ドラゴンが守る宝には手を出してはいけない
宝を守るドラゴンは、宝にさえ手を出されなければ恐ろしい存在ではないから
もしも手を出すのならば、命をかける覚悟を決めろ
宝を守るドラゴンは、宝にさえ手を出されなければ恐ろしい存在ではないから
もしも手を出すのならば、命をかける覚悟を決めろ
Calamity・Runic
帰りのHRも終わり、帰路についたところで。彼、荒神 憐が最初にした事は、本日手伝いに行く予定の教会の司祭へとメールを送る事だった
今日は、手伝いに行く予定だったのだ。その手伝いの中に「おつかい」があるのだとしたら、学校帰りについでにそれをこなしてしまおう、と考えたのだ
予想通り、買い物を頼まれた。放課後、まっすぐに商店街に向かい、頼まれた物を買っていく。料金は、教会についてから受け取ればいい
あの教会には、普段、見た目の若い司祭が二人いるだけだ。その癖に、あの教会はそれなりに広い。掃除やら何やら、どうしても手が足りなくなってしまう。憐は幼い頃からその教会に通っていた為、その司祭達とも顔見知りだ。手伝いをするようになったのも、ごくごく自然な流れだった
今日は、手伝いに行く予定だったのだ。その手伝いの中に「おつかい」があるのだとしたら、学校帰りについでにそれをこなしてしまおう、と考えたのだ
予想通り、買い物を頼まれた。放課後、まっすぐに商店街に向かい、頼まれた物を買っていく。料金は、教会についてから受け取ればいい
あの教会には、普段、見た目の若い司祭が二人いるだけだ。その癖に、あの教会はそれなりに広い。掃除やら何やら、どうしても手が足りなくなってしまう。憐は幼い頃からその教会に通っていた為、その司祭達とも顔見知りだ。手伝いをするようになったのも、ごくごく自然な流れだった
(カイザー司祭様は、家事それなりに出来る方だけど。メルセデス司祭様は家事、全然できないというかやらないし……)
それを考えると、やはり、手伝いは必要なのだ。憐はうん、と納得しながら、教会への道を歩いて行く
確か、先日、そろそろ教会の裏庭の手入れをしたい、と言っていたはず
そちらの手伝いは出来そうにもないから、自分は掃除か何かを手伝って………と、そう考えていた時だった
確か、先日、そろそろ教会の裏庭の手入れをしたい、と言っていたはず
そちらの手伝いは出来そうにもないから、自分は掃除か何かを手伝って………と、そう考えていた時だった
「あ………」
ちょうど、十字路になっている辺りに差し掛かったところで、見覚えのある姿を見かけた
クラスメイトの、女生徒だ。今年になって、学校街にやってきたと言う彼女。天然のものなのか、狐色のポニーテールがぽんぽん、と歩みに合わせて揺れている
………そんな、彼女の後ろに、犬が付いて行っている様子が見えた
黒い犬だ。やけに大きい。そう、不自然なほどに
クラスメイトの、女生徒だ。今年になって、学校街にやってきたと言う彼女。天然のものなのか、狐色のポニーテールがぽんぽん、と歩みに合わせて揺れている
………そんな、彼女の後ろに、犬が付いて行っている様子が見えた
黒い犬だ。やけに大きい。そう、不自然なほどに
「や、ば…………」
その犬が何であるのか、憐は即座に気づいた
クラスメイトと、その大柄な犬を追いかけるように走りだす
クラスメイトと、その大柄な犬を追いかけるように走りだす
(黒い、大柄な犬。それと、あの、目………)
そう、一番の問題は、目なのだ
一瞬見た、あの犬の目は
一瞬見た、あの犬の目は
(赤く、光って………)
赤く光る目
犬の巨体と合わせて考えるに、その犬の正体は恐らく、「ブラックドック」
日本ではあまり馴染みのない存在だが、イギリスにおいては古くから伝わる存在だ。ヘルハウンド、もしくは黒妖犬とも呼ばれる、不吉な妖精の一種とされている
大抵の場合、夜中に古い道や十字路に現れ、その姿は燃えるような赤い目に黒い体の大きな犬の姿をしている、と伝えられている
そして………本来の伝承では、「火を吐く」と言った能力に関しては伝えられていないのだが。「ヘルハウンド」とも呼ばれるせいだろうか。そして、今日のファンタジーゲーム等で、ヘルハウンドが火を吐くモンスターである事が多いからか
犬の巨体と合わせて考えるに、その犬の正体は恐らく、「ブラックドック」
