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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 舞い降りた大王-X06

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hayata0328

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漢「麻夜!!」

 その声が深い森の中で木霊し、正義はその拳を止めた。
 そこに居たのは、真っ白な翼を背に生やした[神崎(かんざき) (アヤ)]。
 少女のような衣服を着ており、顔立ちからも誤解されやすいが、れっきとした少年である。

麻夜「っぬぅ、今度は何者だ!?」
正義「漢くん…!」
漢「麻夜……遅くなってごめん……迎えに来たよ」

 そして何より、正義達の従兄弟であり……[神崎(かんざき) 麻夜(マヤ)]の兄である。
 漢はその翼を消滅させ、ゆっくりと森に降り立った。
 そして、今にも泣き出しそうな表情で、【太陽の歴石】……いや、麻夜を見据えた。

正義「(漢くんの声なら、麻夜ちゃんに届くかもしれない。届くはずだ!)」

 正義は兄妹の絆をもとに、そう確信した。
 対称的に、【太陽の暦石】は暫し考えた後、小さく鼻で哂った。

麻夜「……あぁ、この(ニクタイ)の家族か?
   残念だがもうこれは我のものだ、貴様の声など疾うに届いておらん。
   もはやこれは我の傀儡が如きものとなって―――――」



漢「黙ってて!!」



 か細くも、力強い声が響く。
 その気魄のせいか、【太陽の暦石】も一瞬だけ、たじろいだ様に見えた。

漢「…貴方に話してるんじゃない……僕は、麻夜と話がしたいんだ!」

 希望に満ちた、真っ直ぐな瞳。
 漢は諦めていない。正義の確信はより強くなった。
 漢は、漢の声は、麻夜を目覚めさせてくれるに違いない。

麻夜「……そうか……そうか………やっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ…
   下らん!! これから我が、直々に、貴様等を滅ぼしてやろうと言うのだぞ!?
   言いたい事があるのなら、(アノヨ)で言えば良かろう!!」

 それが気に入らなかったか、【太陽の歴石】は右掌から業火を噴き出し、漢を狙う。
 正義はとっさに、白雲から土砂降りを起こして沈下させた。

麻夜「っち、邪魔をするな!」
正義「どっちが!!」

 風を纏う拳と大剣が、甲高い音を散らして交わる。






楓「あの子はいったい……?」
奈海「神崎漢くん。正義くんの従兄弟で、麻夜ちゃんのお兄さんよ。」
勇弥「(男だったのか……。)」
コイン「たしか、【漢字の成り立ち】と契約しているんだっけ。」

 遠巻きに見ていた4人は、状況についていけず、分析を始めていた。

勇弥「……おそらく、だが。あいつこそが勝利のカギだろうな。」
楓「黄昏は、明らかにあの子を庇っている。そして攻撃も、ほとんどしていない。」

 勇弥と楓は、薄々察していた。このまま攻撃しても、勝てない事に。
 【太陽の歴石】を倒すこと自体は、おそらく可能だと考えていた。
 しかし、本当の勝利は『麻夜を救う事』。そのためにできる事は、自分達にはなかった。

