「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・咎負い人-20b

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 充分に自分達の存在はアピールした
 探しモノは見つかった
 さぁ、ここからが本番だ



「そうだ…探しモノが見つかった、場所は…………」

 次々と、子飼い連中に指示を出す
 同じ内容を、連絡先が分かっている同じ子飼いに流すよう伝える
 ……何せ、数が数だ
 一人一人直接連絡していっていたら、時間がかかりすぎる

「………そうだ、「生かして捕えろ」。周囲に他の奴がいたら?……どうでもいい。邪魔なら消せ」

 エイブラハム・ヴィシャスが探していたのは、あの淫魔だ
 …もっとも、今回は「言い訳」に使っているだけだろう
 表面上は表に出していないが、明らかに焦っている
 以前使った「悪魔の囁き」は、大した成果を上げられなかった
 だからこそ、本人までもが直々に動いてこんな島国まで来たのだ

 焦り
 自ら、派手な事をしでかそうとしている
 ……強行的な連中や過激な連中が賛同すればうまく事は進むだろうが、失敗すればそこまで
 背水の陣とでも言うべきか

「子飼いの子達への連絡は終わりましたか?」

 気配に、振り返る
 そこにいたゲルトラウデからかけられた言葉に、いや、とメルセデスは軽く首を左右に振った

「まだ半分、ってとこだな」
「あら……あなたが任せられていた子飼いは、せいぜい200人程度でしょう?まだ終わっていなかったのですか?」

 くすり、美しい笑顔を浮かべてくるゲルトラウデ
 うるさい、とメルセデスは短く返した

 ……さすがに、100を超えた人数を街に潜らせていては気づかれる
 よって、学校町周辺にも分散して潜伏させていた
 今回、自分達が来日した際に合わせて連れてきた子飼いも合わせれば

 その数、総計666人
 何とも、良い数字になったものだ
 それらの管理は、メルセデスとゲルトラウデの二人に任せられていた
 半分以上をゲルトラウデが管理、残りをメルセデスが管理している
 …ゲルトラウデの方が数が多いのは、彼女がそう言った事に長けているから
 ゲルトラウデと言う女の体を支配している存在が、子飼い連中にわずかに能力を行使し、意思の統一を図ったのだ
 もっとも、それは強い統一ではない
 ただ、今回のような簡単な命令ならば、一瞬で通達はできる、そういうことだ

 ……666人の契約者、および、飲まれた者達
 まぁ、すでにこの街の住人との小競り合いなりなんなりで多少数は減っている
 その程度の戦力でしかない
 中にはヴァレンタイン以上の戦力を持っている者もいるが、それでもその程度でしかない
 雑魚の集まりだ
 だが、全く使えないわけでもない

「とりあえず、消えろ。こっちは通達が終わっていないんだからな」

 ずるずると、棺桶を引きずって歩き出すメルセデス
 ゲルトラウデは、その美しい顔に邪悪な笑みを浮かべて、続ける

「早くしてくださいね?エイブラハム様の行動に支障が出ては困りますから」
「わかってるよ」

 ゲルトラウデに背を向けているメルセデス
 故に、ゲルトラウデはメルセデスの表情には気づかない

「…あぁ、そうだ。ゲルトラウデ」
「何です?」
「俺は、お前の同種を何度か見てきた事がある」
「あら、あなたなら、そうでしょうね?」

 くすくすと微笑むゲルトラウデ
 そんな彼女に、メルセデスは続ける

「……その中じゃあ。お前は一番、格下だ」
「-----っ、な」

 ゲルトラウデの表情が、変わる
 メルセデスは背を向けたままだが、声の調子でそれを理解した

「確かに、能力影響下においた連中の意思を、完全にではないものの統一化させる。それの能力に関しては大したもんだ……………だが、お前は「それだけ」なんだよ」

 人間の肉体の乗っ取り
 それは、彼女と同種の存在ならば、簡単にできる事
 …ゲルトラウデの肉体を乗っ取っている存在だけができる事ではない

「魅了の力は、エイブラハム様の探しモノ以下。自身に戦闘能力なし…………正直、お前自身は、何もできないに等しい」
「…っ貴様」

 甘ったるい匂いが鼻先を掠めた
 …だが、それはメルセデスの心を揺さぶりなどしない

「鬱陶しい匂いをまき散らしてんじゃねぇ。俺にてめぇの魅了が通用しない事はわかっているだろうが」
「くっ………」

 凍りついた心に、甘ったるい匂いは届かない
 ゲルトラウデの魅了の力は、メルセデスには通用しない

 だからこそ、メルセデスはゲルトラウデに対等に、もしくは、ゲルトラウデより上に立って会話する事ができる
 そうでなければ、とっくに彼女の「人形」の一人に成り果てていただろう
 メルセデスがゲルトラウデを恐れない理由の一つは、彼女の魅了が彼に全く通じないからだ
 最大の能力を無効化されては、ゲルトラウデは手出しできない

「俺は行くぞ。上から偉そうに命令するだけのてめぇと違って、やる事はたんまりとあるんでな」
「……ったかが…人間に使役されるだけの、悪魔風情が……!」

 憎悪の声
 本来、格下であるはずの相手に侮られたが故の、憤怒の声

 醜い
 他者がいなければ何もできない
 その癖に、人一倍、他人の上に立ちたがる
 どこまでも醜く、そして……

(……悪魔としての、誇りもない)

 そんな相手に
 対等に接してやる必要など、ない

「うるせぇよ、俺を使役しようと言う奴がいるんなら、俺がその価値を見極めてからだ。小悪魔風情と一緒にするんじゃねぇ」

 ずりずりと、棺桶を引きずりながら、メルセデスはゲルトラウデから離れていく

「偉そうな事を口にしたいんだったら、てめぇ自身が成果をあげろ。それからだ」

 離れていくメルセデス
 その姿を、ゲルトラウデは憎々しげに睨み続け

 ……やがて、何を考え付いたのだろうか
 己が管理している子飼いに、ある指示を出し始めた

「…そろそろ、使わせてもらおうか。「組織」のあの黒服を」

 この時、ゲルトラウデがうかべていた、笑みは
 今まで彼女が浮かべたどんな笑みよりも、邪悪で醜かった











to be … ?






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