Next Generation 00
からからからからからからから、と
狭い井戸のような書架の坩堝の底の底に、ハムスターが元気良く回し車の上で走り続けている音だけが響く中
裸身に毛布だけを羽織り、絵筆を握りながらぼんやりとキャンバスを眺めている一人の少女
名は無く、『泡沫の魔女』という称号だけを持つその少女は、別世界の住人達に気紛れに覗き見る
具体的に何か干渉するわけではない
目的を以って誰かを選ぶわけではない
ただ、なんとなく
気の赴くままに、興味のないテレビのチャンネルを適当に選ぶように
だがそれは見られる側に何の変化も起こらないわけではない
この世界に住む魔女達は、異世界の誰か彼かの一挙一動によく興味を持ち、その多くは不幸を嫌う
狭い井戸のような書架の坩堝の底の底に、ハムスターが元気良く回し車の上で走り続けている音だけが響く中
裸身に毛布だけを羽織り、絵筆を握りながらぼんやりとキャンバスを眺めている一人の少女
名は無く、『泡沫の魔女』という称号だけを持つその少女は、別世界の住人達に気紛れに覗き見る
具体的に何か干渉するわけではない
目的を以って誰かを選ぶわけではない
ただ、なんとなく
気の赴くままに、興味のないテレビのチャンネルを適当に選ぶように
だがそれは見られる側に何の変化も起こらないわけではない
この世界に住む魔女達は、異世界の誰か彼かの一挙一動によく興味を持ち、その多くは不幸を嫌う
「我が見る物語がご都合主義で何が悪い。見るのは我だ、我の胸糞が悪くなるという都合を嫌うのは至極当然であろう」
そんな言葉はどの魔女のものだったか
「幸と不幸の総量はバランスが取れませんと。見えぬところで多分の不幸があるこの世界、見えるところに還元してこそではないですか?」
そんな言葉はどの魔女のものだったか
「不幸、絶望、苦痛、苦難、いいねぇ、実にいい! それでこそ大逆転のハッピーエンドが映えるというものだろう?」
そんな言葉はどの魔女のものだったか
もっとも、そのどれも『泡沫の魔女』は気にした事もない
彼女が別世界の住人の姿を映し出すのは、気紛れにテレビやラジオをつけっぱなしにしているようなもの
ただ賑やかしや思考の足し程度にしか考えておらず、時折訪れる来客の相手が面倒な時に興味を自分から逸らすのに便利なもの、といったところである
もっとも、そのどれも『泡沫の魔女』は気にした事もない
彼女が別世界の住人の姿を映し出すのは、気紛れにテレビやラジオをつけっぱなしにしているようなもの
ただ賑やかしや思考の足し程度にしか考えておらず、時折訪れる来客の相手が面倒な時に興味を自分から逸らすのに便利なもの、といったところである
「……ずっとそこにあると、それなりに愛着が湧くものね」
そう呟くと『泡沫の魔女』は、数年の間に出来上がったキャンバスの絵に微笑みかける
それは、『逢瀬佳奈美』という少女の絵
それは、『宮定繰』という少女の絵
そしてその二つと並べて置かれた、別の魔女の話から浮かび上がらせた二人の青年の絵
そしてそれを取り囲む様々な人々の絵
それら全てが寄り添うように並べられたそれは、まるで一枚の大きな絵のように
二組の男女の、とても幸せそうな結婚式の絵が出来上がっていた
それは、『逢瀬佳奈美』という少女の絵
それは、『宮定繰』という少女の絵
そしてその二つと並べて置かれた、別の魔女の話から浮かび上がらせた二人の青年の絵
そしてそれを取り囲む様々な人々の絵
それら全てが寄り添うように並べられたそれは、まるで一枚の大きな絵のように
二組の男女の、とても幸せそうな結婚式の絵が出来上がっていた
「この絵は、これで完成って事にしておきましょう」
ことりと筆を置いて、並べたキャンバスをそのままの形で壁際に寄せる
