一日目の夜
☞ “罪深い赤薔薇の花子さんとかの人 ◆7JHcQOyXBMim”様の“ピエロ狩り” から
本スレ Part12 >>773-776
学校町、東区
夜の訪れたこの区画に発砲音が響く
夜の訪れたこの区画に発砲音が響く
「ピエロ」の一人が仲間の道化を射殺した
殺されたのは「一ツ眼」の影響を受けた道化である
殺されたのは「一ツ眼」の影響を受けた道化である
光の粒に包まれ完全に消滅したのを確認した所で、漸く彼は銃を下ろした
「『一ツ眼』に、『死毒』に、『クローセル』に、……あとは何だ」
「あとは将門公とゼロナンバーに、暗黒竜辺りが出てこれば最高っすね」
「あとは将門公とゼロナンバーに、暗黒竜辺りが出てこれば最高っすね」
銃を持っているのは「ピエロ」は「火遊びごっこ部隊」の隊長クラスの道化だ
彼は先程まで決して見せることの無かった疲れた表情を隠そうとしていなかった
部下は彼の顔色を怪訝そうに窺っている。隊長の顔には不安の色がちらついていた
彼は先程まで決して見せることの無かった疲れた表情を隠そうとしていなかった
部下は彼の顔色を怪訝そうに窺っている。隊長の顔には不安の色がちらついていた
「連絡は?」
「無いっす。つまり順調ってことっすね」
「正直な所、先走り過ぎたかと思ったんだが」
「考え過ぎっすよ、それに俺達って」
「無いっす。つまり順調ってことっすね」
「正直な所、先走り過ぎたかと思ったんだが」
「考え過ぎっすよ、それに俺達って」
殺されてナンボってとこ、あるっしょ?
部下はウインクを飛ばしながらそんなことを言う
部下はウインクを飛ばしながらそんなことを言う
「だがまだ完全に確認できたわけじゃ無い、そうだろ?」
「そっすね、でも連絡じゃそっちはノーコメっすよ」
「……俺達の行動については?」
「そっちもノーコメっす」
「そっすね、でも連絡じゃそっちはノーコメっすよ」
「……俺達の行動については?」
「そっちもノーコメっす」
よし、隊長はそう応えた
どうやら決心が着いたようだ
どうやら決心が着いたようだ
「俺達はそのまま暴れるぞ。油断するな。エンジョイする前にキルされたらパーだからな」
「言われる間でも無ェ」
「言われる間でも無ェ」
部下の道化は下品な笑みを浮かべて空を仰ぐ
突如、無数の花火が天へと上がり、上空で炸裂した
その直後、ピエロ達の奇声があちこちから響き出した
突如、無数の花火が天へと上がり、上空で炸裂した
その直後、ピエロ達の奇声があちこちから響き出した
火遊びは何も放火だけとは限らない
賑やかなパーティーは既に始まっているのだ
エンジョイしなきゃソンソン、ハッピーになってこそ
「ピエロ」がここまで頑張った甲斐があるというものだ
賑やかなパーティーは既に始まっているのだ
エンジョイしなきゃソンソン、ハッピーになってこそ
「ピエロ」がここまで頑張った甲斐があるというものだ
「じゃあ、いっちょファックに精を出すか」
隊長クラスのピエロは派手な衣装の袖を捲くって
腕の血管に覚醒剤の詰まったシリンジを突き立てた
腕の血管に覚醒剤の詰まったシリンジを突き立てた
「あれ人妻ってマジ!?」
「マジマジ!! 興奮するよなァァーッ!!」
「マジマジ!! 興奮するよなァァーッ!!」
「ピエロ」の視線の先に居るのは、家屋の屋根に立つ人影だ
暗視ゴーグルを使った所で黒いフードを被った人物である所までしか視認できない
しかし、「ピエロ」達はその人影の下へと我先に殺到しようとしていた
暗視ゴーグルを使った所で黒いフードを被った人物である所までしか視認できない
しかし、「ピエロ」達はその人影の下へと我先に殺到しようとしていた
無論、「ピエロ」の願望が叶うことは無い
天空から降り注ぐ眩い数多の矢は次々と道化達を刺し貫いていった
天空から降り注ぐ眩い数多の矢は次々と道化達を刺し貫いていった
「人妻ってことは、そういうことナンだよなァーッッ!!」
「むしろ孕まされたいくらいだよッッ!! 俺をレイプしてくれェッ!!」
「人妻た~~ンっ!! 早く俺を殺してぇぇン~~っ!!」
「むしろ孕まされたいくらいだよッッ!! 俺をレイプしてくれェッ!!」
「人妻た~~ンっ!! 早く俺を殺してぇぇン~~っ!!」
「ピエロ」達は嬉しそうに絶叫しながら争うように矢に射殺されていく
「おおッ♥ おおおおオオオ♥♥おおおおおオオっっ♥♥♥」
胸を、腹を、そして頭を貫通されてなお、その道化は興奮の声を止めなかった
「いいッ♥ ああッ! もっとだっ♥ クひンッ♥ たまんないよ゙ぉ゙ッ!♥♥!」
道化は装束の下で今日何度目になるか分からない絶頂に達していた
「……?」
最初に異変に気付いたのは「メガロドン」の契約者、深志だった
彼は「メガロドン」の挙動に何らかの違和を覚えた
彼は「メガロドン」の挙動に何らかの違和を覚えた
(水が、粘りついてる?)
