「すみません、伯父さ………じゃなくて、先生。化学準備室、使わせて頂いて……」
「構わん。五月蝿いのは別にやっておくから、きちんと説明しておいてやれ………この街で学校町で契約者になった以上、何に巻き込まれるかわからんからな」
「構わん。五月蝿いのは別にやっておくから、きちんと説明しておいてやれ………この街で学校町で契約者になった以上、何に巻き込まれるかわからんからな」
はぁい、と返事して、憐は化学準備室の主である荒神 秀を見送った
さて、授業の合間の休み時間に話はしておいたから、来てくれるとは思うが……
さて、授業の合間の休み時間に話はしておいたから、来てくれるとは思うが……
「来なかったらどうするんだ?」
「んー、まぁ、そん時はそん時ー………と、言いたいところっすけど。改めて時間とるなりなんなりして、お話はしないと駄目っすよね」
「んー、まぁ、そん時はそん時ー………と、言いたいところっすけど。改めて時間とるなりなんなりして、お話はしないと駄目っすよね」
この学校町において、都市伝説契約者となったのならば。いくつかの組織に関する知識は持っていたほうがいいだろう
何も知らずに言いくるめられて所属する事になった、なんてなったら大変なことになる可能性だってある
まぁ、最近はたちの悪い集団は、学校町にはあまりいないとはいえ、「狐」が学校町に入り込んでいる最中だ。そちらに接触されたら、と考えると、やはり警戒するにこした事はない
何も知らずに言いくるめられて所属する事になった、なんてなったら大変なことになる可能性だってある
まぁ、最近はたちの悪い集団は、学校町にはあまりいないとはいえ、「狐」が学校町に入り込んでいる最中だ。そちらに接触されたら、と考えると、やはり警戒するにこした事はない
……そうしていると、きた
少し緊張した様子でやってきたその人に、憐はへらんっ、といつも通りの軽い笑みを浮かべてみせた
少し緊張した様子でやってきたその人に、憐はへらんっ、といつも通りの軽い笑みを浮かべてみせた
「いらっしゃいー、っす。すずっち。来てくれて、良かったっすー」
空井 雀
さぁ、今から彼に、説明していこうではないか
この学校町で接触の可能性がある、いくつかの組織に関して
さぁ、今から彼に、説明していこうではないか
この学校町で接触の可能性がある、いくつかの組織に関して
化学準備室にやってきた雀は、緊張しているようだった
…それはそうだろう、以前、ジャージーデビルに襲われた件で契約者である事を明かした憐が、「契約者であれば知っておいたほうがいい事を伝えたいから」と、雀をここに呼んだのだが。そこには、憐以外の人もいたからだ
全員、雀にとってもクラスメイトだ
獄門寺 龍哉、花房 直斗、日景 遥。全員、よく憐と一緒にいるグループだ
…それはそうだろう、以前、ジャージーデビルに襲われた件で契約者である事を明かした憐が、「契約者であれば知っておいたほうがいい事を伝えたいから」と、雀をここに呼んだのだが。そこには、憐以外の人もいたからだ
全員、雀にとってもクラスメイトだ
獄門寺 龍哉、花房 直斗、日景 遥。全員、よく憐と一緒にいるグループだ
「ほんとは、ゆうっちとかあきっちとかみこっちも居た方良かったかもっすけど、用事があったっぽくて来られなかったみたいで」
へらっ、と、憐は雀の緊張を和らげようとするように、緊張感のない笑みを浮かべながら言った
それでも、雀はどこか緊張している様子だ。主に、遥から何か嫉妬に似ているような視線が向けられているせいかもしれないが
どうぞ、と、龍哉が勧めた椅子に雀は恐る恐る座った
それでも、雀はどこか緊張している様子だ。主に、遥から何か嫉妬に似ているような視線が向けられているせいかもしれないが
どうぞ、と、龍哉が勧めた椅子に雀は恐る恐る座った
「ん、それじゃあ、お話するっすねー」
「あ、えぇと……その、荒神君。都市伝説……の、話、だよね?」
