「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-59a

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匿名ユーザー

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 静かな空間に、水音が一つ、響く
 明かり一つ無いその空間で、男は水の中に腰まで浸かり、静かに料の眼を閉じていた
 男の長い髪が水面に浮いて、ゆら、ゆら、と揺れる
 ここではない何処かへと意識を向けて、何かを探しているようだった

「…………あぁ」

 時折、水音が響くだけだった空間に、他の音がようやく響く

「なるほど、そこか」

 男が、閉じていた眼を開く
 その視線は、この暗闇ではない別の場所を睨みつけているようだった

「見つかったか」

 と。男の背後から、別の声
 男が身を半分ほど沈めているその水場の縁で、じっと男を見ていたもうひとりの男
 あぁ、と、水に身を沈める男は頷いた

「厄介だ。あぁ、実に厄介だ。そうして、実に、腹が立つ」
「……かと言って、お前の立場上、安々と関与するわけにもいくまい」
「道真公よ。我は祟り神。で、あると同時に国を守護する神が一人である」

 ちゃぷり
 水の中から、男が手をあげる
 掌の水は、清涼な水面から顔を覗かせたにも関わらず、真っ黒で汚れた物だった
 こぼれた汚れた水は清涼な水面へと落ちて、やがてその黒と穢はかき消される

「学校町。あの土地だけの問題で収まると思うか?土地神だけの問題だと切り捨てられるか?……否。道真公も、わかっているであろう」
「……八岐大蛇の再来。そうとでも言いたいか。将門公」

 ちゃぽり
 水へと身を沈める将門は、道真の言葉に嘲笑う
 いいや、と首を左右に揺らした

「アレと比べる等、流石にあの大蛇への侮辱であろうよ。大蛇であれば、もっと早く盟主は狂わされていたであろうからな」
「それでは」
「再来、とまでは行かぬが」

 ゆらり
 将門の周囲を、朧な影が揺れる
 彼が常に待とう悪霊、怨霊の類が、将門の感情に呼応したように、嘆き出す

「それでも、厄介だ。一つ土地のち脈が狂い続ければ、毒され続ければ、この国はどうなるであろうなぁ?」
「………そういう事になるな」

 深々と、道真がため息をつく
 つまるところ、将門が学校町で、久々に堂々と動く口実が見つかってしまった、と言うことになる
 将門が、嘲笑う
 己の記憶に揺らされながら

「あぁ、憎らしい。憎らしい我が護る者へと手を出す等、憎らしい。それも、あの時と同じく、また蛇とは!!」


 平将門
 「首塚の祟」としての彼は、何度か人間と契約を結んだ事があった
 たいていは復讐心にかられてからのものであり、将門との契約の下復讐を成し遂げ……その後は、将門に飲まれて彼の一部である悪霊怨霊の類となったか、それとなり果てる前に将門に斬られる事を望み、将門もその望みに答えて斬り捨ててきた

 その将門と契約し、しかし生命をかけての復讐にかられていた訳でもなく、最後まで人間として天寿を真っ当して死んだ者がただ一人、いた
 契約が続いていたその間、今は学校町等と通称で呼ばれているあの土地で、「八岐大蛇」と呼ばれる存在が目覚めかけた事があった
 「八岐大蛇」と化した「草薙の剣」の契約者の意思が「八岐大蛇」の中に残っていた事、将門の契約者を始め強力な契約者が揃っていた事により、その土地どころか国の危機は去ったものの、将門の契約者は心から信頼していた親友の一人を永遠に失ったのだ
 その悲しみと怒りは、当時契約していた将門にも移り、その感情は今尚、こうして燻りだす事がある
 あの時以来、将門は蛇が好きではない


「憎き、憎き蛇よ。さて、どうしてやろうか。その蛇を開放せんとする者も、見つけねば、祟らねば。どのような目的があろうとも、この国に仇なす者を祟らねば」

 揺れる、揺れる
 「平将門の首塚の祟り」は、いつ本格的に発動してもおかしくない状態になっていた

 …その様子に、道真はもう一度、ため息をつく
 もし、万が一、この眼の前の祟り神が感情任せに暴走したならば、それを押さえ込む役割は、また、自分に回ってくるのだろうと、そう予感しながら






……………続?




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