「ほ、ホントに大丈夫?」
「おう、ちょっと疲れただけで、ちゃんと歩ける」
「無理しないでね、光陽……肩を貸すくらいなら、私も平気だから…」
「おう、ちょっと疲れただけで、ちゃんと歩ける」
「無理しないでね、光陽……肩を貸すくらいなら、私も平気だから…」
サンキュー、と笑顔で返し、歩き続ける光陽
しかし少しふらついている事は、美菜季にも分かっていた
しかし少しふらついている事は、美菜季にも分かっていた
2011年10月28日―――「マヤの予言」に記されたXデー
平凡な中学生だった仲橋 光陽は、幼馴染の松葉 美菜季と帰宅している途中で、
二足歩行をするジャガーの化物に襲われ、彼女を守る為に死亡した
だが彼は蘇り、それどころかジャガー怪人を撃退してみせたのだ
架空のキャラクターである筈の、『ゲンガー』に姿を変えて……
平凡な中学生だった仲橋 光陽は、幼馴染の松葉 美菜季と帰宅している途中で、
二足歩行をするジャガーの化物に襲われ、彼女を守る為に死亡した
だが彼は蘇り、それどころかジャガー怪人を撃退してみせたのだ
架空のキャラクターである筈の、『ゲンガー』に姿を変えて……
「…ふぅ、やっとついたぜ」
既に日付が変わっている事を携帯電話で確認しつつ、
光陽はある喫茶店の前で立ち止まった
『メシヤ』という看板を掲げたこの店は、美菜季の父親が経営している店
すなわち光陽と美菜季の家である
既に扉には「CLOSE」と書かれているが、明かりが点いていた
恐らく、2人の帰りを待っていたのだろう
光陽が勢い良く扉を押すと、からんからん、と鐘が鳴った
光陽はある喫茶店の前で立ち止まった
『メシヤ』という看板を掲げたこの店は、美菜季の父親が経営している店
すなわち光陽と美菜季の家である
既に扉には「CLOSE」と書かれているが、明かりが点いていた
恐らく、2人の帰りを待っていたのだろう
光陽が勢い良く扉を押すと、からんからん、と鐘が鳴った
「おやっさん、ただいま!」
「おう! 遅かったな、ホテルにでも行ってきたか? ヒューヒュー♪」
「ちょ、ちょっとお父さん!」
「おう! 遅かったな、ホテルにでも行ってきたか? ヒューヒュー♪」
「ちょ、ちょっとお父さん!」
片づけをしながら陽気に笑うこの男こそ、
喫茶店『メシヤ』の店長にして美菜季と光陽の父、松葉 円樹(マツバ エンジュ)
左目に大きな古い切り傷がある為に少々強面ではあるが、
見ての通り気さくな人物で、学生を中心に店共々好評である
尚、美菜季がまだ幼かった頃に妻を亡くしてから男手一つで美菜季、そして光陽を育てている為、
料理は得意であり、特にカレーは店の看板メニューにもなっている
喫茶店『メシヤ』の店長にして美菜季と光陽の父、松葉 円樹(マツバ エンジュ)
左目に大きな古い切り傷がある為に少々強面ではあるが、
見ての通り気さくな人物で、学生を中心に店共々好評である
尚、美菜季がまだ幼かった頃に妻を亡くしてから男手一つで美菜季、そして光陽を育てている為、
料理は得意であり、特にカレーは店の看板メニューにもなっている
「ハハ、ごめんよおやっさん、俺は先に寝るから」
「おっと、晩飯まだだろ? 食ってけ」
「いや、腹減ってn」
「食ってけって」
「おっと、晩飯まだだろ? 食ってけ」
「いや、腹減ってn」
「食ってけって」
ことん、と皿一杯に盛られたカレーライスがテーブルの上に置かれる
円樹の真剣な目つきも相まって、光陽は席に着きスプーンを持って渋々食べ始めた
円樹の真剣な目つきも相まって、光陽は席に着きスプーンを持って渋々食べ始めた
「……あれ?」
一口食べた瞬間、彼は違和感に気付いた
歩くのがやっとな程に疲労していた身体が、突然軽くなった
歩くのがやっとな程に疲労していた身体が、突然軽くなった
「ッヘヘ、疲れがとれたろ?