「あ、えぇと……その、荒神君。都市伝説……の、話、だよね?」
雀が、憐以外の三人の顔を順々に見回す
そうっすよー、と、憐は気楽な様子で答える
そうっすよー、と、憐は気楽な様子で答える
「ご安心ください。僕と遥様も、都市伝説契約者ですので」
やんわりと微笑み、龍哉はそう、雀に告げた
つ、と、雀の視線が直斗に向く
憐と龍哉と遥は、都市伝説契約者。では、直斗は?と言う事なのだろう
つ、と、雀の視線が直斗に向く
憐と龍哉と遥は、都市伝説契約者。では、直斗は?と言う事なのだろう
「俺は契約者ではないけど、都市伝説の事やらは知ってるから安心してくれ…………で、空井は、都市伝説の事、どれくらい知ってるんだ?」
じ、と直斗が雀を見つめる
その眼差しは、いつもの軽い調子と全く変わらない
その眼差しは、いつもの軽い調子と全く変わらない
「えぇと………都市伝説、というものが実際は存在していて………それと、人が契約出来る、と。ボクも、トバさん………人面犬と契約した際に、説明してもらいました」
そう言って、雀は正直に自分の契約都市伝説や、緋色との事まで話した
そこまで雀が話すとは思っていなかったらしい直斗は、おや、と言う表情になる
そこまで雀が話すとは思っていなかったらしい直斗は、おや、と言う表情になる
「普通、契約者って、自分が契約している都市伝説の事は説明しないもんだと思ってたけど」
「え?……そ、そうなの?」
「まぁ、契約都市伝説がバレると、弱点バレる事も多いっすからねー。自分から言う人が、全然いないー、って訳でもねーっすけど」
「どちらにせよ、空井さんが契約都市伝説についてお話なさってくださったのですから、こちらも、お話する必要がありますね」
「え?……そ、そうなの?」
「まぁ、契約都市伝説がバレると、弱点バレる事も多いっすからねー。自分から言う人が、全然いないー、って訳でもねーっすけど」
「どちらにせよ、空井さんが契約都市伝説についてお話なさってくださったのですから、こちらも、お話する必要がありますね」
しゃん、と龍哉が背筋を正す
「僕は、「大通連」「小通連」。それともう一振り、刀の都市伝説と契約しております。鈴鹿御前が使っていたと言われる鬼に由来した物で、僕が望めば、それらの刀は僕の傍までやってきます」
龍哉に続き、次は憐が口を開く
「俺っちはー、前に、すずっちにちらっと見せたっすよね。天使と契約してるっす。あれで、傷を癒やしたり、ちょこっとは空飛んだり出来るっすよ」
「……あれ?あの時使っていた、弓は?」
「「シェキナーの弓」の事っすね、あれは、母さんからの借り物っす」
「……あれ?あの時使っていた、弓は?」
「「シェキナーの弓」の事っすね、あれは、母さんからの借り物っす」
つまり、憐の場合母親も契約者だ、と言う事だ。間接的だが、それも伝えたことになる
……最後に、遥
……最後に、遥
「憐が話したなら、俺も話す。俺が契約しているのは、「ベオウルフのドラゴン」だ。こうして………」
すっ、と、遥の目が、爬虫類めいた金の輝きを持った目に変わった。その口元から、うっすらと牙が覗く
「体の一部分を竜化して戦える。まぁ、怪力とかは普段から使えるけどな」
「な、なるほど………」
「な、なるほど………」
変化した遥の目に見られると緊張する、と言うか恐怖に近いものを覚えるらしく、少し引く雀
それを見たからか、遥はすぅ、と目を元に戻した
それを見たからか、遥はすぅ、と目を元に戻した
「ま、俺達の契約都市伝説については、こんなとこか」
「じゃあ、次は………「組織」とか、その辺についてだな。真降から、「組織」については聞いたんだったか?」
「あ、えぇと、そう言うのがある、って言う事を真降君から聞いて、それ以外はトバさんから聞いた程度で」
「…了解っすー。それじゃあ、「組織」についてから、説明してくっすねー」
「じゃあ、次は………「組織」とか、その辺についてだな。真降から、「組織」については聞いたんだったか?」
