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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代ーズ-21

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匿名ユーザー

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21 ソレイユ 対 クマ!




「離してぇぇぇーっっ!!」


 朝から降り続けた雨は夕方に入る前に止んだが
 今も空は曇ったままで、地面は未だに濡れたままだ

 そして夕方を迎えたこの日
 学校町、東区に位置する小さな公園で
 マジカル☆ソレイユは逆さまに吊るされていた


「下ろしなさいったらぁぁぁーっ!」
「だめクマ。ぜーったいに離さないクマ」


 幸か不幸か公園には彼女ら以外に人の気配は無い
 つまりソレイユの醜態を目撃する者がこの場に居ないのであり
 それは同時に彼女の窮地を助ける者が存在しないことを意味していた

 木の陰に吊り下げられたソレイユを見上げるのは
 愛らしいデザインで、意外とサイズの大きなテディベアだ

 そして先に断っておくが
 このクマのぬいぐるみこそソレイユを逆さ吊りにした実行犯である!


「こんなエッチな格好の女の子を放っとくほどクマも甲斐性無しじゃないクマ
 今からヌルヌルのベチョベチョにしてやるクマ。泣いても絶対に逃がさないクマー」

「いやぁぁぁぁぁー、離せバカぁぁぁぁぁぁぁぁーっっ!!」

「うそクマ! 喜んでるクマ! ホントは襲われたかったんだクマ!
 ドスケベな格好で日のある内からお散歩だなんて
 ヘンタイ以外の何者でもないクマ!!」

「わっ、私は変態なんかじゃないっ! 違うわよぉっ!!」


 吊るされながらソレイユはそう喚く
 足首に絡みついた毛のような物を振り解こうと
 必死に身を捩っている所為なのか、彼女の顔は真っ赤だ

 丁度彼女の吊り下げられている真下には
 先程まで彼女が身に付けていた羽織りものが
 そして地面に落ちた羽織りものの上に彼女の杖が乗っていた
 両方とも彼女が吊り上げられたときに取り落としたものなのは言うまでも無い

 ソレイユは今、スクール水着のような露出の高い格好を
 というよりもスクール水着そのものに身を包み
 白い長手袋と膝が隠れる程度の白のソックスを着用していた


 果たして彼女はこのような格好で恥ずかしくないのだろうか?
 顔が真っ赤なのは必死に喚いたためだけの理由からなのだろうか?
 かなりの声量で喚いているが人目を引かないか気にならないのだろうか?

 木陰に吊るされた少女、マジカル☆ソレイユ
 彼女自身についても、彼女の状況についても、謎は尽きない


「クマーん♥ 格好がドスケベなら中身もきっとドスケベなはずだクマー♥」


 テディベアは気味の悪い声色で身をくねらせている
 一体、如何にしてソレイユを拘束し、吊り下げたのだろうか?
 そもそもクマのぬいぐるみが人語を話すとはどういうことなのか?

 先程から卑猥な言動を止めることの無いテディベア
 これについても、謎は尽きない


「うっ、くっ! こんな変態クマなんかにぃぃっ……!」


 ソレイユは拘束から脱しようと必死に体を捩っているが
 足首に絡みついた物はびくともせず、彼女の体が大きく揺れるだけだ


「クマぁ♥ これまで色々やってきたけどこんな展開は初めてクマ!
 可憐な魔法少女気取りの女の子は己の体に快楽を刻みつけられて
 もう二度と日常には戻ってこれない展開になってしまうだなんて……ッ!
 しかも快楽を刻みつけるのは紛れもなくこの俺っ! いかんっ! 昂奮してきたァっ!」

「わっ、私は、魔法少女なんかじゃないって言っ、ひぃぃっ!?」


 テディベアの言葉に反抗しようとしたソレイユの声は
 しかし、彼女自身の悲鳴によって遮られてしまった

 無理もない

 今やテディベアの体からは無数の黒い触手のようなものが生え出ており
 それが非常に気持ち悪い挙動と共にソレイユの体へゆっくりと、しかし着実に伸び始めたからだ!

 そう、この黒い触手のような物こそが彼女を拘束して吊り下げた物の正体であり
 これから実行される卑猥な展開にてメインを張るR-18な暗黒存在なのであり
 テディベアの有する都市伝説由来の能力なのである!


「グホホぉーッ♥ これからハードコアなエロゲーも真っ青な
 グチュグチュのドゥルッドゥルなヌルヌルプレイをギアトップでお送りするクマーッ!!」

「いや、イヤぁぁぁっっ!! やめてっ!! 来ないでぇぇぇぇぇっっ!!!」


 いよいよテディベアから伸びる触手がソレイユに達しそうになり
 彼女は半狂乱になって絶叫する。が、その光景を目にする者は誰も居ない!
 ソレイユは無我夢中で杖腕をクマのぬいぐるみに突き出した
 彼女の中に残されていた僅かな冷静さが理性と勇気をフル稼働させる
 彼女にとってこれは奥の手であり、一度発動すると色々と後が無くなってしまう!
 しかしこの窮地を脱しなければ他ならぬ自分がR-18な大惨事に見舞われてしまうのだ!
 リスクを冒してでもこのテディベアの姿をした邪悪を抹殺しなければ大変なことになってしまう!

 マジカル☆ソレイユが覚悟を固めて、奥の手を発動しようとした、その瞬間だ!!


「   玉兎、十六式 ―― 『"影" 鳥 "闇" 猿』   」

「クマぁあ゙あ゙っ!!??」


 地面から伸びる無数の黒い“手”がテディベアを捕らえ、中空に押し上げたのだ!
 テディベアの体は今や黒い“手”によって宙に浮き
 追い討ちのように突き出した一際大きな二つの“手”によって包まれるように拘束されてしまった!