狭いこの空間ではずっと置いておく事はできず、そのうちに書架の片隅にしまい込む事になるのだろう
だが今は、もうしばらくこの絵を飾っておこう
狭いこの空間ではずっと置いておく事はできず、そのうちに書架の片隅にしまい込む事になるのだろう
だが今は、もうしばらくこの絵を飾っておこう
「いや、決して今片付けるのが面倒くさいわけじゃないのだけれど。本当よ?」
誰に言うでもなく呟いたその一言
「そうなんだ。しばらく出しておくならその間、絵を鑑賞していってもいいかな?」
そこに重ねられる、温和そうな青年の声
「いやぁ、いい世界だよね、ここ。こういうところがあるなら、もっと早く来れば良かったな」
螺旋状に据えられた階段の上で、火の粉を散らす陽炎のような蝶の群れが舞い踊り集まって、一人の青年の姿が現れる
その青年の顔を『泡沫の魔女』は記憶の片隅から浮かび上がらせる
赤黒い染みに染まったシャツとスラックスという、腹を刃物で刺されそのまま歩いているかのような配色をした、その青年の顔を
その青年の顔を『泡沫の魔女』は記憶の片隅から浮かび上がらせる
赤黒い染みに染まったシャツとスラックスという、腹を刃物で刺されそのまま歩いているかのような配色をした、その青年の顔を
「何故、あなたがここに居る」
やる気も感情も無いそれまでの声とは違う、僅かな困惑と、怒気を孕んだ『泡沫の魔女』の声
「何故も何も、気がついたら居たんだから仕方ないよね?」
本当にそれ以上の事は無い、といった意思を言外に込めて、やれやれと肩を竦めて見せる青年
「ここ、『魔女の世界』なんだって? じゃあ僕も魔女って事になるのかな、男だけど。その辺どうなんだろうね」
「『魔女』に性別など関係ない。この世界に在るという事は、その存在は魔女であるという事だ」
「『魔女』に性別など関係ない。この世界に在るという事は、その存在は魔女であるという事だ」
ぎり、と
苛立ち混じりに歯を食い縛り、現れた青年を睨み据える
苛立ち混じりに歯を食い縛り、現れた青年を睨み据える
「言うならばあなたは……『崩壊の魔女』といったところか、安芸、葉鳥」
「いい響きだね、気に入ったよ。滅亡とか、破滅とか、そういうのもいいけど……こう、段階を踏んで崩れ果てていくって響きが良いよね」
「いい響きだね、気に入ったよ。滅亡とか、破滅とか、そういうのもいいけど……こう、段階を踏んで崩れ果てていくって響きが良いよね」
拒絶も嫌味も気にした様子も無く、葉鳥は静かに絵の前に立つ」
「いい絵だね」
葉鳥は人の良さそうな笑みを浮かべると、己の腹にある血の染みにぐじゅりと手を潜り込ませ、そこから血塗れの大振りなナイフを取り出し
何の予兆も躊躇いも無く、目の前の幸せそうな少女の絵に向けて、振り下ろす
何の予兆も躊躇いも無く、目の前の幸せそうな少女の絵に向けて、振り下ろす
「ハム子!」
叫ぶ、『泡沫の魔女』
その声に応えるように、ハムスターが回し車から飛び出してくる
その姿は一瞬で人間の形と大きさとなり、壁に据え付けられていた回し車を引き抜いて、葉鳥のナイフをするりと受け止める
ナイフは回し車に触れる事は無く、ハム子の手の中でからからと回るそれの中で、時間と空間が絡め取られたかのように進みも戻りもしなくなっていた
その声に応えるように、ハムスターが回し車から飛び出してくる
その姿は一瞬で人間の形と大きさとなり、壁に据え付けられていた回し車を引き抜いて、葉鳥のナイフをするりと受け止める
ナイフは回し車に触れる事は無く、ハム子の手の中でからからと回るそれの中で、時間と空間が絡め取られたかのように進みも戻りもしなくなっていた
「我は『泡沫の魔女』の使い魔にして、この深淵の書庫の司書。ここにあるものは何人たりとも一切の傷はつけさせない」
ハムスターの身体を思わせるゆったりとしたローブに身を包んだ少女は、そう宣言してから小さく溜息を吐く