「あ、えぇと、そう言うのがある、って言う事を真降君から聞いて、それ以外はトバさんから聞いた程度で」
「…了解っすー。それじゃあ、「組織」についてから、説明してくっすねー」
へらりとした笑みを浮かべたまま、憐は説明を開始する
「「組織」はー、確かに、すずっちの言う通り、都市伝説や契約者を管理してる感じではあるっすー。まぁ、どうしても人間に害を与えてしまうって言うか、うっかり猟奇的な殺人事件起こしちゃったりするのもいるから、そう言う被害を防いでく、って意味合いがあるっすねー」
「あとは、都市伝説と契約した奴で犯罪者がいた場合、そう言う奴らとっちめないと駄目だからな。警察だけじゃ、どうしようもないパターンが多いし」
「あとは、都市伝説と契約した奴で犯罪者がいた場合、そう言う奴らとっちめないと駄目だからな。警察だけじゃ、どうしようもないパターンが多いし」
遥が、憐の説明を補足する
実際、都市伝説と契約している犯罪者は、通常の警察では手に負えない存在となっている場合が多い。証拠をほぼ残さないタイプであったり、通常では不可能な手段で殺したり、と言う事が多々あったり、逮捕しようにも抵抗されれば契約者ではない人間にはどうにもならない事が多いからだ
「組織」は、多数の都市伝説や契約者を有する事で、それらの犯罪者に対して対向する手段を持っているのだ
実際、都市伝説と契約している犯罪者は、通常の警察では手に負えない存在となっている場合が多い。証拠をほぼ残さないタイプであったり、通常では不可能な手段で殺したり、と言う事が多々あったり、逮捕しようにも抵抗されれば契約者ではない人間にはどうにもならない事が多いからだ
「組織」は、多数の都市伝説や契約者を有する事で、それらの犯罪者に対して対向する手段を持っているのだ
「昔は、悪い噂絶えなかったみたいっすけど、ここ20年でその辺、だいぶ落ち着いてきてるんすよ」
「そうなの?」
「そうっすー。人体実験やってたりしてた悪い人達が居たみたいっすけど、そう言う人達がまとめて「めっ」ってされたそうっすから」
「そうなの?」
「そうっすー。人体実験やってたりしてた悪い人達が居たみたいっすけど、そう言う人達がまとめて「めっ」ってされたそうっすから」
憐はかなりマイルドな表現をしているが、ようは一斉に粛清された、そういう事である
某F№のトップに関しては、「そういう事おおっぴらにやったらわかってるよな?わかってるよね?」と言う最終勧告がいったと言う事で、とりあえず、今現在の「組織」内において、そういった非人道的な事に手を出している輩は居ない
居た、としても、A№上位陣の一人である火山そのものの化身と言っても差し支えない存在が、速攻、処罰に向かうだろう。その他にも、S№にはS№0イクトミ直属の、そう言った違反者を処罰する部隊が存在すると言う噂が「組織」内には存在している
そう安々と………いや、重い決意を持っていたとしても、「組織」においてはそう言った事に手を出せる雰囲気では、もはやないのだ
某F№のトップに関しては、「そういう事おおっぴらにやったらわかってるよな?わかってるよね?」と言う最終勧告がいったと言う事で、とりあえず、今現在の「組織」内において、そういった非人道的な事に手を出している輩は居ない
居た、としても、A№上位陣の一人である火山そのものの化身と言っても差し支えない存在が、速攻、処罰に向かうだろう。その他にも、S№にはS№0イクトミ直属の、そう言った違反者を処罰する部隊が存在すると言う噂が「組織」内には存在している
そう安々と………いや、重い決意を持っていたとしても、「組織」においてはそう言った事に手を出せる雰囲気では、もはやないのだ
「とはいえ、今でも「強硬派」とか「過激派」って呼ばれる派閥の人達はちらほらいて、時々問題起こしちゃってはいるっすけどね。そう言う人が存在するのは、「組織」に限らないっすから。全部が危ない人、って訳ではないんで、ご安心を、っすー」