「メガロドン」と「良栄丸」が現在移動しているのは水上では無い
だがこの違和感は何だ。この絡み付いてくるかのような感覚は
だがこの違和感は何だ。この絡み付いてくるかのような感覚は
深志は「良栄丸」を操縦する良永栄の方を見た
良永も異変を察知しているようだった
良永も異変を察知しているようだった
「深志、どうした」
二人の様子に日景翼も勘付いたらしい
深志は良栄の方に一瞥をくれた後、日景の方を見た
深志は良栄の方に一瞥をくれた後、日景の方を見た
「粘度が上がっているような。藻が絡んでくるような感触で」
「『メガロドン』のか?」
「『メガロドン』のか?」
日景の問いに深志が首肯する
「翼さん、これは『サルガッソー』かもしれません」
良栄は既に違和の正体に気付いていた
「魔の海、サルガッソー」。多くの船舶が行方不明になったという「魔の海域」の伝説だ
「魔の海、サルガッソー」。多くの船舶が行方不明になったという「魔の海域」の伝説だ
「なるほど、お前らの能力に便乗して仕掛けてきたのか」
「ただ、状況から考えるとそこまで力が強くは無いです。遠距離から発動してるものかと」
「深志、お前の方は? なんなら藻を“焼き切る”か?」
「いえ、大丈夫です。これくらいなら引き千切れる」
「ただ、状況から考えるとそこまで力が強くは無いです。遠距離から発動してるものかと」
「深志、お前の方は? なんなら藻を“焼き切る”か?」
「いえ、大丈夫です。これくらいなら引き千切れる」
日景は二人の顔を確認して頷いた
「分かった。だが無理はするな。何か異変を感じ取ったらすぐに言えよ?」
警戒するに越したことは無い
「ピエロ」が何らかの契約者と組んで行動している可能性が浮上している今
いくら警戒しても警戒し過ぎることは無い。むしろ今は過信こそ排除すべき要因だ
「ピエロ」が何らかの契約者と組んで行動している可能性が浮上している今
いくら警戒しても警戒し過ぎることは無い。むしろ今は過信こそ排除すべき要因だ
三人の契約者は「ピエロ」達を倒しながら前進し続ける
但し、船上の警戒は先程よりも高まっていた
但し、船上の警戒は先程よりも高まっていた
東区
「燃ーえろよ 燃えろーよー ニンゲン燃ーえーろー
火の粉を巻き上ーげー 町ごと焦がせー、っと!」
火の粉を巻き上ーげー 町ごと焦がせー、っと!」
陽気な声色で歌でも口ずさみながら
「ピエロ」はアスファルトにガソリンを撒き散らしていた
住宅街の道路を火炎で暖めて火の海を再現するのが目下の目標である
「ピエロ」はアスファルトにガソリンを撒き散らしていた
住宅街の道路を火炎で暖めて火の海を再現するのが目下の目標である
「退路を断つって何気に大事だよなぁ~」
呑気そうにガソリンを散布した後、彼は頭からガソリンを被った
そしておもむろにライターを取り出し
そしておもむろにライターを取り出し
直後、彼は爆発した
炎上する「ピエロ」から引火し、一気に火が燃え広がる
その光景を見た他の「ピエロ」達もまた、興奮気味に頭からガソリンを被り出す
その光景を見た他の「ピエロ」達もまた、興奮気味に頭からガソリンを被り出す
「たのッ! たのたのたのッ!! 楽しいィィィぃぃィいいいイいいいいいいイイっッッ!!」
炎へと飛び込み、炎上は激しさを増した
真っ赤に燃える炎の中からは、彼らの狂笑が響いていた
真っ赤に燃える炎の中からは、彼らの狂笑が響いていた
「何考えてるの、あいつら……!」
少女は込み上げる恐怖を無理矢理抑え付けていた
そして視界の隅に燃料タンクを持った道化達が躍り出て
民家の方を指差し、行動を起こそうとしているのを認めたとき
そして視界の隅に燃料タンクを持った道化達が躍り出て