コイン「信じよう。麻夜ちゃんの意思が、あいつに勝つ事を。」
奈海「お願い……!」

 コインと奈海は、ただ祈り続けた。けれど無力とは思わなかった。
 祈る事で、望む事で、未来は変わる。そんな奇跡を目の当たりにしたのだから。






漢「麻夜、聞こえる? 僕だよ、漢だよ!」

 漢の声が聞こえると、正義は少し姿勢を低く構えた。
 【太陽の歴石】に、麻夜に、漢の姿が見えるように。

漢「今日は、麻夜の誕生日だったんだ……覚えてた?」

 しかし、【太陽の歴石】に邪魔はさせなかった。
 麻夜の視線を意識しつつも、【太陽の歴石】の攻撃は全て受け止めた。

漢「麻夜が裂兄ぃと出かけてる間に、バースデーケーキ、作って待ってたんだよ?」

 漢はじっと見つめながら、麻夜に語り続ける。

麻夜「無駄だと言うのが分からんか!? 己の滅びの時を、静かに待っておれ!」

 【太陽の歴石】は痺れを切らし、またも漢に業火を飛ばす。
 しかし白雲より大王が現れ、マントで業火を受け止めた。

正義「無駄なんかじゃない! 漢くんの声は絶対に、麻夜ちゃんにも届く!!」

 続けて正義が【太陽の歴石】を食い止める。
 だが、大王はアシストしつつも、まだ足りないと踏んでいた。

大王「(正義、気づいているのだろう? 歴石との契約が、簡単に切れるものだと思うか?)」
正義「……。」
大王「(仮に意識を取り戻せても、それだけで解決はしない。)」

 大王はより先を見ていた。意識を取り戻した麻夜に、【太陽の歴石】が何をするのかを。
 それでも漢は、麻夜に語り続ける。

漢「僕は……弱くて、泣き虫で、友達も全然出来なくて……
  今日もすぐに麻夜を助けに行けなくて……頼りないお兄ちゃんだけど……」

 正義も同じく先を見ていた。【太陽の歴石】を破滅させるには、同じ破滅の力が必要だと。
 なおも漢は、麻夜に語り続ける。

漢「でも、麻夜は僕と違って、強かったから……麻夜がいつも励ましてくれたから……
  麻夜がいつも傍にいてくれたから、今日まで楽しくやってこれたんだよ」

 大王も、正義も勘づいていた。あとひとつ、ピースが欠けている事に。
 けれども漢は、麻夜を信じ続けた。

漢「麻夜がいないと………ほんとに、ダメなお兄ちゃんだよね………
  麻夜がいないと、生きていけないよ………」



――――――――――――――――――――すな



 その時、正義は微かに声を聞いた。
 同時に【太陽の歴石】が頭を抱え、正義の攻撃を受けて仰け反る。

正義「(い、今の声は……。)」
漢「帰って来てよ、麻夜……麻夜は、そんなのに負けちゃうような弱い子じゃ、無いよね?
  麻夜はとっても、強い子だから………帰って来てくれるよね……?」

 正義は、誰かがこの戦闘に介入している事に気づいた。
 漢が気づいているかは分からないが、まだ……自分達には、仲間がいる。

正義「(大王! 今から準備しよう!)」
大王「(良いのか正義? 時間こそかかるが、準備するだけでも力を消費する……)」
正義「(構わない! きっとチャンスは、今しかないから!)」

 大王はゆっくりと頷くと、その場から姿を消す。
 正義は、上空よりもはるか上を意識し、雲を展開する。
 それは、先ほどから作っていた白雲ではなく、宇宙を彷彿とさせる禍々しい雲だった。