「な、なるほど………えぇと、荒神君達は、「組織」には……」
「俺っち達は、所属してねーっす。ただ、俺っちの父さんは所属してるっすね」
「俺も。お袋が所属してる」
「な、なるほど………えぇと、荒神君達は、「組織」には……」
「俺っち達は、所属してねーっす。ただ、俺っちの父さんは所属してるっすね」
「俺も。お袋が所属してる」
憐の言葉に続いて答える遥
遥の母親の場合、むしろ「組織」内でかなり上位の立場にいる存在なのだが、それを遥がどこまで認識しているかは怪しい
遥の母親の場合、むしろ「組織」内でかなり上位の立場にいる存在なのだが、それを遥がどこまで認識しているかは怪しい
「まぁ、俺っちの父さんの場合、別な意味で危険人物な予感がちょっとだけするのはさておきー………「組織」については、これくらいっすかね」
「「組織」について、は?」
「学校町で暗躍しているのは、「組織」だけじゃないからな、他の集団についても、ある程度は知っておいたほうがいいと思うぜ。うっかり勧誘受けた時とか、判断の基準になるだろ」
「「組織」について、は?」
「学校町で暗躍しているのは、「組織」だけじゃないからな、他の集団についても、ある程度は知っておいたほうがいいと思うぜ。うっかり勧誘受けた時とか、判断の基準になるだろ」
知っておいて損はない、と直斗は笑う
とはいえ、全てをしっかりかっきり説明するとあまりにも時間がかかりすぎてしまう故、いくつかをさらりと説明する程度になってしまうのだが
次は、と言うように、遥が口を開く
とはいえ、全てをしっかりかっきり説明するとあまりにも時間がかかりすぎてしまう故、いくつかをさらりと説明する程度になってしまうのだが
次は、と言うように、遥が口を開く
「じゃ、次は俺が「首塚」について説明する。「平将門の首塚の祟り」は、聞いた事があるか?」
「平将門、は日本史で習ったとして………首塚の祟りも、何かで見たか聞いたかした事があるような……」
「よし、んじゃあ、話は早いな。「首塚」のトップはその将門様だ。「首塚の祟り」が実体化した、な」
「平将門、は日本史で習ったとして………首塚の祟りも、何かで見たか聞いたかした事があるような……」
「よし、んじゃあ、話は早いな。「首塚」のトップはその将門様だ。「首塚の祟り」が実体化した、な」
遥は、今の「首塚」について説明していく
かつては、「組織」に敵対する形で結成された集団であるが、今では一応は敵対していない状況である
今後、再び「組織」が「首塚」に対して敵対行動をとったり、将門の機嫌を損ねるような事をすれば再び「首塚」は「組織」に対して牙を向き、「平将門の祟り」も再開されるだろう
かつては、「組織」に敵対する形で結成された集団であるが、今では一応は敵対していない状況である
今後、再び「組織」が「首塚」に対して敵対行動をとったり、将門の機嫌を損ねるような事をすれば再び「首塚」は「組織」に対して牙を向き、「平将門の祟り」も再開されるだろう
「今の活動は、都市伝説事件とかで親なくした連中の保護が多いかね。前までは「組織」の過激派やら強行派やらの被害でそうなった奴らの面倒見てる事が多かったが………あぁ、もちろん、戦える奴らもいるぞ。俺だって、そうだしな」
「あ、日景君は、「首塚」に所属しているの?」
「もちろん!将門様は、すごい方だからな。つっても、力が強すぎて、ヘタに戦う訳にはいかない状況も結構あるから。そう言う時、俺達みたいなのが戦うのさ」
「あ、日景君は、「首塚」に所属しているの?」
「もちろん!将門様は、すごい方だからな。つっても、力が強すぎて、ヘタに戦う訳にはいかない状況も結構あるから。そう言う時、俺達みたいなのが戦うのさ」
にやっ、と笑ってみせる遥
……こそり、と、直斗は雀に、さらに補足説明する
……こそり、と、直斗は雀に、さらに補足説明する
