どうして、みんな我慢するんだろ?
レティは、よくわかんない
我慢する必要なんて、ないのに
どうして、みんな我慢するんだろ?
レティは、よくわかんない
我慢する必要なんて、ないのに
どうして、みんな我慢するんだろ?
我慢なんて、そんな事はせずに
殺したいなら、殺せばいいのに
殺したいなら、殺せばいいのに
「------っ!」
ぞく、と
背筋を走った、悪寒
背筋を走った、悪寒
向けられる、隠す気のない殺意
迫ってきていた人食いタコに、菊は力一杯、道路標識で殴りつける
迫ってきていた人食いタコに、菊は力一杯、道路標識で殴りつける
そのまま、遠心力を利用して、己の後方へと放り投げた
べちゃっ!!
タコの巨体が、水で包まれた
タコの巨体が、水で包まれた
「何!?」
「あ、防がれちゃった……まぁ、いいや」
「あ、防がれちゃった……まぁ、いいや」
人食いタコの契約者が驚きの声を上げる
……レティの体は、炎に包まれていた
その状態で、痛みや苦しみを感じている様子はない
すなわち、あれは、レティ自身が能力で生み出した炎
そして、その炎によって、周囲の雪が溶け、水となり
その水が………ふわり、浮かび上がっている
……レティの体は、炎に包まれていた
その状態で、痛みや苦しみを感じている様子はない
すなわち、あれは、レティ自身が能力で生み出した炎
そして、その炎によって、周囲の雪が溶け、水となり
その水が………ふわり、浮かび上がっている
「まずは遊ぼうね、タコさんっ」
無邪気にレティが笑う
----びくんっ!!とタコの体が痙攣し………ぐったり、動かなくなった
その体は、光の粒子となって消えていく
----びくんっ!!とタコの体が痙攣し………ぐったり、動かなくなった
その体は、光の粒子となって消えていく
「あれ~?もう死んじゃったの?もうちょっと丈夫かと思ったのに……つまんない」
ぷぅ
消えた人食いタコの姿に、レティは不満そうに頬を膨らませる
消えた人食いタコの姿に、レティは不満そうに頬を膨らませる
「……俺の仲間も、その能力で殺しやがったのか、餓鬼……!」
「うん、そうだよっ!」
「うん、そうだよっ!」
怒りをにじませる人食いタコの契約者に、レティは笑顔で答えた
まるで、人食いタコの契約者を挑発するかのように
楽しげに楽しげに、続ける
まるで、人食いタコの契約者を挑発するかのように
楽しげに楽しげに、続ける
「遊ぼう、って言われたから、レティ、うれしかったの!でもね、でもね、すぐに死んじゃってつまんなかったの」
「………っ!!」
「………っ!!」
じゅるり
男のコートの腕から、裾から……巨大なタコの足が、はみ出しだす
恐らく、この人食いタコの契約者は、己の肉体からタコを生み出すという能力なのだろう
どのような拡大解釈でもってそうしているのかは不明だが………果たして、この能力、「何体まで、タコを生み出し続けられる」のか?
男のコートの腕から、裾から……巨大なタコの足が、はみ出しだす
恐らく、この人食いタコの契約者は、己の肉体からタコを生み出すという能力なのだろう
どのような拡大解釈でもってそうしているのかは不明だが………果たして、この能力、「何体まで、タコを生み出し続けられる」のか?
「食らい尽くせぇえええ!!!」
「きゃはははははっ!まだまだ遊んでくれるんだねっ!レティ、とってもとっても嬉しいよっ!」
「きゃはははははっ!まだまだ遊んでくれるんだねっ!レティ、とってもとっても嬉しいよっ!」
レティが次々と、水を操りだす
レティが操る水は、苦い水
苦ぁい苦ぁい、毒の水
レティが操る水は、苦い水
苦ぁい苦ぁい、毒の水
レティは、それを次々と打ち出していく
男が生成するタコは、悉くがその水に体を包まれ……猛毒を強制的に接種させられて、死に絶えていく
生物系の都市伝説では、レティとの相性が悪すぎる
男が生成するタコは、悉くがその水に体を包まれ……猛毒を強制的に接種させられて、死に絶えていく
生物系の都市伝説では、レティとの相性が悪すぎる
……そして
「ねぇっ、そっちのお兄ちゃんも!!レティと遊んでよっ!」
「………っ!」
「………っ!」
毒の水が、菊に迫る
菊は、弾丸……否、大きさから言えば大砲の玉か……のように打ち出されるそれを、道路標識で叩き落とした
だが、水はすぐに菊の口へ飛び込もうと、迫ってくる
菊は、弾丸……否、大きさから言えば大砲の玉か……のように打ち出されるそれを、道路標識で叩き落とした
だが、水はすぐに菊の口へ飛び込もうと、迫ってくる
「………ピンチ?」
水を叩き落とし続けながら、呟く菊
自分では、この能力に対処しきれない
………それは、人食いタコの契約者も、同じ
このままでは、レティの遊びで殺されるだけだろう
自分では、この能力に対処しきれない
………それは、人食いタコの契約者も、同じ
このままでは、レティの遊びで殺されるだけだろう
「きゃははははっ!楽しいねっ、楽しいねっ!!」
「…楽しい?」
「そうだよ!レティ、とってもとっても、楽しいよっ!」
「…楽しい?」
「そうだよ!レティ、とってもとっても、楽しいよっ!」
そして
レティは、どこまでも、この状況を楽しんでいる
自分が、絶対的に有利な、この状況を
首をかしげる菊に対して、レティは告げる
レティは、どこまでも、この状況を楽しんでいる
自分が、絶対的に有利な、この状況を
首をかしげる菊に対して、レティは告げる
「もっともっとっ!一杯一杯、あがいてね、もがいてねっ!簡単に死んじゃったら、つまんないもん!!一杯一杯あがいてもがいて苦しんでくれた方が、レティは楽しいのっ!」
満面の笑みで、そう告げたレティ
水、が
高所から、菊と、人食いタコの契約者を狙う
水、が
高所から、菊と、人食いタコの契約者を狙う
「さぁっ!!レティの苦いお水を飲んで、もがいてあがいて苦しんでっ!!そして、その死に顔をレティに見せてっ!!」
苦い、猛毒の水が
……二人の口を狙い、その体内へと入り込もうと、迫る
……二人の口を狙い、その体内へと入り込もうと、迫る
避けられ、ない?