麻夜「ぐっ………ま、た………強く…………!?」
漢「お願いだよ、麻夜………そんな奴に負けないで………
  皆でケーキ食べようよ………麻夜ぁ!!!」

 【太陽の歴石】は、いよいよ頭を抱え込んで苦しみ出した。
 正義はただ、宙を覆う雲を展開し続ける。











―――― 我 の () () に 手 を 出 す な ! ――――










正義「(【首塚】!? この戦いに、力を貸してくれたんだ……!)」
麻夜「あ、の…………祟り神風情、がぁ…………!!!」



???「まさかこの期に及んで将門に感謝する事になろうとはな」



 声がしたのは【太陽の暦石】の真後ろ、少し離れた処だった。
 黒一色の服を、右目から流れる紅に僅かに染めた少年。

漢「あ……!!」
麻夜「貴様……生きて………!?」






裂邪「お前の、所為で…大切な約束を守れなかったじゃねぇか!!」






 闇から現れたのは、黄昏 裂邪。その声、立ち振る舞いからは、怒りが滲み出ているのが目に見えて分かった。
 正義がその姿を見て驚いていると、一瞬目が合った。



―――この場は任せろ―――



 なんとなく、正義はそう言われた気がした。
 その瞬間、正義はその場から姿を消す。












~~~成層圏~~~


 地球と宇宙の狭間で、その雲は展開されていた。
 その雲の中から、黄昏正義が舞い降りる。

正義「(ずいぶん、高いところまで来ちゃったな……)」
大王「(今になって引き返すか?)」
正義「(冗談。それよりごめんね。そんな姿にして……)」

 そう考えながら、正義は雲を見つめる。

 これこそが【恐怖の大王】の真の姿だ。
 正義がよく知る『大王』とは、【恐怖の大王】が世界征服を行うための仮の姿。
 そして、【アンゴルモアの大王】となった今、この【恐怖の大王】の力は正義のための力である。

 世界を滅亡させる力……しかし、【アンゴルモアの大王】は違う。
 破壊者を、守護者に変える。その願いで、コントロールして見せる。
 今、『正義の心』が試される―――



正義「行くよ! 大王!」



―――雲から降りてきたのは、巨大な隕石だった。



 隕石はゆっくりと降下し、正義にぶつかる。



 その瞬間、隕石は淡く輝き、正義の身体に吸収されていく。






――――――X.terminate Angolmois(滅亡を滅ぼすもの)






 その身体は紅く燃え盛り、まさに隕石そのものとなった。
 そのまま飛び蹴りをするような体勢で、地上へと降下していく。






 その時、正義は『声』を聞いた。明らかに力を失った、【太陽の歴石】の声だ。

正義「お兄ちゃんが、やってくれたんだ……」

 あの時の視線は、きっとそういう意味だったのだろう。
 確信した未来が、今、確定した現実となった。
 兄はやるべき事を果たした。ならば。

正義「ボクは、ボクにできる事を……!」












~~~地上~~~


楓「あれは、隕石!?」
コイン「違うよ! あれは……」
勇弥「正義ィ!」
奈海「正義くん!」



 地上が見えてくると、麻夜を支える漢、正義を見守る仲間達、そして……バラバラになった【太陽の歴石】が居た。



裂邪「やれぇぇぇぇぇぇぇ!! 正義ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」



 シェイドの能力で空高く跳ね上げられた、瓦礫のような石板は、正義の軌道とちょうど重なった。



歴石《……う、嘘だ………こんな事があって……》


正義「いっけええええええええええええええええええ!!!」


歴石《我が予言は……絶対に狂わないイイイイイイイイイイイ!!》


正義&大王「「 未来は……お前のものじゃない!! 」」






――― (トワイ) (ライト) ()(ジャス) (ティス) ―――









 【太陽の歴石】と呼ばれた予言の石板は、木っ端微塵に消え去った。
 最後に残ったのは、黄昏 正義、【恐怖の大王】、そして……共に戦った仲間達だった。



正義「……終わった……?」

 言い終えると、正義は倒れこんでしまった。大王が受け止めると、どうやら眠ったようだ。
 大王は、塵になった【太陽の歴石】を見つめるように、呟く。

大王「【太陽の歴石】……。
   何故お前に、今日までしか時が刻まれていなかったのか、やっと分かったよ。」

 正義を地面に寝かせると、大王はゆっくりと、【太陽の歴石】があった場所へ歩いていく。

大王「未来とは、『未だ来ない』もの。
   だからこそ人は、未知なる未来に思いを馳せ、現在(いま)を生きる。
   そして現在は過去となり、歴史に刻まれる。」


大王「マヤ文明は、それに気づいたんだ。だから辞めたんだ。未来を、刻む事を。」


大王「【太陽の歴石】、お前は不要になったんだ……。
   これからの未来は、現在を生きる人間達の手で刻んでいく。」


大王「……あえて言わせてもらおう。」






―――最期まで、お疲れさま、だ―――






マヤの予言編第X5話「サイゴ」―完―



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