を渡せ。でないと……」
私の脇腹に、何かが押し付けられる。
横目で見れば、重々しい、黒光りする、金属の、
まあ、一言で言えば、拳銃だった。
こうなれば、もはや渡すしかない。
私の能力はあれ以外はなく、戦う事はできない。
鞄のアレは大事だが、命に代える程ではない。
「わかったわよ」
「ふん、ようやく素直になったか」
そう言って、黒服は私から鞄を引ったくる。
「……糞黒服め」
「口には気をつけろよ?間違って引き金が動いちまうかもしれねえ」
見せびらかすように、黒服は拳銃を持った腕を軽く振る。
「お、あったあった」
黒服は目当ての物を見つけてしまったらしい。
学校に持っていくには少し異様な箱を、黒服は勝手に開けてしまう。
「こいつを何処のどいつに渡すつもりだったのか、後でじっくりと聴かせてもらうぞ?どうせ同じクラスのアイツだろうがな。
 ふん、こんな無駄な事をせず、お前は一生組織の為に働いていれば良いのだ」
そう言って、黒服は箱の中身を食べてしまった。
「さて、用はすんだ。じゃあな。早くしないと学校に遅刻するぞ」
そう言って、黒服は去っていった。
「くそっ!あんのアホ黒服めぇ……」
一生恨んでやるぞ。

しかし、なんだな。
一番重要な目的は達成されてしまったな。
あぁ、でも。
もっとロマンチックな場所でロマンチックに渡したかった。
なんだよ拳銃で脅されて渡すって。予定が無茶苦茶になったじゃないか。
しかも、クラスの男子の誰かに渡すつもりだったと勘違いしてるし。
ていうか、味の感想くらい寄越せよ!
手作りなんだぞ!!そのバレンタインのチョコ!!!

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