日本ではあまり馴染みのない存在だが、イギリスにおいては古くから伝わる存在だ。ヘルハウンド、もしくは黒妖犬とも呼ばれる、不吉な妖精の一種とされている
大抵の場合、夜中に古い道や十字路に現れ、その姿は燃えるような赤い目に黒い体の大きな犬の姿をしている、と伝えられている
そして………本来の伝承では、「火を吐く」と言った能力に関しては伝えられていないのだが。「ヘルハウンド」とも呼ばれるせいだろうか。そして、今日のファンタジーゲーム等で、ヘルハウンドが火を吐くモンスターである事が多いからか
「ーーーーーっ危ない!」
憐がそう、声をかけたのと
「…………え?」
クラスメイトである、その女生徒が振り返ったのは、ほぼ同時
そして、女生徒の後をつけていたブラックドッグが、火を吐き出そうとしたのも、ほぼ、同時で
そして、女生徒の後をつけていたブラックドッグが、火を吐き出そうとしたのも、ほぼ、同時で
ブラックドッグの姿を確認した瞬間から、憐は動いていた
故に、間に合う
地面を蹴って、一気に距離を詰める
背後から近づいてきた憐に、ブラックドッグが気づいて………ごぉうっ、と、火を吐きかけてきた
横へと跳ぶ。横には住宅の堀があったが、その堀を足場に上と跳ぶ。くるりっ、と、ブラックドッグを飛び越えて、女生徒とブラックドッグの間へと着地した
ブラックドッグの吐き出した炎が、アスファルトの塀に焦げ目を残す
故に、間に合う
地面を蹴って、一気に距離を詰める
背後から近づいてきた憐に、ブラックドッグが気づいて………ごぉうっ、と、火を吐きかけてきた
横へと跳ぶ。横には住宅の堀があったが、その堀を足場に上と跳ぶ。くるりっ、と、ブラックドッグを飛び越えて、女生徒とブラックドッグの間へと着地した
ブラックドッグの吐き出した炎が、アスファルトの塀に焦げ目を残す
「え…………え?」
女生徒は、目の前の光景が信じられない、とでも言うように………呆然とした表情を浮かべていた
当たり前だ
目の前で犬が火を吐き、クラスメイトがまるでアクション映画さながらの動きを軽々とやってのけたのだ
当たり前だ
目の前で犬が火を吐き、クラスメイトがまるでアクション映画さながらの動きを軽々とやってのけたのだ
しかし、この場において、固まってしまった状態は危険だった
何故ならば、ブラックドッグはくるり、と顔を女生徒と、女生徒の前にいる憐へと向けて
再び………改めて、女生徒を焼こうとするかのように火を吐き出そうとしていたのだから
何故ならば、ブラックドッグはくるり、と顔を女生徒と、女生徒の前にいる憐へと向けて
再び………改めて、女生徒を焼こうとするかのように火を吐き出そうとしていたのだから
「っ!」
そんなブラックドッグを前にして、憐は迷うことなく、女生徒へと向き直って………彼女を抱えて、横へと跳ぶ
ブラックドッグの吐き出した炎が、二人の横を通り過ぎる
炎は、僅かながらに憐の腕をかすり、激しい火傷の痛みを憐に与えた
痛みを堪える憐の様子に、女生徒はますます混乱したように「え、え………」と、小さく、声を上げて
ブラックドッグの吐き出した炎が、二人の横を通り過ぎる
炎は、僅かながらに憐の腕をかすり、激しい火傷の痛みを憐に与えた
痛みを堪える憐の様子に、女生徒はますます混乱したように「え、え………」と、小さく、声を上げて
「ーーーーーーーっ!!」
「お、っと!?」
「お、っと!?」
声にならない悲鳴を上げて、女生徒は気絶してしまった
その事実に、憐は少しだけほっとする………己が、火を吐く犬という怪物に襲われた事実に発狂されて暴れられるよりは、だいぶ楽だ
その事実に、憐は少しだけほっとする………己が、火を吐く犬という怪物に襲われた事実に発狂されて暴れられるよりは、だいぶ楽だ
ぐるるる………、と唸り声をあげるブラックドッグを睨みつけながら、憐は女生徒をそっと、自分の背後に降ろした
そして、買い物袋を投げ捨てる。買い物を頼まれた中に壊れやすい物がなくてよかった、とこの場にそぐわぬ事を考えながら、鞄から己の武器を取り出した
一見、アーチェリーに使う弓に見える、それ
憐はアーチェリー部に所属している為、学校へ持っていく物の中にあっても、さほど不自然ではない
