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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-11a

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匿名ユーザー

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       さぁ、犯人はだぁれ?




               Red Cape






 くいくいっ、と服の袖を引っ張られた
 振り返ると、晃が携帯を握りしめて、困ったような表情でおちらを見つめてきていた
 どうしたの、と聞かずとも何があったのかはなんとなく察することができる
 なので、聞くべきは詳細だ

「何が出たの?もしくは出そうなの?」
「………メリーさん。電話が何度も着てる。最初の電話しか受けてないから、どこまで近づいてきているかはわからない………」

 なるほど、と頷く
 メリーさんは、毎回電話に出てくれていれば、どこまで近づいてきていたのかわかるけれど、電話に出ていないとどこまで近づいたかわからないのが欠点だ

「どうせなら、無理矢理にでも通話を繋げてくるタイプだったら接近具合がわかってよかったんだけど」
「……それだと、怖がる、駄目……」
「んー、まぁねー」

 全くもって、難しいしめんどうなものだ
 どちらにせよ、自分達のする事は決まっているのだが

「それじゃあ、さくっと片付けちゃおうか、晃」
「………ん、でも、油断は駄目、だよ。優」

 当然、と笑ってみせる
 油断はしない、確実に片付けてやろうじゃないか
 優が笑ってみせると、晃もわずかに笑みを返してきた

 さぁ、それじゃあ
 狩りの時間だ


「むむー……」

 むぅうううう
 ぷぅ、と頬をふくらませている幼女が一人
 否、幼女の形の人形一体
 ふわっふわの金髪に青い瞳、ひらひらふりふりのかわいいドレス
 「アンティークドール」と聞いて日本人が思い浮かべる人形そのものである
 名前をメリーと言う

 貴方は「メリーさんの電話」と言う都市伝説を知っているだろうか
 有名な都市伝説であり、バリエーションがいくつも生まれている都市伝説である
 うっかり萌え系な流れやオチが作られまくる程度にポピュラーな都市伝説
 簡単にいえば「もしもし、私メリーさん」と名乗ってくる電話が突然かかってきて、メリーさんと名乗る声は「今、○○にいるの」と現在位置を告げてくる
 電話は何度もかかってきて、その伝えてくる位置はだんだんと電話を受け取っている相手の位置へと近づいていき、最後には「今、貴方の後ろにいるの」と告げてきて……
 最後に、どうなるかは実は不明である
 しかし、話の流れ的に電話を受け取っている相手がろくな目にあわないだろうパターンを予想してしまうだろう

 このメリーさんは、つまりはその「メリーさんの電話」である
 メリーさんの正体は捨てられた人形である、という説があり、その名前からアンティークドールが連想される、故にこのような姿だ
 とにかく、そのメリーさんはふくれっ面をしていた
 なにせ、自分がターゲットと決めて電話をかけているその相手が、最初の2,3件以降の電話をガン無視してきているからである
 メリーさん的に、大変と不愉快だ
 これでは、自分がじわじわと近づいていっていることを知らせる事ができない
 つまりは、恐怖を煽る事ができないのだ
 「メリーさんの電話」と言う存在である彼女的に、不愉快であるに決まっている

「まったく、電話がかかってきているのに無視するなんて、最近の子は困ったさんなの」

 むーむーむー、と不機嫌になりつつも、メリーさんは意識を集中し始めた
 仕方ない、ちょっと疲れてしまうけれど、無理矢理電話をつなげてやろう
 このメリーさん的には、それをやると大変と疲れるので嫌なのだが、背に腹は変えられない
 意識を集中し、ターゲットの電話につながり………

「……あれ?」

 …繋がらない?
 あれ?あれれ??とメリーさんは首を傾げる

「……もっかい、もーいっかい!」

 再び、集中チャレンジをしてみた
 そう、ターゲットの電話は、中央高校クラブハウス内にある
 つい先ほど電話をかけた時には、アーチェリー部の前だった
 恐らく、そのあたりにいるはずで………