民家の方を指差し、行動を起こそうとしているのを認めたとき
彼女は物陰から飛び出していた
杖ともう片方の手を前方に掲げる
すると炎上していたアスファルトの炎が急速に減衰し始めた
すると炎上していたアスファルトの炎が急速に減衰し始めた
道化達は一斉に異変に気付いたようだ
「ピエロ」達が彼女の下へ殺到しようと身動ぎする前に
彼女は呪文を唱えていた
彼女は呪文を唱えていた
「レン・ファイスッ!! (爆破して!!)」
豪快な爆発音と共に「ピエロ」達の体が吹っ飛ばされた
同時に減衰していた筈の地面を焦がす炎が、彼女の呪文により勢いを取り戻した
同時に減衰していた筈の地面を焦がす炎が、彼女の呪文により勢いを取り戻した
「あっやばッ! そんな積りじゃ!!」
「ソレイユ、下がっていて」
「ソレイユ、下がっていて」
慌てふためく彼女の脇からもう一人の少女が現れた
途端に残りの「ピエロ」達と炎が勢いを削がれていく
途端に残りの「ピエロ」達と炎が勢いを削がれていく
炎は“影の手”により炎上を阻まれ
道化達もやはり無数の“影の手”によって動きを封じられていく
道化達もやはり無数の“影の手”によって動きを封じられていく
「私、そんな、そんな積りじゃ無かったの、わたし……!」
「落ち着きなさい、ソレイユ」
「落ち着きなさい、ソレイユ」
軽いパニックを起こしているソレイユに彼女は宥めるように声を掛ける
その女は黒い袖無しのドレスに身を包んでいた
胸元と背中の露出が多いタイプのものだ
その女は黒い袖無しのドレスに身を包んでいた
胸元と背中の露出が多いタイプのものだ
「ノクターン、ごめん。私、小さい頃から火事が……
放火なんて絶対許せなくて、それで」
放火なんて絶対許せなくて、それで」
「ソレイユ、大丈夫よ。火は、じき、消えるわ」
ソレイユの背中に手を掛けながらノクターンは周囲を見回していた
「シャドーピープル」の能力によって発現した“影の手”は
その場の道化全員を拘束することに成功したようだ
「シャドーピープル」の能力によって発現した“影の手”は
その場の道化全員を拘束することに成功したようだ
「そろそろ、『組織』が、来るわ。行きましょう」
彼女は酸素を阻まれて勢いを失った火の手をもう一度確認し、ソレイユを促した
周囲からは突如拘束されて興奮している「ピエロ」達のくぐもった奇声が微かに聞こえる
周囲からは突如拘束されて興奮している「ピエロ」達のくぐもった奇声が微かに聞こえる
「シャドーピープル」の“腕”は強力とはいえ
光のある場所では本来の力を発揮することは困難だ
それ故、ノクターンは能力を鎮火に使えるか懸念していたのだが
その心配は杞憂に終わったようだ
光のある場所では本来の力を発揮することは困難だ
それ故、ノクターンは能力を鎮火に使えるか懸念していたのだが
その心配は杞憂に終わったようだ
ノクターンはソレイユの肩に手を回す
直後、二人は忽然とその場から消失した
直後、二人は忽然とその場から消失した
場は替わって、西区
早渡脩寿は己の愚鈍さを呪っていた
すんでの所で早渡は路地裏へと転がり込み
直後、先程まで立っていた空間を複数の殺気が切り裂いていく
すんでの所で早渡は路地裏へと転がり込み
直後、先程まで立っていた空間を複数の殺気が切り裂いていく
「う、ぐ……お……!」
激痛に、耐える
もう慣れてしまった感覚とはいえ
この状況にだけは決して慣れてならない筈だ
もう慣れてしまった感覚とはいえ
この状況にだけは決して慣れてならない筈だ
早渡は左手で制服のネクタイを解き
その一端を歯で咥えると、右手首に巻き付けて縛り上げた
その一端を歯で咥えると、右手首に巻き付けて縛り上げた
何だってこんなときに携帯を忘れるんだよ、俺は!!