「我が主、何時になったらちゃんとした名前を付けていただけるのですか」
「ちゃんとした名前じゃない、ハムスターのハム子」
「正直言ってセンスがありません、我が主」
「何故。ちゃんと女の子だから子をつけたのに」
「私の性別が男でなかった事を、心より全ての我が主以外の創造と想像に携わる方々に感謝いたします」
「造ってあげた私には感謝しないのね」
「ちゃんとした名前をいただけたら、その時に改めて感謝を捧げます」
「ちゃんとした名前じゃない、ハムスターのハム子」
「ちゃんとした名前じゃない、ハムスターのハム子」
「正直言ってセンスがありません、我が主」
「何故。ちゃんと女の子だから子をつけたのに」
「私の性別が男でなかった事を、心より全ての我が主以外の創造と想像に携わる方々に感謝いたします」
「造ってあげた私には感謝しないのね」
「ちゃんとした名前をいただけたら、その時に改めて感謝を捧げます」
「ちゃんとした名前じゃない、ハムスターのハム子」
やや漫才じみたやり取りに、ナイフを握った腕が何処へ動かしても何処にも辿り着かない状況でありながら、平然とくすくすと笑う葉鳥
「ははは、ジョークだよ。僕はこういう直接的な手段は好きじゃないんだ。もうやらないからこれ、外してくれない?」
回し車を指さし、ほんの少しだけ困ったような笑みを浮かべる葉鳥
警戒の色を浮かべたままではあるものの、『泡沫の魔女』の視線を受けてハム子は葉鳥の腕から回し車をするりと外す
警戒の色を浮かべたままではあるものの、『泡沫の魔女』の視線を受けてハム子は葉鳥の腕から回し車をするりと外す
「直接的な手段は好きじゃないって、言っただろ? 間接的な手段は、もう仕込んであるから」
そこいらから適当な椅子を勝手に引っ張り出し、すとんと座り込む
「僕は、あの世界を滅ぼそうと思うんだ」
「文字通りの意味の世界滅亡とか、そういうのは嫌いだったんじゃないの?」
「あの世界にいた頃は、ね。観測できない世界の滅びに興味は無いよ」
「文字通りの意味の世界滅亡とか、そういうのは嫌いだったんじゃないの?」
「あの世界にいた頃は、ね。観測できない世界の滅びに興味は無いよ」
葉鳥は愛嬌のある笑みを浮かべ、くすくすと笑う
「でもね? あの世界の滅亡は、ここからなら観測できる。僅かな綻びからドミノ倒しのように、壊れ果て消えて無くなるまで一部始終をね」
「楽しい観劇を望む魔女達が、劇場ごとぶっ壊されるのを許すとでも?」
「許さないなら許さないで、それは別に? 好きに修正でも妨害でもすればいいさ。干渉した結果、余計悪い方に転がっても僕は知らないけど」
「楽しい観劇を望む魔女達が、劇場ごとぶっ壊されるのを許すとでも?」
「許さないなら許さないで、それは別に? 好きに修正でも妨害でもすればいいさ。干渉した結果、余計悪い方に転がっても僕は知らないけど」
ごちゃごちゃとしたテーブルの上に、こつんと一つドミノ牌を立てる
ア ザ ト ー ス
「僕が用意した牌は『盲目にして白痴の神』。そこに辿り着く道筋は、僕にだって判らない。その方が面白いからね」
ア ザ ト ー ス
「僕が用意した牌は『盲目にして白痴の神』。そこに辿り着く道筋は、僕にだって判らない。その方が面白いからね」
こつん、こつんと
右手でドミノ牌を並べながら
右手でドミノ牌を並べながら
「あとは、そうだね……今の世代の人達は関れないようにしておこうか。僕のドミノの終点は、その逢瀬佳奈美が幸せを手に入れた時から12年後としようかな」
左手に持った色とりどりのドミノ牌を、ざらりと床に落としていく
「何年後だろうと関係無いわ」
『泡沫の魔女』は静かに絵筆を振るう
浮かび上がる泡は並べられたドミノ牌に触れ染め上げて、まだ見ぬ世代の少年少女達を浮かび上がらせた
