じゃり、と足音が聞こえて
はっとしたように、衛悟は顔を上げた
……ここまで近づかれるまで、気づけなかった?
暦が作りだした痕の観察に意識を取られすぎていたのか
はっとしたように、衛悟は顔を上げた
……ここまで近づかれるまで、気づけなかった?
暦が作りだした痕の観察に意識を取られすぎていたのか
顔を上げると、そこにいたのは
「……校長先生?」
「やぁ」
「やぁ」
にこにこと笑っている、中央高校校長 出道 桐男の姿があった
近づいてきたのが彼であった事実に、衛悟は一瞬、ほっとして
近づいてきたのが彼であった事実に、衛悟は一瞬、ほっとして
……すぐに、ほっとしている場合じゃない事に気付く
何せ、彼の目の前のコンクリートの壁には、真一文字に切り裂かれた痕があるのである
何せ、彼の目の前のコンクリートの壁には、真一文字に切り裂かれた痕があるのである
------状況的に、彼が何かしたように見えなくもありません
本当にありがとうございました
本当にありがとうございました
「あ、あの、これは」
「あー、ずっぱりいってるねぇ、これは」
「あー、ずっぱりいってるねぇ、これは」
つ、とその痕に触れる桐男
小さく、苦笑している
小さく、苦笑している
「あぁ、君は気にしなくてもいいよ。まぁ、これくらいなら今日中に直せるから」
「……え」
「……え」
……直せる?今日中に?
何を言っている?
何を言っている?
「それにしても、一応、あぁいうのが入らないようにしてるつもりなんだけどね。もうちょっと、結界は強化すべきかな?でも、あれ使うと物凄く疲れて、通常業務に差支えが出るんだよなぁ…」
何を
この男は、何を言っているのだ
この男は、何を言っているのだ
「…校長先生?」
「うん?」
「うん?」
にこにこと、衛悟を見下ろしてくる桐男
その表情は、いつもの穏やかな校長先生のものだ
気さくで、生徒達にも好かれている、校長先生のそれ
その表情は、いつもの穏やかな校長先生のものだ
気さくで、生徒達にも好かれている、校長先生のそれ
けれど、何故だろうか
それ以外のものを、感じ取ってしまうのは
それ以外のものを、感じ取ってしまうのは
「………大丈夫、君は気にしなくていいんだよ。君は、君の仕事に集中していればいいんだよ。僕も、僕の仕事をやるだけだからね」
ただ、と
…一瞬、その目が細められた
…一瞬、その目が細められた
「ただ、ね。一応、ここって「組織」には関わってくるな、って言っておいてくれてるんだよね。あの一歩間違うとヤンデレな彼が。校舎の敷地内にみだりに入るなとか、生徒に手を出すな、とかってね」
それは、衛悟も聞いた事がある
実力はあるけれど、性格に多大に問題がある「組織」所属の青年…化学の先生と苗字同じなんだよなぁ、と衛悟は覚えていた…が、「組織」に入る際に提示したという条件の一つ
それが、そうなのだ、と
実力はあるけれど、性格に多大に問題がある「組織」所属の青年…化学の先生と苗字同じなんだよなぁ、と衛悟は覚えていた…が、「組織」に入る際に提示したという条件の一つ
それが、そうなのだ、と
「だから……余計な事は、しちゃダメだよ?」
「-----っ!!」
「-----っ!!」
それは
衛悟への、忠告であり、警告の言葉
一瞬、背筋が寒くなる
衛悟への、忠告であり、警告の言葉
一瞬、背筋が寒くなる
だが
次の瞬間、桐男は、いつも通りの笑顔に戻っていて
次の瞬間、桐男は、いつも通りの笑顔に戻っていて
「それと、そっちの仕事に集中しすぎて、勉強に支障が出ないようにね?」
「あ……」
「君が何かしでかさない限りは、君も僕が護るよ。中央高校の生徒である限りは、ね。生徒を守るのは、教師の務めだから」
「あ……」
「君が何かしでかさない限りは、君も僕が護るよ。中央高校の生徒である限りは、ね。生徒を守るのは、教師の務めだから」
にこにこと笑って、衛悟を見つめてくる桐男
その視線は壁の傷痕へと向けられて、さて、他の生徒や先生方に気付かれる前に直さないとね、と呟いている
その視線は壁の傷痕へと向けられて、さて、他の生徒や先生方に気付かれる前に直さないとね、と呟いている
いつも通りの、校長先生
だと言うのに………まるで、酷く遠い存在へと化したような
そんな錯覚を、感じたのだった
だと言うのに………まるで、酷く遠い存在へと化したような
そんな錯覚を、感じたのだった
to be … ?