このカレーにゃ、俺のダチから貰った「竜血」ってぇ代物を使ってある」
「リューケツ?」
「世間じゃ都市伝説と呼ばれてるモンだ……お前さん等が戦ったのと同じ、な?」
このカレーにゃ、俺のダチから貰った「竜血」ってぇ代物を使ってある」
「リューケツ?」
「世間じゃ都市伝説と呼ばれてるモンだ……お前さん等が戦ったのと同じ、な?」
かちゃっ、と思わずスプーンを落とす光陽
立ち上がり、美菜季を庇うように咄嗟に身構える
立ち上がり、美菜季を庇うように咄嗟に身構える
「お、おやっさん……何か知ってんのか?」
「はっはっは、そう硬くなるなよ、俺もまだやんちゃしてた時に似たようなことをやってたもんだ
まぁ、流石に“人間じゃなくなる”なんてことは無かったけどな?」
「っ……お父、さん?」
「そんな訳で……俺もお前達の親だ
親には、子供がどんな事件に巻き込まれたのか知る権利がある
勿論、言いにくい事なら強制はしない……話してくれるか?」
「はっはっは、そう硬くなるなよ、俺もまだやんちゃしてた時に似たようなことをやってたもんだ
まぁ、流石に“人間じゃなくなる”なんてことは無かったけどな?」
「っ……お父、さん?」
「そんな訳で……俺もお前達の親だ
親には、子供がどんな事件に巻き込まれたのか知る権利がある
勿論、言いにくい事なら強制はしない……話してくれるか?」
ちら、と2人は顔を見合わせた
互いに頷き、光陽は円樹を見据えて、先程起こった出来事を話し始めた
互いに頷き、光陽は円樹を見据えて、先程起こった出来事を話し始めた
数分後
「っははははははははwwwww
都市伝説になっちまったのか光陽wwwwwwwそりゃ良いやwwww」
都市伝説になっちまったのか光陽wwwwwwwそりゃ良いやwwww」
円樹は涙を流しながらテーブルを叩いて爆笑していた
無論、一度命を落とした光陽も、息を吹き返したとはいえ一度想い人を亡くした美菜季も、
今回の事は笑い飛ばせるものではない
尤も、互いの想いについては話してはいなかったのだが
無論、一度命を落とした光陽も、息を吹き返したとはいえ一度想い人を亡くした美菜季も、
今回の事は笑い飛ばせるものではない
尤も、互いの想いについては話してはいなかったのだが
「わ、笑うなよおやっさん!」
「こっちも大変だったんだからね!?」
「ははは、わ、悪い悪いw そうかそういうことだったのかw
嫌な思いもしただろうが、無事に帰ってきてくれてよかったよ」
「でも分からない事だらけだ
都市伝説って何なんだ? この漫画みたいな力は、一体……?」
「そいつぁ、俺なんかよりも詳しい奴が身近にいる筈だぜ?」
「え?」
「身近って…どういうこと?」
「ま、今日は疲れたろ、運良く土曜日だしゆっくり休め
慌てなくとも近い内に分かるさ」
「こっちも大変だったんだからね!?」
「ははは、わ、悪い悪いw そうかそういうことだったのかw
嫌な思いもしただろうが、無事に帰ってきてくれてよかったよ」
「でも分からない事だらけだ
都市伝説って何なんだ? この漫画みたいな力は、一体……?」
「そいつぁ、俺なんかよりも詳しい奴が身近にいる筈だぜ?」
「え?」
「身近って…どういうこと?」
「ま、今日は疲れたろ、運良く土曜日だしゆっくり休め
慌てなくとも近い内に分かるさ」
そう言って円樹は立ち上がり、空っぽになった皿を下げる
光陽も美菜季もさっぱりといった表情だが、大きな欠伸を一つすると、
それぞれ寝る支度をする為に自室へと向かった
光陽も美菜季もさっぱりといった表情だが、大きな欠伸を一つすると、
それぞれ寝る支度をする為に自室へと向かった
――――――――――――――――
あれから1週間が過ぎた
「まさか神崎が都市伝説の関係者だったとは……」
テーブルの上に突っ伏すようにして座りながら、光陽は呟いた