浮かび上がる泡は並べられたドミノ牌に触れ染め上げて、まだ見ぬ世代の少年少女達を浮かび上がらせた
「この世界から何をどうこうしようと、あの世界は何も変わらないわ。私達にできる事は、ただ見ている事だけ」
絵筆の先を葉鳥に突きつけて、『泡沫の魔女』は宣言する
「滅ぼす? 幸せにする? 馬鹿馬鹿しい、この世界から私達がどうこうしようと思ったところで、あの世界には何も変わりなく続いていくわ」
「じゃあ、賭けようか」
「じゃあ、賭けようか」
葉鳥はするりと『泡沫の魔女』の髪に触れ、顔を覆う長い前髪を掻き分けてて、顔を覗き込み頬を撫でる
「あの世界が滅び果てたら、別の世界を覗き……そして滅ぼすための僕の手駒になってよ」
「ふざけるな!」
「ふざけるな!」
怒声を上げるハム子を片手で制して、『泡沫の魔女』は嘲笑う
「あの世界がどうやったところで滅びるものか。あなたの賭けなど成立しない、どうしても負けたいというのなら受けて立ってあげる」
「そうかな? 僕があの世界に残してきた能力は、僕がたった一人の人間を追い詰めるために使っていたのとはまるで違う使い方をされるだろうからね」
「そうかな? 僕があの世界に残してきた能力は、僕がたった一人の人間を追い詰めるために使っていたのとはまるで違う使い方をされるだろうからね」
葉鳥の顔が、ゆっくりと『泡沫の魔女』に迫り
間近で、人の良さそうな毒気の無い笑顔を浮かべる
間近で、人の良さそうな毒気の無い笑顔を浮かべる
「見た目より熱くなりやすい性格なんだね」
「あなたが、人を苛つかせるのが上手いだけよ」
「ありがとう、誉め言葉として受け取っておくよ」
「勘違いしないで、純粋な嫌味よ」
「あなたが、人を苛つかせるのが上手いだけよ」
「ありがとう、誉め言葉として受け取っておくよ」
「勘違いしないで、純粋な嫌味よ」
睨みつけてくる『泡沫の魔女』からするりと手を離し、ぱちんと指を鳴らしてハム子も拘束から開放する
「君達の世界の終わりも、いずれ見せてもらいたいな。それじゃあまたいずれ」
その言葉と共に、現れた時と同じように陽炎のような蝶の群れと化して羽ばたき散っていく葉鳥
溜息を一つ吐き、『泡沫の魔女』は裸身に毛布を羽織り直し、もぞもぞと寝床である場所に潜り込んでいく
溜息を一つ吐き、『泡沫の魔女』は裸身に毛布を羽織り直し、もぞもぞと寝床である場所に潜り込んでいく
「良いのですか、我が主。あのような輩を放置しておいて」
「長々と喋ったら疲れたから、寝る」
「長々と喋ったら疲れたから、寝る」
そう言って、すぐに寝息を立ててしまう主の姿に、ハム子は諦めたように己の姿を小さなハムスターに戻し
主と同じように小さな巣穴に潜り込んでいったのだった
主と同じように小さな巣穴に潜り込んでいったのだった
―――
目を開ければ、そこは見知らぬ天井
動く事も喋る事もできず、瞼を上げて眼球を動かすのが精一杯
視界の隅に動く白いもの
それが看護士の姿だと理解し、ここが病院である事を理解する
動く事も喋る事もできず、瞼を上げて眼球を動かすのが精一杯
視界の隅に動く白いもの
それが看護士の姿だと理解し、ここが病院である事を理解する
(なぜ)
歯軋りすらできずに、自らの胸の内だけをぎりぎりと絞り上げる
(なぜ、生きている)
僅かな身動ぎの度に激しい痛みが全身を襲う中、そんな痛みすら生易しいと言わんばかりに
彼女は全ての運命を呪うかのように、その想いをぐつぐつと煮詰めていく
彼女は全ての運命を呪うかのように、その想いをぐつぐつと煮詰めていく
(なぜ、私は、生きている)
ナイフの使い方に不手際は無かったはずだ
火の点け方にも不手際は無かったはずだ
だとしたら、何故
そう自問自答を繰り返す
そんな時間が、ただ延々と続く
火の点け方にも不手際は無かったはずだ
だとしたら、何故