「……ま、「首塚」はどっちかってと、平将門のカリスマ性に惹かれて集まったのが多い。今の活動は、学校町における自警団的な面も強いな」
「首塚」が睨みを効かせている
それだけでも、都市伝説事件を減らす効果は結構ある。トップである将門の祟りがわりとシャレにならないレベルの威力をもっているせいもあるのだろう
それだけでも、都市伝説事件を減らす効果は結構ある。トップである将門の祟りがわりとシャレにならないレベルの威力をもっているせいもあるのだろう
「「首塚」についてはそんなとこっすかねー………じゃ、また俺っちが。今度は「教会」について、説明させていただくっす」
「教会」
歴史的に見れば、かなり古くから存在する集団である。そのトップに関しては謎が多いが、現実の教会関係者もかなりの数が関わっていると言われている
主に悪魔と呼ばれる存在と敵対しており、他にも人を害する存在に対しては敵対している事が多い
……もっとも、完全に善良、と言われるとそうと言う訳でもない。いや、「教会」の考え方自体は若干偏屈ながらも決して悪いものではないのだが………「教会」の全てが一枚岩、と言う訳ではない。「教会」の内部で何かしら企む者もいない訳ではないのだ
20年近く前に、少々大きく大問題が発生して以降、「教会」の威信にかけて自浄に努めていった結果、かなり落ち着きこそしたが、今でも火種はくすぶっていると言う
歴史的に見れば、かなり古くから存在する集団である。そのトップに関しては謎が多いが、現実の教会関係者もかなりの数が関わっていると言われている
主に悪魔と呼ばれる存在と敵対しており、他にも人を害する存在に対しては敵対している事が多い
……もっとも、完全に善良、と言われるとそうと言う訳でもない。いや、「教会」の考え方自体は若干偏屈ながらも決して悪いものではないのだが………「教会」の全てが一枚岩、と言う訳ではない。「教会」の内部で何かしら企む者もいない訳ではないのだ
20年近く前に、少々大きく大問題が発生して以降、「教会」の威信にかけて自浄に努めていった結果、かなり落ち着きこそしたが、今でも火種はくすぶっていると言う
「あそこは、基本、天使とか、そこら辺に関係した者の契約者じゃないと勧誘はしてこないー、とは思うっすけど、トラブったら面倒な事は事実なんで。学校町にはさほど人員入り込んではいないっすけど、一応、お伝えするっす。「教会」絡みで何かしら巻き込まれたら、相談、乗るっすよ。一応俺っち、所属させていただいてるんで」
お任せくださいっすー、と憐はへらんっ、と笑ってみせる
もう、「教会」関係者が学校町で何かやらかす心配は低いのだが、一応、念の為だ
もう、「教会」関係者が学校町で何かやらかす心配は低いのだが、一応、念の為だ
憐の説明が一段落つき、次は龍哉が口を開く
「では、次は僕が………僕の家、「獄門寺組」について」
「う、うん、獄門寺君の家………………え?「組」?」
「はい。僕の家は、明治のはじめより極道を営ませていただいております。さらに、父の代より、都市伝説関係者の方々にも数名、所属していただいております」
「う、うん、獄門寺君の家………………え?「組」?」
「はい。僕の家は、明治のはじめより極道を営ませていただいております。さらに、父の代より、都市伝説関係者の方々にも数名、所属していただいております」
雀が何か驚いた様子を見せたが、龍哉はさほど気にしていない様子で、説明を開始した
「獄門寺の家の8代目様がやっていた事と同じように、学校町にて悪事を働く都市伝説やその契約者から、町と住人を護るために活動しております。「獄門寺組」に所属してくださっている方は、その考えに同意してくださった方や、悪事を働いてしまった方が反省の意味を込めて、所属して罪を償っております」
さらに、「獄門寺組」の特徴としては、「首塚」とのつながりが強い、ということだろう
