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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-39

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 ………おそらく、作り上げた彼は自信たっぷりな事だろう
 人間が、科学の力を持ってできる強度テストは、すべてクリアした事だろう
 しかし、だ

(それでも、無理でしょうね)

 努力を認めない訳ではない。しかし、努力でどうこうできる問題でもないのだ
 彼女、影守 美緒はそのように考えていた
 学校町における警察組織の中ではトップに限りなく近い立場にいる彼女は、本日、学校町の警察組織内で秘密裏に開発が進んでいた、「対都市伝説用装備」の性能テストに立ち会う事になっていた
 学校町は、都市伝説事件が多い。20年程前からだいぶ減ってきたとはいえ、世界の裏でそのような者達が暗躍している事を、知っている者も多少は存在しているのが現実だ
 美緒のように、身内に都市伝説契約者がいるから、という者や、自身が都市伝説契約者であるという者等事情は様々ながら、都市伝説の存在を知らぬ人々を守る、というその目的は変わらない
 そして、都市伝説を知る警察関係者の中で、こんな事を言い出した者が現れた

「都市伝説と契約していない人間でも、都市伝説と対等に渡り合えるだけの装備を手に入れれば、「組織」等の都市伝説組織に都市伝説事件で介入されなくなるのではないか」

 もっと簡単に言えば、「法の番人は自分達警察組織だけで十分な状態にしたい」、そういうことなのだろう
 なにせ、都市伝説事件においては、警察は満足に捜査すらできない場合が多い。痕跡すら残さない者が多かったり、犯人を捕まえようにも返り討ちにあってしまう可能性が高いから仕方ないのだが、それでも、不満を感じている者は多かった。事件を有耶無耶にされてしまう事も多かったから、そのせいもあるのだろう
 それ故に、都市伝説と契約していなくとも、都市伝説と対等に渡り合える装備を求めた
 そんな装備があれば、対都市伝説用の特殊捜査課を作るなどして、警察だけで都市伝説事件を捜査できると、そう考えてのこと

 だが、美緒は考える
 そんな装備、「都市伝説と契約していない人間」に作るのは不可能である、と
 ただの人間の科学力では、ただの人間の身体能力では、都市伝説と対等に渡り合う等難しいのだ
 それができるのは、一部…………ほんの一部の、特殊な人間だけ
 組織だって都市伝説が関連した犯罪捜査ができるだけの人数が、いくら学校町とはいえ集まるはずがない
 それ以外の人間がいくら抗おうとも、都市伝説と対抗するのはあまりにも難しい
 約20年以上にも渡る警察として働き、都市伝説事件を見続けてきた者として、美緒はそう断言できた
 いかに優れた装備品を手に入れようとも、それは変わらない。都市伝説という存在に対して、契約者ではないただの人間は、あまりにも無力なのだ
 だからこそ、美緒は、都市伝説事件は「組織」等の、それに適した集団に一任しているのである
 美緒にとっては、それが彼女なりに部下の位置後を守る方法なのだから

「今回開発しました、対都市伝説用装備は、主に防御力に重点を置いた物です。炎、冷気、電撃。それらの攻撃を完璧に防ぎます。もちろん、光線系に対しても。あぁ、衝撃もある程度吸収しますよ」
「…………そうですか。動きやすさなどは」
「機動性を犠牲にする、などという愚かな仕様にはしませんよ……都市伝説との戦闘というものは、ほんの一瞬が命取りになることも多いようですから」

 あぁ、そのとおりだ
 流石に、それくらいは理解していないと、困る

 ………と、そのような会話をしていた時だった
 扉が、開く。どうやら、彼らが来たようだ
 両方共、男性。片方は黒いロングコートを羽織った40代程度。もう一方は、まだ20代と思われる若者だ
 ロングコートの男性が、ちらり、と美緒を見た。何を言いたいのか、だいたい理解して、美緒は頷く

「……そこにある、機動隊が着るような服。それが、対都市伝説用装備、とやらか?」

 若い方の男性が、今回、職員が用意した対都市伝説用装備を見て、そう言った
 そうです、と職員は頷く

「お二人が、「組織」の………?」
「あぁ、そうだ。影守警視正から要請を受けて、対都市伝説用装備の耐久テストを行いに来た。門条 天地と………」
「角田 慶次だ」

 二人が、そう名前を名乗った
 確か、当初は天地が一人で来ると聞いていたのだけれども………慶次まで来たと言うのは、美緒にとっては少々意外だった

(どちらにせよ、やる事は変わりがないのでしょうけれど)