そして、買い物袋を投げ捨てる。買い物を頼まれた中に壊れやすい物がなくてよかった、とこの場にそぐわぬ事を考えながら、鞄から己の武器を取り出した
一見、アーチェリーに使う弓に見える、それ
憐はアーチェリー部に所属している為、学校へ持っていく物の中にあっても、さほど不自然ではない
ただ、その弓は
憐が、ブラックドッグに向かって構えるのと同時、弓は明らかに、「普通」ではない状態へと変化した
憐が、ブラックドッグに向かって構えるのと同時、弓は明らかに、「普通」ではない状態へと変化した
弓が、光を放つ。まるで目を潰さん限りの激しい輝きだ
その輝きを、憐はものともしていない。この弓が輝いても驚きもせず、当たり前の事として受け止めている
弓を手に、矢は持たずに弦を引く。しかし、そこにはたり前のように、輝く矢が出現した
この弓は、都市伝説だ。都市伝説と言うよりは「伝承」に近いものだが、とにかく、本来ならば、一介のの男子高生が持つような物ではない
その輝きを、憐はものともしていない。この弓が輝いても驚きもせず、当たり前の事として受け止めている
弓を手に、矢は持たずに弦を引く。しかし、そこにはたり前のように、輝く矢が出現した
この弓は、都市伝説だ。都市伝説と言うよりは「伝承」に近いものだが、とにかく、本来ならば、一介のの男子高生が持つような物ではない
「…俺っちー、犬、好きな方っすから。なるたけ、戦いたくないしー、さっさと退散してほしいんすけどー」
へろんっ、と。いつもの緊張感のない笑顔を浮かべて、軽い調子でブラックドッグに語りかけた
しかし、ブラックドッグは唸り声を上げ続けている
二度、炎を避けられたからだろうか(二発目は、憐の腕をかすって火傷を負わせてはいるが)、ざっざっざっ、と地面を蹴って、飛びかかってこようとしている
しかし、ブラックドッグは唸り声を上げ続けている
二度、炎を避けられたからだろうか(二発目は、憐の腕をかすって火傷を負わせてはいるが)、ざっざっざっ、と地面を蹴って、飛びかかってこようとしている
「んんー………最初から、人襲う気満々っぽかったっすしねー……駄目かー」
困ったなぁ、と言うような表情を浮かべる憐
矢を構えた状態のまま、すぐには打とうとしない。牽制するように、ブラックドッグに矢を向け続ける
矢を構えた状態のまま、すぐには打とうとしない。牽制するように、ブラックドッグに矢を向け続ける
「これ、母さんから借りてる物だし、あんま使いたくないんすけどねー……」
ぼやく憐に、ブラックドッグが飛びかかってくる
引き絞ったその矢を、憐は放とうとして
引き絞ったその矢を、憐は放とうとして
が、その手は直前で止まった
何故ならば、憐と、女生徒の後方から、誰かが一気に二人の横を通りすぎていって
そして、その人影が、ブラックドッグを殴り飛ばしたからだ
ゴガンッ!!と言う、重たい重たい音をたてながら、ブラックドッグの体が吹き飛ぶ
何故ならば、憐と、女生徒の後方から、誰かが一気に二人の横を通りすぎていって
そして、その人影が、ブラックドッグを殴り飛ばしたからだ
ゴガンッ!!と言う、重たい重たい音をたてながら、ブラックドッグの体が吹き飛ぶ
「………は、はるっち?」
「憐。無事かっ!?」
「憐。無事かっ!?」
ブラックドッグを殴り倒したのは、遥だ。あの巨体を、見た目通りの………いや、「見た目以上」の腕力で持って、殴り飛ばしたのだ
そして、遥は憐の腕の火傷を見て、ただでさえ怒りに染まっていた表情を、さらに怒りで染め上げる
そして、遥は憐の腕の火傷を見て、ただでさえ怒りに染まっていた表情を、さらに怒りで染め上げる
「っの、犬っころ。憐に何しやがる!!」
吠えるような声
遥に殴り飛ばされたブラックドッグは、素早く体勢を立て直し、自らを攻撃してきた遥に唸る
ブラックドッグの目標が、憐と女生徒から、遥へと移ったことは明らかだ
遥に殴り飛ばされたブラックドッグは、素早く体勢を立て直し、自らを攻撃してきた遥に唸る
ブラックドッグの目標が、憐と女生徒から、遥へと移ったことは明らかだ
ブラックドッグから剥き出しの殺意を向けられて………しかし、遥に怯えた様子は一切ない
剥き出しの殺意に対して、剥き出しの殺意を返していた
遥のその様子に、憐は慌てる