「首塚」に何かあれば、「獄門寺組」も動く。「獄門寺組」に何かあれば、「首塚」も動く、そんな同盟関係が結ばれているのだ
「首塚」に何かあれば、「獄門寺組」も動く。「獄門寺組」に何かあれば、「首塚」も動く、そんな同盟関係が結ばれているのだ
「空井さんも、学校町の住人ですから。何か、都市伝説の事で困った事がありましたら、力になりますからね」
遠慮無く申してください、と龍哉はにこにこと笑った
100%善意の上での言葉なのだが、それを雀がどう受け取ったのかは不明だ
100%善意の上での言葉なのだが、それを雀がどう受け取ったのかは不明だ
「……それでは。最後に。「レジスタンス」について、お伝えするっす。他にも学校町に入り込んでる集団は色々いるっすけど、俺っち達がきちんと説明できそうなのは、後はこの辺なんで」
「マッドガッサー一味辺りは、優なり晃がいれば説明出来たけど、今日は用事あったみたいだしな」
「マッドガッサー一味辺りは、優なり晃がいれば説明出来たけど、今日は用事あったみたいだしな」
……つまるところ、他にも色々と学校町にはいるのだ、と言っているようなものだが、当人達には雀を怖がらせるつもりはないのだ。一応
「とりあえず、「レジスタンス」についてっすけどー………まぁ、簡単に言うと「抵抗勢力」、ってとこっすねー」
「抵抗勢力………どこに対しての?」
「あちらこちら、っすー……まぁ、時代や場所によって変わってくるっすね。そもそも、「レジスタンス」は、強大な力を持っている都市伝説集団に対抗するかたちでできたところっすから」
「抵抗勢力………どこに対しての?」
「あちらこちら、っすー……まぁ、時代や場所によって変わってくるっすね。そもそも、「レジスタンス」は、強大な力を持っている都市伝説集団に対抗するかたちでできたところっすから」
「教会」がその力を、権威を拡大させ、他を迫害していた時期には「教会」に対抗し、「第三帝国」の前進と言っても過言ではない、某国の政権が強まっていた時期にはそこに抵抗し
その時代その国ごとに、レジスタンスは強大な力を持って他を迫害してくる集団に抵抗し続けている
今現在は「アメリカ政府の陰謀論」を中心にいくつかの集団相手に闘いながらも、「組織」や「教会」に対する監視の目も弱めてはいない
その時代その国ごとに、レジスタンスは強大な力を持って他を迫害してくる集団に抵抗し続けている
今現在は「アメリカ政府の陰謀論」を中心にいくつかの集団相手に闘いながらも、「組織」や「教会」に対する監視の目も弱めてはいない
「まぁ、今は学校町では、派手に敵対行動はとってないっすね、どこもおとなしめっすから………今、「レジスタンス」が一番警戒している、となると。「狐」関連だと思うっすし」
「…「狐」?」
「そう。「狐」さ………なぁ、空井」
「…「狐」?」
「そう。「狐」さ………なぁ、空井」
すぅ、と
直斗の視線が、真正面から雀をとらえた
直斗の視線が、真正面から雀をとらえた
「「九尾の狐」って、聞いたこと、あるか?」
それは、遠い昔から、伝承や物語において語り継がられてきた存在
「それが…………「九尾の狐」の中でも、とびっきり悪質なのが、今、学校町に入り込んでいる」
伝承や物語において語られる能力は多々様々存在するが、そいつは
「そいつは、人の心を魅了する。魅了して魅了して魅了つくして、そいつを都合のいい操り人形にする」
かの国の王が餌食となったかのように
傀儡とされたものは、その身を滅ぼしていってしまうだろう
傀儡とされたものは、その身を滅ぼしていってしまうだろう
「その「狐」に魅了されたりなんだりで、そいつに従っている連中も、入り込んでしまっている………今んとこは潜んでるみたいだが、気をつけろよ?」
被害が広がってしまわないように
見知った相手と敵対する、なんていう最悪の状況を防ぐために
伝えられるべきことは、伝えておくべきだろう
見知った相手が、そいつらの餌食にならないように、伝えておくべきだろう