「……あれれー??」

 やはり、繋がらない
 どういうことなのだろうか

「……うーん、仕方ないの。近づいて、確認しなきゃ」

 もしかしたら、何か対抗策をとったのかもしれないし
 そうなったら、直接近づいていくしかない

 ひょこりっ、と隠れていた校舎の窓からクラブハウスを見つめた
 うん、あそこに向かえばいいのだ
 人形サイズな自分が歩いて行くとなると、ちょっと大変な距離だが仕方ない、がんばろう
 気合を入れて、メリーさんが歩き出そうとした、その時

「………!」

 人間が近づいてくる気配がする
 まずい、と感じて、メリーさんは再びぴゃっ、と隠れようとして………

「……あ、隠れなくてもいいや。口封じすればいいんだもんね」

 そう、口封じ
 自分には、それができるのだから

 メリーさんは手元に鋏を出現させた
 どのような獲物を使うのかは逸話によって違うが、このメリーさんが愛用するのは鋏である
 突いてよし、切ってよし、の素晴らしい武器であるとメリーさんは認識している
 近づいてくる気配に意識を集中する
 その相手は………よし、携帯電話を持っている
 メリーさん的特殊能力でその携帯電話に電話をかける………よし、相手が出た

「私、メリーさん!今、貴方の後ろにいるの!!」

 メリーさん的美学には反するが
 最初の電話で一気に相手の真後ろへと転移した
 さぁ、この鋏、相手の首筋に突き立て…………

「どーん」

 どんっ!!

 大きな音が鳴り響いて
 メリーさんの首は、何か強い力によって一瞬で破壊されてしまった


「ーーーーっし!!」

 背後に転移してくる、とわかっていれば対処は簡単なのだ
 待ち構え、転移してきたそれに、後ろ回し蹴りを放った優は、制服の上に赤いちゃんちゃんこを羽織っていた
 「赤いちゃんちゃんこ」、学校の怪談の一種だ
 他者を真っ赤なちゃんちゃんこを羽織っているかのように真っ赤に血塗れに出来るだけの高い身体能力を手に入れている………優はそれの契約者なのだ

「……優、まだそいつ、動く」
「おぉっと」

 しゅっ、と、首のなくなったメリーさんが鋏を突き出してきた
 ひらりっ、と、優はあっさりとその攻撃を避ける

「優、油断、駄目……」
「うん、ありがと、晃。あ、でも、晃ももうちょっとちゃんと隠れてなさい」

 ん、と、晃はこそこそっと隠れた
 接近戦闘に優れている優と違い、晃は接近戦闘は苦手なのだ
 自分が、戦うべきなのだ

「むぅう~、もう、なんなのぉ!」

 首のなくなったメリーさんがぷりぷりと怒っている
 なんとも不思議な事だが、首から上がなくなって口もないと言うのに声を発してしゃべっている
 まぁ、都市伝説に常識とかそんなものは、通じないのがよくある事だが