剥き出しの殺意に対して、剥き出しの殺意を返していた
遥のその様子に、憐は慌てる
「ちょ、はるっち、ちゃんと加減するっすよ!?」
「あの犬だけぶっ飛ばす程度にすりゃあいいんだろ」
「あの犬だけぶっ飛ばす程度にすりゃあいいんだろ」
大丈夫だ、と遥はブラックドッグを睨みつけたまま、憐に返事を返した
怒りに感情を支配されているその口元に、牙が顔をのぞかせ始めた
怒りに感情を支配されているその口元に、牙が顔をのぞかせ始めた
あ、ヤバイ、と
遥との付き合いが長い憐はそれを察して、気絶したままの女生徒を抱え直した。ついでに、買い物袋も
遥との付き合いが長い憐はそれを察して、気絶したままの女生徒を抱え直した。ついでに、買い物袋も
唸り声をあげていたブラックドッグのその口内で赤くちろちろと燃える炎が顔を出して
そして、それは目の前の遥に向かって、容赦なく吐きかけられた
そして、それは目の前の遥に向かって、容赦なく吐きかけられた
勝った、と
ブラックドッグは、そう確信していた
己を殴り飛ばしたあの人間の腕力は脅威だ。人間ではなく、都市伝説である己ですら脅威を思える力だった
しかし、所詮は人間だ
己が吐き出す炎を受けて、人間が生きていられるはずがない、と
ブラックドッグは、そう確信していた
己を殴り飛ばしたあの人間の腕力は脅威だ。人間ではなく、都市伝説である己ですら脅威を思える力だった
しかし、所詮は人間だ
己が吐き出す炎を受けて、人間が生きていられるはずがない、と
過信していたのだ、己の炎を
己を殴り飛ばした人間のその腕力が、人間離れしたその力が
一体、何の都市伝説に所以するものか、気づけなかった
己を殴り飛ばした人間のその腕力が、人間離れしたその力が
一体、何の都市伝説に所以するものか、気づけなかった
炎の中から飛び出してくる人影
それは、ブラックドッグを殴り飛ばした人間のもので
その人間の皮膚に、鱗のようなものが浮かび上がっている様子と、その口元から覗く牙。そして、鋭い爪
鋭いその爪が目前まで迫ってきて………その爪が、己の体を貫いた事実を確認したのを最後に、ブラックドッグの意識は永遠に闇へと沈んだ
それは、ブラックドッグを殴り飛ばした人間のもので
その人間の皮膚に、鱗のようなものが浮かび上がっている様子と、その口元から覗く牙。そして、鋭い爪
鋭いその爪が目前まで迫ってきて………その爪が、己の体を貫いた事実を確認したのを最後に、ブラックドッグの意識は永遠に闇へと沈んだ
赤い
………赤い
周囲を赤く染め上げるような炎が迫ってきても、遥は気にした様子なく、あっさりとそれを受け止めた
憐達を庇うように炎を受け止めたまま、まっすぐにブラックドッグへと突撃し………契約都市伝説の力を発動させていた
遥が契約しているその都市伝説の名前を、憐は幼馴染グループの中では一番はじめに教えてもらっていた
幼い頃の遥が、どこか得意気に教えてくれたその名前は、「ベオウルフのドラゴン」
………赤い
周囲を赤く染め上げるような炎が迫ってきても、遥は気にした様子なく、あっさりとそれを受け止めた
憐達を庇うように炎を受け止めたまま、まっすぐにブラックドッグへと突撃し………契約都市伝説の力を発動させていた
遥が契約しているその都市伝説の名前を、憐は幼馴染グループの中では一番はじめに教えてもらっていた
幼い頃の遥が、どこか得意気に教えてくれたその名前は、「ベオウルフのドラゴン」
『ドラゴンはな、宝を奪った奴には容赦しないんだ。俺にとっての宝はお前達だから、俺が絶対に護ってやるからな』
叔父から聞いたのだという「ベオウルフのドラゴン」の話をして、遥はそう言ってきた
『俺にとって一番の宝は、親友だからな』
と
その言葉に、偽りはないのだろう
故に、遥は親友達の為に、常に全力を尽くす
都市伝説との戦いにおいて、迷うことなく親友達を庇う位置に立ち、敵対者には決して容赦しない
故に、遥は親友達の為に、常に全力を尽くす
都市伝説との戦いにおいて、迷うことなく親友達を庇う位置に立ち、敵対者には決して容赦しない
赤い
………あぁ、赤い
ブラックドッグの肉体を、ただの一撃で肉塊へと変えた遥は、その返り血に染まっていた
その赤い姿に、憐はぞくり、と震えた