 声の方へとソレイユは無意識に顔を向けていた
 公園のジャングルジムの上、そこに佇むのは見知った顔の腐れ縁だ!


「あ、あなたっ……! ノクターン!?」
「下ろすわよ、ソレイユ」


 やけに冷静な声色に澄まし顔の少女はソレイユの醜態に視線を向けている
 そのとき、不意にソレイユの体を重力方向への軽い衝撃が襲った
 彼女の足首を拘束していた筈の触手はいつの間にか切断され
 代わりに黒い“手”が彼女の体を掴んでいたのだ


「えっ!? あっちょっちょっと!!」


 ソレイユの体はそのままゆっくりと地面へ下ろされていく
 彼女は咄嗟に両手を伸ばして地面へ接地、脳天が大地へ衝突するのを回避!


「クマぁぁぁぁっっ!! 油断したクマっ!! 仲間が来るのは計算外だったクマーっ!!」


 拘束されて宙に浮いたテディベアの方はというと、表情を少しも変えずに
 しかし焦ったように喚いているのだが、どこか嬉しそうな様子なのは気の所為だろうか?


「うぐっ、こっ! このぉっ!!」


 無事着地したソレイユは地面に落ちていた杖を拾い上げると
 涙目のままで杖を真っ直ぐテディベアに向けて構える!


「レン・レヴェットぉっ!          (矢を放って!)」
「ほぎゃぁぁぁあああ゙あ゙あ゙っっ!?!?!?!?」


 呪文と同時に杖の先から赤い閃光が発射! テディベアに直撃した!
 途端にテディベアは黒い“手”の中で炎上し始めたのだ!
 同時に黒い“手”も徐々に形を崩していくではないか!


「やっぱり、炎だと、解けてしまうわね」


 ジャングルジムに立つ少女の呟きなどお構いなしに
 ソレイユは涙目で燃え上がるクマのぬいぐるみを睨みつける


「クマぁぁああ゙あ゙っ♥ 無念だクマぁっ♥
 しかしっ! たとえこのクマが滅びようとも、第二第三のクマが現れるクマぁっ!!」

「全部まとめて燃やしてやるわよぉっっ!!」

「クマぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁあああンンっっ♥♥♥」


 声高な断末魔と共に炎上するテディベアの全身が青白い光に包まれ始めた
 この変態なクマのぬいぐるみも遂に消滅のときを迎えた
 ソレイユの一撃が致命的だったのだ

 かくしてテディベアは消滅した
 燃えカスも残さず全て消え去ったのである


「お疲れ様」


 少女はそう告げてジャングルジムから地面へと音もなく降り立った
 制服であろうブラウスの上からは影のように黒いエプロンを着用している
 この少女はマジカル★ノクターン、本名を高奈夜と言い
 物理的な干渉が可能な影を操る、「シャドーピープル」の契約者である

 そんな高奈、もといノクターンに対し、ソレイユは涙目の睨み顔を向けた


「ちょっと!! あなたっ!! ノクターンッ!! いつから居たのよッッ!?」
「貴女が、クマさんに、吊るされた辺りから、かしら」
「割かし最初からじゃないのよっ!?」


 ソレイユは可愛い形相のまま
 ぺぺぺぺぺっ! とノクターンに指を突き付け非難し始めた


「み、見てたんなら助けてくれたっていいでしょッ!!」
「状況確認よ」


 しれっと返事するノクターンを依然涙目のままで睨みつける
 ソレイユは口の中で剣呑な唸り声を上げているが
 それ以上非難の言葉を繰り出せないようだ


「今回は、私が来なかったら、危なかったわね」


 ソレイユの文句などどこ吹く風
 ノクターンは曇り空を見上げながらそんなことを言う


「無茶は程々に、ね。ソレイユ」
「おおおおっ大きなお世話よぉぉぉっ!! だっ、大体あなたにはっ関係ないでしょぉっ!?」


 噛み付くように喚くソレイユであったが
 その様子は冷静なノクターンと比べると少々微笑ましいものがあった


「あのクマさん、消滅しては、いないわよ」
「分かってるてば!! っっのぉ、あの変態クマ! 絶対に本体見つけてはっ倒してやる……!」
「可哀想な人。ミイラ取りが、闇に呑まれて、ミイラになるなんて、ね」


 怒りに燃えるソレイユにはノクターンの呟きなど耳に入らなかったようだ
 意味深長なことを口にしたノクターンは公園の入り口の方を眺めているが
 その視線の先に何やら蠢く影があったことなど、ソレイユが気づく筈も無い


「じゃあ。私はもう、行くわ。次は、吊るされないように。気を付けて、ね」
「だからぁっ!! そーゆーのぉっ! 大きなお世話だってばぁっ!!」


 先程から「なんで早く助けなかった」だの、「大きなお世話」だの
 話してる内容が錯乱気味なソレイユに背を向けて
 ノクターンは悠々と公園を後にする


 一人残されたソレイユは去りゆくノクターンの背中を睨みながら
 口の中でもごもごと何やら唸っていたが
 やがて、口をへの字に曲げてがっくりと肩を落とした


「助けて貰ったことには感謝……してるけどっ!
 なんでアイツが来ると、こう、調子が狂うのかしら……」


 相変わらず口から唸り声を上げているが
 その声は先程と比べてどこか情けない感じだ
 地面に落ちたままの羽織りものを拾い上げると
 彼女は重い足取りで公園のトイレへと入っていった





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