そう自問自答を繰り返す
そんな時間が、ただ延々と続く
「たまたま傷口が焼けたせいで、致死量の失血をギリギリ免れたんだよ。その上で焼け死ぬ前に消火活動が間に合って、こうして生きている事ができたんだ」
死なないギリギリの失血
死なないギリギリの火傷
まるでそう決められていたかのような結果を語る医者に、彼女はまた内心で歯軋りをする
死なないギリギリの火傷
まるでそう決められていたかのような結果を語る医者に、彼女はまた内心で歯軋りをする
「現場に残されていたライターとオイル缶とナイフ。あれ、あなたのですよね?」
焼き尽くせるはずがない証拠
だが、残したところで意味の無い証拠
生き残った彼女の元を訪れては医者に追い返される刑事に、彼女はその胸の内を更に煮詰めていく
だが、残したところで意味の無い証拠
生き残った彼女の元を訪れては医者に追い返される刑事に、彼女はその胸の内を更に煮詰めていく
(はやく)
彼女はただただ願う
(はやく、私の世界を終わらせないと)
彼女はただただ願う
(はやく、私の世界を終わらせないと、私だけの先生の世界が暴かれる)
彼女はただただ願う
(私の世界が終わらせられないのなら)
彼女はただただ願う
(この世界が終わってしまえ)
そしてその願いは
ひらり、ひらりと彼女の周りを舞う霞のような蝶の群れに伝わっていく
白い部屋の窓辺に溢れる、存在しないかのような希薄な蝶の群れ
その群れの中心に佇む、周りの蝶とは違う気高い気品を纏うその蝶は、かつてとある男に与えられようとしていた都市伝説
それは『胡蝶の夢』
この世界は別の世界の胡蝶が見ている夢で、胡蝶が目覚めれば世界は泡沫のように消え果るという――ものではない
本来の意味は、どちらの世界も真実でありどちらの世界も己があり、全てを受け入れる事で変わらぬ本質を知る事ができるというもの
それが、僅かな曲解が歪みを生み
歪みは人の預かり知らぬ深淵へと繋がっていた
ひらり、ひらりと彼女の周りを舞う霞のような蝶の群れに伝わっていく
白い部屋の窓辺に溢れる、存在しないかのような希薄な蝶の群れ
その群れの中心に佇む、周りの蝶とは違う気高い気品を纏うその蝶は、かつてとある男に与えられようとしていた都市伝説
それは『胡蝶の夢』
この世界は別の世界の胡蝶が見ている夢で、胡蝶が目覚めれば世界は泡沫のように消え果るという――ものではない
本来の意味は、どちらの世界も真実でありどちらの世界も己があり、全てを受け入れる事で変わらぬ本質を知る事ができるというもの
それが、僅かな曲解が歪みを生み
歪みは人の預かり知らぬ深淵へと繋がっていた
(『あれ』を目覚めさせれば)
窓辺に佇む胡蝶を見詰め、女性は願う
(この世界が『あれ』の見ている夢でしかないのだから)
かつて、彼女が想いを寄せた人がそうしていたかのように
彼女は霞のように舞う『バタフライ・エフェクト』を羽ばたかせる
微かな
幽かな
誰も知りえない
誰も気付かない
果てしなく遠回りなドミノ倒しのように
彼女の願いを『あれ』へと届けるべく並べられていく
彼女は霞のように舞う『バタフライ・エフェクト』を羽ばたかせる
微かな
幽かな
誰も知りえない
誰も気付かない
果てしなく遠回りなドミノ倒しのように
彼女の願いを『あれ』へと届けるべく並べられていく
宇宙の中心にて玉座に座し
従者たる異形の神々が呆けて踊る中
下劣な太鼓のくぐもった狂おしき連打と
かぼそく単調なフルートの音色に合わせて
身悶えを繰り返し
冒涜的な言葉を喚き散らしながら
大笑いし
沸き立つ
従者たる異形の神々が呆けて踊る中
下劣な太鼓のくぐもった狂おしき連打と
かぼそく単調なフルートの音色に合わせて
身悶えを繰り返し
冒涜的な言葉を喚き散らしながら
大笑いし
沸き立つ
魔王(アザトース)の元へと