他に客が来ていないから良いものの、傍から見れば行儀の悪い客にしか見えない
他に客が来ていないから良いものの、傍から見れば行儀の悪い客にしか見えない
「確か、契約者っていうんだっけ?」
「神崎だけじゃない……極も、担任の未央先生も……あと2年と1年にも何人か……」
「本当に身近にいるんだね…」
「ははは、特にこの町は多いぞ
理由は知らんが、都市伝説が寄りつきやすいみたいでな」
「へぇ……後は、あいつが怪しいんだよな」
「うん、黄昏くんね……」
「ん? まだ会ってなかったのか?」
「インフルエンザで1週間お休みで、ずっと学校に来てなかったの」
「てか、おやっさん、もしかして裂邪が――――――――」
「今晩もー 働くぞー 平和を守るためー
そいつが俺等の仕事だよー ヤムダムヤムダムヘーイ」
「あれ、黄昏くんかな?ナンノウタナンダロ…」
「神崎だけじゃない……極も、担任の未央先生も……あと2年と1年にも何人か……」
「本当に身近にいるんだね…」
「ははは、特にこの町は多いぞ
理由は知らんが、都市伝説が寄りつきやすいみたいでな」
「へぇ……後は、あいつが怪しいんだよな」
「うん、黄昏くんね……」
「ん? まだ会ってなかったのか?」
「インフルエンザで1週間お休みで、ずっと学校に来てなかったの」
「てか、おやっさん、もしかして裂邪が――――――――」
「今晩もー 働くぞー 平和を守るためー
そいつが俺等の仕事だよー ヤムダムヤムダムヘーイ」
「あれ、黄昏くんかな?ナンノウタナンダロ…」
からんころん、と鐘が鳴った
扉の向こうにいたのは、右目が髪で隠れた黒尽くめの少年と、青い髪の少女だった
扉の向こうにいたのは、右目が髪で隠れた黒尽くめの少年と、青い髪の少女だった
「おやっさん、久しぶり!」
「おう裂邪! 元気そうだな! 髪が伸びたんじゃないか?」
「ずっと寝てたもんでね」
「黄昏くん、ミナワちゃん、いらっしゃい」
「こんにちは。御心配をおかけしてすみませんでした」
「ううん、元気みたいで良かった。どうぞ」
「おう裂邪! 元気そうだな! 髪が伸びたんじゃないか?」
「ずっと寝てたもんでね」
「黄昏くん、ミナワちゃん、いらっしゃい」
「こんにちは。御心配をおかけしてすみませんでした」
「ううん、元気みたいで良かった。どうぞ」
美菜季に案内され、少年と少女―――黄昏 裂邪とミナワは席に着いた
「いやー病み上がりで腹減っててなー
それに体力もつけなきゃなんないしさ
だったらここでおやっさんのカレー食うしかないだろってことで来た訳で」
「嬉しいねこの野郎、今日はサービスだ! 大盛りでも普通の値段で良いぞ!」
「激辛円樹カレー大盛りで! あと胡麻ドレサラダとメロンクリームソーダ!」
「もう! 調子に乗っちゃダメよお父さん!
黄昏くんも、この店潰す気!?」
「「えー」」
「文句言わない! 定価でお支払い願います!」
「ウヒヒヒ、まぁいいや、さっきの注文で」
「わ、私はジャスミンティーをお願いします」
「んーまぁこんな美味い飯、10%OFFでも勿体ないけどな。罰が当たりそうだ」
「料理には特に力を入れてるからな
腹が減った人に元気になって貰いたい!助けたい!そんな願いを込めてんのさ」
「店名も凝ってるしな、“飯屋”と“Messiah”をかけて『メシヤ』
確かにおやっさんの飯は俺達の救世主だよ」
「はっはっは、今日も言ってくれるなぁお前は
今日は特別サービスd」
「ダメ!」
「「けち!」」
それに体力もつけなきゃなんないしさ
だったらここでおやっさんのカレー食うしかないだろってことで来た訳で」
「嬉しいねこの野郎、今日はサービスだ! 大盛りでも普通の値段で良いぞ!」
「激辛円樹カレー大盛りで! あと胡麻ドレサラダとメロンクリームソーダ!」
「もう! 調子に乗っちゃダメよお父さん!