覚悟を決めた………その、瞬間
ばしゃあん!!と
どこからか飛んできた茶色の液体が、レティの水を受け止めた
ばしゃあん!!と
どこからか飛んできた茶色の液体が、レティの水を受け止めた
「……?」
「!?」
「あれ??」
「!?」
「あれ??」
ふわり
ふわりと浮かぶ、茶色の液体
…若干、甘い匂いが漂う
この匂いは……
ふわりと浮かぶ、茶色の液体
…若干、甘い匂いが漂う
この匂いは……
「コーラ?」
そう
明らかに、コーラの匂い
明らかに、コーラの匂い
つつつつ、と
三人の視線は、自然と……コーラが飛んできた方向に、向く
三人の視線は、自然と……コーラが飛んできた方向に、向く
そこに、いたのは
にこにこと笑っている、コーラのペットボトルを手に持った、青年
にこにこと笑っている、コーラのペットボトルを手に持った、青年
「んーと、どうすればいいんだっけ。「教会」の人を捕縛するんだっけ、溶かすんだっけ」
笑顔のまま、物騒な事を口にして、首をかしげる青年
こぽ、こぽ、こぽ、と
青年が手にしているペットボトルから、コーラが尽きることなく溢れ続けている
こぽ、こぽ、こぽ、と
青年が手にしているペットボトルから、コーラが尽きることなく溢れ続けている
「お兄ちゃん、だぁれ?お兄ちゃんも、レティと遊んでくれるの?」
「えー、君みたいな邪悪そのものとして生まれたっぽい思考を感じなくもない子と遊ぶとか、面倒くさいなぁ。もう、さっさと溶かしちゃった方がいいよね」
「えー、君みたいな邪悪そのものとして生まれたっぽい思考を感じなくもない子と遊ぶとか、面倒くさいなぁ。もう、さっさと溶かしちゃった方がいいよね」
レティの言葉に、青年は嫌そうな顔をして
ごぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ
ペットボトルから、一気にコーラが溢れ出した
ごぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ
ペットボトルから、一気にコーラが溢れ出した
「うん。面倒くさいし、全部溶かしちゃえばいいよね。どうせ、敵っぽいし」
「誰だぁああああああああ!!??あのヤンデレ野郎の出撃を許した奴はぁあああああああ!!??」
「D-No.962は、今頃本部で「教会」相手に交渉中だぞ!?ここであいつを抑える事ができる奴なんていないぞっ!!??」
「誰か止めろっ!!俺達は「強行派」でも「過激派」でもないんだ、すでに被害者を出している相手とはいえ、問答無用でぶっ殺しはまずいっ!?」
「……外野が煩いなぁ、一緒に溶かしちゃってもいいかな?」
「誰だぁああああああああ!!??あのヤンデレ野郎の出撃を許した奴はぁあああああああ!!??」
「D-No.962は、今頃本部で「教会」相手に交渉中だぞ!?ここであいつを抑える事ができる奴なんていないぞっ!!??」
「誰か止めろっ!!俺達は「強行派」でも「過激派」でもないんだ、すでに被害者を出している相手とはいえ、問答無用でぶっ殺しはまずいっ!?」
「……外野が煩いなぁ、一緒に溶かしちゃってもいいかな?」
……何やら、青年の背後の方で悲鳴が聞こえてきている
見れば、黒いスーツを着た男達の姿が見える
その姿に、菊は、親友がよく一緒にいる、黒スーツの少女を思い出した
見れば、黒いスーツを着た男達の姿が見える
その姿に、菊は、親友がよく一緒にいる、黒スーツの少女を思い出した
「…同僚?」
緊迫した状況であるはずなのに、菊はのんきに首をかしげる
---ばしゃあん!!と
レティの水と、青年のコーラが、宙でぶつかり合った
どちらも、液体
ぶつかり合い、中途半端に混ざり合い、地面に流れていく
レティの水と、青年のコーラが、宙でぶつかり合った
どちらも、液体
ぶつかり合い、中途半端に混ざり合い、地面に流れていく
「むー……っ、どうして、レティの力で、苦いお水にならないの!?」
「えー、そんな事、僕の知ったこっちゃないよ。単純に、君と僕との力量差じゃない?」
「えー、そんな事、僕の知ったこっちゃないよ。単純に、君と僕との力量差じゃない?」
液体は、全て苦い水に変えて操る事ができるはずのレティの力
