「鬼灯さん。トリック・オア・トリート」
「Trick or Treat!」
「Trick or Treat!」
ちょーん、と、翁の仮面をつけた龍威と犬耳と尻尾をつけた凛が、獄門寺家の縁側で三味線の手入れをしていた鬼灯に、そう声をかけた
二人の言葉に、鬼灯は一瞬。きょとん、として
二人の言葉に、鬼灯は一瞬。きょとん、として
「………あぁ。万聖節か。ほら」
ここ十数年で、日本でもハロウィンに仮装してお菓子を、なんて習慣が一般的になりつつある
凛の犬耳尻尾はともかくとして、龍威の翁の仮面は仮装と言っていいかどうか微妙ではあるが、この二人の「悪戯」は何をやらかすのか、若干想像したくない
鬼灯が小さな箱を二人に渡すと、二人はぱぁああっ、と子供っぽい表情浮かべた
凛の犬耳尻尾はともかくとして、龍威の翁の仮面は仮装と言っていいかどうか微妙ではあるが、この二人の「悪戯」は何をやらかすのか、若干想像したくない
鬼灯が小さな箱を二人に渡すと、二人はぱぁああっ、と子供っぽい表情浮かべた
「ありがとうございます、鬼灯さん」
「ありがとー!お菓子くれたから、悪戯はなしにするね」
「ありがとー!お菓子くれたから、悪戯はなしにするね」
きゃっきゃっ、と喜んでいる二人
……凛が油性ペンをしまいこんだ気がするのは、見なかった事にしよう、うん
……凛が油性ペンをしまいこんだ気がするのは、見なかった事にしよう、うん
「それじゃあ、凛。次、行こう」
「うん!次は、あの三人組だね!」
「うん!次は、あの三人組だね!」
突撃ー!と言うように、二人はぱたぱた、縁側を駆けていった
なるほど、次の犠牲者候補は、あの建築三人組か、と鬼灯は他人事のように思いながら、また三味線の手入れを再開する
なるほど、次の犠牲者候補は、あの建築三人組か、と鬼灯は他人事のように思いながら、また三味線の手入れを再開する
「ちゃんとお菓子、用意していたんですね」
と、その鬼灯のところに、庭の掃除が終わった様子の絵里が近づいてきた
おぅ、と、鬼灯は返事を返す
おぅ、と、鬼灯は返事を返す
「憐の坊やから、用意しといた方がいいって言われてたからな」
「なるほど。ちなみに、箱の中身は、何だったんですか?」
「なるほど。ちなみに、箱の中身は、何だったんですか?」
獄門寺家に仕えている者として、獄門寺家の次男の龍威が口にするものが、万が一でも変なものであってはいけない
この鬼灯は、子供には優しい性質なのでおかしな物ではないと思うので、あくまで念の為の確認だ
絵里の言葉に、鬼灯は先ほど龍威と凛に渡したのと同じ小さな箱を取り出して
この鬼灯は、子供には優しい性質なのでおかしな物ではないと思うので、あくまで念の為の確認だ
絵里の言葉に、鬼灯は先ほど龍威と凛に渡したのと同じ小さな箱を取り出して
「ほら」
と、絵里に手渡した
「それ、坊や逹にやったのと同じもんだから。お前にやるから、確認しとけ」
「え?………私、仮装していない上に子供じゃないんですが」
「気にするな。菓子要求事態は、在処も龍一にやってたしな。南瓜饅頭渡されて「何か違う」って顔してたが」
「…あれは、お菓子じゃなくて悪戯してもいいのよ、って言う誘いだったんでしょうね。龍一様は、その手の誘いには高確率で乗らないと思うのですが」
「え?………私、仮装していない上に子供じゃないんですが」
「気にするな。菓子要求事態は、在処も龍一にやってたしな。南瓜饅頭渡されて「何か違う」って顔してたが」
「…あれは、お菓子じゃなくて悪戯してもいいのよ、って言う誘いだったんでしょうね。龍一様は、その手の誘いには高確率で乗らないと思うのですが」
そういえば、そんなやり取りしていたような、と思いながら絵里はその小さな箱を開けた
中に入っているそれを見て、おや、と声を上げる
中に入っているそれを見て、おや、と声を上げる
小さな箱の中に入っていたのは、落雁だった
落雁は、米などから作った澱粉質の粉に水飴や砂糖を混ぜて着色し、型に押して乾燥させた干菓子だ
はっきり言って、安物だとあまり美味しくない物うえ、形の少々不格好な物が多い
鬼灯がハロウィン用に用意したのだろうこの落雁は、カボチャおばけの形をしているのだが、決して不格好ではなく、しっかりとした形をしている
落雁は、米などから作った澱粉質の粉に水飴や砂糖を混ぜて着色し、型に押して乾燥させた干菓子だ
はっきり言って、安物だとあまり美味しくない物うえ、形の少々不格好な物が多い
鬼灯がハロウィン用に用意したのだろうこの落雁は、カボチャおばけの形をしているのだが、決して不格好ではなく、しっかりとした形をしている
「いただいて、本当にいいんですね?」
「おぅ、好きにしとけ」
「おぅ、好きにしとけ」
三味線の音の調子を確認しながら、鬼灯は頷いた
それでは、と。絵里はいただきますと小さな箱にはいった落雁を一つ、口にした
上品な甘さが口の中に広がり、落雁はすぅ、と雪か何かのようにあっさりと溶けて消えていく
……なるほど、これは上等な物だ
それでは、と。絵里はいただきますと小さな箱にはいった落雁を一つ、口にした
上品な甘さが口の中に広がり、落雁はすぅ、と雪か何かのようにあっさりと溶けて消えていく
……なるほど、これは上等な物だ
「随分と、奮発しましたね」
「俺に対して菓子要求してくる奴は、そんな数いねぇだろうしな。たまには金平糖以外でもいいだろ。坊や逹も、せっかく食べるなら美味い菓子の方がいいだろ」
「それもそうですね」
「俺に対して菓子要求してくる奴は、そんな数いねぇだろうしな。たまには金平糖以外でもいいだろ。坊や逹も、せっかく食べるなら美味い菓子の方がいいだろ」
「それもそうですね」
箱の中にはまだ落雁が残っていたが、まずは蓋をする
これは、一気に食べるのはもったいない。ちょっとずつ、食べよう
これは、一気に食べるのはもったいない。ちょっとずつ、食べよう
「ありがとうございました。今晩のおかず、リクエストありますか?ないなら、かぼちゃを使ったおかずになりますが」
「んー?………酒に合いそうなもんがいい」
「抽象的な。まぁ、いいでしょう」
「んー?………酒に合いそうなもんがいい」
「抽象的な。まぁ、いいでしょう」
鬼灯の言う酒は、ビール等ではなく日本酒系だ
何か、それにあうおかずを考えるとしよう
建築三人衆の部屋から、なんかあの三人の悲鳴が聞こえてきたような気がしつつも、それを聞かなかったことにして、絵里は今晩の献立を考え始めたのだった
何か、それにあうおかずを考えるとしよう
建築三人衆の部屋から、なんかあの三人の悲鳴が聞こえてきたような気がしつつも、それを聞かなかったことにして、絵里は今晩の献立を考え始めたのだった
おわれ