黄昏くんも、この店潰す気!?」
「「えー」」
「文句言わない! 定価でお支払い願います!」
「ウヒヒヒ、まぁいいや、さっきの注文で」
「わ、私はジャスミンティーをお願いします」
「んーまぁこんな美味い飯、10%OFFでも勿体ないけどな。罰が当たりそうだ」
「料理には特に力を入れてるからな
腹が減った人に元気になって貰いたい!助けたい!そんな願いを込めてんのさ」
「店名も凝ってるしな、“飯屋”と“Messiah”をかけて『メシヤ』
確かにおやっさんの飯は俺達の救世主だよ」
「はっはっは、今日も言ってくれるなぁお前は
今日は特別サービスd」
「ダメ!」
「「けち!」」
等と冗談か本気か分からない会話が続いた中で、
唯一言葉を発していなかった光陽がようやく口を開いた
唯一言葉を発していなかった光陽がようやく口を開いた
「……悪い、おやっさん。ちょっとだけ店を貸切にして貰って良いかな?」
「ん、構わねぇよ」
「どうしたの? 顔色悪いけど…」
「いや、大丈夫だ」
「ん、構わねぇよ」
「どうしたの? 顔色悪いけど…」
「いや、大丈夫だ」
店の前に『現在貸切です』の表示を出し、
光陽は改めて、裂邪へと言葉を投げかけた
光陽は改めて、裂邪へと言葉を投げかけた
「……裂邪、お前……」
「ウヒヒヒヒヒ…暫く会わない内に何かあったみたいだな、ゲンガー……いや、光陽」
「ウヒヒヒヒヒ…暫く会わない内に何かあったみたいだな、ゲンガー……いや、光陽」
にやり、と笑みを浮かべて裂邪は光陽に視線を向けた
彼の見せた怪しい笑顔は、光陽に異様な威圧感を与える
彼の見せた怪しい笑顔は、光陽に異様な威圧感を与える
「どうやら聞きたい事が山ほどあるみたいだが
先にお前の身に何があったか……聞かせてくれないか?」
先にお前の身に何があったか……聞かせてくれないか?」
ことん、と裂邪の前に大盛りのカレーとサラダが置かれた
数分後
「ヒハハハハハハハハハハwwwwwwww
都市伝説になったってマジかよwwwこれ知り合いに言いふらして良い?www
あ、おやっさんカレーお代わり」
「な? やっぱ笑うだろ?wwwwほい、一丁あり」
「だから笑うなっての!」
「そ、そうですよ、2人とも大変な事に巻き込まれていたんですから…」
「ぐすっ……ミナワちゃん有難う……そういってくれるのは貴方だけよ……」
「す、すまん、悪かったw
…まぁ、原因の一つは俺だと言っても過言じゃないからな」
「え?」
「あぁいや、何でも無い」
「それで早速なんだが……都市伝説って何なんだ?」
「知っての通り、「口裂け女」とか「トイレの花子さん」、「ギザ十」やら「恐怖の大王」、
果ては民間伝承やネットロアや神話まで、この世に跋扈する荒唐無稽な物語が具現化されたもの
それが都市伝説だ
例えば、お前がなっちまったその都市伝説は「GENGA HA NAKAHASHIKOYO」って都市伝説だな」
「あ、それで“ゲンガー”って呼んでたのか!?」
「他にも理由あるけどまぁいいや
都市伝説の誕生理由は諸説あるようだが、一番大きいのは多くの人に信じられている事だろうな
人がその存在を信じるが故に、本当に世に出てしまう…願い事が叶ったようにな」
「へ、へぇ……あ、そうだ、神崎に聞いたんだが、契約ってのは?」
「そもそも都市伝説が存在する為には、誰かの記憶に強く刻まれていなければならない
それ故に多くの都市伝説は、自身が語られた噂に忠実に行動を起こす事がある
「口裂け女」なら、子供を切り刻んで殺したりしてな」
「っ……」
「だが一方で、平和的な方法で己の存在を保とうと考える賢い都市伝説も存在する
その方法こそが“契約”だ
大勢の人間では無く、たった1人の契約者に記憶して貰う事で己の存在を確立させる
さらに、契約するとその都市伝説が持つ力をより強力にする事が出来る」
「聞く分には凄ぇけど…何かデメリットとかないのか?」
「あるんだなそれが
人間にはそれぞれ“心の器”ってのがある
これは人によって大きく、また小さくもある
1個契約するのが限界だったりするし、俺みたいに2個以上契約できる事もある」
「に、2個以上……」