一瞬、思い出したくない記憶を思い出しそうになって、頭を振る
………あぁ、赤い
ブラックドッグの肉体を、ただの一撃で肉塊へと変えた遥は、その返り血に染まっていた
その赤い姿に、憐はぞくり、と震えた
一瞬、思い出したくない記憶を思い出しそうになって、頭を振る
(大丈夫、あれは、遥の血じゃない)
あれは、返り血だ
……遥が負傷した訳では、ない
……遥が負傷した訳では、ない
「はるっち!」
「…お、憐。ほら、ちゃんと倒したぞ。だから、憐は早く治療を……」
「怪我は、もう治してるから大丈夫っす」
「…お、憐。ほら、ちゃんと倒したぞ。だから、憐は早く治療を……」
「怪我は、もう治してるから大丈夫っす」
返り血まみれのまま、こちらの心配をしてきた遥に憐は苦笑した
ブラックドッグの攻撃で負った傷は、既に治している
憐の契約都市伝説は治癒能力を発動する事もできる。憐にとってはあまりにも大きすぎるその都市伝説の力を、憐は主にその治癒能力のみを使っているのだ
ブラックドッグの攻撃で負った傷は、既に治している
憐の契約都市伝説は治癒能力を発動する事もできる。憐にとってはあまりにも大きすぎるその都市伝説の力を、憐は主にその治癒能力のみを使っているのだ
(だから、あれくらいの怪我。心配しなくてよかったのに)
……自分は、平気なのに
そう考えながら、ほら、と、傷を癒やした腕を見せた
焼けた服はどうしようもないが、火傷が治ったのならば、それで問題あるまい
そう考えながら、ほら、と、傷を癒やした腕を見せた
焼けた服はどうしようもないが、火傷が治ったのならば、それで問題あるまい
「…うん。治ってる」
良かった、と、遥がほっとしている
…心配させてしまた事実が、憐にとっては申し訳ない
…心配させてしまた事実が、憐にとっては申し訳ない
「それよりもー、はるっち。その返り血まみれはまずいっす。流石に職質待ったなしな状態っす」
「え?………あー、しまった。焼いてやりゃあよかったか」
「え?………あー、しまった。焼いてやりゃあよかったか」
爪でズタズタにするのでなく、とぼやく遥
いや、まぁ、確かにそうなのだけど、問題はそこではないような
……仕方ない、遥は時々、常識がちょっとズレているから
こう言う時、自分がなんとかしないと
いや、まぁ、確かにそうなのだけど、問題はそこではないような
……仕方ない、遥は時々、常識がちょっとズレているから
こう言う時、自分がなんとかしないと
「あ、そうだ。そいつは怪我、ないのか?」
「ん?……あ、彼女なら、大丈夫っす。怪我はないっす………気絶、しちゃってるっすけど」
「ん?……あ、彼女なら、大丈夫っす。怪我はないっす………気絶、しちゃってるっすけど」
倒れているクラスメイトを指さした遥に憐はそう答えた
ならいいか、と遥は頷く
ならいいか、と遥は頷く
「とりあえず。俺っちは彼女を先生の診療所まで運ぶっす。はるっちは、とにかく着替えっす。その血まみれで歩いてちゃ駄目っす」
「学校帰りだから着替え持ってねーよ……いいや、お前と一緒に診療所行く。あそこなら着替えあるし」
「ん、りょーかいっす」
「学校帰りだから着替え持ってねーよ……いいや、お前と一緒に診療所行く。あそこなら着替えあるし」
「ん、りょーかいっす」
よっ、と、投げ出した買い物袋を持ちつつ、気絶しているクラスメイトの体を抱き上げた
……遥の方が、彼女を運ぶには適しているのだろうけれど、今の遥が彼女を抱き上げると、彼女まで血まみれになる。それは阻止すべきだろう
……遥の方が、彼女を運ぶには適しているのだろうけれど、今の遥が彼女を抱き上げると、彼女まで血まみれになる。それは阻止すべきだろう
(あぁ、司祭様達には、遅れる、って連絡しないと………)
クラスメイトを抱きかかえたまま、診療所に向かって歩きながら
少し、ぼぅっと考える
少し、ぼぅっと考える
(………今回は、守れてよかった)
三年前のようにならなくて、良かった
心からそう考えて、ほっとしたのだった
心からそう考えて、ほっとしたのだった
失いたくない
もう二度と後悔したくない
もう二度と後悔したくない
だから、力を
失ってしまわないように護れるだけの、力を
失ってしまわないように護れるだけの、力を
Red Cape