 職員が、天地と慶次に今回開発した装備について説明している様子を、美緒はじっと見つめる
 一通り説明が終わって………早速、耐久テストに入ることになった
 一瞬で終わるであろう、それに

「それじゃあ、テストを開始するから。全員、少し下がってろ」

 天地はそういうと、対都市伝説用装備を身につけさせられたマネキンへと向き直った
 つ、と、慶次が一歩後ろに下がる
 美緒は職員の腕を掴むと、慶次よりもさらに後ろへと下がった

「警視正?あまり後ろに下がると、テストの経過が………」
「よく見えないかもしれませんが、これくらい下がらねば危険です」

 きっぱりと、断言する
 そして、美緒が断言した、直後。天地の周囲が、一瞬、ぐにゃり、と歪んだ
 そうして、すぅ、と、背中から純白の翼を生やした若い女性が、次々と姿を現す

「お呼びですかー?」
「お仕事ですかー?」
「ですとろーい?」
「おもいっきりやっちゃっていいんですかー?」

 きゃぴきゃぴと、ミニスカートを身に着けた若い女性達…………天使に見えるそれらはにぎやかに、天地にそう話しかけた
 あぁ、と天地が頷くと、「はーい!」と天使達は元気に返事をして

 天使達の手元に現れるのは、いくつもの銃火器
 マシンガン、ミサイルランチャー、ロケットランチャー、火炎放射器等々………可愛らしいその容姿に見合わず、そして、通常ならばその細腕では持ちあげられないであろうそれを軽々と持ち上げて
 それらの銃火器が、一斉に火を吹いた
 けたたましい発砲音やら何やらが響き渡り、そして

「ほい、終わった。見ての通りだ」

 対都市伝説用装備を身につけさせられていたマネキンは、跡形もなく粉々になっていた
 職員は呆然とした顔でその結果を見ているが、美緒にとっては予想の範囲内だ

「ど、どうして………い、今使われたような銃火器でも、きちんとテストしたのに………」
「国内でどうやってミサイルランチャーやロケットランチャーのテストをしたのか気になるところだがそれはさておき。俺の「モンスの天使」の攻撃は、見た目通りのものじゃない」

 震えるような職員の言葉に、天地はさらりと答える

「通常の銃火器以上の攻撃力を、俺の「モンスの天使」は持っている。それくらいじゃないと対応出来ない連中も多いからな」

 都市伝説的存在。それらの中には、民話や神話で語られるような存在もまた、含まれる
 天地が契約している「モンスの天使」が持つだけの攻撃力が必要となる機会もまた、存在しているのだ
 そして、これだけの攻撃力を持っているのは、天地の「モンスの天使」だけではない。それ以上の攻撃力を持っている存在もいるのだ
 つまり、天地が契約している「モンスの天使」の攻撃すら耐えられなかったのならば

「今回、開発された装備は。実戦で使用できるだけの物じゃないな」

 きっぱりと、天地はそう断言した
 美緒としても、同じ考えだ
 今回の結果を見るに、それは明らかな事

「あの、テスト用の装備、さっき、「モンスの天使」が破壊した分だけか?」

 天地が、「モンスの天使」を消しながら、職員にそう尋ねた
 職員はこくこくと頷くと、先ほどと同じ装備をまとったマネキンを運んでくる

「よし、それじゃあ、慶次、向こうはお前が」
「はいはい、わかってるよ」

 天地の言葉に、慶次はダルそうに答えた
 ぶぅんっ、と、小さく、虫の羽音がする
 慶次の傍らに、一匹のカブトムシが現れて。直後、カブトムシの姿は消えた………ように、見えた

 どんっ、と、音がした

 機動隊が使うようなシールドと、マネキンが被せられている兜。その2つに、穴が開いていた
 完全に、穴はマネキンの額を貫通している
 人間であったら、即死だ

「「カブトムシと正面衝突」の威力にも、耐え切れないようだな」
「………そうですね。範囲攻撃も、一点集中の攻撃も、どちらにも耐え切れなかったようで」

 がっくりと肩を落とす職員の肩に、慰めるように手をおきながら、美緒は慶次の言葉に答えた
 こうなるだろうな、と、美緒が予想した通りとなった
 ………やはり、まだまだ。人間の技術でもって、都市伝説に抗うのは無理なのだ
 いや、まだまだ、ではない
 これからも、ずっと、無理なのだろう、と
 美緒はそう、あらためて強く感じたのだった