「ち、ちょっと待て、それって1個も契約できない程小さかったらどうなるんだよ?」
「その答えは目の前にいるこいつだ」
「えへへ…」
都市伝説になったってマジかよwwwこれ知り合いに言いふらして良い?www
あ、おやっさんカレーお代わり」
「な? やっぱ笑うだろ?wwwwほい、一丁あり」
「だから笑うなっての!」
「そ、そうですよ、2人とも大変な事に巻き込まれていたんですから…」
「ぐすっ……ミナワちゃん有難う……そういってくれるのは貴方だけよ……」
「す、すまん、悪かったw
…まぁ、原因の一つは俺だと言っても過言じゃないからな」
「え?」
「あぁいや、何でも無い」
「それで早速なんだが……都市伝説って何なんだ?」
「知っての通り、「口裂け女」とか「トイレの花子さん」、「ギザ十」やら「恐怖の大王」、
果ては民間伝承やネットロアや神話まで、この世に跋扈する荒唐無稽な物語が具現化されたもの
それが都市伝説だ
例えば、お前がなっちまったその都市伝説は「GENGA HA NAKAHASHIKOYO」って都市伝説だな」
「あ、それで“ゲンガー”って呼んでたのか!?」
「他にも理由あるけどまぁいいや
都市伝説の誕生理由は諸説あるようだが、一番大きいのは多くの人に信じられている事だろうな
人がその存在を信じるが故に、本当に世に出てしまう…願い事が叶ったようにな」
「へ、へぇ……あ、そうだ、神崎に聞いたんだが、契約ってのは?」
「そもそも都市伝説が存在する為には、誰かの記憶に強く刻まれていなければならない
それ故に多くの都市伝説は、自身が語られた噂に忠実に行動を起こす事がある
「口裂け女」なら、子供を切り刻んで殺したりしてな」
「っ……」
「だが一方で、平和的な方法で己の存在を保とうと考える賢い都市伝説も存在する
その方法こそが“契約”だ
大勢の人間では無く、たった1人の契約者に記憶して貰う事で己の存在を確立させる
さらに、契約するとその都市伝説が持つ力をより強力にする事が出来る」
「聞く分には凄ぇけど…何かデメリットとかないのか?」
「あるんだなそれが
人間にはそれぞれ“心の器”ってのがある
これは人によって大きく、また小さくもある
1個契約するのが限界だったりするし、俺みたいに2個以上契約できる事もある」
「に、2個以上……」
「ち、ちょっと待て、それって1個も契約できない程小さかったらどうなるんだよ?」
「その答えは目の前にいるこいつだ」
「えへへ…」
裂邪が腕を回して抱くと、ミナワが照れながら笑った
が、聞いている2人にとっては笑い事では済まされなかった
が、聞いている2人にとっては笑い事では済まされなかった
「み、ミナワちゃん……都市伝説、だったの?」
「はい、元々は人間だったみたいなんですけど、その頃の記憶がなくて…」
「てことは…都市伝説との契約が失敗したら…」
「都市伝説と同化して、人間じゃ無くなるって訳だ」
「都市伝説に“飲まれる”っていう言い方が一般的なんですけど、
作者さんが『蒼穹のファフナー』にハマっちゃって、どうしても『同化』という言葉を取り入れたいそうです」
「さくしゃ?」
「うん、メタ発言はやめような
おやっさん、カレーお代わり」
「あいよ!」
「喋ってんのに早いな!? もう3杯目だぞ!?」
「恐らくここの売り上げの3割は俺が担ってると思う」
「大体お父さんおだてて値切ってるよね」
「でも“おやっさん割”は人気だろ?」
「そんなサービスやってないから!?」
「おやっさんと呼んでくれ(キリッ」
「お父さんは黙る!」
「はい( ´・ω・` )」
「…あ、そう言えばおやっさん、裂邪が契約者なのを知ってたみたいだけど、いつから?」
「何だお前知らなかったのか
おやっさんは俺の親父と幼馴染で、昔から友人と集まって都市伝説やっつけたりしてたんだよ
それから今のお前みたいに都市伝説の気配とかが分かるようになったんだ」
「え、お父さんホント!?」
「言ってなかったが、この傷…都市伝説絡みでやんちゃしてた時に出来たんだ」
「それも驚いたがおやっさんと裂邪の親父さんが幼馴染だった事に驚いたよ」