「襲われたからには反撃する、当たり前でしょ?」
「むぅむぅむぅ!人間の癖に、生意気!」

 じゃきんっ、とメリーさんが、両手に鋏を構えた
 口がなくてもしゃべることができるように、目がなくとも恐らく、見えるのだろう。面倒な相手め

「……ま、そっちが喋れるってのは、好都合なのよね」
「むぅ?どういうこと?」
「……決まっている」

 ぼそり、と、口を開いたのは、晃

「………お前が本来襲うはずだった相手。何故、狙ってるの?」

 メリーさんが動いたら、いつでも対応できるよう構える優
 晃の質問に、メリーさんは首を傾げるような動きをしてみせた。首はないが

「襲う?…………襲う、うん、そうだね。襲うの範疇だろうねっ。でも、そんな事、答える必要はないのっ!」

 中に浮かぶメリーさんの体が、動く

「こっちの女を殺したら、今度は隠れてる方も殺して口封じっ!!」

 目にも留まらぬスピードで、優に突進するメリーさん
 いかに赤いちゃんちゃんこと契約している優であっても、反応は難しいだろう

 しかし
 メリーさんの鋏は、優には届かない

「……………あれ?」

 腕が
 メリーさんの腕が、消えた
 両腕とも、一瞬にして消えた………否

「…質問、答えられなかったから。もらう」

 晃のスマートフォンの画面に、何か写っている
 それは、頭しかない男の子で………その男の子の両側に、何か浮かんでいた

 それは、腕
 ハサミを持ったメリーさんの、腕だった

『僕と契約者の質問に答えられなかったんだから、もらってもいいよね?』

 と、スマートフォンの画面に映るそれは、けたけたと笑った
 このメリーさんの敗因は、実にシンプルである
 晃が戦闘要員ではないと誤解し、まったく注意を払わなかった事
 注意を払っていたら、気づいたはずなのだ。晃が質問をした時、同時に、メリーさんに向かって、不気味な頭部だけが写ったスマートフォンの画面を、向けていた事に。そのスマートフォンから伸びた腕が、メリーさんの両腕をむしりとった事に

「…アンサーさんの質問に答えられないと………体のパーツ、持っていかれる」

 怪人アンサー
 初めは誰かが作った作り話でしかなかったそれは、恐ろしいまでの速度でネットを通して広まり、都市伝説として息づいている

 晃は、その「怪人アンサー」と契約している
 もっとも、それだけではなくもうひとつとも契約しており………メリーさんが、本来のターゲットの携帯へと電話をかけられなくなっていたのはそのせいなのだが、メリーさんがそれを知ることはできない

 鋏を持っていた両腕を奪われた今、メリーさんに戦う手段等、ない

「さって。降参して、情報話してくれるかな?」
「む、ぅ………むぅううううううううううううううううううううぅううううううううううううう……………………っっっっっっっ!!!!」

 恐らく、口があったならば、ぎりぎりと歯ぎしりしていたのかもしれない
 激しく悔しさをにじませるメリーさん
 頭もなく、両腕も奪われた、今…………メリーさんにできることなど、ないに等しい

「……ッ駄目、言わない!だってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだって、仲間を売るような行為は裏切り行為だから、消されちゃうんだから、だから、だからっ!!」

 ぐるんっ、とメリーさんの体が、回る
 最終手段として、体当たりを仕掛けるつもりになったのだろう
 まるで、ドリルのように体を回転させて優へと突進する

「あっ、そう」

 そんなメリーさんに、優は冷めた声で告げる

「じゃあね、ばいばい」

 ひゅっ、と風をきる音がして
 直後、メリーさんの肉体は、優の拳を受けて粉々に砕け散った



「……優、怪我。ない……?」
「うん、へーきへーき。一発も食らってないよ」
「…良かった」

 ほっとした表情になる晃
 晃を心配させずに住んでよかった、と優は笑う

 広瀬 優と広瀬 晃の双子
 性格や身体能力は双子であるにも関わらず全く違う
 ……違うからこそ、余計に、互いを気遣いあっていた

 優は、体の弱い晃を心配し、戦闘においては常に護ろうとする
 晃は、健康体ではあるものの「赤いちゃんちゃんこ」と契約しているがため接近戦塔が多くなりがちな優が怪我をしないよう、全力でサポートする
 互いに互いを気遣い合うがゆえに、調度良い状態になっていた

「……それじゃ、優。一応、荒神先生に、報告……」
「あ、そうだね。校内で戦ったし、校長先生が察知するだろうけど。一応、言っとかなくちゃね」

 行こうか、と二人は職員室へと向かう
 優の一撃で粉々に砕け散ったメリーさんの体は、そのうち最初から存在すらしていなかったかのように、静かに消え去ったのだった






    さぁ、名前を言ってごらん
    私達の名前を
    貴方は、それを知っているのだから




               Red Cape





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