「都市伝説の力に頼らずに、都市伝説の力に耐えうる装備を作るなんて、無理に決まってるのにな」

 耐久テストを終えた帰り道、慶次はそうぽつりと口にした
 そうだな、と天地は頷いてみせる
 今回のような試みを行った者が、過去にいなかった訳ではない
 挑戦し続けた者達はいる、それでも、ダメだった

「人間の兵器では、都市伝説は殺しきれない。弱い都市伝説なら殺せるかもしれないが、限界が存在する。人間の兵器程度で死ぬ都市伝説は、耐久性が人間と同じかそれ以下だからな」
「そんなもん持った連中に、都市伝説事件でしゃしゃり出られても正直邪魔だな」
「俺もそう思う。だから、少し相手にショック与えるレベルでやるんだよ。これで、この手の研究から手ぇ引いてくれりゃいいんだが」

 だが、他の奴が続ける可能性はあるんだよな、と天地はため息を付いている
 毎回、対都市伝説装備用の耐久実験に、天地は参加し、作成された対都市伝説用装備を徹底的に破壊していた
 変に加減等したら、その方が悪い結果を招くことはわかりきっているからだ

「一応、一度、「モンスの天使」の攻撃で壊れなかった事はあったんだがな………」
「あったのか?あんたの攻撃で?ビルやら工場やらまるまるぶっ飛ばせるハッピートリガーのあんたの攻撃に耐えぬいたのか?」
「さり気なく何、口走ってんだてめぇ………あぁ、耐えた。ただし、作成者は異常(アブノーマル)持ちだったが」
「あー………」

 なるほど、と慶次は納得する
 異常、と呼ばれる、都市伝説と契約していなくとも、まるで都市伝説と契約しているかのような特殊な力を持ち得る人間もまた、存在しているという事実がある
 それらの特に厄介なところは、都市伝説と契約することで、さらに力をつけるような者もいる、ということだろう
 かつて、学校町で数々の事件を起こした「ハーメルンの笛吹き」の契約者もまた、異常持ちであったらしい、と言う話を、慶次は聞いたことがあった
 そもそも、異常持ちは精神的に何かしら欠落などを抱えているパターンも多いらしく、慶次としては絶対に関わり合いたくない、と感じていた
 その点に関しては、天地とは気が合うところだ。天地も、異常持ちの人間は苦手としているらしい
 もっとも、天地が異常持ちを苦手としているのは、「都市伝説と人間との垣根を曖昧にするから」とか、自分の親しい相手が異常の影響を受けてしまったことがある、などの理由が強いようだが

「どちらにせよ、それ、意味ないよな。「普通の人間」の力で成し得たことじゃないんだし」
「そう言うことだ。「普通の人間」じゃ、その限界は超えられないんだよ」

 だからこそ、と、天地は続ける

「だからこそ、俺達都市伝説契約者が。「組織」が。今はまだ、都市伝説の存在を完全に公にするには時期尚早である現状、都市伝説と人間との垣根を守っていかなければならない。その結果、悪役扱いされようとも」

 それが、「組織」に所属した上の責務である、と
 天地は、そう考えているのだろう

「慶次。お前も、味方をもうちょっと作っておけよ」
「味方?それなら………」

 自分の担当の黒服である赤鐘 愛百合がいる、と
 慶次が答えるより早く、天地は言葉を続けてきた

「担当黒服以外で、だ。できれば、「組織」関係者以外にも、な」
「なんでだ?」
「担当の黒服以外、味方がいない状況だと、視野が狭まる。「組織」の奴以外に味方がいない場合も、同様だ」

 覚えておけよ、と天地が少し真剣味を帯びた声でそういった、その理由に
 慶次は、この時、気づくことは出来なかった







 あなたは、とても幸せ者だ
 あなたにとって「普通」である事が「普通」ではない事実に気づいていないから


 あなたは、とても幸せ者だ
 あなたにとって「普通」である事が「普通」ではない事実に気づいてしまったから


 どちらも、とても幸せだ
 それが「不幸せ」であると気づいていないのだkら



               Red Cape






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