「ヒヒヒ、世界は思ったより狭いからな
都市伝説と関わりを持った以上、それは嫌でも経験させられるさ」
「…? それってどういう……」
「都市伝説同士、そして契約者同士は互いに引き付け合う
それは友好関係を築くチャンスでもあるが、多くは大体戦闘だ
時には、人間と戦う場合もあるってことを頭に入れとけ」
「はい、元々は人間だったみたいなんですけど、その頃の記憶がなくて…」
「てことは…都市伝説との契約が失敗したら…」
「都市伝説と同化して、人間じゃ無くなるって訳だ」
「都市伝説に“飲まれる”っていう言い方が一般的なんですけど、
作者さんが『蒼穹のファフナー』にハマっちゃって、どうしても『同化』という言葉を取り入れたいそうです」
「さくしゃ?」
「うん、メタ発言はやめような
おやっさん、カレーお代わり」
「あいよ!」
「喋ってんのに早いな!? もう3杯目だぞ!?」
「恐らくここの売り上げの3割は俺が担ってると思う」
「大体お父さんおだてて値切ってるよね」
「でも“おやっさん割”は人気だろ?」
「そんなサービスやってないから!?」
「おやっさんと呼んでくれ(キリッ」
「お父さんは黙る!」
「はい( ´・ω・` )」
「…あ、そう言えばおやっさん、裂邪が契約者なのを知ってたみたいだけど、いつから?」
「何だお前知らなかったのか
おやっさんは俺の親父と幼馴染で、昔から友人と集まって都市伝説やっつけたりしてたんだよ
それから今のお前みたいに都市伝説の気配とかが分かるようになったんだ」
「え、お父さんホント!?」
「言ってなかったが、この傷…都市伝説絡みでやんちゃしてた時に出来たんだ」
「それも驚いたがおやっさんと裂邪の親父さんが幼馴染だった事に驚いたよ」
「ヒヒヒ、世界は思ったより狭いからな
都市伝説と関わりを持った以上、それは嫌でも経験させられるさ」
「…? それってどういう……」
「都市伝説同士、そして契約者同士は互いに引き付け合う
それは友好関係を築くチャンスでもあるが、多くは大体戦闘だ
時には、人間と戦う場合もあるってことを頭に入れとけ」
思わず美菜季が両手で口を覆って声を押し殺した
光陽も思わず息を飲んだが、同時に疑問も湧いた
光陽も思わず息を飲んだが、同時に疑問も湧いた
「…お前は……裂邪は、人間とも戦ったのか?」
「ウヒヒヒ、まぁな。結果はまぁ、この元気な姿を見れば予想はつくだろ
勿論、その代償も……大きかったが」
「ウヒヒヒ、まぁな。結果はまぁ、この元気な姿を見れば予想はつくだろ
勿論、その代償も……大きかったが」
裂邪は長く伸びた前髪を右手で退けてみせた
今まで見えなかった右目の大きな傷が、戦いの痛々しさを物語っているようだ
今まで見えなかった右目の大きな傷が、戦いの痛々しさを物語っているようだ
「きゃっ……」
「これくらいで済んで寧ろ運が良かったんだ
戦いの中で命を散らした奴等も、俺は見てきた
俺自身、何度か死にかけたりしたけど
そういう意味では、お前等も嫌な思いはしただろうが、運は良かったんだ
大切にしろよ、その命
おやっさん御愛想ー」
「毎度ありー」
「やっぱ食うの早ッ!」
「これくらいで済んで寧ろ運が良かったんだ
戦いの中で命を散らした奴等も、俺は見てきた
俺自身、何度か死にかけたりしたけど
そういう意味では、お前等も嫌な思いはしただろうが、運は良かったんだ
大切にしろよ、その命
おやっさん御愛想ー」
「毎度ありー」
「やっぱ食うの早ッ!」
ミナワを連れ、早々と会計を済ませると、
裂邪は扉を開けて、足を止めて振り返った
裂邪は扉を開けて、足を止めて振り返った
「次会う時は戦場で……なんて事が無いよう祈ってるよ
んじゃ、明日学校で」
「ご馳走様でした♪」
んじゃ、明日学校で」
「ご馳走様でした♪」
からん、と鐘が鳴り、店内が静まり返った
不吉なこと言って帰んなよ……、と項垂れながら、光陽は店の前の『貸切中』の表示を外した
不吉なこと言って帰んなよ……、と項垂れながら、光陽は店の前の『貸切中』の表示を外した
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