早渡は心の中で毒づいていた
汗が滝のように滲んで流れ落ちる
今はただ激痛が過ぎゆくのを待つしか無い
汗が滝のように滲んで流れ落ちる
今はただ激痛が過ぎゆくのを待つしか無い
幽かな光が差し込んでくる路地の方を見やった
早渡は自分の右手首から先が地面に落ちているのを確認する
早渡は自分の右手首から先が地面に落ちているのを確認する
「ク、ソが……!!」
早渡は今、右手首から先を切断されていた
切断面はどす黒く変色し、粘度の高いタール状の体液が垂れ出していた
切断面はどす黒く変色し、粘度の高いタール状の体液が垂れ出していた
不意に奴の羽音が響いた
奴は片方の翅を損壊していた
かつて早渡が奴の翅を破壊したからだ
意趣返しにしちゃ上出来だ、少なくとも奴はやり遂せた
不意の出会い頭に鱗粉を弾丸のように放って右手を切り落とすとは
だがまだ足りないのだろう。早渡を殺すまで手を緩めることは無いのかもしれない
かつて早渡が奴の翅を破壊したからだ
意趣返しにしちゃ上出来だ、少なくとも奴はやり遂せた
不意の出会い頭に鱗粉を弾丸のように放って右手を切り落とすとは
だがまだ足りないのだろう。早渡を殺すまで手を緩めることは無いのかもしれない
「モスマン」が翅を震わせる不穏な低音が耳朶を打つ
アレは路地裏に身を潜めた早渡の所へ、緩慢に、しかし着実に距離を詰めていた
アレは路地裏に身を潜めた早渡の所へ、緩慢に、しかし着実に距離を詰めていた
「く、そ、ったれが……!!」
逃げるか戦うか
いずれを選択しても危険な状況だ
早渡は単に切断されただけでは無く、鱗粉の猛毒に侵されているからだ
いずれを選択しても危険な状況だ
早渡は単に切断されただけでは無く、鱗粉の猛毒に侵されているからだ
どうする!?
ここからどうする!?
ここからどうする!?
早渡は今、近づいてくる「モスマン」の翅音を聴きながら
頭を必死に回転させていた
頭を必死に回転させていた
そして、東区
「しかし『死毒』に向かって『残酷なことをする』だなんて、その口がよく言うよ」
「おや、先程のやり取りかい? 言葉の綾さ」
中央高校に近いその場所で、二人組は談笑に興じていた
「それを言うなら、君もまるで耄碌したかのような台詞を吐いていたが
話している内にそういう気分にでもなったのかな? それとも『死毒』に頭をやられたかい?」
話している内にそういう気分にでもなったのかな? それとも『死毒』に頭をやられたかい?」
「多分ね」
タートルネックの青年の皮肉を、スーツの男は人の好さそうな笑顔で流した
「ところでひかりちゃんだけど、やっぱり無理なのか」
「あの子だって考え無しじゃないさ。現にこっちが追跡しようにも
空間の情報を完全に隠蔽し切ったようだね。凄いものだよ、全く」
空間の情報を完全に隠蔽し切ったようだね。凄いものだよ、全く」
「ということは本格的に連絡待ちか」
「センセ方、お車のご用意が出来ました!」
二人組の下へ、数名の「ピエロ」が馳せ参じる
先頭の道化が恭しく頭を下げるがその所作は却って芝居掛かって見える
先頭の道化が恭しく頭を下げるがその所作は却って芝居掛かって見える
「本ッッ当にあの女の子に執着しているようだね、『海から』の」
「まあね。でも焦ってはいないよ」
相変わらずにこやかな表情のまま
スーツは「ピエロ」達に促されて車輌へと歩を進める
スーツは「ピエロ」達に促されて車輌へと歩を進める
「だって夜は長いんだからさ。ねえ?」
☞ “鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ”様の“炎と、氷と”、
本スレ Part12 >>827
“や”(やる気のない黒服の人)様の“や ピエロ”、
本スレ Part12 >>869-870、>>872-873、>>878-879
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