【はないちもんめの人の「ベート事変」より】
「……おや?」
もやもやとした思いを抱えながら絵里が獄門寺家の家の前まで辿り着いた時だった
門のすぐ手前で、鬼灯と直斗が、何やら話している
門番はちょうど中にいるようで、そこにいるのは二人だけだ
門のすぐ手前で、鬼灯と直斗が、何やら話している
門番はちょうど中にいるようで、そこにいるのは二人だけだ
「ーーー間違いなく、いるーーーーーーー恐らく、三年前とは違って、本格的にーーーー」
とぎれとぎれに、二人が話している内容が聞こえて来る
「鬼灯は、悪くないだろーーーーーー、好都合ーーー」
「ーーーーーたのは、俺だ」
「ーーーーーたのは、俺だ」
絵里から見て、直斗は背中の方しか見えないため、表情はわからない
ただ、鬼灯は
ただ、鬼灯は
どこか、思いつめているような…………普段の飄々とした様子とは違う、そんな表情で
「……今度こそ、逃がさない。俺が、仕留める。坊や達の手は汚させないさ」
そう言って、笑ったその顔は、自嘲しているようで
「……ま、それは龍哉や遥に言っとけ。俺、契約してないからろくに戦う手段持ってないんだしさ」
「それはそうだがな………お前さん、時々無茶やらかすだろうあ。心臓に悪ぃんだよ」
「それはそうだがな………お前さん、時々無茶やらかすだろうあ。心臓に悪ぃんだよ」
そよ、と、風が吹いて、かすかに、桜の花に似た香りがした
確か、鬼灯がつけている香の香りだ
それに混じって、鬼灯が手元で弄んでいるキセル煙草の香り
確か、鬼灯がつけている香の香りだ
それに混じって、鬼灯が手元で弄んでいるキセル煙草の香り
鬼灯が、顔を上げて、絵里に気づいた
いつもの、飄々とした軽い表情に、戻る
いつもの、飄々とした軽い表情に、戻る
「よーぉ、お帰り。用事はすんだのか?」
「えぇ、まぁ………」
「えぇ、まぁ………」
何を、話していたのか
訪ねようとしたのだが、それよりも先に、直斗が口を開いた
訪ねようとしたのだが、それよりも先に、直斗が口を開いた
「じゃ、俺はこれで。学校のほうでなんかあったら、鬼灯にも話すようにするから………絵里さんは、お疲れ様」
それじゃ、と、気楽に手をふり、帰っていく
夕暮れ時、黄昏時
かつて、この時刻の学校町は限りなく危険だった
都市伝説が、姿を表しやすい時間だから
それでも、大多数の人間は都市伝説等知らずに生活しているままだが………直斗のように、都市伝説という存在を知っている方が、危ないのだ
知っているからこそか、都市伝説を引きつけてしまう、ということは多いのだから
……今の学校町は、そこまで危険ではない
少なくとも、今のところは
夕暮れ時、黄昏時
かつて、この時刻の学校町は限りなく危険だった
都市伝説が、姿を表しやすい時間だから
それでも、大多数の人間は都市伝説等知らずに生活しているままだが………直斗のように、都市伝説という存在を知っている方が、危ないのだ
知っているからこそか、都市伝説を引きつけてしまう、ということは多いのだから
……今の学校町は、そこまで危険ではない
少なくとも、今のところは
直斗を見送り、絵里は改めて、鬼灯に向き直った
「あの、何の話をしていたんですか?」
「んー………?いや、大した話じゃねぇさ、気にするな」
「んー………?いや、大した話じゃねぇさ、気にするな」
ぽふぽふ、と、まるで、子供相手にするように、軽く頭を撫でられた
子供じゃないんですよ、とその手から逃げると、子供みたいなもんだろう、とくつくつと笑ってくる
子供じゃないんですよ、とその手から逃げると、子供みたいなもんだろう、とくつくつと笑ってくる
「……大した話のように、聞こえた気がしますが」
「気のせいだっつの、気にするな………あぁ、嬢ちゃん。夕食、あの蛇の女が作るみたいだから、嬢ちゃんは夕食前にシャワーでも浴びとけ」
「あ、しまった、もう蛇城さんが作り始めてますか……やあ、手伝わないと」
「いいから、シャワー浴びに行っとけ」
「気のせいだっつの、気にするな………あぁ、嬢ちゃん。夕食、あの蛇の女が作るみたいだから、嬢ちゃんは夕食前にシャワーでも浴びとけ」
「あ、しまった、もう蛇城さんが作り始めてますか……やあ、手伝わないと」
「いいから、シャワー浴びに行っとけ」
ぺふりっ、と
もう一度、少し強引に頭を撫でられた
もう一度、少し強引に頭を撫でられた
「……………その顔で、龍一達の前に出る気か」
「!」
「顔に出てる。何があったか聞くつもりはねぇが。心配させる気なかったら、隠しとけ」
「!」
「顔に出てる。何があったか聞くつもりはねぇが。心配させる気なかったら、隠しとけ」
ぼそりと言われたその言葉に
動揺を隠し通せたかどうかは、わからなかった
動揺を隠し通せたかどうかは、わからなかった
to be … ?