見知った相手と敵対する、なんていう最悪の状況を防ぐために
伝えられるべきことは、伝えておくべきだろう
見知った相手が、そいつらの餌食にならないように、伝えておくべきだろう
「何かあったら。いつでも俺達は相談に乗るから」
もう二度と、あの時のような後悔をしないために
うてるべき策は、全てうっておくにかぎるのだ
うてるべき策は、全てうっておくにかぎるのだ
一通り、話を聞いた所で
雀は、一つ気になる事があった
とにかくそれを確認しようと、尋ねる
雀は、一つ気になる事があった
とにかくそれを確認しようと、尋ねる
「えぇと………その、九尾の狐は。人を魅了して操るん、だよね?それって、契約者相手も………」
「操れる」
「操れる」
雀の問を予想していたかのように、直斗は即答した
「人間も、契約者も、都市伝説も。だいたい、全部操ってくるな。魅了されたらアウト、と思ったほうがいい」
「流石に、犬やら猫やらは操ってないらしいけどな。魅了が効かないのか、そう言う連中は誘ってないのか、どっちなのかはわからないけどな」
「僕達も、「狐」に関しましては、他の方から聞かせていただいた情報ばかりでして………断言できない情報が多く、申し訳ありません」
「流石に、犬やら猫やらは操ってないらしいけどな。魅了が効かないのか、そう言う連中は誘ってないのか、どっちなのかはわからないけどな」
「僕達も、「狐」に関しましては、他の方から聞かせていただいた情報ばかりでして………断言できない情報が多く、申し訳ありません」
遥と龍哉も、直斗に続いてそう口にする
「今、学校町に入り込んでいるその「狐」は、世界のあちらこちら回って、部下というか配下というか下僕というか、そう言うの集めてたっぽくてー、おかげで、部下が国際色豊からしいっす」
「な、なるほど…………あれ。でも。その「狐」って、どうして、学校町に来ているの?」
「な、なるほど…………あれ。でも。その「狐」って、どうして、学校町に来ているの?」
ふと、新しく疑問を感じたようで、そう尋ねてみる雀
そうすると、直斗は今度は少し考えてから、答える
そうすると、直斗は今度は少し考えてから、答える
「………あくまで、予想でしかないけどな。ここを足がかりにするつもりなんじゃないのか?」
「足がかり…?」
「足がかり…?」
何の、と雀が問うより、早く
「ここで部下っつか手駒になるやつを集めて。後々、もっと大きな事をする為の。九尾の狐が過去にやらかした事………特に、古代中国で。「封神演技」とかで物語られているそれからの予想だけどな」
あの狐は権力者に取り入る
己の欲望を叶えるために
己の欲望を叶えるために
「組織」等の存在がある以上、いかに狐が強かろうとも、一人で悪事を行うには限界が生じるだろう
だからこそ、手駒がいる
それも、うんと強い手駒が
だからこそ、手駒がいる
それも、うんと強い手駒が
きっと、それを手に入れるために、この学校町は都合がいいのだろう
何せ、ここには日本でも有数の都市伝説契約者が、数多く存在するのだろうから
何せ、ここには日本でも有数の都市伝説契約者が、数多く存在するのだろうから
「まぁ、最終的には。「狐」は誰頭に討伐されて終わるだろうけどな」
それでも警戒は必要だけど………と、そう言いながらも
直斗は。妙に確信めいて、そう断言した
直斗は。妙に確信めいて、そう断言した
「「狐」は、学校町を舐めているから」
そう、「狐」にとって一番の誤算はそれなのだろう
三年前に、ほんの少し学校町を訪れたその時に、気づけなかった事が
三年前に、ほんの少し学校町を訪れたその時に、気づけなかった事が
この街に集う契約者達が、一筋縄で行くはずもない
それに気づかぬ「狐」も、その部下達も
もはや、火の中へと飛び込んだも、同然なのだ
それに気づかぬ「狐」も、その部下達も
もはや、火の中へと飛び込んだも、同然なのだ
to be … ?