…それが、青年の操るコーラに、通用していない
…それが、青年の操るコーラに、通用していない
青年の名前は、荒神 涼
「組織」所属の、「骨を溶かすコーラ」の契約者
契約により、骨どころか、涼が望む存在はすべて溶かす事ができるようになり、そして、涼の意のままに動くコーラ
涼の能力支配下にはいっているコーラは、レティの能力の影響を受けていない
…涼が口にした通り、力量差の問題だ
都市伝説の強さ、と言うよりも………使い手の精神力の関係
涼の方が、歳の甲なのか、それとも経験の問題か、レティよりも精神が強いらしい
「組織」所属の、「骨を溶かすコーラ」の契約者
契約により、骨どころか、涼が望む存在はすべて溶かす事ができるようになり、そして、涼の意のままに動くコーラ
涼の能力支配下にはいっているコーラは、レティの能力の影響を受けていない
…涼が口にした通り、力量差の問題だ
都市伝説の強さ、と言うよりも………使い手の精神力の関係
涼の方が、歳の甲なのか、それとも経験の問題か、レティよりも精神が強いらしい
「それじゃあ、面倒くさいから、さっさと溶けてくたばってね?僕、早く帰って兄さんの晩御飯作らないといけないから」
「むーっ!溶けないもん!レティは、もっともっと一杯遊びたいんだからっ!!」
「むーっ!溶けないもん!レティは、もっともっと一杯遊びたいんだからっ!!」
ぶつかり合う液体が、飛び散り続ける
…これは、間に入るのは、危険だ
間に入れば、猛毒の水を飲まされるか、コーラで溶かされるか
どちらにせよ、悲惨な結果にしかなりそうにない
…これは、間に入るのは、危険だ
間に入れば、猛毒の水を飲まされるか、コーラで溶かされるか
どちらにせよ、悲惨な結果にしかなりそうにない
だから
「………っめ」
「!」
「!」
レティに攻撃を仕掛けようとしていた、人食いタコの契約者を
菊は、男の首根っこを掴んで、制した
菊は、男の首根っこを掴んで、制した
「…何、しやがる!俺は、あの餓鬼を……」
「……仇討?」
「……仇討?」
人食いタコの契約者の言動から察するに、そうなのだろうと菊は判断する
どうやら、彼の仲間は彼女に殺されているらしい
………悪人には、悪人なりの仲間意識があったのかもしれない
どうやら、彼の仲間は彼女に殺されているらしい
………悪人には、悪人なりの仲間意識があったのかもしれない
「……でも、っめ。お前じゃ、無理」
「あきらめろってのか!?部外者が口出してんじゃねぇ!」
「……………むぅ」
「あきらめろってのか!?部外者が口出してんじゃねぇ!」
「……………むぅ」
これは、困った
悠里が、死人を出したくないと言っていたことを、菊は思い出す
この男も、悪人ではあるが、死ねば死人となる訳で
友人の希望を、菊は無下にしたくない
どうすれば、この男は復讐をあきらめるのか
菊は、男の首根っこをつかんだまま、悩む
悠里が、死人を出したくないと言っていたことを、菊は思い出す
この男も、悪人ではあるが、死ねば死人となる訳で
友人の希望を、菊は無下にしたくない
どうすれば、この男は復讐をあきらめるのか
菊は、男の首根っこをつかんだまま、悩む
……と
「きっちゃん!」
「……悠里?」
「……悠里?」
友人の声に、振り返る
ふむ、これは助け舟
ふむ、これは助け舟
「危ないから、こっち来い!あのヤンデレ、危険人物なんで、周り巻き込んでも気にしないから!!」
……もっとも、涼をここに呼び出したのは、悠里自身で
ついでに言うと、それは菊が「組織」にかかわらないよう、この場がうやむやで終わる事を狙ってなのだが
そこまでは、菊が把握できる訳ではない
ついでに言うと、それは菊が「組織」にかかわらないよう、この場がうやむやで終わる事を狙ってなのだが
そこまでは、菊が把握できる訳ではない
「………撤退」
「うぉ!?」
「うぉ!?」
ぐ!と
人食いタコの契約者の体を、そのまま軽々、担ぎ上げて
菊は、二つの液体がぶつかり合うその場所から、撤退する事にした
人食いタコの契約者の体を、そのまま軽々、担ぎ上げて
菊は、二つの液体がぶつかり合うその場所から、撤退する事にした
to be … ?