「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・救世主候補-07b

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 ……逃げる?
 誰が?

「レティは、逃げないよ?」

 にっこりと
 在処を見つめて……レティは、笑った

「だって、楽しいもんっ!」
「-----っ!!」

 迫る、水
 飴の爆破を確実に当てる為に、近づきすぎた
 キューピーのパーツを、すんでのところで割り込ませたものの、猛毒の苦い水は在処を狙い続けている

 爆発で、それなりのダメージを受けたはずのレティ
 しかし、楽しげに笑い続けているのだ

「レティ、楽しいよっ!簡単に死んじゃう相手なんて、つまんないもんっ!!もっと一杯抵抗してねっ!」

 レティを包み込む、炎が
 鳥の翼のような形となり、レティの体を宙に浮かせた
 …レティが、今まで表に現さなかった能力まで、使いだしたのだ
 燃え盛るレティの体
 暗くなってきた空に浮かぶそれは、まるで星のようにも見える

「……あれが、「にがよもぎ」としての真の姿か」

 さっさとレティを溶かそうとしている涼を押しとどめていた影守が、レティのその姿を見て舌打ちする
 影守の言葉に、涼は首をかしげた

「にがよもぎ?」
「普通に考えりゃ植物の名前だが………聖書の黙示録に書かれている、第三の天使がラッパを吹いた時、空から降り注いだ松明のように燃える巨星の事だ」

 それが世界に降り注ぎ、世界中の水の三分の一が苦い水となり、多くの命を奪った
 そのにがもよぎを、天使、もしくは悪魔とみる解釈も存在するのだ
 恐らく、レティはにがよもぎを天使として解釈した都市伝説と契約しているのだろう

 燃える巨星、故に、彼女の体は燃え盛る
 苦い水は、多くの命を奪った………すなわち、猛毒
 彼女の能力は、そのような解釈によるものだと推察できる
 カラミティの推察が大方あたっていた事実が、色々と複雑だ

 ……だが
 真の姿を、現しても
 苦い猛毒の水は、バラバラキューピーのような無機物には通用しない
 燃え盛る体は、火鼠の皮衣を纏った在処には通用しない
 レティの能力を、自分達は封殺できている
 うまく追い詰めれば……


「………」
「きっちゃん?どうした?」
「っこら、おい、下ろせ!?てめ、その体のどこにそんな力が……」

 人食いタコの契約者を抱えたまま、黒服達が控えている後方まで下がった菊
 悠里の傍までやってきて……ふと、空を見上げた
 …それは、分家とは言え、獄門寺家の血を引いている人間の、直観だったのだろうか

「……何か、来る」
「え?」

 抱えていた人食いタコの契約者を下ろそうとして……しかし、警戒するように、菊は動きを止めた
 直後…周囲で、この騒動が人目につかないよう、結界を張る作業などをしていた黒服達が、声を上げる

「………契約者反応、二体感知!!人払いの結界を突き抜けて、接近中です!」


 迫りくる、気配
 それに、戦いの場にいた全員が、素早く反応する

 向かってくるその攻撃に、希がキューピーのパーツを盾にするようにぶつけた
 いくつかのパーツが燃え上がり、いくつかのパーツが凍りつく

 炎と、氷
 この攻撃は

「レティ、みっけ!」
「見つけたの!」
「あれ?二人共、どうしたの?」

 ばさり
 レティの後方から現れた、小さな二つの人影

 一方は、背中から炎の翼をはやした金髪の少年………リュリュ・クーヴレール
 一方は、背中から氷の翼をはやした金髪の少女………マドレーヌ・クーヴレール

 「13使徒」で唯一、二人で一組の存在……「抹消者」双子のクーヴレール

 レティの危機でも感じ取ったのか、それとも、たまたま通り掛かったのか……
 どちらにせよ、敵が増えてしまった

「もう、そろそろ、帰る時間だよ」
「そうよ。帰りが遅くなったら、カイザーに怒られちゃうわ」

 ………
 大変と、お子様でなおかつ教育的理由で、レティを探しに来ただけらしい
 何とも、緊張感がそがれる

「えー、レティ、まだあのお姉ちゃん達と遊びたいな」
「駄目だよ、ちゃんと、時間までに帰らないと」
「そうよ。遊ぶのは、また今度だってできるんだから」

 明らかに年下な双子の言葉に、むー、と不満そうなレティ
 ちらり、在処や影守達を見下ろしてくる

「……御免ね、お迎えが来ちゃった。また今度、遊ぼうねっ!」
「…逃がすか!」

 逃げ出そうとするレティに、追いすがろうとする影守と在処
 だが

「逃げるんじゃないよ、帰るだけだから」
「そうだよ。僕達が帰るのまで遅くなったら、僕らもカイザーに怒られるんだから」
「だから、邪魔しないでねっ!」

 リュリュの手に、炎が
 マドレーヌの手に、冷気が生まれる

 二人はそれを、まるで弓矢を引き絞るかのような動作をして………それぞれ、弓矢のような形になった炎と冷気を、発射してきた
 先ほど飛んできた攻撃よりも、威力が高い
 バラバラピューピーのパーツで受け止めるには、リスクが高すぎる!

「もう、だから、さっさと溶かしちゃえば良かったのに」

 ごぽ、と
 涼のコーラが、リュリュが発射した炎をかき消した
 が、マドレーヌの冷気相手には、相性が悪かったらしい
 凍りつかされ、凍りついたコーラの塊が在処に向かって落下してくる

 在処が飴で爆破しようとして………一瞬、迷う
 何せ、凍らされたのは、涼の能力支配下にあったコーラである
 ヘタに爆破してそのカケラをその身に浴びた場合、溶かされるのではないか?と言う危険を感じたのだ

 躊躇してしまったが故に、巨大な氷の塊は、容赦なく在処に向かって落下してくる

 -----一閃

 影守が、その氷の塊を、真っ二つに切り裂いた
 在処の左右へと飛んだその塊は、地面に落下して粉々に砕け………辺りを、じゅうじゅうと少し溶かした
 ……爆破しなくて正解だったようだ

 レティ達は、すでに空高く飛び上がっていて………バラバラキューピーで追撃しようにも、距離が離れすぎている
 ……逃げられた

 後には、戦いの余波であちこち壊れた現場が残されて
 このまま、事後処理をやらされるであろう……そして、この結果を報告しなければならないだろう、現場に来ていた黒服達に
 影守は若干、同情したのだった




to be … ?







タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー